櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

断片(白鳥のあと)

2018-10-31 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)

稽古写真



『白鳥』(ソロ新作 9/29~30東京 plan-B)の上演からひと月が経過した。

白鳥風景というメモが手帖にあった。

「低い地鳴りが絶えない
 ごく稀にバサバサと何かが飛ぶ
 遠くでは常に隕石が落下する」

そのような妄想から始まったそれは、いつしか、跋文(掲載ページ)に書いたような方向に進んでいたが、踊ってゆくのはなかなか骨の折れる作業だった。

「天の鳥の未知の歌をききながら、ある身体が破裂してゆく。」

というメモもあった。
僕にとって『白鳥』は世界に満ちてゆく不条理への反抗を表す踊りでもあった。

2回のステージそれぞれが、対照的なものになった。
同じ名の作品でも、日が変わり、対する人が変わると、溢れ出してくるものもまた変わる。
ということを、あらためて思う公演になった。
生身で一瞬と対峙することから、人に対し接することから広がってゆく「踊り」というものの広大さを、思い直す公演にもなった。そして多くの方が言葉を下さったのは大変な幸運だった。
アンケート、メール、お手紙、、、。拝読するとき、ひとりひとりの方が、こちらに近づいて来て下さるように感じる。

観手と舞手の双方の精神的な行き来によって、一期一会の舞台公演が成立していると思う。
良き触媒であり、良き磁場になってゆくことができれば、と、願いを新たにしている。

【公演情報】

【作品リスト、ご感想など】

【これまでの舞台写真、稽古風景など】





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断片(フンデルトヴァッサーの一言)

2018-10-30 | アート・音楽・その他





ウィーン郊外にある、画家のフンデルトヴァッサーによる集合住宅を訪れたときに、気付けばかなり長くその場に立っていた、
あの感覚はいまだに言葉にならないのですが、
何かびびっと感じた、その感覚をときどき思い出すのだけれど、
その人が書いた文を最近になって一つ知ることができ、
とても興味をもちました。

「自分の足が美術館の階段を登るときに描く線は、
 その中に陳列してある絵の線よりも重要なものだ、
 とわたしは敢えていいたい。
 その線はけっして直線でもなく、混乱した線でもない。
 それは微細な点まで存在理由をもっている」

瀧口修造全集から見つけたのですが、妙に合点がゆく一言でした。
これを書いたのがフンデルトヴァッサーだと知らなければ、
ダンスする人の言葉のように思えてしまうかもしれないと思いました。

舞台が迫ってくるなかで練習をしていると、どうしても自分の言葉に囲まれていくのですが、
それとバランスをとろうと欲求がはしるのか、
こういう時に限って色んな他者の言葉をおもいだして、
おもいだす言葉ことばにハッとしてしまうことがあります。





観たもの、聴いたもの

ダンス公演情報





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断片(ふと、、、)

2018-10-28 | ダンスノート(からだ、くらし)
弱い、というのは生きるものの魅力の一つなのではと思う。
怖れる、というのも生命を大切にするからだと思う。
わからないこと、辻褄が合わないこと、一見あまり有意義ではないようなこと、、、。それらのなかにはとても大切なことが眠っているかもしれないと思う。
不合理も不条理も、いわゆるムダとかいうものにだって、人間ならではのなにかがひそんでいるかもしれなく思う。
強さとか優劣とかいう価値観から解放されたいと思う。
良いとか悪いとかの外側にあるようなありようはないものだろうか、とも思う。




日々のこと

ダンス公演情報

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断片 10/25

2018-10-25 | ダンスノート(からだ、くらし)
レッスンをしたあと、まだ余韻があった。
西荻のフリークラスだったが、進行役ながら参加者のグルーヴを浴びることになる。
小一時間あるいて帰った。

