アジア映画巡礼

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5月1日からJAIHOは『アラヴィンダとヴィーラ』&『ヤマドンガ』でNTR Jr.祭り

2023-05-01 | インド映画

5月1日から、JAIHOで『アラヴィンダとヴィーラ』(2018)の配信が開始され、15日まで配信中の『ヤマドンガ』(2007)と併せると、豪華NTR Jr.主演作2本立てができます。両作品のデータは次の通りです。

Aravinda Sametha Veera Raghava.jpg

『アラヴィンダとヴィーラ』
 2018年/インド/テルグ語/157分/原題:Aravinda Sametha Veera Raghava   అరవింద సమేత వీర రాఘవ
 監督:トリヴィクラム・シュリーニヴァース
 出演:NTR Jr.、プージャー・ヘグデ、ジャガパティ・バーブ、スニール、ナーガバーブ、ナヴィーン・チャンドラ
 配信期間:5月1日(月)~6月29日(月) 配信サイト

Yamadonga.jpg

『ヤマドンガ』
 2007年/インド/テルグ語/178分/原題:Yamadonga యమదొంగ
 監督:S.S.ラージャマウリ
 出演:NTR Jr.(エヌティーアールジュニア)、モーハン・バーブ、プリヤーマニ、マムター・モーハンダース、クシュブー
 配信期間:3月17日(金)~5月15日(月) 配信サイト

Aravindha Sametha

『アラヴィンダとヴィーラ』は昨日見たのですが、のっけからすごい抗争シーンが展開されて、目を覆いたくなりました。そんな血しぶき飛ぶシーンでも、NTR Jr.はいちいち決めシーンが撮られていて、そこだけ一瞬「おぉぉ~」となります。上や下に付けた画像はこちらのサイトからコピペしたものですが、鎌や鉈で手が飛ぶ(うぎゃあ~!)指が飛ぶ(かんべんして~!)シーンの中で、荒ぶる主人公が一瞬ストップモーションになるあざとさは、見ているとクセになりますね。で、テルグ語抗争映画と言えば、出てくる悪のボスに扮するのはジャガパティ・バーブがその代表格で、『アラヴィンダとヴィーラ』も冒頭から登場します。7月14日(金)に公開のラーム・チャラン主演作『ランガスタラム』(2018)でも、村を牛耳る恐怖のボス役で存在感を放っていますし、テルグ語抗争映画が次々と作られるのも、ジャガパティ・バーブという名悪役がいるからなのかも知れません。

Jr NTR Aravinda Sametha Veera Raghava Movie First Look ULTRA

『アラヴィンダとヴィーラ』は原題が「アラヴィンダとヴィーラ・ラーガヴァ」と言い、都会の知的で美しい大学生アラヴィンダ(プージャー・ヘグデ)と、海外留学から村に戻って抗争に巻き込まれたヴィーラ・ラーガヴァ・レッディ(NTR Jr.)の物語です。抗争から逃れて都会にやってきたヴィーラが出遭う女子大生がアラヴィンダで、弁護士の娘です。ヴィーラが街で頼った男(スニール)がヴィーラのせいで警察に捕まったため、保釈手続きを依頼しようと弁護士の元を訪れたところ、ひょんなことからアラヴィンダのボディガードになるのですが、アラヴィンダは大学で紛争問題などを専攻しているため、思いがけない助言をヴィーラに与えます。というわけで、彼女に導かれて村の抗争を終熄させることができるのか、ヴィーラ・ラーガヴァ・レッディ、というのがストーリーです。

