現在の時刻、17時ジャスト
僕は普通の一般学生の物よりも二倍以上に重たい通学用鞄を手に店の中に駆け込む
「おはようございますッ!」
昼間のシフトに入っているオバチャンに軽く挨拶した後に足を止めずそのまま店の裏にある事務所に飛び込んだ
僕はタイムカードを引っ付かんで機械に投入、通勤時間が小気味良い音で印刷されほっと一息
その瞬間、デジタル時計は分の位を00から01へとカウントアップした
「うっしゃ!今日もなんとかセーフ!」
駅前の通りにある信号が赤に変わった時は言うまでもなく強い絶望感を感じた
間に合ったから良いのだけれど
「せーふ!」
叫びながら事務所に飛び込んで来たのは、現在大学二年の羽汰鷺啓護(わたさぎ けいご)
この店の勤務状況で言えば僕の先輩になる
「おはよーございまーす」
羽汰鷺さんは僕のやる気ない挨拶をスルーしてタイムカードを素早く機械へ
(17:02)
僕は彼のタイムカードを覗き込む
「あー、アウトっすね」
羽汰鷺はタイムカードに印字された文字に驚愕している模様
「あぁぁ……」
何気なく僕は自分のタイムカードを見せびらかすように収納した
「くそっ、いいなぁ」
その後はいつもの通り仕事の制服に着替えて、コンビニ「セブンハーツ」は無事人員交代を果たした
まるでいつものように……
今日は水曜日、ただでさえ田舎町の端にあるこのコンビニには夜間の客は見込めない
無論、そんな店に勤める店員も暇を持て余していた
「学生は大変だねぇ」
「羽汰鷺さんも大生ですよね」
「あぁ、現在一浪中のバリバリ大学生だぜ」
本人はカッコ良く言ったつもりなんだろう
「それ、前に聞きました」
「あ、そう」
……あまりに日常すぎて話が続かない
会話終了
「……」
「しっかし、暇だなぁ」
羽汰鷺さんはあくびをしながら商品に毛叩きをかけていく
フェイスアップをしないのはただ単に面倒だかららしい
きっと、都会のコンビニ店員が聞いたらあきれかえるだろう
時刻は20時を回る
羽汰鷺さんは僕との世間話に飽きたらしい
雑誌を整理するふりをしながら雑誌を読んで大爆笑中だった
彼にとって今はジャンプの漫画がいろんな意味でアツいらしい、僕にはよく分からないけれど
扉の開くチャイムが鳴り一人の客が入ってきた
「いらっしゃいませ~」
とりあえず、気のない挨拶のデュエットで迎え入れる
全身黒でライダースーツにフルフェイス。
その時には何かのコスプレのように見えた
客は店内をダラダラと一周した後にまるで地蔵のようにレジに立つ僕の方へと歩いてきた
無論、商品らしいものは持ってない
代わりと言ってはなんだが、当店には置いていないような小型のハンドガンを僕の眉間に合わせている
「金、出せ」
何の冗談だろう?僕はどうしようもないくらいの笑いがこみ上げてくる
羽汰鷺さんはこの軽く緊迫した空気も読めずにジャンプを熱読している模様
さて、どうしようかな?
この状況はアレに似ている気がする
ドキドキする妙なこの感覚
それはいつもの出撃のような……
つづく
僕は普通の一般学生の物よりも二倍以上に重たい通学用鞄を手に店の中に駆け込む
「おはようございますッ!」
昼間のシフトに入っているオバチャンに軽く挨拶した後に足を止めずそのまま店の裏にある事務所に飛び込んだ
僕はタイムカードを引っ付かんで機械に投入、通勤時間が小気味良い音で印刷されほっと一息
その瞬間、デジタル時計は分の位を00から01へとカウントアップした
「うっしゃ!今日もなんとかセーフ!」
駅前の通りにある信号が赤に変わった時は言うまでもなく強い絶望感を感じた
間に合ったから良いのだけれど
「せーふ!」
叫びながら事務所に飛び込んで来たのは、現在大学二年の羽汰鷺啓護(わたさぎ けいご)
この店の勤務状況で言えば僕の先輩になる
「おはよーございまーす」
羽汰鷺さんは僕のやる気ない挨拶をスルーしてタイムカードを素早く機械へ
(17:02)
僕は彼のタイムカードを覗き込む
「あー、アウトっすね」
羽汰鷺はタイムカードに印字された文字に驚愕している模様
「あぁぁ……」
何気なく僕は自分のタイムカードを見せびらかすように収納した
「くそっ、いいなぁ」
その後はいつもの通り仕事の制服に着替えて、コンビニ「セブンハーツ」は無事人員交代を果たした
まるでいつものように……
今日は水曜日、ただでさえ田舎町の端にあるこのコンビニには夜間の客は見込めない
無論、そんな店に勤める店員も暇を持て余していた
「学生は大変だねぇ」
「羽汰鷺さんも大生ですよね」
「あぁ、現在一浪中のバリバリ大学生だぜ」
本人はカッコ良く言ったつもりなんだろう
「それ、前に聞きました」
「あ、そう」
……あまりに日常すぎて話が続かない
会話終了
「……」
「しっかし、暇だなぁ」
羽汰鷺さんはあくびをしながら商品に毛叩きをかけていく
フェイスアップをしないのはただ単に面倒だかららしい
きっと、都会のコンビニ店員が聞いたらあきれかえるだろう
時刻は20時を回る
羽汰鷺さんは僕との世間話に飽きたらしい
雑誌を整理するふりをしながら雑誌を読んで大爆笑中だった
彼にとって今はジャンプの漫画がいろんな意味でアツいらしい、僕にはよく分からないけれど
扉の開くチャイムが鳴り一人の客が入ってきた
「いらっしゃいませ~」
とりあえず、気のない挨拶のデュエットで迎え入れる
全身黒でライダースーツにフルフェイス。
その時には何かのコスプレのように見えた
客は店内をダラダラと一周した後にまるで地蔵のようにレジに立つ僕の方へと歩いてきた
無論、商品らしいものは持ってない
代わりと言ってはなんだが、当店には置いていないような小型のハンドガンを僕の眉間に合わせている
「金、出せ」
何の冗談だろう?僕はどうしようもないくらいの笑いがこみ上げてくる
羽汰鷺さんはこの軽く緊迫した空気も読めずにジャンプを熱読している模様
さて、どうしようかな?
この状況はアレに似ている気がする
ドキドキする妙なこの感覚
それはいつもの出撃のような……
つづく