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インフルエンザウイルス「ATP合成酵素」の「F1β」を利用(120305)

2012-03-06 13:21:33 | SCIENCE
インフル増殖招くヒトたんぱく特定…東大医科研
読売新聞 3月6日(火)9時22分配信

 インフルエンザウイルスが人間の体内で増殖する際の鍵となるたんぱく質を、東京大学医科学研究所が初めて突き止めた。

 新たな治療薬の開発につながる成果で、米科学アカデミー紀要電子版に6日掲載された。

 インフルエンザウイルスは、人間の細胞に侵入すると、細胞側の様々なたんぱく質と結びつくが、増殖の際に、どのたんぱく質を利用するかは不明だった。

 医科研の河岡義裕教授、五来武郎さんらは、細胞のたんぱく質のうち、エネルギー生産を担う「ATP合成酵素」を構成する「F1β」に着目。F1βの量を減らす操作をしたところ、細胞から出てくるウイルスが減るのを確認した。

 ATP合成酵素は、細胞内のミトコンドリアに多くあるが、ウイルスは、細胞膜に含まれるF1βを利用していた。また、このメカニズムはA型、B型インフルエンザに共通だった。 .最終更新:3月6日(火)9時22分




<インフル増殖たんぱく質>ヒト細胞で特定 全型対応に道
毎日新聞 3月6日(火)12時27分配信

 インフルエンザウイルスが増殖する際に重要な役割を果たすたんぱく質を、東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)のチームがヒトの細胞で発見した。ウイルスの型によらず有効で薬剤耐性ができにくい抗ウイルス薬の開発につながる可能性があるという。5日付の米国科学アカデミー紀要に発表した。

 インフルエンザウイルスは自身では増殖できないため、宿主(ヒトなど)の細胞に侵入して増殖し、他の細胞に広がる。

 河岡教授と同研究所の大学院生、五来武郎(ごらい・たけお)さんらは、感染したヒトの細胞を詳しく調べ、細胞表面にある「F1ベータ」と呼ばれるたんぱく質に着目。この量を減らすと、細胞から出てくるウイルスの量が減った。F1ベータを含むたんぱく質の複合体が、増殖したウイルスを細胞外に放出する手助けをしていると見ている。B型や、09年に大流行した新型(H1N1)など、どの型のウイルスでもF1ベータが増殖に重要な役割を担うことも確かめた。

 こうしたたんぱく質の存在は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などでは特定されているが、インフルエンザウイルスで特定したのは世界で初めて。

 「タミフル」などの治療薬は、ウイルス表面のたんぱく質の働きを抑えるが、ウイルスが変異すると効きにくくなることが問題だった。河岡教授は「ヒトの細胞にあるたんぱく質を標的にすることで、より有効な治療薬の開発が期待できる」と話す。【久野華代】

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