夜道のさきに、女の子供が踊っている、そう見える。
父親がしゃがんでいる、
見つめているようにも見える、
ただしゃがんでいるようにも見える。

しばらくしたら子供は父親の背中にしなだれかかり、
そのまんまじっとしている。

近くなってわかったのは子供は父親の背中に乗って笑っているのだった。
父親は黙ってうつむいていたが、ちらりと見たら、胸に赤ん坊がいた。

遠くなりながら振り向いたら、また子供は踊っている、
やはり、そう見える。

なにがどうというのではないが、
子供も父親も、たぶんその胸の赤ん坊も、
特別なことはないのだろうけれど、
その姿や動きのいちいちがすっきりとしている。

感じがいいなと思った。
朝まだ印象に残っていた。





日々のこと

ダンス公演情報





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photo 10/23

2018-10-23 | 日々のこと(daily)


Fushimi Kyoto


昨年、京都に行った。気づいたら何十年ぶりかになっていた。
もうすぐ、また京都に行く。初めてそこで踊る。


日々のこと




______________________________________________________________
stage info.
11/04 京都
櫻井郁也ダンス「絶句スル物質」----------藤井健仁の彫刻とともに
11月4日(日)16:00 京都場アートギャラリー
Sakurai Ikuya Dance performance in Kyoto
”Howl, Blood, Substance” for Sculpture by Fujii Takehito
4th Nov, Sunday.2018 at "KYOTO-BA" art gallery Kyoto

■予約受付中■くわしい内容は、上記タイトルをクリックして下さい

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dance photo:Sakurai Ikuya

2018-10-21 | リハなどの写真(photo:rehearsal etc)


rehearsal for next performance in Kyoto


新作プロセス2018春〜現在

これまでの舞台写真photo


ダンス公演情報

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京都公演にむけて

2018-10-19 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
11月4日に京都で開催するコラボレーション公演、その呼びかけであり共働者である彫刻家・藤井健仁の展覧会が明日10月20日(土)からスタートします。「共働」とは今回の作業についての藤井氏の言葉で、気に入っています。

展示サイト

『藤井の「鉄の人形」を既成の芸術論内部へ言葉によって回収することは可能だろうか?(中略)もっと大きな視野で見れば、鉄の歴史や生命の進化としての人類史を 読まなければならないと、「鉄の人形」は時に語っているのかもしれない。.....』というのは、会場となる〈京都場〉館長の仲野泰生氏の文章ですが、僕が同感できる点は、この作家の作品群から鉄の歴史を感じたという点です。

鉄は近代や国家や資本や兵器など、ある意味まがまがしい想像力をかきたてますが、鉄は私たちの血液成分でもあり、鉄は意志の象徴とも思えます。夢と暴力と生命が交錯する物質、鉄というものの存在感を、僕は藤井氏の彫刻から強く感じます。
11月4日の公演では、ダンスのあと、仲野氏と藤井氏と一緒にトークを少しするのですが、そのときに、このあたりの鉄と人間のことも話題に出たらなぁと楽しみにしています。

以下は、2014年の暮れに掲載した拙文ですが今思うことにも重なるので一部再掲します。
川崎市岡本太郎美術館『TARO賞の作家Ⅱ』展での感想です。

「鉄の匂い。鉄に囲まれている。なんでこんなに鉄なんだろう。そう思う。僕には、鉄はカサブタのように見える。匂いからは尖った酸味の味覚が喚起される。ふと、血を想像する。血を舐めたときのあれは鉄分の味。血には鉄が溶けこんでいるらしいが、反対に、鉄は外在化した血液なのではないかな、と思う。なんだか不穏な場所に迷い込んだような気がする。

彼は一貫して同じ物質に関わり続けている。いつも鉄だ。それらは、具象的な像に設えてある。既知の像:ニュースで見たことがある人の顔、政治家や芸能人の顔。猫や少女は風のように姿態をくねらせ、あべそ~りダイジンも困り顔のまま固まっている。軽やかで、コミックのように近しさがある。笑ったり話したりしながら観ることができる。しかし、それらが何かわかっているのだから却ってそれらが鉄製であることがハッキリ露出される。重く、ゴツゴツして、尖っている。暴力的なくらいに、主題の軽さは素材の重さを押し出す。鉄を溶かし、叩き、削る、という肉体の行為が露出される。広く寒い工場跡のようなアトリエで一人で仕事をしている、その姿を思う。素材はテーマよりも重要かもしれない。時として形式が内実を超える。

