發哥こと周潤發(チョウ・ユンファ)主演の時代劇『孔子の教え』が、いよいよ日本でも公開になります。以前、「2011年のアジア映画公開予定作は?」という2月8日の記事でもVCDカバーを使ってちょっぴりご紹介したのですが、發哥の悠揚迫らぬ孔子様が何ともいい味を出している作品です。まず、基本データをご紹介しましょう。
『孔子の教え』 (原題:孔子/英語題名:Confucius/2009年/中国)
(c)2009 DADI CENTURY(BEIJING)LIMITED ALL RIGHTS RESERVED
<スタッフ>
監督: 胡〔王攵〕(フー・メイ)
製作: 韓三平(ハン・サンピン)、劉栄(リウ・ロン)、岑建勲(ジャン・シャム)
脚本: 陳汗(チェン・ハン)、江奇濤(チアン・チータオ)、何燕江(ハー・イエンチアン)、フー・メイ
撮影: 鮑徳熹(ピーター・パウ)
衣装: 奚仲文(ハイ・チョンマン)
音楽: 趙季平(チャオ・チーピン)
<キャスト>
孔子(孔丘): 周潤發(チョウ・ユンファ)
南子(衛国の君主霊公夫人):周迅(ジョウ・シュン)
季孫斯(魯国の三桓):陳建〔文武〕(チェン・ジェンビン)
魯公(魯国の君主定公):姚魯(ヤオ・ルー)
顔回(孔子の弟子):任泉(レン・チュアン)
季孫肥(季孫斯の息子):陸毅(ルー・イー)
10月、シネスイッチ銀座他全国順次公開
配給:ツイン 協力:アミューズソフト
物語は紀元前501年から始まります。物語の前半では、魯の国で君主の定公に取り立てられ、中都宰、さらには大司寇という重要な役目について活躍する孔子を描きます。この時孔子はすでに50歳を過ぎていますが、全身に気力が満ちあふれ、物腰はおだやかながら大物のオーラバリバリ。弓の技にも長けており、魯国の実際の政治を執り行っている三桓の季孫斯を弓の試合で負かしたり、計略を使って近隣の大国斉との交渉を成功させるなど、我々のイメージとは違う孔子像が次々に登場します。このカッコイイ孔子、現在の年齢の發哥にはまさにピッタリで、とても魅力的です。
ところが、あんまりブイブイ言わせていると妬まれるのは世の常。手柄を立てる一方で、規律を重んじた孔子はだんだんと重臣らに疎んじられ、やがて紀元前497年には政治から身を引かざるを得なくなり、国を離れる決心をします。その孔子に弟子たちも従って、いわば移動型孔子塾となるのですが、物語の後半は、諸国を放浪する中での孔子と弟子たちの結びつきが描かれていきます。
その中でも一番弟子は、顔回と呼ばれる真面目な青年。孔子の教えを竹簡に書き留め、命に替えてもそれを守ろうとするけなげな弟子です。レン・チュアンが演じているのですが、この人もとアイドルだったようで、まあその愛らしいこと。むくつけき、あるいはおっさん度の高い孔子の弟子たちの間では、唯一目の保養になる(笑)人です。下の写真、孔子の後ろが顔回クンです。
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諸国放浪の間には、どこかの国が孔子を迎え入れるものと孔子も弟子たちも思っていたのですが、唯一招聘したのは衛国の君主、霊公。その夫人南子は自分の魅力で孔子をとどまらせようとしますが、孔子は結局衛を離れます。なかなか女っ気のない作品なので、このあたりで南子を出して花を添えようとしたのでしょうか。ジョウ・シュン、美しいお妃様姿です。
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最後に孔子たちは飢えに苦しむまでに。そんな時、孔子を魯から追い出す中心となった季孫斯がそのことを悔やみ、自身の死期が迫ったこともあって、息子季孫肥に孔子を迎えに行かせます。こうして紀元前483年、69歳の時に孔子はやっと祖国魯に戻るのです。約14年間にわたる流浪生活でした。そして73歳で亡くなるまでが映画では描かれるのですが、老年の孔子は髪が白くなったりするのはもちろんのこと、皮膚も老人そのものという化けっぷりで、發哥が枯れた孔子をこれまたうまく演じています。
孔子というと、「子曰く...」で始まる「論語」がすぐ思い浮かびますが、それが後世に残るまでにはこんな苦労があったのですねー。特に、孔子を慕い、彼を支える弟子たちの姿が感動的です。TV番組「ザ・今夜はヒストリー」なら、「顔回さん、子路さん、そんなにしてまで孔子先生に尽くすのはなぜですか!?」とマイクを突きつけるところです。こういう場面に飛び込みたい下写真は、右から、孔子、子路、顔回、冉求(ぜんきゅう)です。
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監督のフー・メイは、以前日本でも<中国映画祭'88>で上映された『戦争を遠く離れて』 (1986)という作品で単独デビューした(その前に共同監督作品を1本撮っています)女性監督です。その他、日本で上映された彼女の作品には、国際結婚を描いた『愛にかける橋』 (2002)などがあります。これまでに多くの歴史テレビドラマを手がけていることもあって、演出は手堅く、スケール感を出すのにも成功しています。間もなく来日なので、インタビューがあちこちに出ると思います。ぜひ、注目していて下さいね。『孔子の教え』、公開がちょっと先ですが、特に發哥ファンはお楽しみに待っていて下さいませ~。
やっぱり時代考証の不備がありましたかー。連なったボーガンみたいな武器、確かに出てきました。あれは孔明の発明なんですか。一つ賢くなりました。
でも、戦闘場面も結構迫力があってよかったですよね。あれこれ楽しめる作品だと思います。
すごいお名前ですねー。林黛のような方が目に浮かびます。「中国古代戦国依存症」と書いておられますが、すると秦以前限定の「中国歴女」でいらっしゃいますか? 「孔子の教え」をご覧になった暁には、時代考証の不備などまたチクって下さいませ。
そうか、『シャンハイ』も間もなく公開ですね。公式サイト(下、すぐ予告編が始まります)を探して、今見てみたところです。
http://shanghai.gaga.ne.jp/
すごい面子ですが、ありきたりの”上海もの”パターンから抜け出せているのかどうか、というところですね。描写が、ドニーさんの『レジェンド・オブ・フィスト』とかぶる気がします。
あと、『譲子弾飛』は公開されないのかなあ。あの發哥もなかなかいいですよ。見ていて、『大丈夫日記』(ふるっ!)を思い出してしまいました。
大阪では8月に『シャンハイ』が公開されるので、2011年の後半は6月に“香港電影天堂”もありましたし發仔(…仔というお歳ではありませんがあえて親愛を込めて)ファンにとっては夢のような状況です。
「パイレーツ・オブ・カリビアン2」であまりに酷い役柄に胸を痛め(涙)「ドラゴンボール」は流石に観にいく勇気?がなく(泣)…。
そんなわけで過度な期待は傷つくので気持ちを抑えているのですが、今回はどちらの作品もとても楽しみで~す。