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駄文迷宮

☆ 麻介の日常 ☆

蒼い空と旅人と

2006年05月15日 16時42分56秒 | 小説作製
青い空が広がる草原を一人の旅人が歩いていた
年はまだ若く、10代後半といったところだろう
身長のわりに古い長めの紺色をしたコートに身を包み、
旅の道具を詰めるだけ詰め込んだ大きなリュックを背負っている
頭には黒いバンダナを巻いて帽子代わりに日射をしのいでいた

旅人は時に笑ったり怒ったりしながらゆっくりではあるが、
しかし確実に草原を進んで行く
彼は依然一人だ。周りには誰もいない
太陽はまだ南の真上に位置していて空の上から旅人を見守っていた


「蒼い空がなぜ青いかわかるかい?」
旅人が突然、まるで誰かに問いかけるように呟くと、
彼の頭の中で返事が返ってくる
「光の反射でそう見えているんだろ」
当たり前の回答、それこそが原理
「それだけ?」
旅人は他に何か期待するかのように聞き返す
「他に何がある?まあ、物理的には……」
「待って、そう言う事じゃなくってさ、もっとこう、何というか幻想的に」
相手はムッとしたのかもしれない
「……じゃあこんな感じか?空が蒼いのは空の上にある天井が蒼いからだ」
「うわっ、何かそれ凄く微妙。それにものすごく閉塞的な世界観だな」
旅人は歩きながら、クスクスと笑った
「わ、笑うな!そんな事ならお前はどう思うんだ。お前の意見も聞かせろや!」
声はイライラと怒鳴った
それは旅人の頭中だけに響く
「そうだなぁ僕は……何処かの知らない誰かが蒼い空を望んでいるからだと思う」
「何だそりゃ?」
声は今度は呆れかえっているみたいだ
「例えば僕とか……」
旅人は誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた


旅人の前には草原の長い一本道が続いている


幸せな奴

2006年05月11日 08時21分42秒 | 小説作製
「あぁ、俺もう末期かも」
友はため息混じりに呟く
「何を今更……」
馬鹿は風邪を引かないと言うけれど、こいつの場合はまさにその言葉が当てはまる
一生涯、病院と無関係な奴なのだ
「大丈夫、お前は死なないさ」
これは励ましのつもり
「俺が死なんでも世界が終われば最後だろ?」
いつもの事だが大それた発言だ
「心配すんなって、世界が終わってもお前(の馬鹿さ加減は)終わらないよ」
「そうかなぁ?…だな!うん、多分そうだ。お前の言う通りだろう!」
悩んだ末の肯定だろうが内心爆笑している自分がいる
「何があった?」
これは友人として質問
奴はぱっと顔を輝かせて質問に答えた
「それがさぁ、彼女できたのよ!」
自慢のつもりか?
「羨ましいねぇ、全く。この幸せ者」
どうやらこの言葉でつけあがったらしい
「えへへっ!良いだろ~。可愛いんだぜ!」
「ああそうですか」
素っ気ない返事、実はかなり悔しかったりする
やっぱり世界は終わるのかも知れない、救いようもないこいつのせいで



終わり


HERO^(ヘロ~)準章

2006年05月09日 08時52分25秒 | 小説作製
俺が剣を振るうのは世界を守る為じゃなく、特にヒロインを守る為でもない
英雄になろうなんて思わないし、まして、勇者なんてまっぴらゴメンだ
出来ることなら、剣を使うのは狩りの時だけにしたい
なのに……
何時からだろうか?
気が付くと俺は世界を救う為の旅をしている
しかも、どうも俺の幼なじみがさらわれたらしい

いつの間にか俺が助けに行くことが義務づけられていた

全くもって面倒臭い


これはそんな気が無いHERO^達の物語



はじまり、はじまり


2006年05月08日 09時10分44秒 | 小説作製
手のひらの薬を眺める

中央から赤と白に分かれたカプセル状の錠剤

テーブルの上にはグラス一杯の水

透き通る水は蛍光灯の光を受けてキラキラ輝く

これで何度目だろう

その物自体に美味しいという感覚は無く、食すると言うより飲み込むと言った方が良い

殆ど日課になってきている

お腹は特に空いてない

いざ、グラスを手に取り例の個体を口の中に放り込んだ

水を一気に注ぎ込む

それは僕の体内に音も無く流れていった

ふぅ……

不意に背後から人の気配

「あれ?まだ風邪治ってないの。大変だねぇ」

風邪ならかなり前に治っている

だが言えない

それは僕が、この特に美味しくもない薬を飲むと言う行為が
途轍もなく好きになり、病みつきになってしまっていることを


終わり


無題

2006年05月05日 13時39分24秒 | 小説作製
αが消された。

βが先月消えたので、

そろそろあいつも消えるんじゃないかと思い始めた矢先の出来事だった。

消したのは多分∞の奴だろう。

先月βを削除させた後に次はαを消すように命令したのだ。

しかし、次は自分の手で∞を滅するのはなかなか面倒だ。

奴はとてもしぶとい。

頭は悪いが無駄にしぶといのだ。

ωにでも頼むかな?