『バーフバリ 伝説誕生』(2015)と『バーフバリ 王の凱旋』(2017)の、S.S.ラージャマウリ監督とショーブ・ヤーララガッダ・プロデユーサーが来日しました。すでに公式ツイッターでどんどん滞在中のご様子が報告されていますが、本日は新宿ピカデリーで『バーフバリ 王の凱旋』(インターナショナル版)の絶叫上映が2回行われ、1回目終了後と2回目の始まる前に、お二人が舞台挨拶を行いました。その様子が取材陣にも公開されましたので、勇んで行ってきました。本日は、その時のご報告です。
絶叫上映は満席で、最後まで大盛り上がり。ただ、この国際版はエンドロールが非常に短いため、余韻に浸る間もなくすぐにイベントの準備です。マイクテストあたりから、会場にはもう、抑えきれない興奮が漂っていました。では、舞台挨拶の全記録をどうぞ。
MC:八雲ふみねさん
MC:盛り上がってますかー、皆さん。今、上映の最後の方だけ見たのですが、いやー、すごいですね、鳴り物とかが。ということで、今日もたっぷりと皆さんに王を称えていただきました。その熱い声がついにインドまで届きました!(歓声)今日、こちらの会場には、インドから駆けつけて下さいましたこの映画の創造神がお越し下さっています。みんなでさらに称えて参りましょう!(歓声)皆さん、もう準備は整ってますよね? それではさっそくお呼び致しましょう。12月29日の公開から間もなく4ヶ月に及ぶロングランとなります。そして、来る6月1日からは、<完全版>の公開も控えて(歓声)さらに話題沸騰の大ヒット作、『バーフバリ 王の凱旋』の生みの親、S.S.ラージャマウリ監督、そしてプロデューサーのショーブ・ヤーララガッダさんです。どうぞ大きな拍手でお迎え下さい!(大歓声、主題歌が流れる中、お二人が登場)
MC:通訳は松下由美さんです、よろしくお願いします。それではまずお二人より、ひと言ずつご挨拶をお願いします。
監督:インドから”ナマステ”、”コンバンハ”は日本から(大歓声)。ここ、日本にいるなんて、本当に夢みたいな気分です。私はツイッターで、こういった絶叫上映の映像を何度か見ましたが、実際にここに来て、皆さんと一緒に皆さんの絶叫を体験してすごく楽しかったです。心から、御礼を言います(大歓声)。
プロデューサー:こんばんは、日本、こんばんは、東京! ここにこられてとても嬉しいです。私もツイッターの映像を全部見ていて、それをリツイートしたりしていました(笑)。それを体験できて、びっくりしましたし、素敵だなあと思いました。本当にありがとう!(歓声)
MC:皆様にお願いですが、本日、撮影はOKですけれども、ここからはフラッシュの撮影はご遠慮願います。それでは、まず、監督に伺いたいのですが、この『バーフバリ』二部作、私たちは大好きなんですが、この企画の発端について、まずはお聞かせいただけますか?
監督:難しい質問ですね。というのも、答えがすごーく長くなってしまうからです(笑)。この中の何人の方がご存じかは知りませんが、私の父が本作のストーリーを書いたのです。父は本作のキャラクター、シヴァガミ、カッタッパ、バラーラデーヴァ、そしてバーフバリを作り上げ、私にそれぞれのキャラクターについて話して聞かせてくれました。そのキャラクターがいずれも非常に強烈だったので、私はそれを元にして映画を作ったわけです。
MC:こんなに壮大なストーリーになるとは、最初から思ってらっしましたか? もともとこれは、二部作としてのプロジェクトだったのでしょうか?
