goo blog サービス終了のお知らせ 

アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

韓国映画真打ち続々登場<2>『ベルリン・ファイル』

2013-07-07 | 韓国映画

すでに取り上げてしまっているのですが、これは見逃さないで!という韓国映画の大作『ベルリン・ファイル』、再度ご紹介しておきます。前にご紹介したのは、春の香港国際映画祭で見たあとのこちらの記事です。まず、基本データをどうぞ。 

『ベルリン・ファイル』  公式サイト(すぐ予告編が始まります)
(2013/韓国/カラー/シネスコ/120分/日本語字幕:根本理恵/原題:ベルリン)

©2013 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

  監督:リュ・スンワン
 主演:ハン・ソッキュ、ハ・ジョンウ、チョン・ジヒョン、リュ・スンボム
 配給:CJ Entertainmennt Japan
 公開:7月13日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

 

©2013 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ストーリーや紹介は以前簡単ながら書いてしまったので、今回は見どころを一つ二つ。まず、最大の見どころはリュ・スンワン監督の大化けぶりです。リュ・スンワンは、これまでは生身の肉体的痛みを容赦なく描く作品が多かった監督です。過去の作品では、『ARAHAN アラハン』 (2004)、『クライング・フィスト 泣拳』 (2005)、『シティ・オブ・バイオレンス 相棒』 (2006)、 『生き残るための3つの取引』 (2010)など、題名を書いていくだけでも痛みに頬がゆがみそうになります。その一方で、”情”も結構ベタベタに描いてくれて、見ながらよく、「日本で言うと浪花節の世界だな~」などと思ったものでした。

それが、本作ではブロックバスター級監督に大化けしています。これまで軽トラで縦横無尽に走り回っていた人が、突然ダンプカーに乗ってやってきたような感じ、とでも言えばいいでしょうか。スケール感がまったく違う作品をしれっと作ってしまった、という感じなのです。これまでのアクション上手を生かし、さらにスケールアップさせたアクション・シーン、ものすごく緻密に張り巡らせたプロットの数々(緻密すぎて、一度見ただけではどこがどこに、誰が誰につながってるのか理解できません。二度見るべし!)、”情”を極力抑え、渇いた演技をさせることで引き出される俳優の新たな魅力等々、「化けたねー、きみ」とうならされました。

そう言えば、予兆は『生き残るための3つの取引』 あたりからあったかも。あの作品もプロットの立て方が複雑でうまかったですねー。これが踏切板になって、今回の『ベルリン・ファイル』までジャンプしちゃったのかも知れません、リュ・スンワン監督。

©2013 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

もう一つの見どころは、俳優陣の演技。特に、チョン・ジヒョンです。この映画の前に『10人の泥棒たち』のバスト持ち上げ姿(笑)を見ていたので、最初見た時@香港では、今に「や~ね」とか言いながらニタッと笑うのでは、という期待(?)が終盤まで抜けませんでした。笑顔を封印し、緊迫のベルリン生活から生じる疲労をにじませたその表情は、まるで別人のよう。素晴らしい演技力です。ことに、ラストの野っ原での演技は強く印象に残ります。

©2013 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ハ・ジョンウはいつもの役と言えばそうなのですが、以前にも書いた「追いつめられ上手」の演技はこの人ならでは。ほかにもいろんな役をやっているのですが、『チェイサー』 (2008)、『哀しき獣』 (2010)、そして本作と、「追いつめられ三部作」が印象に残ります。昨年のヒット作『悪いやつら』も8月31日(土)から公開予定なので、今年もハ・ジョンウの年になるかも。

また、兄貴の作品の多くに主演しているリュ・スンボムは、今回は脇に回っています。お得意の悪役を手堅く演じているのですが、もうそろそろ次の扉を開けてほしいところ。この人もまだまだ化けそうで楽しみです。『アラハン』みたいなアホっぽい役も好きよ~。

ところで今回、主演俳優の中でちょっと違和感があったのがハン・ソッキュ。『シュリ』 (1999)の役を思い出させるからでしょうか。リュ・スンワン監督作品とは微妙に肌合いが違うような気がして、彼の出る場面は少々落ち着きませんでした。

勝手なことをいろいろ書きましたが、2時間たっぷり観客を引き回してくれ、ベルリンを巡る国際的陰謀の嵐に巻き込んでくれる作品です。そしてラストは、「え、つづく、なの!?」と思わせるような終わり方。来年あたり、「シベリア・ファイル」が製作されるかも知れません。なになに、と思った方は、映画館へGO!! ハ・ジョンウとチョン・ジヒョン夫妻がお待ちしていま~す。

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『きっと、うまくいく』を見... | トップ | アジア映画製作本数データ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうなんです!ハン・ソッキュ (浪速のしゃあるっく)
2013-07-08 17:23:57
お暑うございますがお変わりありませんか?

さて先週は滑り込みで『10人の泥棒たち』観てまいりました。や~ホンマ面白かったです!ヤムヤム(サイモン・ヤム)の日本語、たまらん!しかもダンディーでめちゃいい役でしたね。超満足!オ・ダルスもすきすき!でも一番はチョン・ジヒョンでしょうか。すごく役柄にあっていると思いました。

そして『ベルリン・ファイル』!ラッキーなことに試写会に当たり一足先に鑑賞できたのですが、すっごく面白かったです。ネタばれしたら大変なので何も言えないのが苦しいですが、cinetamaさまのおっしゃるとおり、ハン・ソッキュ氏の出る場面は私も違和感があり、落ち着きませんでした。久々のハン様!楽しみにしていたのですがこの作品は彼でないほうが良かったように感じました。
リュ・スンワン監督が「はじめからハン・ソッキュが演じることになっていたのでは無く、彼に決まってから脚本をアレンジした」~と来日インタビューで語ってられたようです。う~ん、ハン様もったいない!


返信する
浪速のしゃあるっく様 (cinetama)
2013-07-08 22:10:47
コメント、ありがとうございました。突然の猛暑来襲、ホントに暑くてイヤになりますね~。

『10人の泥棒たち』、私もキム・ヘスクになりたかったです~。ヤムさんとあんなことまでやっちゃうだなんて....。

『ベルリン・ファイル』のハン・ソッキュ起用、私の抱いた感想を裏打ちして下さってありがとうございます。監督も、大物ハン様に対しては演出しにくかったのかも知れませんね。
でも、それを差し引いても、よくぞ撮った!という作品でした。シャー・ルク・カーンの『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』と見比べるのも面白いかも知れませんね~。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

韓国映画」カテゴリの最新記事