Aravinda Sametha Movie Songs for Android

プージャー・ヘグデは『ランガスタラム』でもアイテム・ガールとして踊りのシーンに出ていたのですが、彼女のフィルモグラフィーを見てみると、テルグ語映画が主と言ってもいいようですね。生まれと育ちはムンバイであるものの、ご両親がカルナータカ州出身で、母語はトゥル語(カルナータカ州南部の海外沿い地域で話される言葉)なんだそうです。リティク・ローシャンと共演した『Mohenjo Daro(モヘンジョダロ)』(2016)の印象が強いので、あれがデビューだと思っていたのですが、2012年にタミル語映画でデビューし、その後は主としてテルグ語映画に出演を重ねています。『Maharshi(偉大なる聖人)』(2019)ではマヘーシュ・バーブと、『Ala Vaikunthapurramuloo(ヴァイクンタプラムにて)』(2020)ではアッル・アルジュンと、そして『Radhe Shyam(ラーダーとクリシュナ)』(2022)ではプラバースと共演していますので、テルグ語映画界のトップスターと相性がいい女優のようです。目下公開中のヒンディー語映画『Kisi Ka Bhai Kisi Ki Jaan(誰かの兄貴と誰かの恋人)』ではサルマーン・カーンの相手役もしていますが、この映画も元はと言えばアジット・クマール主演のタミル語映画『兄貴の嫁取物語』(2014)のリメイクだそうなので、やはり南インド映画向きの女優さんかも。

『アラヴィンダとヴィーラ』は、ソング&ダンスシーンは少ないのですが、ちょっとひねった抗争映画なので、見ておく価値があります。監督は『Ala Vaikunthapurramuloo(ヴァイクンタプラムにて)』も作ったトリヴィクラム・シュリーニヴァースです。最後は「そうきたか!」という感じで、ちょっと強引&超法規でしたが、抗争映画もフェミニズムを無視できなくなったのかも知れない、と思ってしまいました。そうそう、ヒンディー語映画界のベテラン女優スプリヤー・パータクがヴィーラの祖母役で出ていたのでちょっとびっくりしたのですが、そういえば『兄貴の嫁取物語』には、かのリチャード・アッテンボロー監督作『ガンディー』(1982)で妻カストゥルバー役をやったローヒニー・ハッタンガディーが出ていましたね。ヒンディー語映画のベテラン女優たちも、景気のいい南インド映画からオファーがあると喜んで出演している、というところなのでしょうか。『アラヴィンダとヴィーラ』の予告編を付けておきます。

Aravindha Sametha Theatrical Trailer | Jr. NTR, Pooja Hegde | Trivikram | Thaman S

 

『ヤマドンガ』の方は、一昔前のインド娯楽映画、という感じで、S.S.ラージャマウリ監督の楽しい才能が遺憾なく発揮されています。NTR Jr.も、ダンスシーンで目を奪われるステップをこれでもかと見せてくれて、まさに目の正月。特に最初のソング&ダンスシーンがクジャクをフィーチャーしたセットも凄く豪華で、インド映画はこうでなくちゃ! と思ってしまいました。2曲目に出てくるアイテムガールは、どうも『歌う色男、愛・ラブ・パラダイス!』(1998)のランバーではないかと思うのですが、何だかオーラが薄れてしまったような...。調べてみたら、このあとすぐに2010年ぐらいで引退してしまったみたいです。

『ヤマドンガ』の見所は、何と言っても45分あたりから登場する天界シーン(冥界シーンと言った方がいいかも)で、閻魔大王に扮するモーハン・バーブの貫禄がすごいですね。しかし、NTR Jr.扮するラジャも負けてはいません。大事な地獄アイテムを自分のものにし、閻魔大王の身分を盗んでしまうのです。2人の閻魔大王が現れるシーンは圧巻で、おまけにもっと大物、今は亡きNTR Jr.の祖父、元祖NTRもCGで甦り、孫のために大奮闘?してしまうのですから、ラージャマウリ監督のアイディアには感服です。昨年『RRR』のゲスト来日上映時にご一緒した山田桂子先生が、「NTR Jr.の作品では何が一番面白い?」と聞いた私に「それはもう、『ヤマドンガ』が一番よ」と答えてくれた意味が、今回作品を見てよーくわかりました。その天界シーンのソング&ダンスシーンを付けておきます。

Yamadonga Songs | Young Yama Video Song | Jr NTR, Navneeth Kaur, Archana | Sri Balaji Video

 

というわけで、現在JAIHO配信中のNTR Jr.主演作2本は必見!です。この機会にぜひ楽しんで下さいね。

 


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