HDRの解釈
いただいたコメントの回答ですが、独立して記事にもしてみました。
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●HDR
High Dynamic Range(ハイ・ダイナミック・レンジ)の略で、
デジタルで言うダイナミックレンジは、フィルムで言うとラチュード。
1枚の写真に白飛び・黒つぶれなしに、どれだけ階調豊かに画像表現できるか
かな。
フィルムのラチュードはとても広く、デジタルも同等になりつつありますが
双方ともにやはり限度があります。
●人間の記憶はHDR
ところで、人間の記憶というのは素晴らしいもので、
「陽春の明るい日差しの下」
「薄暗い日本家屋の座敷から」
「春めいてきた庭を眺めています」
あちこちに目を向けると
「青空に雲がぽっかり浮かんでいて」
「軒下を見ると木組みの直線がとても日本的で」
「庭石に反射する日差しが春を感じさせて」
「石組みの陰には大きな錦鯉が居る」
後日思い返してみると、あのときの記憶は上記の通りで
それを絵にしようとしたら、それぞれを記憶の通り鮮明に描くでしょう。
でも、1枚の写真におさめるのは至難の業です。
「ぽっかり浮かぶ雲に露出を合わせると、軒下は真っ黒になります」
「石組の陰の錦鯉に合わせると、庭石は白磁のように真っ白にぶっ飛びます」
で、対策はというと、
「曇った日の昼間など明暗の少ない眠くなるような日を選ぶ」か
「リフレクタやストロボなど補助光を多用」します。
前者は天候に左右され、かつつまらない作品になり、
後者は大掛かりになり、アシスタントまで必要になります。
●HDRなら
そもそも「青空の雲」「軒下の木組み」「庭石の反射」「陰にいる錦鯉」
それぞれ明るさに大きな違いがあるのだから、
1枚のフィルムに収めるのは無理なんです。
じゃあ、おんなじ構図でそれぞれが適正露出になるように何枚も撮って、
適正露出のところを集めれば全部が適正露出じゃない!
ということです。
●じゃあ、どうやって
具体的には、まったく同じ構図で、同じ絞りで、シャッタースピードを変えて
「適正露出」「2絞りオーバー」「2絞りアンダー」の3枚を撮ります。
デジイチでもコンデジでもAEB機能があれば、露出を違えて連写で撮れます。
これを、ソフトウェアでおいしいとこ取りします。
僕が使っているのはPhotomatixPro3.0jで、
15,000円以下で購入でき、Mac/Win対応です。
これで各パラメーターを調整してやると
「一見普通の写真。でも、あれ、普通こんなの撮れないぞ」にも、
「アメリカンポップアート」的な絵画的仕上がりにもなります。
●意外とハードルは低い
パラメーター調整は難しそうに思いますが、始めてみると7合目くらいまでは
一気に登れます。
あとは、自分の納得のいく仕上がりにどれだけ追い込む気があるかですね。
●賛否両論
HDRは、絵画的作品が多く、あれは写真じゃないとの評価もあります。
しかし、リアルか絵画的かはクリエーターの思いの出るところであり
正解はありません。
僕は、HDRは撮影手法の単なるひとつと考えています。
HDRが使えるようになっておけば、
上記のような「ダイナミックレンジを大幅に超える条件」に遭遇したときに
サクッとそれで対応してやればよいのです。
そしてそれは、HDRの独壇場であり、ほかの対策は現実的でないでしょう。
●常用性の魔力
皆さんやり始めると、その圧倒的な表現力に魅了されて、
「こいつでしか撮れなくなるのでは」と不安にもなるでしょう。
それほどその実力は高く、ハードルは低いんです。
でも、向いていない被写体、向いていない撮り方もあるので、
「アメリカンポップアート」を目指す人以外は、心配はないと思います。
以上、私見を多々交えて、ご案内したつもりですが、いかがでしょう。 ^ ^
もしご興味があれば、
早めにある程度使えるようになっておくことをお勧めします。
それは 誰でも、
「うわぁ~、こんなときHDRが使えたら!」
と痛感する場面が必ず来るからです。
いただいたコメントの回答ですが、独立して記事にもしてみました。
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●HDR