ダンスでも、何を表現するかは入れ替わってゆくが、ナニデ、というと、肉体で、踊るのだからそこは最初から最後まで一貫してゆく。踊りの創作と彫刻は似ているなと、しばしば思う。実際、ひとつの作品を作ってゆくプロセスの大部分は、振り付けとか舞台構成よりも、肉体そのものを変化させることに費やしている。どんなダンスを踊ってどんな舞台にするか、それ以上に、どんな肉体を舞台に乗せるか、どんな身体になって立とうとするのか。それを求めて訓練や瞑想や試行錯誤を実行していると、肉体や神経を彫刻しているような気がする。踊り続けてきたと同じ時間を、肉体を彫り続けてきたのではないか、とも思える。
世界観や主題は変わってゆくが、この身体とは肉体とは何かな、という問いは変わらないどころか深まり続けてゆく。
肉体との関係を大切に育ててゆくことがダンスの根っこになる。美術家も、やはり何か一つの事に向き合い続けているんだな、と、藤井の仕事から、思う。」



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stage info.
11/04 京都
櫻井郁也ダンス「絶句スル物質」----------藤井健仁の彫刻とともに
11月4日(日)16:00 京都場アートギャラリー
Sakurai Ikuya Dance performance in Kyoto
”Howl, Blood, Substance” for Sculpture by Fujii Takehito
4th Nov, Sunday.2018 at "KYOTO-BA" art gallery Kyoto

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photo 10/18

2018-10-18 | 日々のこと(daily)




写真photo




日々のこと

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断片:ひとつの絵(藤島武二の、マーク・ロスコの、、、)

2018-10-15 | アート・音楽・その他
観音崎のそばにある横須賀美術館に寄った。
少し前に載せた海の写真も、そのまた数日前の夕景の写真も、そこでとった。
これほど海に接近した美術館は少ないかもしれない。
海を見て、美術を見て、また海を見て、という時を過ごすことができる。

だけど、ひとつの絵を見つめていると、海のことなど忘れてしまうときもある。
海よりも広い何かを、ときに美術はこの世につくる。

藤島武二の「夢想」という絵も、僕にとってはそのようなひとつで、この館が所蔵している。
あまりにも有名な絵だけれど、実物をみるのははじめてだった。
ここに来た目当ては企画展だったのに、この一点で、何かが変わってしまった。

企画展は素晴らしく、現代美術の軌跡をあらためて堪能できた。
何よりもイヴ・クラインの作品に再会することができたし、ダリにもあらためて舌を巻いた。
風倉匠がピアノを叩き壊すパフォーマンス映像も見ることができた。
この続々と展示される巨大な作品の次々にはなつエネルギーがつよくつよくて、
それらから押し寄せる過剰な体験が心をかき乱していた。
めまいと言うか、ある種のカタルシスのようなものもあった。

そして、マーク・ロスコを見つめた。
誰かにさらわれてしまうような感覚とも言えるだろうか。
地鳴りよりも低い、もはや音にならぬほど低い音が、ロスコの絵の中にはあると思う。
なにかが皮膚を震わせてくるような感覚をおぼえたりもする。
絵の前にいて、ふと、この世ではない遠いところに落下しそうな気分になる。
くらくらとしながら、しかし見惚れて棒立ちしていた。
そのとき、見つめているのに見つめられている、という奇妙な、しかし満たされてゆくような感慨を覚えた。

ロスコの絵が見られるときくたび、見に行っていたが、そのたびに体験がちがっている。
ひとつの絵は不動なのだから、わたくし、というものが変化してゆくのを、この人の絵は反射してくるのだろうか。
見つめているのに見つめられている、、、。
そのような、はたらき、というのだろうか、のなかにあって、呼吸や心音までもが意識されてゆくようでもあった。
ひとつの作品の前にいるその時間が、もしかしたら二度とないのでは、と、大切に思えた。

