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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

中国語圏映画を中心に@香港

2014-08-24 | 中国語圏映画

香港は、とっても暑いです。32度なんですが、日差しのきつさは日本以上。おまけに、いまいる旺角は中国大陸からの旅行者を中心にものすごい人、人、人で、地下鉄の駅などラッシュ時の新宿も負けるぐらい。人当たりしてしまいます。皆さん、中型キャリーケースを持ち歩いて、ブランドショップはもちろん、Watsonsや萬寧でも化粧品&医薬品等の小物をごっそり購入、ものすごいお買い物ぶりですです。みんなおみやげにするのかしら。

でも、以前はマナーの悪さを指摘されたりした中国人旅行者ですが、今回はマナーのいい人たちにも出会い、皆さん旅行慣れしてきたのかな、とちょっと安心。ついさっきも、道をふさいでいた人に「すみません、どいて下さい(in 広東語)」と言ったら、「ごめんなさい(in 普通話)」と謝って下さいました。こっちの方が「いえいえ」を言い忘れ、マナーの悪い人間になってしまって反省! 広東語、まだまだダメですねー。(我一路都學廣東話已経過[口左]二十年、幾時得到[口架]???)


さて、毎回行く旺角ブロードウェイ(上左。前の道では、昼過ぎには若者4人組のミュージシャンがMV撮影をやっていてすごい人でした)で、21日に公開されたばかりの香港映画『失恋急譲』を見てきました。現在イチオシ(?)とあって、映画館のチケット売り場天井には、でっかいディスプレイが。


映画のデータはこちらです。 

『失恋急譲』 予告編1 予告編2 予告編3 (不動産屋のCF形式になっている出演者別予告編)


 2014年/香港/英語題名:Temporary Family
 監督:卓韻芝(ヴィシー・チョク)
 主演:張家輝(ニック・チョン)、鄭秀文(サミー・チェン)、楊穎(アンジェラベイビー)、欧豪

中国での題名は『臨時同居』 だそうで、お金儲けの必要に迫られた4人が出資して高級マンションを買い、1年以内に転売して儲けようとする、というお話です。一時そこに住むことになるので、「臨時同居」というわけであり、英語題名の「臨時家族」となるわけです。

中心人物は不動産会社に勤めるニック・チョンで、彼はCAの恋人と結婚する条件として、一等地にマンションを買うことを迫られています。彼に加えて、彼の別れた年上妻の娘で、本当の父のように彼に接している娘(アンジェラベイビー)、そして夫に一方的に離婚されてしまったサミー・チェン、さらにニックと同じ会社に勤める中国の金持ちの息子欧豪という4人が出資するわけですが、そうはうまくマンションは売れていきません。その1年間のドタバタを、ちょっと際どい設定も入れながら描いていきます。うーん、あの設定というかアレの使用がなかったら、割とよくできたコメディだったのですが。女性監督なのに、下ネタでそこまで笑いを取ろうとするとは....。

サスペンス映画の時と違ってなんか中年っぽいニック、久しぶりながら(最近は1年に1作ペース)相変わらずチャーミングなサミー、今回は8割方汚れ役でがんばっているアンジェラベイビーと、出演者はそれぞれに楽しませてくれます。ゲスト出演も豪華で、冒頭に出てくる不動産屋の客に陳果(フルーツ・チャン)監督、4人の共同所有手続きを行う弁護士に張學友(ジャッキー・チョン)、中国大陸からやってくる大物に姜武(チャン・モウ)など、どの人も貫禄十分でかつ笑わせてくれて、チケット代の元は取りました。


なお、香港の映画料金は、今は平均75HKドル(約980円)。90ドルの映画館もあり、作品によっては60ドルで見られたりもしますが、どんどん上がっています。シニア料金は、75ドルの映画の場合は60ドル。また、初回上映は安くなり、『失恋急譲』も45ドルで見られました。そのほか、下の写真のように、「木・金は1枚買うと1枚タダ」とか、油麻地のブロードウェイ電影中心のように、あるクレジットカードで決済すると2枚目はタダとか、あの手この手の割引があります。どこが一番得か、調べるのもまた面倒ではあります....。

他にも、中国語圏の映画を2本見ました。『3生』は製作が香港国際映画祭事務局なので、チョン・ウソンが噛んでますがひとまず中国語圏映画というくくりにしておいて下さい。

『閨密(ガールフレンド)』 予告編


 2014年/中国/英語題名:Girls
 監督:黄真真(バーバラ・ウォン)
 主演:陳意涵(ミシェル・チェン)、薛凱[王其](フィオナ・シュッ)、楊子[女册](ヤン・ズーシャン)、余文樂(ショーン・ユー)、鍾漢良(ウォレス・チョン)、呉建豪(ヴァネス・ウー)

こちらも豪華なキャストです。大学同期の3女性、お金持ちで今は社長のキミー(フィオナ・シュッ)、ホテル勤務で彼(ウォレス・チョン)と結婚間近の希汶(ミシェル・チェン)、映画監督になるのが夢の小美(ヤン・ズーシャン)が仲良くテレビのトーク番組(司会者として、黄真真監督が出演)に出ているところから映画は始まります。しかしその後、汶は彼の浮気がわかって結婚も取り消しとなり、廃人同様に。そんな荒れた彼女の前に現れたのが、離婚経験者のやさしい男性(ショーン・ユー)。そして、小美の前には有名なミュージシャン(ヴァネス・ウー)が現れます。そういったすべてを仕切ろうとするキミーに対し、やがて小美は反発を強めていきます...。