High Dynamic Range(ハイ・ダイナミック・レンジ)の略で、
デジタルで言うダイナミックレンジは、フィルムで言うとラチュード。
1枚の写真に白飛び・黒つぶれなしに、どれだけ階調豊かに画像表現できるか
かな。
フィルムのラチュードはとても広く、デジタルも同等になりつつありますが
双方ともにやはり限度があります。
●人間の記憶はHDR
ところで、人間の記憶というのは素晴らしいもので、
「陽春の明るい日差しの下」
「薄暗い日本家屋の座敷から」
「春めいてきた庭を眺めています」
あちこちに目を向けると
「青空に雲がぽっかり浮かんでいて」
「軒下を見ると木組みの直線がとても日本的で」
「庭石に反射する日差しが春を感じさせて」
「石組みの陰には大きな錦鯉が居る」
後日思い返してみると、あのときの記憶は上記の通りで
それを絵にしようとしたら、それぞれを記憶の通り鮮明に描くでしょう。
でも、1枚の写真におさめるのは至難の業です。
「ぽっかり浮かぶ雲に露出を合わせると、軒下は真っ黒になります」
「石組の陰の錦鯉に合わせると、庭石は白磁のように真っ白にぶっ飛びます」
で、対策はというと、
「曇った日の昼間など明暗の少ない眠くなるような日を選ぶ」か
「リフレクタやストロボなど補助光を多用」します。
前者は天候に左右され、かつつまらない作品になり、
後者は大掛かりになり、アシスタントまで必要になります。
●HDRなら
そもそも「青空の雲」「軒下の木組み」「庭石の反射」「陰にいる錦鯉」
それぞれ明るさに大きな違いがあるのだから、
1枚のフィルムに収めるのは無理なんです。
じゃあ、おんなじ構図でそれぞれが適正露出になるように何枚も撮って、
適正露出のところを集めれば全部が適正露出じゃない!
ということです。
●じゃあ、どうやって
具体的には、まったく同じ構図で、同じ絞りで、シャッタースピードを変えて
「適正露出」「2絞りオーバー」「2絞りアンダー」の3枚を撮ります。
デジイチでもコンデジでもAEB機能があれば、露出を違えて連写で撮れます。
これを、ソフトウェアでおいしいとこ取りします。
僕が使っているのはPhotomatixPro3.0jで、
15,000円以下で購入でき、Mac/Win対応です。
これで各パラメーターを調整してやると
「一見普通の写真。でも、あれ、普通こんなの撮れないぞ」にも、
「アメリカンポップアート」的な絵画的仕上がりにもなります。
●意外とハードルは低い
パラメーター調整は難しそうに思いますが、始めてみると7合目くらいまでは
一気に登れます。
あとは、自分の納得のいく仕上がりにどれだけ追い込む気があるかですね。
●賛否両論
HDRは、絵画的作品が多く、あれは写真じゃないとの評価もあります。
しかし、リアルか絵画的かはクリエーターの思いの出るところであり
正解はありません。
僕は、HDRは撮影手法の単なるひとつと考えています。
HDRが使えるようになっておけば、
上記のような「ダイナミックレンジを大幅に超える条件」に遭遇したときに
サクッとそれで対応してやればよいのです。
そしてそれは、HDRの独壇場であり、ほかの対策は現実的でないでしょう。
●常用性の魔力
皆さんやり始めると、その圧倒的な表現力に魅了されて、
「こいつでしか撮れなくなるのでは」と不安にもなるでしょう。
それほどその実力は高く、ハードルは低いんです。
でも、向いていない被写体、向いていない撮り方もあるので、
「アメリカンポップアート」を目指す人以外は、心配はないと思います。
以上、私見を多々交えて、ご案内したつもりですが、いかがでしょう。 ^ ^
もしご興味があれば、
早めにある程度使えるようになっておくことをお勧めします。
それは 誰でも、
「うわぁ~、こんなときHDRが使えたら!」
と痛感する場面が必ず来るからです。
またまた 質問でスミマセン。。。(^^;
PhotomatixPro3.0jは、編集用ソフトとしても使えるのですか?
それとも、編集ソフトを併用して使う物なのでしょうかぁ?
今の編集ソフトは、空の色まで変える事が出来るようですが、編集ソフトで編集してからHDRのソフトで合成をするのですか???
