バタバタするうち、もう一週間以上経ってしまったが、長く関わっているダンス学校で3年ぶりに有観客の卒業公演(渋谷公会堂)が実現され、舞踊監修と演出面でお手伝いをさせていただいた。
僕自身の運営する稽古はどのクラスも少人数で個と個の関わりから生まれる踊りを目指しているが、この学校では100人単位の指導や演出を担当してきた。対照的ながら、積み重ねてきた指導経験の相互作用はあると思う。
公演では、コンテンポラリーダンスはもちろん、ストリート、ジャズ、クラシックバレエ、ほぼ全領域にまたがる演目で16歳から20歳が踊ったが、相当なエネルギーが発散され、胸を突かれた。
こないだ書いた土方さんのことを何回か話してもいた。危機に立つ身体という言葉があったが、このごろ、若い身体に、それを連想させられることが時々ある。踊りの奥に、何か剃刀のようなものがある人に、時々出会う。
最も多感な時期に震災を見てパンデミックのなかで成人を迎えてゆく世代。がんばる、ちゃんとする、そんな言葉をよく口にする。いろんな面で複雑な心情を背負っている気配を普段から感じてきたが、彼らの表現にとってそれは決してマイナスではないことを見せられた。初めてナマの観客に囲まれ、緊張し、集中し、目前の人と対峙する姿が、実に必死かつ粛々としていた。
僕個人のソロ公演は、様々なご協力や縁があって2001年夏に再開することができた。しかし、こちらの学校公演では、かなり多数の出演者とスタッフが関わるので、無観客公演が続き、公演以前の稽古運営もなかなか大変だった。この状況でこそ得られた学びもあったが、状況が長く過酷は否めなかった。
久々の正常開催で、人が人前で踊ること行為すること交感することの重要さを、人が人と同じ時と空間を共にし向き合うことの重大さを、たしかめた。
コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー
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