監督:ストーリーの全体を聞いた時から、これは長い映画になるな、とは思いました。映画の尺が長くなることがわかったので、二部作にしないといけないと思ったのです。でもその時は、2作の完成までに5年もかかるとは思いませんでしたし(笑い)、さらには製作費が45億ルピーもかかるとは思いませんでした。もし、映画を作る前にこれがわかっていたら、プロデュ-サーは製作を開始しなかったでしょうし、私に映画を撮るお金を1ルピーだってくれなかったと思います(笑)。
MC:いやー、でも、期待に違わず素晴らしい作品になりましたよね、皆さん(歓声)。では、続いてショーブさんに伺いたいのですが、2作で43億ルピー、約73.5億円、これはインド映画史上最大ということなんですが、それだけの資金を集めるのは相当ご苦労もあったでしょうね。
プロデュ-サー:1作目に投資してもらうのが難しかったですね。2作目はずっと楽でした。1作目はハイダラーバードにある大きな撮影所、ほとんどの映画を支援してくれているラモージー・フィルム・シティという撮影所が多額の投資をしてくれました。クレジットでセットを使わせてくれ、家具等の大道具も準備してくれたんです。そのほか、個人投資家からも出資してもらい、またプリセール(映画の権利を映画の完成前に売ること)でも資金を得ました。それができたのも、監督するのがラージャマウリ監督であり、主演がプラバースだからです。二人ともすでに有名で実力もあると知られていたので、映画の権利を買ってもらいやすかったのです。
MC:皆さんの期待も大きかった、ということですね。本当に役者さんたちが魅力的で、きれいで、素敵なお芝居を披露していらっしゃるんですが、キャスティングはどのように決めていかれたのでしょう?
監督:今おっしゃったように魅力的な俳優たちばかりですし、一大プロジェクトになるわけで、私はちょっと一計を案じました。主演俳優たちそれぞれにストーリーを語り聞かせる時は、その役柄の視点から語って聞かせたんです。そうすると聞いている方は、この映画の主人公は自分なのだ、と思ってしまいます(笑)。そして、いざ映画が公開される時になって、主演俳優たちは全員の役柄がわかるわけですが、それまでは自分が騙されているとは全く思わなかったんですね(笑)。
MC:監督、さすがですねえ(笑)。でも、それぞれのキャラクターが確立しているので、全員が主役というのも確かに、さもありなん、ですよね。思わぬところにご苦労があったんですね。日本ではこのように、絶叫上映と言うことでまだまだ盛り上がっていて、監督とプロデュ-サーには本日ご覧いただきましたが、インドで実際に上映された時には、観客の皆さんの盛り上がりはどんな感じだったのでしょう?
監督:インドでは大多数の人にとって、映画は社会的な娯楽の中心的存在です。ですから映画が公開された時には、観客はものすごく騒いで、台詞も全然聞こえないぐらいです(笑)。彼らはいろんなもの、スパゲティなどを空中に投げ上げますから、何も見えなくなります(笑)。映画料金に高いお金を払うのに、何も見えないし、何も聞こえないということになるのです(笑)。インドの観客はいろいろ叫ぶのですが、聞いていて何を叫んでいるのか全然わかりません(笑)。ところが日本では、初めて私も見たのですが、大きな音が出ているのに全部統一が取れているのです。こういうのは人生で初めてで、御礼を言いたい気持ちです(歓声)。
MC:インドまで届いていたんですね。ショーブさんにうかがいたいのですが、インドでは日本みたいに、キャラクターになりきってコスプレしているお客様とかはいらっしゃるんですか?
プロデューサー:ノー(笑)。こうやってたくさんの方がキャラクターになりきってらっしゃるのを見るのは素晴らしいですね。インドでは、コミコン(コミケのようなもの)で見られるぐらいで、映画館ではまず、見たことはありませんね(笑)。
MC:日本独自の文化でしょうか。監督に最後にうかがいます。6月1日から公開される完全版の、見どころをぜひうかがいたのですが。
監督:はい、そうですね。インターナショナル版とこれから公開される<完全版>は、私にとっては、どちらかを選べと言われるととっても困ってしまう存在です。例えば、息子さんと娘さんのどひらが好きですか、と聞かれるようなものですね。どちらもいい子ですからね。ここにいらっしゃる皆さんのほとんどは、すでにインターナショナル版を楽しまれたと思いますが、これから公開される<完全版>は、それぞれの感情をさらに引き延ばしてくれる、という感じです。楽しいと思ったところはさらに長くなり、キャラクターの強烈さもさらに長く感じることになるでしょう。インターナショナル版と同じくらい、楽しんでいただけることは確かです(歓声)。
MC:ファンの皆さんからは続編がみたい、という話があるんですが、その辺はいかがでしょう?
