エッセー

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庭の雑草雑記

2023-07-01 14:22:47 | 読書

  庭か、ブッシュか、はたまたバックヤードか、庭木も花もてんでんばらばら。
我が家の裏は、今、花と雑草が自由を競い春を謳歌している。
                         
   今年はなぜかディジーが増えて、あちこちで繁殖し、ちょっとした花畑の観があった。一方、雑草の王様といわれるスギナもずいぶん増えた。何日も掛けてようやく取り終えた、やれやれだ。スギナは取るのを怠けるとそれをあざけるようにすぐ増える。雑草の王様というよりギャングと言った方ががふさわしい。                                                  驚いたことにスギナの地下茎は地下1メートルの深さでも伸びているという。根本的に退治するのは無理なようだ。可愛いツクシンボはごく僅かで、スギナがほとんどなのも、からかわれているような気がする。

▼「セイダカアワダチソウ」盛衰の話
   最近 稲垣栄洋著「面白すぎて時間を忘れる雑草の不思議」を読んだ。時間を忘れるほどではなかったが確かに面白かった。        なかでも次のような記述にには驚いた。「そもそもあらゆる植物は根から化学物質を滲出している。それは、まわりの植物を攻撃するためだったり、病原菌や害虫から身を守るためだったりする。」という。                                                      実例として外来雑草「セイダカアワダチソウ」盛衰の話が書かれている。
  戦後アメリカから入ってきた「セイダカアワダチソウ」はまたたく間に日本中に広まり、黄色一色で秋の野原を埋め尽くした。「セイダカアワダチソウ」は、根から毒性のある物質を分泌してまわりの植物を駆逐してしまったのだという。   

  到るところにはびこった黄色一色のアメリカ原産「セイダカアワダチソウ」の群落。非占領下の日本人の中には複雑な思いで見ていた人もいると思う。

 ところが大群落を形成していた「セイダカアワダチソウ」が、今ではすっかり衰退してしまっている。原因は「自家中毒」だという。まわりの攻撃相手が消滅してしまったため今度は自らの毒で自らを傷つけてしまったのだ。

  なんだか栄枯盛衰の平家物語に似ているようで、ちょっとシュンとする。
  樹木や草が光合成のために光を求めて競い合う地上の様相はいつも目にしているわけだが、地中でも毒を出し合って戦っているとは知らなかった。 

                   
  雑草のように強く生きる、は小説やエッセーでよく使われる常套句だが、雑草の生きる世界は、ボケ老人の意識をはるかに超える厳しい世界のようだ。
                                                                                   (2023/07/01)