アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

七夕はヒョンビンと共に『スウィンダラーズ』で

2018-07-06 | 韓国映画

明日は七夕。ですが、日本列島は軒並みお天気が今ひとつのようです。こんな時はぜひ映画館へ。明日から公開される韓国映画『スウィンダラーズ』は、韓国映画がお得意とするコンゲームもので、ダマしダマされのジェットコースター的ストーリー展開で楽しませてくれます。特にオチがこれまでにない「スカッと!コリア」仕様になっており、「庶民をなめるんじゃねぇ!!」と溜飲が下がります。まずは、データからどうぞ。


『スウィンダラーズ』 公式サイト
2017年/韓国/韓国語/116分/原題:꾼
 監督:チャン・チャンウォン
 主演:ヒョンビン、ユ・ジテ、ペ・ソンウ、パク・ソンウン、ナナ、アン・セハ
 配給:クロックワークス
7月7日(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

冒頭、投資詐欺に遭った人々が、その窓口となった男性を責め、男性は責任を感じて自殺する、という事件が登場します。ダマされる方が悪いとは言え、詐欺事件は多くの被害者ばかりか、時には犠牲者をも生み出していくのです。その後何年かたって、この事件の首謀者で、逃亡していた希代の詐欺師チャン・ドゥチルが死亡した、というニュースが流れます。しかしながら、亡き父(チョン・ジニョン/ゲスト出演)が凄腕の書類偽造専門家で、自分は詐欺師しか欺さないという信条を持つファン・ジソン(ヒョンビン)は、ドゥチルは死んでいないと確信します。やがて、ドゥチルを追う彼の事件の担当検事パク・ヒス(ユ・ジテ)や、詐欺師仲間のコ・ソクトン(ペ・ソンウ)、機器の専門家キム課長(アン・セハ)、美しい顔と肉体を武器に詐欺を働くチュンジャ(ナナ)と共に、ジソンはドゥチルの行方を追っていきます。

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

その追跡の中で、ドゥチルの右腕と言われているクァク・スンゴン(パク・ソンウン)が浮かび上がってきました。ジソンはカジノの経営者という仮面をかぶり、投資をつのる形でスンゴンに接触していきます。チュンジャを使っての美人局(つつもたせ)作戦などあの手この手でスンゴンを責め立て、ドゥチルが隠匿している財産を金に換えるにはジソンのカジノしかない、と思わせるのです。やがて巨額の隠し財産を引き受けて現金化してやると見せかけ、それをごっそりいただく作戦が開始されますが、検事パク・ヒスの動きが何やら怪しくなってきます。最後に笑うのは、いったい誰なのでしょうか....。

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

いやはや、ストーリーを書こうとしてみると、物語中に詐欺の小ネタや大ネタがいっぱい埋められていることに気づき、もう一度見て、「ここが詐欺」「ここも詐欺」とマーカーで色を付けたくなってしまいます。ジソンの亡き父のエピソードも、最後にはアッと驚く事実が掘り出されて、観客も見事に欺されていたことがわかるなど、コンゲームの対象は観客にまで及んでいます。こんな複雑な脚本を書いたのは、監督のチャン・チャンウォン。長い間イ・ジュニク監督のもとで修業を積んだそうで、これが監督デビュー作だというから驚きです。『王の男』(2005)あたりから参加し、『ラジオスター』(2006)や『あなたは遠いところに』(2008)等の演出部で力を蓄えつつ、『楽しき人生』(2007)や『平壌城[原題]』(2011)では助監督としてイ・ジュニク監督に仕えた、というのですが、作風が全然違ってやしませんか? 『ビッグ・スウィンドル』(2004)のチェ・ドンフン監督の間違いでは? と思ってしまったほどです。

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

一方、チャン・チャンウォン監督のトンデモ脚本によく応えて、出演者たちの演技とアンサンブルも見事です。ヒョンビンは街のチンピラという格好で姿を現したあと、カジノのオーナーに変身、髪をきれいになでつけたスーツ姿は別人28号で、それだけで怪しい臭いがプンプンしてきます。方やユ・ジテは、髪を七三に分けた三つ揃い姿はお堅い検事様(コムサニム)そのものなのですが、途中から軌道がどんどんズレてきます。とはいえ、「いい人」ユ・ジテには体から発散する悪の香りがちょい薄めで、そのあたりが本作の弱点かも知れません。

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

それを補って余りあるのが、上写真前列の個性的な脇役3人、左からペ・ソンウ、アン・セハ、そしてナナ。これにパク・ソンウンが加わって、脇役の布陣は完璧です。ことにペ・ソンウとパク・ソンウンは、最近様々な作品で印象に残る役を演じており、だんだんとオ・ダルスやユ・ヘジンのレベルに近づいてきたような気がします。パク・ソンウンは、以前は「セノビー石井に似た人」と憶えていたのですが、最近は『華麗なるリベンジ』(2016)等でたびたび顔を見るようになり、名前を憶えてしまいました。今回は、ワイングラス片手に女性を口説く(というか口説かれる)かっこいいシーンもあり、一段と印象に残ります。アン・セハも、細面の多い男優陣の中で、1人四角形の顔にメガネという個性的な風貌のため印象に残り、なかなかの儲け役。女性グループ「アフタースクール」のメンバーであるナナもがんばっていて、チャーミングなシーンをいろいろ演出してくれています。

© 2017 showbox  and DOODOONG PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

韓国では、昨2017年の観客動員数第8位となった作品です。ヒョンビンにとっては、観客動員数第2位の『コンフィデンシャル 共助』と共に、主演作が2本もトップ10入りした記念すべき年となったわけですが、『コンフィデンシャル 共助』の北朝鮮から来たコワモテ警官がいかにもヒョンビンらしい役柄だとすれば、『スウィンダラーズ』の方はその殻を見事に破った作品と言えます。ファンの方もファンでない方も必見の本作、ぜひ劇場でご覧下さい。最後に予告編を付けておきます。明日の七夕は、皆様の彦星ヒョンビンとのデートをお楽しみ下さい!

あなたも必ず騙される! 『スウィンダラーズ』 予告




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SKIPシティ国際Dシネマ映画祭... | トップ | 「異世界語入門~転生したけ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

韓国映画」カテゴリの最新記事