監督:(笑いながら)そうですねぇ。私たちが『バーフバリ』の製作を始めた時は、偉大なストーリーだから映画にしよう、と思って始めたのです。その時までに自分たちは一種狂気のようなものに捉えられていました。この映画を作らなくちゃ、と夢中になっていたのです。ですが、2本の映画が成功し、皆さんが我々にたくさんの愛情と支持を下さってみると、かつての狂気は消え失せてしまい、我々はごくごく当たり前の人間に戻りました。ですので、次の映画を始めるためには、優れたストーリーが必要なんですね。
MC:いいストーリーが浮かぶことを期待しています。
監督:ありがとう。
MC:ありがとうございます。それではここからはフォト・セッションに移らせていただきますが、V8Japanマヒシュマティ特別応援団の皆さん、どうぞステージに起こし下さい。
(すごいですねー、コスプレの皆さん。監督もプロデューサーも、とっても嬉しそうです)
MC:では、最後に監督から、もうひと言メッセージを頂戴したく思います。
監督:皆さんを置いてこの場を去りたくないですね。もう一度言いますが、たくさんの支持と愛情をありがとうございました。我々は外国を訪れると、贈り物やら思い出深い瞬間を持ち帰る訳ですが、今回は皆さんの愛情と思い出を持って、帰国したいと思います。本当にありがとう(歓声)。
(と、ここで何と監督がセルフィーを!)
(お茶目な方ですね~。でも、きっと、監督のツイッターとかにこの会場の様子がアップされたに違いありません)<追記:こちらに会場の皆さんとの動画が! こちらやこちらにも!!>
こうして楽しかった20分あまりの舞台挨拶はあっという間に終了しました。聞くところによると、本日は10社ほどの媒体のインタビューを受け、その後の2回の舞台挨拶と、本当にハードスケジュールだったのでした。(つづく)
出来れば監督さん、プロデューサーさんは当然ですが、キャストの方も一人くらいいらっしゃるともっとファンの皆さんも興奮したでしょうね。個人的にはカッタッパが好きなので。主演クラスの方は難しいのでしょうが、脇の方の招聘にもトライしてほしかったなぁと。
バーフバリ2作で日本の興行収入がどれくらいなのかわからないのですが、「ダンガル」の中国興収くらい(150億?)いったらフォロー度合いも違うんでしょうね。
ガンバレ、日本です。
インド映画のTOP作品が常時20億円くらい軽く超える秘策がなにかないだろうかと最近頭をひねっております。笑
ゲストを招くのは、どこの配給会社さんにとっても本当に大変で、特にスターがいらっしゃると、ボディガード(アーミル・カーンの時は確か3人)からメークから専属カメラマン...と、いっぱい一緒にいらっしゃるので、ものすごーく大変なんですよ。
「脇の方」と言っても、例えばカッタッパ役のサティヤラージは1980年代は超人気スターだったわけで、いわば北大路欣也クラスですから、これは招くとなると、かなりの覚悟が要ります。
80年代のサティヤラージは、細身で口ひげが小粋なイケメンスターで、私は昔、マレーシアのイミグレでそっくりのインド系係官がいたため、「サティヤラージにすごく似てらっしゃいますね」と言っていい気分にさせたことがあります(笑)。
おっしゃるとおり興収20億ぐらいなら、配給会社さんも「どんと来い!」でしょうが、先日記事に書いたようにまだ興収1億数千万なので、監督とプロデューサーを招いて下さっただけでも、感謝感激、Good Job!というところです。