連城 三紀彦 著 ・ ハルキ文庫
便宜上、一番近く読んだ本をタイトルに。
昨年辺りからまた少しずつ連城作品を集めている。
10代の後半に『夢ごころ』と出会った。美しい言葉の流れに1行目から息を呑んだ。以来、尊敬する作家は連城三紀彦と公言して憚らなかったが、大人買いできる身分ではなかったので、実際は10冊読んだか定かでない。
一昨年の秋だっただろうか。『恋文』が渡部篤郎、水野美紀でドラマ化され、TV釘づけの3ヶ月を過ごした。これが連城熱再燃のきっかけだったわけだ。
ドラマも少々の不思議演出はあったものの(病院を走って抜け出すほど元気な余命半年の病人が、なぜ検査の時だけ車椅子で運ばれる?)作り手のこだわりと原作への愛情が感じられ、先に萩原健一、倍賞美津子の映画版があったので、結論をどうするのか、などの楽しみも多く、とても好きなドラマになった。美しい鎌倉の海も憧れを誘う。ビデオが出ているはずなので、レンタルできるようであればご覧あれ。
基本的に作風は明るくなかったと思う。しかし78年デビューとあるので(あれ、この人も幻影城出身だったんだ…)30年近いわけで、その間にいろいろな変遷があったようだ。『さざなみの家』は比較的新しい作品といえるが、作者の人に投げかける優しい視線が、登場人物の抱える内面を厭味なく見せ“日常のちょっといい話”に仕上げた。一つの家族の日々が24話。短い通勤の行き帰りに1話ずつ、ちょうどいい長さだ。どれも嫌な気分で終わらないのが、なおいい。
便宜上、一番近く読んだ本をタイトルに。
昨年辺りからまた少しずつ連城作品を集めている。
10代の後半に『夢ごころ』と出会った。美しい言葉の流れに1行目から息を呑んだ。以来、尊敬する作家は連城三紀彦と公言して憚らなかったが、大人買いできる身分ではなかったので、実際は10冊読んだか定かでない。
一昨年の秋だっただろうか。『恋文』が渡部篤郎、水野美紀でドラマ化され、TV釘づけの3ヶ月を過ごした。これが連城熱再燃のきっかけだったわけだ。
ドラマも少々の不思議演出はあったものの(病院を走って抜け出すほど元気な余命半年の病人が、なぜ検査の時だけ車椅子で運ばれる?)作り手のこだわりと原作への愛情が感じられ、先に萩原健一、倍賞美津子の映画版があったので、結論をどうするのか、などの楽しみも多く、とても好きなドラマになった。美しい鎌倉の海も憧れを誘う。ビデオが出ているはずなので、レンタルできるようであればご覧あれ。
基本的に作風は明るくなかったと思う。しかし78年デビューとあるので(あれ、この人も幻影城出身だったんだ…)30年近いわけで、その間にいろいろな変遷があったようだ。『さざなみの家』は比較的新しい作品といえるが、作者の人に投げかける優しい視線が、登場人物の抱える内面を厭味なく見せ“日常のちょっといい話”に仕上げた。一つの家族の日々が24話。短い通勤の行き帰りに1話ずつ、ちょうどいい長さだ。どれも嫌な気分で終わらないのが、なおいい。