アジア映画巡礼

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『バルフィ!人生に唄えば』のランビール・カプールのこと

2014-07-12 | インド映画

すでに公式サイト等でご存じだと思いますが、『バルフィ!人生に唄えば』の初日が8月22日(金)に決定しました。前回、監督のアヌラーグ・バスを紹介してからはや1ヶ月、今日はタイトルロールバルフィを演じたランビール・カプールのことをちょっとご紹介しようと思います。『バルフィ!人生に唄えば』のストーリーや基本データは、前回の記事や、公式サイトを見て下さいね。

ランビール・カプール、日本での知名度はまだまだ低いですよねー。この人です。1982年9月28日生まれなので現在31歳ですが、童顔で若く見えます。

(C)UTV Software Communications Ltd.

バルフィは耳が聞こえず、従って発話もできない、という難しい役なのですが、ランビール・カプールはこれをイキイキと演じています。無音の世界にいるので顔はむしろポーカーフェイスであるものの、豊かなジェスチャーというか体の動きが、バルフィの考えや感情をたっぷりと伝えてくれます。美女シュルティ(イリヤーナー・デクルース)との出会いのシーンも、何て素敵なパントマイム、という感じです。現地版予告編の方が少し長めにこのシーンを見せてくれていますので、こちらをどうぞ。

演技が達者なのも当然と言えば当然。ご存じの方も多いでしょうが、ランビール・カプールはボリウッドで一番有名な映画ファミリーに生まれた超サラブレッド俳優なのです。いちいち説明するのは面倒なので、カプール家の家系図を付けておきましょう。サイレント映画時代の人気俳優で、後年『偉大なるムガル帝国』(1960)のアクバル大帝役でも名を馳せる曾祖父プリトヴィーラージ・カプールから数えて、ランビールはカリシュマー、カリーナーらと共に第四世代にあたります。


「インド映画界のキング」と呼ばれた祖父のラージ・カプール(『放浪者』『詐欺師』など)、そして1970年代から80年代のトップ男優の1人で、今も活躍する父リシ・カプール(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』など)と、リシと組んで数々の青春映画をヒットさせた母ニートゥー・シン(『命ある限り』など)の血を受け継ぎ、俳優になることを運命づけられていたランビールですが、デビュー作は大コケでした。

ランビールのデビュー作は、有名監督サンジャイ・リーラー・バンサーリーの『愛しい人(Saawariya)』(2007)で、これはアメリカのメジャー資本がインド映画製作に進出した第1号でした。共演は、これも映画初出演のソーナム・カプール。アニル・カプールの娘です。こういう話題満載の豪華恋愛ミュージカル作品だったのですが、ハリウッド映画『ムーラン・ルージュ』などを意識しすぎたのか、騒々しいだけの作品になってしまって大コケしたのでした。

でも、続く『美人さんたち、ご用心(Bachna Ae Haseeno)』(2008)はまずまずのヒットになります。父リシ・カプールの主演映画の挿入歌からタイトルを取ったこの映画は、主人公が昔つき合った3人の女性のもとを訪ねて、自分のひどい仕打ちを謝って歩く、というちょっと変わった作品でした。元カノは、ミニーシャー・ラーンバー、ビパーシャー・バス、そしてディーピカー・パードゥコーンという豪華な面々。これで、ランビールは一挙にスターの仲間入りを果たしたのです。

(C)UTV Software Communications Ltd.

以後、ちょっとクセのある主人公たちを演じた一連の作品――アヤーン・ムケルジー監督の『目覚めよ、シド(Wake Up Sid)』(2009)や、シミト・アミーン監督の『ロケット・シン 年間最優秀セールスマン(Rocket Singh: Salesman of the Year)』(2009)などでますます注目され、2010年にはプラカーシュ・ジャー監督の地方政治ドラマ『政治(Raajneeti)』への出演で、しっかりした演技ができる若手俳優としての評価を確実にします。地方政界の大物を父に持ち、その後継者である兄(アルジュン・ラームパール)の活動を冷めた目で見ていた主人公なのに、否応なく政治の世界に巻き込まれてその素質を発揮する――ランビール・カプールは、こうして父や祖父に負けない力を持った俳優であることを証明して見せたのでした。

以後、プリヤンカー・チョープラーと共演した『見知らぬ男と見知らぬ女(Anjaana Anjaani)』(2010)、ナルギス・ファクリーと共演した『ロックスター(Rockstar)』(2011)、以前恋人として噂になったディーピカー・パードゥコーンとの共演『この青春は狂おしい(Yeh Jawaani Hai Deewani)』(2013)と毎年のように主演作が興収上位入りし、今では押しも押されぬドル箱スターとなりました。ダンスの上手さにも定評があり、昨年の興収第4位となった『この青春は狂おしい』の歌「お行儀の悪い心(Badtameez Dil)」の映像では、そのチャーミングなダンスが堪能できます。ランビールの大叔父さんシャンミー・カプールはインドのエルヴィス・プレスリーと言われた人なのですが、その大叔父さんの血が流れているのがわかりますね。

(C)UTV Software Communications Ltd.