それにしても、『小時代』と設定が似すぎていて、いまいち新鮮味がありません。女性3人、うち一人は大金持ちで超豪華マンション住まい、彼女が主導権を握り、仕事に生きたい仲間や恋愛に迷う仲間をリードしていく....。中国語版Wikiでは「セックス・アンド・ザ・シティ」になぞらえてありましたが、こういう設定、今の中国語圏の若い女性は好きなのでしょうか? 劇場内の8割方が若い女性でしたが(女性2人で来ている率高し)、どのキャラクターに共感しているのか聞いてみたい気がしました。余談ですが、この映画の製作会社福建恒業のイントロ映像が、韓国のCJ Entertainmentのイントロ映像にとってもよく似ていました。


 

 『3生』 予告編

 2014年/香港/英語題名:Three Charmed Lives

 監督:張震(チャン・チェン)、チョン・ウソン、呉鎮宇(ン・ジャンユー)
 主演:石頭(ストーン「五月天」)、王欣元、チェ・ジノ、ウ・サンジョン、ユ・イニョン、張辛苑

今年の香港国際映画祭でお披露目されたオムニバス作品です。台湾の張震(チャン・チェン)、韓国のチョン・ウソン、香港の呉鎮宇(ン・ジャンユー)というトップ男優3人が監督したもので、呉鎮宇は監督経験があるものの、他の2人は初めてでは、と思います。香港国際映画祭事務局が夏に催している「CINE FAN 夏日國際電影節」というプログラムの一環として上映されました。観客はあまり多くなく、約30名といったところ。見たい人はすでに春の映画祭で見ているのでしょうね。7割は映画好きのような若い人で、あと3割が多分チケット代が安い(45HKドル)というので見に来た近所のシニア、という感じでした。

スチールはすべて、2014年3月の香港国際映画祭で提供を受けたものです。同じ主催者なので、使用を許して下さいね。

呉鎮宇監督作「橘子(The Tangerine/みかん)」

ある男が林の中を逃げていくシーンから始まり、やがてその男は深[土川]の街にたどり着きます。飢えて、喉が渇いていた男の前に差し出されたのは、果物を売る若い女性の手。その上にはみかんが乗っていました。「お金はいいわ。持って行って」その夜男はホームレスの老人に出会い、そこで一夜を過ごすのですが、ホームレス狩りに襲われて老人は亡くなってしまいます。老人との交流が男の胸に響き、男は果物売りの娘の所にあることを伝えるために出かけていきます。男は実は、指名手配犯だったのでした。


日本ではまず上映されないと思うので、ネタバレ承知で書いてしまいましたが、このお話は現実に起こった出来事だそうで、それが記憶に残っていた呉鎮宇が映画の題材にしたようです。かなりドラマチックに作ってあり、というか、センチメンタルとも言えるタッチになっていて、ラストシーンでは場内で鼻をすする音も。BGMが「運命」だったり、崔健(ツイ・ジェン)の「一無所有」の歌が流れたり、トウ小平の大きな看板の前を男が通ったりと、少しあざとい演出もありましたが、一番楽しめた作品でした。


チョン・ウソン監督作「殺手與老人(The Killer Behind The Old Man/老人の背後の殺し屋)」

スポーツ・ジムでスタッフとして働く殺し屋、という設定がまず意表を突きます。さらに、この殺し屋役の人の表情もよく、チョン・ウソン監督のしっかりした演出が感じられて出だしは上々でした。でも、ドライブインシアター(チョン・ウソンの主演作『武士-ムサ-』を上映中というサービスあり)で殺しの仲介者である若い女性が車に乗り込んでくるとか、妙に作り込まれたアジトで殺し屋がワインを飲んで食事したりオペラを聴いたりとか、だんだんとステレオタイプの殺し屋世界になってきて面白味に欠けていきます。彼のターゲットである老人との関係性もあまり納得できず、ラストも「何、それ?」で消化不良に...。 

張震監督作「尺蠖(Inchworm/尺取り虫)

妻子もいるのにゲーム会社を解雇された男が、部屋に引きこもってずっとゲームに浸るという生活に。気が付いた時には、赤ん坊だった娘は保育園児となり、「パパ」と愛らしい笑顔で迫ってきます。妻に泣かれても引きこもりを止めなかった男ですが、娘の手で外界へと戻ることができるのでしょうか....。

これもよくわからず、のところが多々あり、消化不良状態でした。五月天の石頭の演技もそれなりに様になっているのですが、理解しにくいキャラクターで、入り込めませんでした。でも、娘役の女の子が本当にかわいくて、それだけが救い。天性のものでしょうか、演技もとても上手でした。あと、内湖地区が出てきたのも個人的には懐かしかったです(むかーし、映画を見るためにバスに乗って行ったことがありまして)。昨年結婚したばかりの張震、まだしばらくは俳優として活動した方がいいと思います....。



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