やっと出版されました。
早速購入し、ざっと一読した印象は、
○原作も、Kana 版 も読んでコンテクストを理解した上でつくられている。
(しかし、Kana 版が主要な参考文献には上げられていない。権利の問題?)
○フランス語の文を覚えて、聖地で唱えるのにはよい。
▲やや見づらく、表記にも揺れがある。
「ベルばら」でフランス語を学ぶ というところのさじ加減が難しいのでしょうね。
訳文・文法解説・蘊蓄・フランス語を理解しやすくしようとする意図で挿入された英文 等が混在していて、読み込まないと、情報が整理しにくいかもしれません。
内容で、これは!と思ったのは、オスカル Oscar の名前の解説。
池田理代子氏がスウェーデン国王の名前から Oscar を選んだのは『ベルばら』ファンの皆さまもご存知かと思います。
Oscar という名は、この本でも書かれているように、キリスト教系の名前ではなく、北欧系の名前です。
加えて、オスカル・フランソワは美しい金髪をしているのですが、フランス人はラテン系なので、実は金髪の方はあまり多くありません。また、オスカル・フランソワは身長178cm とシャラポワ並のプロポーションを誇っていますが、フランス人は、概してあまり身長が高くありません。
そこで筆者が考えていたのが、ジャルジェ家の血筋のどこかに(勿論、『ベルばら』の世界でのことですが。)北欧、もしかしたらスウェーデンの血が入っていたのではないか、ということです。
同じヨーロッパでも、北欧の方は、かなり長身の方が多く、また、金髪の方も非常に多いのです。
フランス貴族といっても、純粋なフランス系の方ばかりというわけではありません。筆者が極プチホームステイさせていただいたボルドー近郊のお宅はお名前に de がついていたので、お聞きしたらやはり貴族の末裔だということでした。
フランス革命とは関係ないところでお屋敷や財産を手放され、今は可愛い田舎のお家(プール付き!)で自然の中で生活されておられます。
このお宅のマダムが、家系のルーツを熱心に調べておられました。それによると、12世紀、スペインからフランスに来て、フランス王家に仕えるようになった軍人貴族のご一家なのだそうです。
このように、外国からフランスに来て、王家に仕えることにより、フランス貴族となった家系も珍しくはないようです。
また、フェルゼン伯が英国の婦人との結婚を考えていたように、外国の方と結婚されることも少なからずあったでしょう。
「オスカル・フランソワは北欧系の血を引いている」
だから
「フェルゼン伯に惹かれた」
のではないだろうか?
というのが筆者の仮説の一つでした。
「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語の51ページに、おそらく解説者の平野氏が書いたこのような文がありました。 (抜粋)
オスカルが北欧起源の名称であることは、ベルばらファンには、とても偶然とは思えないかもしれません。というのも、スウェーデン出身のフェルゼンと最初から出会うべき運命にあった、そういう名前だからです。あなたはどう思われますか?
その通りだと思います。オスカル・フランソワがフェルゼン伯を愛することは、浅からぬ縁があってのことだと思います。史実の足かせがなければ、とてもお似合いでしたのに…
…その恨みが、転生してユリウスとアレクセイに…と、先日 『オル窓』 を読んで、確信したところです。
そういうわけで、平野教授の解説、なかなかナイスな視点です。読み込んでいくと、さらにいろいろ興味深い情報が見つかるかもしれません。
しかし、許せなかったのはコレ!!
→7月13日、ついに衛兵隊にパリ出動命令が下るが、その前夜、オスカルはアンドレを自室へと誘う。
「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語 163ページ
ちょっと勘弁して下さい、“誘う”って何ですか!!
アンドレを部屋に “呼んだ” んですよ!!
“いざなう” ならまだ許せますが、“さそう”という表現は違います!!
ここ、是非とも訂正して下さらないかしら!?
訂正版が出たら、筆者、そちらも購入しますわよ!!
mimiusaと申します。
先日偶然こちらのページを拝見させていただいて、
さっそく、この本を購入しました!
ざっと読んでみましたが、こうなるとKANA版も手にしなくては!