私の写真は、設定があってないからだと思うんですけど、なんだか 1枚膜が貼ってあるような写真になってしまうんです。。。
まずは、ちゃんと写真が撮れるようになってから編集ソフトを買おうと思ってるんですけど。。。(私のPCで、全体的に明るくしたり、暗くしたり、コントラストを強くしたり、チョットした編集は出来るんですけど)
HDRの写真にするには、ちゃんとした設定で綺麗に写真を撮らないと、綺麗なHDRの写真にも出来ないって事ですよねぇ。。。
同じ構図で、同じ絞りで、シャッタースピードを変えて「適正露出」「2絞りオーバー」「2絞りアンダー」の3枚を撮るっていうのは、絞りとISOと露出補正はすべて同じで、シャッタースピードだけ替えるって事でしょうか???
シャッタースピードだけを替えて、明るい写真と暗い写真を撮って合成するって事ですかぁ?
ホントに写真って奥が深くて、難しいけど、その分飽きないです!
きっと簡単に綺麗な写真が撮れてしまったら、すぐ飽きちゃいますよねぇ(^^
Brisana
私見多々アリとしてのお返事で、恐縮です。 ^ ^
●編集ソフトか?
Photomatixは、色合いを変える、トリミングする、ボカす、エッジを立てる
といった、Photoshopを代表するような「レタッチソフト」ではないです。
当然、レイヤや、文字入力機能もありません。
また、「DPP」や「LightRoom」のような「現像ソフト」でもありません。
「LightRoom」のような、「データベースソフト」機能もありません。
あくまでもHDR作成に特化しています。
逆に言うと、HDRを仕上るのに、他のソフトの力を借りる必要はありません。
●基本は適正露出
やっぱり、基本は押さえてからでしょうね。 (自分で言ってドキ! ^ ^ )
いわゆる「ねむたい写真」は、設定ではなく撮り方の問題も検討されては。
それと、
せっかく適正露出で撮れていても、出力装置(パソコンのモニターや、プリンタ)の
色合いなどの調整が違っていると、基本が判らなくなって台無しです。
色補正などが可能であれば、一番最初に取り組むべきはそこです。
環境光(窓からの明かり、照明)などでも違って見えます。
合っているかどうかは、ほかの人のPCとの比較でもチェックできます。
もし補正しきれないようであれば、癖を把握・考慮して作品作りをしましょう。
●「露出を違えて3枚」とは
露出調整要素の「ISO感度」「絞り」「シャッタースピード」のうちの
ひとつを変えて撮るということです。
ただし、
「ISO感度」を変えると、コマごとに「画質」が違ってしまう。
「絞り」を変えると、コマごとに「被写界深度」が違ってしまう。
このために、「シャッタースピード」を変えるのが推奨されているようです。
「シャッタースピード」にしても、「ブレ、動き」が違ってしまうのですが、
基本的にHDRは「静物をパンフォーカスで撮る」ので、影響は一番小さいですね。
シャッタースピードが±2EV分変わるということは、かなりのスローシャッター
になるケースも多々ありますので、なおのこと三脚使用が求められています。
以前、リクエストにお応えして「HDR現像前のコマ」を載せたことがありますので
下記を参考になさってください。
多分見ていただいたほうが早いと思います。 ^ ^
「路地裏探検隊2 金沢五社めぐり withHDR 2/3」
http://blog.goo.ne.jp/club_uribouz/e/064b25602dc6d2dc3187b0eb469c9e5d
なかなか飽きさせてくれませんねぇ、こいつは。 ^ ^
まだまだ試したいことがいっぱいある中
突如あらわれたHDR...
先にこっちを試してみたいとおもいます
雑誌とかで見たのですが
Photomatixはどうやらもっと安く手に入るみたいですね
私の場合は、まず基本の適正露出が出来るようになってからなので、まずはカメラの基本から もっと勉強しないとです!
早く、私もUribouzサンのような写真が撮れるようになりたいです(^^
採用する是非と時期は別にしても、
その存在と原理は早期に知っておいたほうがいいです。
知っていれば、
一般撮影でも露出の概念が明確になります。
フレデリカさんのサイトを見せていただいていると、
すっごいきれいな夕日の作品とかあったじゃないですか、
あれなんか、近景に岩場や、やしの木、サーフボードなど(ベタ?)
を入れてHDRで仕上れば、
「強烈な夕日をダイナミックに入れて、それでも近景のシルエットは
しっかりディティールが残っている」
といった、映画のような作品ができそうな気がします。
それと、「こんなの撮れないや」と最初から対象外になっていた
「ほんとはおいしいシチュエーション」が見えてきますよ。
掘れば掘るほど興味が湧いてくる。
写真って不思議な井戸のようですね。
新しい発見があったら情報共有よろしくお願いします。