ロートル技術屋の日記

3Dプリンターのメンテナンス 温度制御の調整

中古の3DプリンターTRONXY XY2 Proを購入してから約1年になりました。
いろいろ修理や改造をしながら使っています。

最近、製作した物の表面が汚くなるようになりました。

3D-CADのデータを3Dプリンターのデータに変換するソフト、スライサーの設定をいろいろ変えてみましたが綺麗になりませんでした。
3Dプリンターの方を見ていると素材を加熱しているノズルの温度がふらふら変化していました。

ネットで検索して、こちらのSignal Flag "Z"さんの記事を参考に温度制御の調整をしてみました。



温度制御は高専の卒業研究のテーマだったので馴染みがあります。
自動制御には古典的な制御方式としてPID制御が良く使われます。
これは温度制御の場合では目標とする温度と実際の温度との差⊿Tに係数を掛けて出力する比例制御(Proportional control)、⊿Tを積分(時間とともに加算)して出力する積分制御(Integral control)、⊿Tの時間変化を出力する微分制御(Differential control)を組み合わせたもので頭文字をとってPID制御と呼ばれています。
比例制御だけでは目標とする温度に達しないことが理論的にわかっており(オフセットと呼ばれる誤差が生ずる)、少なくとも比例制御と積分制御を組み合わせたPI制御が必要で、これに微分制御を組み合わせることで目標とする温度に早く落ち着かせることが出来ます。
現代制御理論では実際の温度の変化を予測しながら制御するフィード・フォワード制御などがありますが、調整が難しいので今でも古典的なPID制御が使われる場合が多いです。
最近、流行りのAIの元になっている機械学習を導入することで温度制御も進化してボタンを押すだけで最適に調整してくれるようになるかもしれません。

仕事でも時々、温度制御が必要になることがあるのでPID制御の調整は難しく無いつもりでした。
しかし、実際にやってみるとなかなかうまく行きません。
目的にもよりますが、私は温度が振動せず、目標値を超えずに落ち着いてくれるオーバーシュート無しに調整するのが好みです。
そうなるように調整してみましたが目標値を超えるオーバーシュートはほとんどなしに出来たのですが、どうしても振動しながら変化する状態から変えられませんでした。

結局、3Dプリンターの自動調整機能で出てきた値をSignal Flag "Z"さんが公開されている上記の「PID Tuned G-CODE Generator」に入力して出てきた下から2段目の「Some Overshoot 」の値に近いものになりました。

調整している時の温度変化の仕方を見ていると温度が上がる時は変化が遅く、下がる時は変化が早くなっていました。
これは制御する上ではよくない状況です。
それは上がる時と下がる時で最適な制御の設定が異なってくるからです。
上がる時も下がる時も同じような変化をしていれば同じ設定で制御できるので正確かつ安定な制御が可能になります。
温度が上がるのが遅く下がるのが早いということは温まるのが遅く、冷えるのが早いということです。
ということは冷えにくくすれば良い訳です。
3Dプリンターのノズル周りはホットエンドと呼ばれるヒーターとノズル、温度センサーが付いたアルミのブロックとホットエンドから上に熱を伝えないようにするヒートブレークで構成されています。
ヒートブレイク(Heatbreak:熱遮断)は内部の素材(フィラメント)がホットエンドまで行く間に溶けないようにホットエンドの熱を遮断する部分でファンで風を当てて冷却するようになっています。
私の使っている3Dプリンターではヒートブレイクを冷却するファンの風がホットエンドにも当たるようになっていました。
このファンの風を当てないようにすれば冷え方が減るだろうと考えて風よけを3Dプリンターで作りました。
取付て調整してみましたが、少し良くなったものの期待していたほどは改善されませんでした。
ホットエンドに掛けるシリコンゴムのカバーもあるようなので手に入れて試してみたいと思います。

その後、いろいろ調べているうちに温度とは全く関係のない別の問題が見つかりました。
その話は別の記事で紹介します。

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