私のフォローしているブロガーさんのお一人は熊本の方で
数日前のブログで、山鹿市の「山鹿千人踊り」が今年は中止になるというお話が
書かれていて、山鹿市を訪れた昔のことを思い出していた。
1995年JR西日本では「九州交響旅(九州シンフォニー)」といううたい文句で
九州の地に限って、女性だけという条件でエッセイを募集していた。
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このころ主人が熊本に何年も単身赴任していて、会社の山鹿市の同僚の方から
「山鹿灯籠祭」は観る価値があるからと誘って頂き、観光してきたばかりで
エッセイ締め切りまで1週間だと気づいて一気に書き上げ投稿した。
暮れ近くに電話で直接連絡を頂いた。
2024名応募で、金賞1名、銀賞2名、銅賞20名(計28名)の
銅賞の一人に入ったということだった。
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800字以内なのに、かなり字数オーバーしていたのに選んで下さったようだった。
選考委員のお一人に石坂浩二さんがいらっしゃったのだけ覚えている。
実家の母には、選ばれたことがわかってから初めて読んでもらうと
800字にまとめていたら、銀賞にはなっていたかもしれないと言ってくれた。
エッセイの内容を載せてみる。
「主人が熊本に単身赴任したおかげで、この夏山鹿市という温泉町を
訪れることになった。
会社のKさんが山鹿灯籠祭は見る価値があるからと誘ってくださったのだ。
ここ九州では、お盆の7時半はまだ暮れなずんでほの明るい。
昼間、畑の中に点在する本物の装飾古墳と、それとは対照的な
何とか博のパビリオンのような古墳館の中を見学して
私は妙な懐かしさと切なさを感じたことを思い出した。
古代の人は、死者の魂は地中にかえり、死後もまた
新しい生活が始まると考えていたようだ。
新しい生活が幸せなようにと、あの世での生活の場となる
古墳の壁に描かれた美しい文様から、残された者の
死者への思慕が伝わってくるような気がしたのだ。
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市の南側を横たうように流れる菊池川の万灯流しは
昔、景行天皇が山鹿に来られた時、霧の立ち込めた川に
村人が灯籠を流して道しるべにしてお迎えしたのが始まりで
千五百年も町で守り続けている。
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祭は、保存会の人たちが古代人のヘアスタイルと装束で
川下から天皇の一行が、岸では同じ格好の村人がたいまつを持って待つ
というオープニングで始まった。
このころになると、すっかり日が暮れた川岸に集まった観光客が
スポーツ観戦するように座って見ている。
天皇の小舟はドライアイスで霧を出しながら、スポットライトに照らされ
演出よろしく故事さながらに岸に着くのである。
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恭しく奉迎儀式が行われた後、たいまつの一行と観光客らは
千人灯籠踊りの会場へぞろぞろ移動していく。
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途中の町内の会館には、神社に奉納するために各町で競って作った
有名な城や神社をかたどった奉納灯籠が、灯りを入れて飾られていた。
夜店でにぎわう町なかでは、和紙で作った金灯籠を頭にのせた、浴衣姿の
若い女性を何人も見かけた。
会場にたいまつが届くと、これらの女性の灯籠に灯りがともされ、櫓の周りを
千人もの女性たちが一晩中、悠久の流れのようにゆっくりと踊り明かすのである。
(中略)
町ぐるみで守っている祭りの日には、どんなに遠くにいても帰ってくる人がいる。
そんな祭が日本にはまだまだあるのだという思いを胸に、私は次の旅の目的地
シーホークのある福岡へ向かうJRの列車に乗り込んだ。」
エッセイの内容は、25年も前のことで、現在は随分と様変わりしているのかもしれない。
フォローしているブロガーさんがアップされた、最近の動画を見つけて
載せさせて頂いた。