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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

ラジニカーント主演作『ジェイラー』をお見逃しなく🕶

2025-03-11 | インド映画

帰国して1週間、花粉症の薬を飲んでいるのですが、そのせいか眠い眠い。上映中のインド映画『ジェイラー』(2023)を劇場に見に行こうにも、5分に1回は鼻をかんでいる状態で、その元気が出ません。一昨年夏シンガポールで英語字幕で見たのと、こちらの記事等を書くためにオンライン試写で見せて貰ったのとで、一応見てはいるのですが、やはり日本語字幕のものを大スクリーンで見たい、というのが正直なところ。でもありがたいことに、『ジェイラー』のパンフレットに執筆なさった安宅直子さんが1部送ってきて下さり、あらためてあのユニークな映画『ジェイラー』を辿ることができました。まずは基本データと、パンフレットの表紙をどうぞ。

『ジェイラー』 公式サイト
 2023年/インド/タミル語/168分/原題:Jailer/字幕翻訳:渡辺はな、字幕監修:小尾淳
 監督:ネルソン・ディリープクマール
 出演:ラジニカーント、シヴァラージクマール、モーハンラール、ジャッキー・シュロフ、タマンナー、ラムヤ・クリシュナ、ヴィナーヤガン、スニール、ヨーギ・バーブ
 配給:SPACEBOX
2月21日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国順次公開中

このパンフレットの見どころは後半にあって、①「キャラクター・マップ」、②プロダクション・ノート、③「ラウンドテーブル」と題されたラジニJPの安田英俊さん、マサラワーラーの武田尋善さんの対談が掲載されています。

©SUN Pictures

①「キャラクター・マップ」は登場する人物たちのシマというか活動地がどこかを示していて、現在のムトゥ・パンディアン(ラジニカーント/上写真)一家が住むチェンナイを中心に、元の勤務先であるティハール刑務所、そこで出会ったナラシンハ(シヴァラージクマール)、マシュー(モーハンラール)、カームデーヴ(ジャッキー・シュロフ)らのそれぞれの居場所、息子アルジュン(ヴァサント・ラヴィ)を誘拐したと思われる美術品マフィアのヴァルマ(ヴィナーヤガン)の居場所(と言っても実は場所不明)等々が、インド地図の上にマーキングされています。

ナラシンハ

マシュー

カームデーヴ

ヴァルマ
以上©SUN Pictures

本作では冒頭の主人公ムトゥ紹介シーンと、それから極悪人ヴァルマが好き勝手をやる彼の紹介シーンとがまず見ている者にショックを与えるのですが、どちらも観客の予想を裏切るという意味で、なかなか見応えのあるシーンとなっています。特にヴァルマのひとり芝居みたいなシーンは、彼のセリフがこの映画の言語であるタミル語ではなく、マラヤーラム語混じりのセリフ、あるいはマラヤーラム語なまりのタミル語のセリフのようで、それも見どころというか聞き所になっているようです。英語字幕で見た時は、字幕の最初に「Mal.」と出てくるので「何のこっちゃ??」と思ったのですが、ヴァルマ役のヴィナーヤガンの顔を見て、ははあ、ここはマラヤーラム語でしゃべってます、ということだな、と気がついた次第です。両方の言葉がわかる人には、とっても面白いシーンになっていたに違いありません。ということで、映画をご覧になる前に、この「キャラクター・マップ」を頭に入れておかれると、さらに映画が面白くなると思います。

©SUN Pictures

②のプロダクション・ノートはいつもながらよくまとめてあって、本作『ジェイラー』がラジニカーント主演作の中でどういう位置を占めるのか、ということがよくわかるようになっています。ラジニ映画ではお馴染みの、「スタイル」(キメポーズ)と決め台詞についても解説してあるので、前もってこれらを承知しておくとよけいに楽しめます。決め台詞は「フクム、タイガー・カー・フクム(Hukum, Tiger Ka Hukum/命令だ、タイガーの命令だ)」で、これをフィーチャーしたミュージック・クリップも作られています。

JAILER - Hukum Video Song | Superstar Rajinikanth | Sun Pictures | Anirudh | Nelson

 

「フクム」は元々アラビア語がウルドゥ語に入った単語で、ローマナイズだと「Hukm」と書く方が正しいのですが、ま、そこはタミル語なまりということで。「命令、指図」というような意味を持ち、イスラーム教国家の宮廷などでは、臣下が「ジー・フクム」と答えるシーンもよく出てきます。「はい、かしこまりました」という感じですね。『ジェイラー』は脚本も監督のネルソン・ディリープクマールが1人で書いていますが、どこからこういう言い方を思いついたのでしょうね。

©SUN Pictures

③ラジニJPの安田英俊さん、マサラワーラーの武田尋善さんの対談

ラジニカーントの主演作は、1998年に公開された『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)がその前年1997年に映画祭上映されたのから始まって、ソフト化作や映画祭上映なども入れると18本が日本で上映されているのでは、と思うのですが、このラジニファンの第一人者とも言えるお二人を揃えるなら、「日本公開されたラジニカーント出演作品」とかいうリストも作っておいてほしかったです。それから、次のお二人の発言が私にはちょっとひっかかりました。

武田:(略)そしてラジニカーントには、悪役が似合う。「悪いラジニ」って、何をやっても楽しい。(以下略)
安田:良い人の役ばかりを演じるのは、飽きてくるのかもしれない。悪い人物を演じる時のほうが、ラジニさんの表情が豊かで楽しそうなんですよね。(以下略)

うーん、私などは主人公が人を殺す時はやむにやまれず、という場合のみであってほしい、と考える人間なので、『カバーリ』(2016)あたりからのラジニの役は、『カーラ 黒い砦の闘い』(2018)以外はいまいち気に入らないんですが。この『ジェイラー』もラストで「え、『インドの仕置き人』(1996)を踏襲するの?!」と思ってしまったのですが、この映画、もう続編の製作に入っているようで、少し前からこんな予告編が流れています。

JAILER 2 - Announcement Teaser | Superstar Rajinikanth | Sun Pictures | Nelson | Anirudh

 

ラジニカーントと共に出演しているのは、監督のネルソン・ディリープクマールと作曲のアニルド・ラヴィチャンドランです。君たちも「タイガー・カー・フクム」で働かされるのね。御苦労様です....。今週木曜日で上映が終わってしまう劇場もあるようですので、未見の方は劇場にお急ぎ下さい。

 


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