忘却の彼方へ

ウエブ上のメモ

虐待の第4のタイプ「心理的虐待」は子どもの存在自体の否定

2005年04月12日 | 福祉のプロとして
 西澤哲著「子どものトラウマ」講談社現代新書は、被虐待児への援助を行っている我々、あるいは一般市民にも理解しやすい内容でありおすすめだ。

 普通、虐待は4つに分類されている。身体的、性的、ネグレクト、心理的虐待がそれであるが、性的虐待については古くからその存在が認識されていたにもかかわらず、社会がその問題を黙認してきた虐待である。身体やネグレクトに比べると問題意識としてはあたらいい虐待になるのだが、真っ正面から取り組んでいなかったというだけで、この被害に遭っている児童の数は実は非常に多いという。

 心理的虐待は、定義自体が難しく、最近になって脚光を浴びてきたようなところがある。身体や、ネグレクトに比べ、命にかかわるようなことはあまりなく、表に出てきにくい虐待であるが、「おまえなんか生まれてこなければよかった」などの言葉に代表されるように、子どもの存在自体を否定するような言葉を言われ続けることにより、「自分は存在価値のない人間なんだ」と思ってしまう。身体的虐待のように身体へのダメージはないし、ネグレクトのように成長面での障害こそでないかもしれないが、心に与える傷はかなり大きいものがある。

 養護施設に入所する児童の多くは、心理的虐待を受けていると疑われるケースも多い。入所時の主訴は、別でも入所後の親子関係や児童を観察しているとわかるのである。