アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

スーリヤとサマンサの『怖いもの知らず』

2014-08-16 | インド映画

久しぶりにスーリヤの映画を見ました。タミル語映画『怖いもの知らず(Anjaan)』です。実は今泊まっているホテルは、リトル・インディアの入口にあたる所にある安ホテル(でも1泊1万円。シンガポールと香港はホテル代がホントに高いです-涙)で、目の前がレックスというインドのタミル語映画専門の映画館です。着いた日は木曜日だったので、5本のタミル語映画を3つのスクリーンで時間替わりに上映しており、これはたくさん見られるぞ、とホクホクしていたのでした。


ところが昨日8月15日(金)から、上映作品は『怖いもの知らず』1本だけになってしまいました。3つのホールで1日10回以上15回上映があるわけですが、全部『怖いもの知らず』なのです。インド本国でも、独立記念日の8月15日に公開、というわけで、レックスもこの週末は『怖いもの知らず』一色となったようです。う~ん、残念。ダヌシュやシッダールトの主演作があったのになあ(泣-でも、看板は変わらず、なので、上の写真にダヌシュがいたりします)。でもまあスーリヤも好きなので、一番大きなスクリーンのRex1でやる時を狙って行ってみることに。本日は土曜日ということもあって、数百席のうち半分程が埋まっていました。


今回の相手役はサマンサ・ルス・プラブ。そうです、『マッキー』(2012)のヒロインですね。ちょっとふくよかになっていました。監督はN.リングサーミ。そして撮影監督がサントーシュ・シヴァンという豪華版です。以前はタミル語映画には字幕が付かなかったシンガポール上映ですが、ここのところちゃんと英語字幕が付くようになってありがたいです。歌のシーンもきちんと字幕が出てきます。予告編はこちらをどうぞ。


ストーリーは、脚が悪くて松葉杖をついている男クリシュナ(スーリヤ)が、南インドから列車でムンバイにやって来るところから始まります。彼が捜すのは、兄弟のラージュー(スーリヤ)。あちこち訪ねて回っているうちに、クリシュナはラージューが”ラージュー・バーイー(ラージュー親分)”と呼ばれていたアンダーグラウンドのドンだったことを知ります。そして、仲間内の抗争で命を落としたことも聞かされます....。

ラージューはチャンドルー(ヴィドュト・ジャームワール)と2人でギャング団を組織し、のし上がって行っていました。怖いもの知らずのラージューは腕っ節も強かったのですが、その得意技は誘拐。ところが、警察長官の娘ジーヴァー(サマンサ・ルス・プラブ)を誘拐し、捕らえられていた手下を解放させようとした時には、予想外の展開に。ジーヴァーがラージューに恋してしまったのです。やがて、ラージューも彼女を憎からず思うようになります。

チャンドルーが「2人だけで楽しく過ごして来いよ。その間連絡しなくていいから」と言った言葉に従って、ラージューとジーヴァーが海辺で楽しんでいた時、チャンドルーは手下の裏切りに遭い、イムラーン・バーイー(マノージュ・ラージパーイー)によって殺されてしまいます。そして、復讐だ!と飛び出したラージューもまた、手下の手によって撃たれ、橋から川へと落ちていったのでした。

その話を聞いたクリシュナが取った行動は...。


スーリヤの魅力が全開の作品ですが、特にメガネを掛けて不自由な足をかばって歩くクリシュナから、ひげ面のラージューへと変わる姿が「一粒で二度おいしい」感を与えてくれます。踊りのキレも相変わらずで、自分のスタイルを持ったスターだなあ、としみじみ思わせられます。ただ、今回の役柄は非情なドン、ということで、ラストも「それはないんじゃないの?」になっていたのが残念ポイント。最近のタミル語映画はもう、敵を問答無用で殺しまくり、がフツーになってきた感じです。

もう1人魅力的なのが、チャンドルーを演じたヴィドュト・ジャームワール。Wikiを調べてみると、俳優デビューは何と『スタンリーのお弁当箱』(2011)だそうで、ロージー先生の恋人役だったとか。学校へバイクで送ってきた人ですね。彼が注目を集めたのは、2013年の映画『コマンドー(Commando)』で、この予告編にもあるように、ムキムキ肉体でのアクションがすごかったのでした。タイ映画『マッハ!』を意識しているのがモロわかりですが、ヴィドュト・ジャームワールはインドのトニー・ジャーにはなれずじまい。でも『怖いもの知らず』では、『コマンドー』の時の2倍ぐらいハンサムになっていますので、そのうちイケメンのアクション・スターとして人気が出るかも知れません。

あと、残念ポイントどころかブーイングしたかったのが、飲酒と喫煙シーンに出てくるマーク付き警告。ウッディ・アレンが怒って自分の作品の上映を断ったのがわかるぐらい、左下隅に大きく、かつしつこく出てきます。ヒンディー語映画は薄く文字が出てくるだけなので、それほど気にはならないのですが、こうも目立つ出方だと集中力をそがれます。タミル語映画だけこうなのかしら?


ところでこれを書いている今、シンガポールのテレビではボリウッド映画『カハーニー/物語』(2012)のタミル語リメイク作品を放映中。いくつか設定が変えてありますが、ナワーズッディーン・シッディーキーが演じた人物の名前「カーン」がそのまま使われていたり、殺し屋も似た男にしてあったりと、8割方オリジナルに忠実なリメイクです(と思ったら、ラストが違ってた!)。ヴィディヤー・バーランが演じた役はナヤンタラ(『チャンドラムキ』のヒロイン役の彼女です)が演じ、タイトルはヒロインの名前を取って『アナーミカ(Anamika)』(2014)となっています。今年の5月公開された作品なのに、早くもテレビ放映されるとは。シンガポール、やっぱりインド映画ファンにとっては天国に一番近い場所ですね。

そうそう、テレビ放映でも、しっかりと「タバコは健康に悪いです」のタバコ禁止マーク&警告文が出てきました。元の映画のデータに入っているのでしょうね。さて、日本でこういうタミル語映画が上映されることがあれば、この警告はどうなるのでしょう???



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