シナモンCANDY

お花畑なポンポン日記

出産レポ7 母子対面

2016-04-28 20:38:01 | 出産
《出産レポ☆その7》


分娩室に呼ばれた夫は、とても驚いた表情だった。
「もう産まれちゃったの!?」
「はい、通常の1/5の早さくらいでしたよ」

赤ちゃんは、あれよあれよという間に産後の処理をされていった。
臍の緒の処置、産湯、体重測定、血液検査、k2シロップ投与、産着を着せられる。

産着を着せられている様子は、分娩台の上からモニターで確認出来た。

「嗚呼、可愛いお帽子を被せて貰ったね……」

綺麗にして貰ったわが子。

重さは2866g
時間は、私は勝手に16時7分だと思ってしまったのだけれど、実際は16時3分だったらしい。

私はお裾の処置を受け、骨盤をギュッと締められた。
そして、産後2時間は分娩台の上で安静にしているという説明を受けた。
そんなに動けんのかぁ。
なんて思っていると、赤ちゃんが傍に連れて来られる。

ああ、初めまして。
ママだよ。
ずっと会いたかった。
やっと会えたね。
頑張ったねぇ。
偉かったねぇ。




帽子には、少しだけ血液が付着していた。

産道を通る際に折りたたまれたボコボコの頭蓋骨は、柔らかい髪の毛に覆われている。

小さな小さな身体で、一生懸命産まれてきたんだね。
私のところに来てくれて、本当にありがとう。

出産レポ6 誕生

2016-04-28 20:37:27 | 出産
《出産レポ☆その6》


頑張れ頑張れで、何度かいきむ。

身体を反らせないで。
自分のお腹に向かって息を吐いて。

何度か注意を受けた。

赤ちゃんがお腹にいる時、赤ちゃんは身体を反らせた状態になってるって言われたな。
それと同じかも。
似てるかな(笑)
親子だなぁ。

そんな事を考えながら、必死に呼吸といきみを繰り返す。


やがて、ゆっくりと温かい塊が膣から出てくる。

産声。
思ったよりか細くて、まるで女の子の声みたいだ。

「無事に産まれましたよ!」

首を上げて声の方に顔を向けると、まだ臍の緒が繋がった真っ白な赤ん坊がいた。
白ちゃんだ!
と思ってしまった。
しかし、赤ちゃんは脂肪に包まれて産まれて来るんだみたいな話を思い出し、その白いのは脂肪だと認識。
妊娠中にいっぱい食べたカレーとか塩パンの脂だと思うと複雑だった。

痛みが引き、冷静さを取り戻していく。

「元気な男の子ですよ」
笑顔の助産師さん。

「ありがとうございます。騒いじゃってすみません」
ヘロヘロながらも御礼を言う。

すぐに後産が始まった。
ちょっと痛いけど、すぐに終わった。
胎盤を見せて貰う。
白い臍の緒がダラリとついたベレー帽くらいの大きさの血の塊だった。

「立派な胎盤ですね~!」
先生が笑顔で言う。

この胎盤は、製薬会社に寄付されて薬の原料になるらしい。
臨月に入った時、その誓約書にもサインした。
別に後腐れはない。

そのまま会陰縫合。
ちょっと太股を見ると、イソジンが塗りたくられて黄色く染まっていた。

出産レポ5 絶叫

2016-04-28 20:36:06 | 出産
《出産レポ☆その5》


やがて猫のポーズでいるのも疲れて来たので、看護師さんに休ませて欲しいと懇願する。

駄目と言われても、側臥位になって倒れ込んだ。

仰臥位になり、再度陣痛と戦う。
すると、看護師さんが夫の立ち会いについて聞いてきた。
傍にいた方がいいのか否か。

手すりをガンガン動かして暴れている自分を想像する。
例えば夫に手を握って貰った所で、腕を捻りあげて攻撃してしまうのがオチだ。
心配ばかりさせるのも良くない。
そう判断し、私は迷わず外で待っていてくれと頼んだ。