しばらくぼんやりと休んで、所蔵展のエリアに足をはこんだとき、
こんどは藤島武二の絵に、思いがけない強烈さで、眼を奪われた。
突然そこだけが静寂な一点があって、なんだこれは、と思った。
それは、画集や美術本では馴染みに馴染んだ絵なのに、実物はまるで別のものだったのだ。
絵はやはり物質として自立しているものなのだろう。
初めてこの絵を感じ得たと言ったほうが正確かもしれない。
女性の顔を描いているのだけれど、異様な吸引力を感じるのはなぜか。
女性の顔というモチーフを描きながら、その像をつらぬき破ってしまうような、それの背後を、あるいは、何かまだ形にならぬ未出現の存在を、画家は描いてしまったのだろうか。
もしかすると、空も海も無い広大な場所が、にんげんの中には広がってあるのではないか、
と僕は思っているのだけれど、この絵はそのような妄想にもさわるのだった。


写真は同館配布の印刷物より。


観たもの、聴いたもの

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photo 10/12

2018-10-12 | 日々のこと(daily)




写真photo




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折田克子さんに、、、

2018-10-11 | 日々のこと(daily)
つらい気持でいる。折田克子さんが亡くなられたことを知った。

そこにある曲、好きなのやっていいから、、、と言われてアルカンを踊ったら、ああ、まあ、そこにお座りなさいよと、お話をしてくださって、のめりこんだ。それがはじめだった。何とも言えない魅力を感じていた。つまり、その声や、煙草の持ち方や、すべてが、、、。

そのときずうずうしくもお借りしたドラを伴奏にして踊ったのは前橋の臨光閣で、マルセル・デュシャンをお題にしたものだった。階段を下りる裸婦にはじまり機関銃で撃たれる花嫁で終わるという風景から独舞をおこした。

それから少しして、舞台に出ないかと舞踊団から電話をいただいた。「アリスの長い午后」という作品で、チュシャ猫を踊らせていただいたのだった。迷い、師匠に相談して決めた。当時、まだ自分の足が信じられていなかった。教わるような気持で、哲学堂のお稽古場に通い、振付をいただいた。

わずかな期間だったけれど、その日々のなかで、僕は何回もドキドキした。しんとした稽古場にすこし座って、なにかしらのお話をきいて、すこしでも踊るともう声をくださる。必ず何か熱いものが始まるのだった。一瞬一瞬のリアクションに、そして、返されてくる言葉に、ワクワクした。身をさらけだすことの大切さを、また、振りというものを身に受ける喜びを、僕は折田さんから教わったのだと思う。

埼玉芸術劇場での本番はほんとうに大変だったが、とても美しい光景だった。
毛利臣男さんが設計された舞台美術は非常にクールで、最後にはハレーションを起こすほどまぶしい光に照らされた舞台に大量のガラス粉が降り注ぎ、やがて砂煙となるそのなかで、全てのダンサーが踊り行き交う。迷宮を迷う身体が熱を帯び、折田さんは素晴らしく制御されたステップをしかし華やかに踏んだ。そばにいて、見惚れた。

ある日、ぽつりと折田さんに言われた言葉があって、僕はそれをずっと忘れられないで、今もいる。こないだ、『白鳥』のときにも思い出していた。支えられていた。

何年もお会いしなかったある日、地下鉄の中で偶然お会い出来たことがあったが、まるで女子高生みたいにはしゃいで下さって、でも、それが、直接お会いした最後になってしまった。

悲しくなってしまう。ああ、、、。

(5日、80歳、心より感謝を)

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photo 10/10

2018-10-10 | 日々のこと(daily)


yokosuka


日々のこと

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photo 10/04

2018-10-04 | 日々のこと(daily)




台風のあとに、、、


























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公演パンフ『白鳥』(櫻井郁也ダンスソロ2018秋)

2018-10-03 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)










このたびの公演『白鳥』のパンフより。


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