アジア映画巡礼

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『私は王である!』は若者版『王になった男』?

2013-04-29 | 韓国映画

インド映画で踊っている間に、韓国映画の紹介すべき作品が山のように溜まってしまいました。まずは、チュ・ジフンが主演する『私は王である!』から、ご紹介していきましょう。すっごく面白い作品なんです、これ。まずはデータをどうぞ。


『私は王である!』  公式サイト

2012年/韓国/カラー/シネマスコープ/120分/日本語字幕:根本理恵(原題は下の現地版ポスターをどうぞ)

 

 監督:チャン・ギュソン
<キャスト>
 忠寧(チュンニョン)/ドクチル:チュ・ジフン
 スヨン:イ・ハニ
 衛士ヘグ:イム・ウォンヒ(ウォニ)
 衛士ファング:キム・スロ
 ソルビ:キム・ソヒョン
 曹判書(長官)ファンヒ:ペク・ユンシク
 太宗(テジョン)大王:パク・ヨンギュ
 大臣シン・イク:ピョン・ヒボン

配給:ポニーキャニオン
宣伝:スキップ

5月11日(土)より、新宿ピカデリー他、全国公開

(C)2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

これは、のちに世宗(セジョン)大王と呼ばれ、ハングル文字の制定を行ったことで知られる名君の若き日の物語、ということになっています。若き日の名前は忠寧(チュンニョン)君(チュ・ジフン)。彼は太宗(テジョン)大王(パク・ヨンギュ)の第三王子でした。

ところが皇太子である第一王子の譲寧(ヤンニョン)は、酒に溺れ、やりたい放題。その奔放な性格を父太宗に嫌われ、ついに1418年には皇太子の座を剥奪されてしまいます。その頃すでに仏門に入っていた第二王子は皇太子にはなれず、皇太子のお鉢は忠寧に回ってきてしまいます。

しかしながらこの忠寧、自分では何もできない軟弱男子である上、本を読むのが三度の飯よりも好きで、食事も臣下の者に食べさせてもらいながら本を読んでいる始末。気楽な三男坊の地位を満喫していた忠寧にとって、降ってわいた皇太子即位はただただ迷惑なばかり。ついには、護衛の兵士であるヘグ(イム・ウォンヒ)とファング(キム・スロ)の目を盗み、宮廷からの逃亡を図ります。

宮殿の塀を乗り越えた忠寧ですが、バランスを崩して外へまっさかさま。その時ちょうど道を通りかかったのが奴卑ドクチル(チュ・ジフン二役)で、忠寧はドクチルの上に落ちてしまいます。気絶しているドクチルはなぜか忠寧にうり二つ。これ幸いとドクチルと服を取り替え、忠寧は逃亡。

一方、気絶していたドクチルは衛士ヘグとファングに発見され、てっきり忠寧だと思った2人に宮殿に連れ戻されます。ヘグとファングがホッとしたのもつかの間、体の特徴から忠寧ではないと気づいた2人は真っ青に。ファングがドクチルを身代わりにして誤魔化している間に、ヘグは外へ出て忠寧を探すことになりました。

その頃忠寧は、ドクチルと思われてとんでもない目に遭っていました。忠寧が「私は皇太子だ!」と言っても誰も信じてくれません。やがてヘグが忠寧を探し出しますが、2人は共に苦労する羽目に。そんな時忠寧が出会ったのは、太宗をいさめて宮廷を追われた曹判書(ペク・ユンシク)でした。少女ソルビ(キム・ソヒョン)ら貧しい人々を助け、様々な発明を生み出す曹判書の行動に関心を持つ忠寧。

その頃宮殿では、忠寧に化けたドクチルが、離ればなれになった主家のお嬢様スヨン(イ・ハニ)と再会していました。スヨンの父は謀反を疑われ、捕らえられてしまったため、スヨンも共に宮中へと引き立てられてしまっていたのでした。再会を喜ぶ2人でしたが、ドクチルを偽物と見破った大臣(ピョン・ヒボン)が彼を王位につかせて操ろうと画策、その陰謀に巻き込まれそうになります。おまけに大臣は本物の忠寧を殺そうとし、忠寧の命は風前の灯火。さて、2人の運命はどうなる???

(C)2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

まず目を見張ったのが、チュ・ジフンの演技力。コミカルな演技を、イケメンの顔が崩れるのをものともせずに披露してくれています。二役の演じ分けは、まだまだ「一生懸命やってます」的で余裕がありませんが、それでもこれまでの端正さをかなぐり捨てて、人間味溢れるキャラクターを全力で演じている姿には感動さえ覚えてしまいます。彼の熱演が、映画を楽しくて熱いものにしています。

そして、脇役も演技達者な俳優ばかりが揃えられており、チュ・ジフンの二役を盛り上げます。まず、私の好きなペク・ユンシクは、発明好きの元高官という役柄で、自ら金持ちの屋敷にコメ泥棒に入ったりと、かなりのトンデモ印人物をひょうひょうと演じています。衛士役のキム・スロとイム・ウォンヒ(ウォニ)はコメディ映画には欠かせない人たちですが、今回も脱力系の笑いを提供。同じくコメディ映画に多数出演しているパク・ヨンギュは、何と飛び蹴りをくらわせる太宗として登場し、意外性で大笑いさせてくれます。そのほか、忠寧の妻役(若いのに奥さんがいたんですね!)も実にユニークと、笑いが溢れている作品なのです。

その一方で、忠寧が世間に出てみて、自分はいかに世の中のことを知らなかったか、と悟っていくなど、感動のシーンも用意されています。「王子と乞食」をうまーく朝鮮王朝の歴史にあてはめ、親しみを込めて我らが「世宗大王」を描いた作品と言えるでしょう。王と貧しい男の「とりかえばや物語」という点では『王になった男』とそっくりですが、あちらが笑いも含めて格調高く描いてあったのに対し、こちらはとっても気さくな作り方。その飾らない物語でチュ・ジフンが光っている、というところに、これまでとは違う成長したチュ・ジフンの姿を見ることができます。チュ・ジフンのファンの方はもちろん、韓国コメディ映画好きの方にも、韓国歴史映画好きの方にも、二重丸オススメの作品です。

 


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2 コメント

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こちらも見逃さないようにですね (nancy)
2013-05-02 13:32:18
 GWの予定が諸々狂ってしまって、未だにボリウッド4を見に行けてない有様ですが、そうこうしているうちにチュ・ジフン君の映画もやってくるのですね~こりゃあ、大変です!
 
 演技力が光っている(だと、私は思ってます)チュ・ジフン君の作品は見逃してはなりませんね。しかも面白いということなら尚更です。脇のメンバーも面白い方々ばかりなので期待大です!

   
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nancy様 (cinetama)
2013-05-02 22:26:53
コメント、ありがとうございました~。

そちら様のダーリンの王様も素晴らしかったのですが、チュ・ジフン君もがんばっていまして。ヘン顔も厭わず奮闘してますので、ぜひ見てあげて下さいまし。

ところで、昨日メールでお尋ねした”さくら”の件はいかがでしょう? お忙しいようなので、無理かな....。
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