顧桃監督、俳優デビュー作がベネチアへ

2012-08-30 21:30:22 | 代表日記
現在開催中のベネチア国際映画祭で、国際批評家週間に出ている『小荷』(劉姝監督)に、顧桃監督が俳優として出演しています。
予告編1'20のところに映っているのが彼です。
これから俳優の仕事が増えるかも?

http://v.youku.com/v_show/id_XNDQ0OTgxNTYw.html

映画祭を振り返る その4

2012-01-03 01:28:27 | 代表日記
<12月11日 9日目>
この日最初の上映は劉健監督によるアニメ作品『ピアシングⅠ』。
中国初のインディペンデント長編アニメとして注目されている作品です。
中国絵画からアニメーションに転身し、3年かけてこの作品を作り上げた話などをしてくれました。
よく聞かれることですが、このタイトルは『ピアシング・ワン』です。
『ピアシングⅡ』にあたる大学城という作品を彼は現在製作中で、今年の末にごろを目処に完成させる予定だそうです。


続いての上映は張賛波監督のドキュメンタリー映画『天から落ちてきた!』。
この作品を撮るまでは劇映画を目指していたこと、ニュースでこの村のことを知って何かあると思って出かけたこと、一度は作品のことがメディアに取り上げられ、村の役人に文句を言われたこと、でも上映するなと言われなかったのでその後も上映していることなどを語ってくれました。
この映画の海外での上映に監督が参加するのはこれが初めてだそうです。
中国からなんとロケットの残骸を持参してきてくれて、しかも装置芸術として加工してあるのですが、それを披露してくれました。
本当は日本で購入してくれる人がいたら売りたいと言っていたのですが、残念ながら買い手は現れず、監督は本国へ持ち帰りました。


そして、『ゴーストタウン』上映後はトークショーがありました。
本当は徐童監督と張賛波監督がドキュメンタリーの今について語る予定だったのですが、徐童監督が体調を崩してしまったので急遽内容を変更し、劉健監督と張賛波監督にインディペンデント映画に取り組んでからのこの3年間について語って頂きました。
インディペンデントの作家は程度の差こそあれみな経済的にも苦労しているのですが、比較的成功している劉健監督に対し、人にご飯をたかって暮らしているという張賛波監督はだんだん話すうちに悲壮になってしまいました。
それでも何とかなっているというのが今の中国の現状でもあり、先のことはわかりませんが、皆それなりに頑張っているというのが確認できたトークでした。



12日には、徐童監督と唐小雁さんは大阪のイベントに参加するため移動し、張賛波監督は帰国の途へつきました。
劉健監督は用事があって一日滞在を伸ばして帰国しました。
顧桃監督は13日に東京へ戻ってきて、お土産をたくさん買って、16日に帰って行きました。
ゲストを全員送り出し、16日に映画祭は終了しました。

今回の来場者数は過去最高となり、10本全部見たというお客さんも何人もいたし、多くがたくさんの作品を見て下さいました。
そのうち多くの方が高く評価して下さり、今後も開催してほしいというお言葉もたくさんいただきました。
今回は開催にあたり、多くの方からご支援を賜りましたことに、改めて御礼申し上げます。

さて、関連イベントはまだ続きます。


<12月17日 関連イベント 轟轟烈烈!! 中国インディーズ・ムービー>
全部で4パートにわかれているこのイベントで、この日はパート3とパート4が行われました。
パート3では沙青監督が制作し、2003年に山形国際ドキュメンタリー映画祭で小川紳介賞を獲った『一緒の時』の上映が行われ、おまけで応亮監督が2010年にロッテルダム国際映画祭でタイガーアワードを受賞した『慰問』も上映されました。
上映後にはトークが行われ、『一緒の時』の撮影当時監督を指導したアジアプレスの野中章弘氏と中国インディペンデント映画祭の代表中山がゲストとして登壇、各作品や中国の制作および上映の状況について語りました。

パート4では、中国初のインディペンデント制作によるドキュメンタリー映画である呉文光の『流浪北京』が上映され、中国ドキュメンタリー映画の字幕翻訳者であり研究者である秋山珠子さんのトークが行われました。
映画は日本語字幕がないため、3人が日本語でセリフを読み上げるというライブ感のある上映でした。
有名ながら上映される機会がほとんどない、伝説的な作品なだけに、貴重な機会です。
また、呉文光とも長く親しい関係にあり、作家たちと直接交流を続けてきた秋山さんのお話は、とても分かりやすく興味深いものでした。
秋山さんは中国インディペンデント映画祭でもいつも素晴らしい通訳をしてくださっています。

映画祭を振り返る その3

2012-01-02 12:34:16 | 代表日記
<12月8日 6日目>
第二陣として一足先にやってきたのは徐童監督と彼の作品に出ている唐小雁さん。
本当は8日到着予定が間違えて7日のチケットを買ってしまい、やや勇み足での到着でしたが、そのぶん観光をして楽しんだ様子。
唐さんは生魚が苦手なので焼いて食べようとしていましたが、徐童監督はそれを制止していました。



<12月9日 関連イベント 武蔵野美術大学>
この日は武蔵野美術大学のイメージライブラリーが企画した映像講座で『収穫』の上映と徐童監督の講演が行われました。


上映を一緒に見た徐童監督は、「久しぶりに見て、とても感慨深い。複雑な心境だ」と語っていました。
上映中に隣にいた唐さんによれば、監督は見ながら何度も涙を拭いていたそうです。
監督にとって初の映像作品であり、その後各地の上映で女権団体から妨害を受けたこともあり、そして今では主人公の女性も結婚して幸せになったとの知らせもあり、いろんな思いがこみ上げてきたのでしょう。