こうした身体能力の高さが、『バルフィ!人生に唄えば』でも遺憾なく発揮されています。イケメンか、と言われるとちょっと「う~ん」なのですが(それを理由に、ランビール・カプール作品に手を出すのを見送った配給会社もあったらしい....)、演技のうまさはピカ一です。ぜひ本作で堪能してみて下さいね。その他、詳しい情報は公式サイト公式FBをどうぞ。

 

 

 


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6 コメント

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Unknown (パゴール)
2014-07-13 21:33:33
ランビール・シンの詳しい紹介、とても参考になりました。ありがとうございました。
実は昨年秋にインドに滞在中「Besharam」というランビール主演の映画が上映中で、いったいこのぶさいくなオトコのどこが魅力なんだだ?と、映画を観てみたらまあ~ッ素敵!踊りは上手いし表情は豊かでチャーミング!インドの俳優は動いてなんぼ、ですねえ~。ポスターの顔だけで判断をしちゃいけないと肝に銘じました。バルフィ!楽しみにしています。ランビールつながりで
ランビール・シンの詳しい紹介もいつかお願いいたします!
パゴール様 (cinetama)
2014-07-13 22:15:15
コメント、ありがとうございました。

『バルフィ!人生に唄えば』は舞台がダージリンとコルカタなのです。ですので、パゴールさんご専門のベンガル・テイストが充満してます。この点も、いつかご紹介できるといいのですが。

ランヴィール・シンですか....。出演作がなかなか日本に来ませんねー。
がんばってずっと「旬の男」でいてくれよ、と祈ってるのですが、『ならず者(Gunday グンデー)』で共演したアルジュン・カプールに今は2馬身ぐらい引き離されつつあります。
日本で彼の作品が上映されるのはいつの日か....。
Unknown (まな)
2014-07-14 21:19:42
ランビール・カプール、最初見たときは
「えっ、スター?この人が?あんまりカッコよくはないよね???」
と疑問符で頭がいっぱいになりましたが、
実際に作品を観てみると、あらまぁ不思議!
なんとも魅力的で愛嬌もあって、
そりゃあモテモテでスターだわ!と納得でした。

まだ「Yeh Jawaani Hai Deewani」しか観てないので
「バルフィ!」ほんと楽しみです!

ちなみにランヴィール・シンのほうも魅力的。
ちょっといかがわしい感じがよいのです。
まな様 (cinetama)
2014-07-15 01:33:46
コメント、ありがとうございました。

なるほど~、ランビール・カプールは「動いてナンボ」の人なのですね。納得です。

ランヴィール・シンの「ちょっといかがわしい感じ」にも大納得。ホストにするとてっぺん取るタイプですね(笑)。
「Band Baaja Baaraat」が好きなので配給会社に売り込んでみたりしたのですが、「スターの知名度が低い」でハネられてしまい残念無念。
いつか日本での公開にピッタリの作品に出てほしいです。
音楽についてもお願いします。 (ボリノリ)
2014-07-19 12:21:26
すっかり出遅れてしまいました。
ランビールの映画は4本しか見ていませんが、いずれも音楽が印象に残っています。
Rockstarはタイトル通りロックスターの映画ですから、当たり前でしょうけど。
Anjaana AnjaaniもYJHDもそしてバルフィも。
もちろんダンスもいいんですが、雰囲気が音楽に映えるのかなと思います。
ですので音楽についても解説していただけたらと思っています。
ボリノリ様 (cinetama)
2014-07-19 23:15:42
コメント、ありがとうございました。

私は音楽には詳しくないのですが、『ロックスター』はA.R.ラフマーンの作曲でしたよね。
『バルフィ!人生に唄えば』の音楽は、『YJHD』と同じ作曲家プリータムが担当しています。ええ、パクリで有名なプリータムです(笑)。
今回主人公たちは歌えないので、当然ながらBGM使用になるのですが、聞きやすい歌が多かったという印象です。
歌以外に面白いのは、同じプリータム作曲の映画『Life in a...Metro』のように、演奏者が画面に出て来て演奏することです。場面転換とかのシーンで毎回流れるテーマ曲が聞こえたら、画面を探してみて下さい。手風琴とバイオリン、もう一つが不明なのですが、3人のバンドがどこかにいます。
前にアヌラーグ・バス監督紹介の記事でも書いたのですが、むしろ監督のセルフパロディでしょうか。ちょっと見ものです。お楽しみに。

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