と心が熱くなります。
これからもおじゃまさせていただくつもりです。
どうぞよろしくお願いします。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!m(v_v)m
「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語 結構盛りだくさんで、興味深いですね!
Kana版との読み比べも、きっと楽しいと思いますよ~♪
よかったら、mimiusaさまの「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語 についてのご感想など、お聞かせ下さいませね。
対象が、1~2年くらい勉強していてアニメや漫画で「ベルばら」を楽しんだ世代を対象にしているように思いました。
初級者には、おっしゃる通り整理しずらいでしょうね。
でも、マンネリ化している学習者には向いているかもしれません。
(わたし!?)
コラムを書いている方が、どんな方かは存知あげないのですが、
「ベルばら」への深い愛情と学者らしからぬ視点から書かれているような気がします。普通の参考書にかかれているコラムよりも個性的で楽しく読めました。
「これなら、私も読めるかも!?」と思わせてくれます。
そして、とうとうKana版の1巻を入手してしまいました!
コラムは2人の方が執筆されていますが、巻末の参考文献を見た限りでは、平野教授が描かれた可能性が高いように思います。悪魔学や魔女学の権威でいらっしゃるようです。中世・近世の歴史にお詳しいのでしょう。
Kana版入手されたのですね!
じっくり楽しんで下さいませ~☆
ただ、訂正をお願いできれば、ということが
ひとつ…。
「いざなう」は、漢字に変換すると、
「誘う」となります。
ここではもちろん、「さそう」ではなく、
「いざなう」と読んでいただくつもりで
「誘う」という漢字を使っております。
(どうぞ辞書でご確認ください)
それでは今後とも
どうぞよろしくお願いいたします。
「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語 の本より、たくさんのことを学ばせていただき、本当に感謝しております。
ご指摘の件ですが、僭越ながら、担当者さまのコメントを転記させていただき、記事を立てて、わたくしの考えを書かせていただきたく存じます。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
「誘う」という言葉を巡ってちょっとした波紋が広がっている(大袈裟か?)ようです。実は、私は出版物で「誘う」を「いざなう」と読ませたい時には、原稿段階で「*誘*(ルビ、いざな)う」と記載しています。今回は本書全体を通して漢字にルビをふらない方針に従ったので、このような誤解を与えてしまったようです。ちょっと時期が遅い謝罪となりましたが、ご容赦ください。因みに、私の教えている大学の女子学生に訊いたところ、「ベルバラ」を通読したことのある学生は四分の一程度に留まっています。今の学生の母親の世代以前にターゲットを絞るべきだったのかも知れません(大学の書籍部では二十冊中、半分の十冊ほどが売れ残っておりました。
では、今後とも皆様に宣伝して頂ければありがたく存じます。
T. Hirano
ご丁寧なご説明をいただきまして、大変恐縮しております。
編集方針や約束事など、出版に当たっては、いろいろ配慮しなければいけないことがあるのですね…
私たちにとって大切な物語の中でも最も大切な場面の一つについて、もし誤解される方がおられたらとても悲しい…という思いがあり、生意気にも、やや乱暴な言葉で反論を書かせていただいてしまいました。
こんな一読者の声をお心にかけていただき、とても嬉しく、またありがたく存じます。
先生の大学の学生さんの4分の1の方が「ベルばら」を通読されているとのこと…これだけいろいろなメディアや作品があふれている中では、意外に多いのではないかしら?と感じました。何十年もの時を経ても色あせない作品だと思いますので、これからの新しい世代の方にも愛され続けていくのではないでしょうか。
『「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語』は、私の知る限りでは「文法書なのに、楽しく一気読みできた。」「『ベルばら』の映画は英語なので、いつかフランス語で『ベルばら』の台詞を知りたいと思っていた。この本が出て嬉しい。」など、多くの方が喜んでおられました。
平野先生のご解説も、とても勉強になりました。
できれば、Part2・Part3と、さらに巻が重ねられるとますます嬉しいです。
これからも、細々とフランス語の勉強を続けていきたいと思っております。「『ベルばら』で学ぶ~」のテクストを使わせていただくこともあるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。もちろん、出典は明らかにいたします。
最後になりましたが、平野先生、ご自愛の上、ますますご活躍くださいませ。