夫は、トボトボと分娩室から出ていった。

その内に、赤ちゃんの頭の気配が下半身から伝わってきた。
これが子宮口が完全に開いたという事なのか?
段々いきみたくなってきたので、私は思わず訊いた。

「うーっ! うーっ! いきんでも大丈夫ですかぁっ!?」

いいよ、と言う声を聞く。

息を吐きながら、少しずついきむ。
とはいえ、そんなスルッといくわけもなく。

痛みが引く瞬間を狙って、少しずついきむ。

少しすると、いつの間にか会陰切開の流れになっているのに気付いた。
麻酔を打たれ、パチンとやられた。
痛みは無かった。

少しずつ頭が出てくるのが分かる。
もう少し、もう少し。

しかし、やがて我慢の限界に。

これまで呼吸を整えるのに必死になっていたが、耐えられなくなってしまった。

力一杯
「ああああああ! 痛いよぉーっ!」
と天井に向かって叫んだ。

大きなエネルギーを放出し、自身の醜態を反省した所で、再び呼吸を整える。

もう少しだ。
頑張るんだ。

出産レポ4 呼吸と猫のポーズ

2016-04-28 20:35:46 | 出産
《出産レポ☆その4》


徐々に強くなる陣痛。
看護師さんに
「深呼吸して! 鼻から吸って、口から吐く。ゆっくりゆっくり、力を抜いて!」

鼻から息を吸い、ウーッ!とゆっくり吐くのが良いらしい。
5秒くらいかけて息を吐くんだっけか。

痛みで呼吸が浅くなると、過呼吸になってしまうらしい。
そうすると赤ちゃんに酸素がいかなくなるので、ゆっくり力を抜いて呼吸するのが望ましい。

……と、簡単に言うけれど、痛みで息が詰まりそうなのにそんな余裕はない。

しかし、出産は母体より胎児の方が何倍も痛みがあり苦しいと聞く。
それを自分に言い聞かせて、呼吸に注意する。

吸って、「うーっ!」
半分唸りながら息を吐き続けた。

とはいえ、陣痛なので痛みが来たり引いたりの繰り返し。
痛みが引いた時は天国みたいな気持ちになり、そのまま脱力して閉眼し休んだ。

何回も押し寄せる陣痛。

呼吸を繰り返すことによって、子宮口がどんどん開いていくという。
10cm開けばいきんで良いと言うが、これがまた遠い遠い。

「うーっ! 頑張れ、頑張れ!」

いつしか自分を励ましていた。

その内に、赤ちゃんの向きが反対だと言われた。
逆子とかそういうのではなく、旋回異常とでもいうのか。
出てくるのに顔の向きがあって、それが逆になっているらしい。

それを修正する為、四つん這いになるように指示を受けた。

痛みに耐えながら体勢を変える。
そのうちに、腰を左右に振れと言う指示が来た。

家で時々やっていた、ヨガの猫のポーズっぽい。
やはりその体勢は安産の体勢なんだな。
産前は元より、産中も有効とは。

必死に腰を振る。
痛みで絶叫し、分娩台で大騒ぎ。
呼吸を意識しつつ、痛いと叫んだりした。

出産レポ3 腸を空っぽにしておく

2016-04-28 20:34:34 | 出産
《出産レポ☆その3》


朝からお通じの気配があったにも関わらず、無理に出すのが怖くてそのまましていた。
看護師さんにお通じの話をされて、私は浣腸を強く希望した。

母は、私の時も妹の時も産前に浣腸をしたと話していた。
出産時に排便をするのは決して珍しくはないが、出来れば出せる内に出しておくべきだ。

人生初めての浣腸。
浣腸自体は痛くも何ともない。
ただ、陣痛が来ているので休み休み、トイレで唸りながらの腸内洗浄になった。

いつも外で洋式トイレを使う時は空気イス状態になるが、そんな余裕は一切無かった。

洗浄綿で陰部を消毒して、再度分娩台へ。

これで一安心( ´ー`)
と、思う間もなく、痛みがどんどん強くなって行った。
陣痛が来ている時は本当に痛くて、近くの手すりを握ったり動かしたりして暴れていた。

心配そうに夫が見ていたが、手を握ってもらったりする余裕なんか無かった。
私が暴れて、最悪の場合は夫を傷付けてしまうかもしれない。

「大丈夫だよ」
そう言うのが精一杯だった。

向こうのソファーで、女神転生でもして待っていてくれ。
そういう気持ちでいっぱいだった。