映画祭を振り返る その3

2012-01-02 12:34:16 | 代表日記
<12月8日 6日目>
第二陣として一足先にやってきたのは徐童監督と彼の作品に出ている唐小雁さん。
本当は8日到着予定が間違えて7日のチケットを買ってしまい、やや勇み足での到着でしたが、そのぶん観光をして楽しんだ様子。
唐さんは生魚が苦手なので焼いて食べようとしていましたが、徐童監督はそれを制止していました。



<12月9日 関連イベント 武蔵野美術大学>
この日は武蔵野美術大学のイメージライブラリーが企画した映像講座で『収穫』の上映と徐童監督の講演が行われました。


上映を一緒に見た徐童監督は、「久しぶりに見て、とても感慨深い。複雑な心境だ」と語っていました。
上映中に隣にいた唐さんによれば、監督は見ながら何度も涙を拭いていたそうです。
監督にとって初の映像作品であり、その後各地の上映で女権団体から妨害を受けたこともあり、そして今では主人公の女性も結婚して幸せになったとの知らせもあり、いろんな思いがこみ上げてきたのでしょう。


夜、ホテルに着くと、中国から張賛波監督と劉健監督が到着していました。

このあと、深夜にもかかわらずラーメンを食べに外へ。
中国の人たちはラーメンが好きです。


<12月10日 8日目>
この日最初の上映は周浩監督のドキュメンタリー作品『書記』。
今回都合により唯一来日できなかった周浩監督でしたが、ネット中継でQ&Aを行うことが出来ました。
これは地方の県書記が主人公ですが、この人は映画の撮影後に収賄の罪で逮捕され、今は獄中にいます。
ただ、収賄というのは在任期間中の8年間で受け取ったプレゼントなどの総額数百万円に対するものだそうで、中国の一般的な収賄に比べたら非常に小さな額です。
権力闘争の結果なのかという問いに、監督も同意していました。


さて、ここで地下の映画館から1階のカフェへ移動し、場外シネマ研究所が開催しているイベント「轟轟烈烈!! 中国インディーズ・ムービー」に参加しました。
昼過ぎから『犬叫ぶ午後』という映画の上映が行われたところで、その後のトークコーナーで張賛波監督と徐童監督が今のインディペンデント映画について語るというものでした。
場外シネマ研究所のブログに詳しい情報があるので御覧ください。


続いての上映は徐童監督の『占い師』。
映画の中では警察に捕まって連絡が途絶えてしまっていた唐小雁さんがQ&Aに登場すると、客席からも声が上がっていました。
二人はその後のエピソードを語ってくれました。
実は唐さんを保釈させてくれたのは徐監督で、唐さんはお礼のために彼を実家に招いたそうです。
そこで唐さんのお父さんに魅力を感じた監督は、次の作品で彼を主人公にすることを思いつき、『老唐頭』という作品が生まれるのですが、これはまたいずれ上映することにします。


この日最後の上映は張賛波監督の『恋曲』。
ある女性の恋愛を追ったドキュメンタリーですが、修羅場などをきちんと撮っていて、どうしてこんな場面が撮れるのかと不思議になるような作品です。
このことについては、「自分でもカメラに魔力があるんじゃないかと思ったけど、そうではなくて、撮ろうと思って関わっているから撮れるだけ」とのこと。
もちろん写っている人たちとの関係があってこそではあるのでしょうけど、それにしてもよく撮れています。
主人公の後日談として、実はまだ二人の関係は続いていて、撮影もしている。しかも次はもっと残酷な話になりそうだとのこと。


上映の後、第二陣の監督たちを歓迎する会が開かれました。
たくさんのボランティアやサポーターの方々にサインをねだられ、監督たちもうれしそうでした。