夜、ホテルに着くと、中国から張賛波監督と劉健監督が到着していました。

このあと、深夜にもかかわらずラーメンを食べに外へ。
中国の人たちはラーメンが好きです。


<12月10日 8日目>
この日最初の上映は周浩監督のドキュメンタリー作品『書記』。
今回都合により唯一来日できなかった周浩監督でしたが、ネット中継でQ&Aを行うことが出来ました。
これは地方の県書記が主人公ですが、この人は映画の撮影後に収賄の罪で逮捕され、今は獄中にいます。
ただ、収賄というのは在任期間中の8年間で受け取ったプレゼントなどの総額数百万円に対するものだそうで、中国の一般的な収賄に比べたら非常に小さな額です。
権力闘争の結果なのかという問いに、監督も同意していました。


さて、ここで地下の映画館から1階のカフェへ移動し、場外シネマ研究所が開催しているイベント「轟轟烈烈!! 中国インディーズ・ムービー」に参加しました。
昼過ぎから『犬叫ぶ午後』という映画の上映が行われたところで、その後のトークコーナーで張賛波監督と徐童監督が今のインディペンデント映画について語るというものでした。
場外シネマ研究所のブログに詳しい情報があるので御覧ください。


続いての上映は徐童監督の『占い師』。
映画の中では警察に捕まって連絡が途絶えてしまっていた唐小雁さんがQ&Aに登場すると、客席からも声が上がっていました。
二人はその後のエピソードを語ってくれました。
実は唐さんを保釈させてくれたのは徐監督で、唐さんはお礼のために彼を実家に招いたそうです。
そこで唐さんのお父さんに魅力を感じた監督は、次の作品で彼を主人公にすることを思いつき、『老唐頭』という作品が生まれるのですが、これはまたいずれ上映することにします。


この日最後の上映は張賛波監督の『恋曲』。
ある女性の恋愛を追ったドキュメンタリーですが、修羅場などをきちんと撮っていて、どうしてこんな場面が撮れるのかと不思議になるような作品です。
このことについては、「自分でもカメラに魔力があるんじゃないかと思ったけど、そうではなくて、撮ろうと思って関わっているから撮れるだけ」とのこと。
もちろん写っている人たちとの関係があってこそではあるのでしょうけど、それにしてもよく撮れています。
主人公の後日談として、実はまだ二人の関係は続いていて、撮影もしている。しかも次はもっと残酷な話になりそうだとのこと。


上映の後、第二陣の監督たちを歓迎する会が開かれました。
たくさんのボランティアやサポーターの方々にサインをねだられ、監督たちもうれしそうでした。

映画祭を振り返る その2

2012-01-02 12:34:16 | 代表日記
<12月4日 2日目>
この日最初の上映はハオ・ジエ監督の『独身男』。
出演者は全員実際に村に暮らす人々で、本当に村であったエピソードをミックスして作られた物語。
今では映画で知られるようになったため、観光客が大勢訪れているそうです。


2本目は趙大勇監督によるドキュメンタリー作品『ゴーストタウン』。
監督はある撮影でこの町を訪れて気に入り、その後毎年のようにここへ通って過ごすうちに、映画に残そうと思ったとのこと。
この作品を最後に彼はドキュメンタリーを撮るのを止めていますが、この村にはその後も行っていて、実験映像を撮ったりしています。


この日最後の『占い師』上映の後は、ゲストによるトークショーがありました。
ジャ・ジャンクー監督の『一瞬の夢』や『プラットホーム』で主演俳優をし、現在は栗憲庭電影基金でアート・ディレクターをしている王宏偉さんと、その『プラットホーム』でプロデューサーをされ、東京フィルメックスのプログラム・ディレクターとしても知られる市山尚三さんの対談です。
お二人は長年の付き合いですが、日本で会うのはこれが初めて。
普段の王宏偉さんは俳優としての過去をあまり話したがらないのですが、この日はジャ・ジャンクーに口説かれて学生時代に嫌々出演したときのことや、『プラットホーム』では本当は二枚目俳優が主演の予定だったのを急遽彼に変更した話など語ってくれました。
彼とジャ・ジャンクーは北京電影学院の映画理論学科で同級生でしたが、志望していた監督学科に入れなかったのは、実はふたりとも身長の条件を満たせなかったからだという秘話?も披露。
ファンにはたまらないトークショーでした。



<12月6日,7日 関連イベント 慶應大学日吉キャンパス>
6日は慶應大学で章明監督の講義が行われました。
文学部の授業の一環として、『新娘』の予告編や、大衆向けともいえる最新作の『郎在対門唱山歌』の映像などを流しながら、中国インディペンデント映画の歴史や最近の傾向などについて90分間講義しました。
詳しい情報はこちらにあります。
この間、王宏偉さんは夫人を伴って近くの温泉へ。
タクシー代が高くて驚いていました。

7日は日吉電影節というイベントが行われました。
ゲストに章明監督、王宏偉さん、そして本映画祭代表の中山が参加。
新入生のためと銘打ったイベントではありましたが外部からの参加も可能で、後半になると外部からの人がほとんどでした。
章明監督や王宏偉さんの話を聞きたくて集まってくれた人たちだと思われます。