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BL小説感想日記

主にBL小説の読書感想。基本ネタバレ。
Twitter(chika3270)もよろしく。
ぼちぼち更新。

妓楼の戀水/橘紅緒

2016-06-16 16:22:53 | た行(作家名)
著:橘紅緒   絵:宮城とおこ



男でありながら遊女顔負けの美しい容姿を持ち、
郭で生まれ育った節にとって、人の情などその日によって変わるもので、
戀など現の世迷いごとのようなものであった。そんなある日、
東和財閥の御曹司、東和柾臣が浮雲花魁の客として遊廓を訪れた。
遊廓を知らず、礼儀正しく振る舞う柾臣の優しさに触れ、
節は生まれて初めて知る感情に戸惑い、傷つきながらも、
どうしようもなく戀に囚われて…。



橘さんの小説は全部持ってて(といっても作品数は少ないが)、
読むのがもったいなくて積んでいた一冊。

これを読んだらもう橘作品は読めないのかーと
寂しい気持ちを抱えながら読んだんだけど。。。



うん!いいね!
橘節が効いてるわ!



基本、遊郭ものとか時代ものって苦手で
あまり読まないんだけど、
これは受けが男のままでして。
座敷に上がることはあるけど
女装しないし体も売らない。



ただ顔は綺麗だから
適当に愛想を使い分けて
チップをもらうという感じ



それがなぜか東和(攻)に気に入られて
節(受)もダメだと思いつつ恋に落ちてしまう。



恋なんかしたら負けの世界で
恋心にブレーキを掛けられない節が切ない。


東和は私の好みの攻めではなかったけどねえ。
優しいけどそれだけが取り柄って感じで。


男としては葛城のほうが何倍もかっこよかった。


葛城が「お前、男でよかったな。
綺麗な顔の女は不幸になるしかないけど
お前は男だからまだどうにかなる」
みたいなことを節にいうんだけど
それが情に満ちてて素敵だった。



よくある話ではあるんだけど、
橘さんの作品ってなんかあとに残るんだよね。
しばらく気持ちが引きずられるっていうか。


独特の文章(酔った文章ともいうw)が
嫌い気持ちわるいっていう読者も多いけど
私は好物ですね。


あ~、橘さんもう新刊書かないのかなあ。
どうしてんだろうね。




★5


2016年16冊目


さよならのない国で/高遠琉加

2015-09-03 22:21:49 | た行(作家名)
著:高遠琉加  絵:葛西リカコ




どこかの山の上にあるという、『天国ホテル』。
そこでは、死んでしまった愛しい人に再会できる……。
慕っていた恩師を亡くして5年──。
ピアノ教師の春希は、恩師である月彦の甥・康と
二人暮らしをしながらも、月彦への想いを振り切れずにいた。
そんなある日、教え子から耳にした『天国ホテル』の不思議な話。
引き寄せられるように春希は、康とともに旅行に出るが……!?




これは…。



お花畑なファンタジーでした。



そんなホテルがあるなら行って会いたい人はいるけど、
読み進めると何も解決しないホテルだということが分かって
なんだかなあとなりました。


会いたい人に会えても
向こうはホテルでの記憶を留めておけないし
同じことの繰り返しで
ただいてくれるだけでいいと思っても
壊れたレコードみたいにリピートする日々ならいらないや。




周りで亡くなった方が多くて
いなくなることに対して感覚がマヒしてる部分もありますが、
死に執着した人とは私はあまり関わりたくないな。


春希は積極的に生きることを放棄した人で、
それを繋ぎとめてるのは康だけだった。



その康が命を引き替えにしようとしたとき
春希はやっと心を全開にしてぶつかるんだけど、
そもそも本当にそこまでして先生に会いたかった?
会いたかったとしても、
康との旅行を利用してまで
天国ホテルに行こうとした気持ちがずるくて汚くて
私は好きになれない。



でも、



と考える。


私の周りに死はあるけど
本当に身近な人を亡くしてないから分からないだけのかと。


そして、人ってそんなに潔癖じゃないなと。
だから春希はずるいけど嫌いにはなれないなと。



そんなことを想いながら読んだけど、
最後は先生への気持ちと康を想う気持ちは違うとか
なんか駆け足で解決しちゃって残念。



けど、綺麗にまとまってて
よくできたおとぎ話みたいでした。
葛西さんのイラストも綺麗だしね。



あぁ、しかし私は
死にまつわる話はもっと突き詰めるか
距離を取ってないと受け付けないかもしれない。



★3.5


2015年162冊目

新世界恋愛革命/鳥谷しず

2015-09-02 19:03:25 | た行(作家名)
著:鳥谷しず  絵:周防祐未


刑事の真壁には心底嫌いな部下がいる。
イギリス生まれのエルフォードだ。
年齢=恋人いない歴という劣等感のせいで、
あらゆることに恵まれた美貌の部下に嫉妬していた真壁だったが、
成り行きでその男とゲイ友となり、「パンストをはいた理想の
女装男を捜すのを手伝ってほしい」と頼まれてしまう。
捜査とプライベートで顔を合わせるうち、真壁は
エルフォードに惹かれてゆくが…?
年下変態紳士×ツンデレ眼鏡の恋。




素敵なフェチ本ですねw



最初は他の思惑があって
真壁(受)に近付いたエルフォード(攻)だったけど、
真壁と接するうちにツンデレ具合に惚れてっちゃって。



真壁のほうは、同じゲイといっても
エルフォードは変態だし…
って引いてるんだけど、
性格を知るうちに惹かれてしまって。




しかし、パンストフェチとはこれまた珍妙な…。




そういや、わたくし昔パンストを脱ぐとこと穿くところを
見せて欲しいとアホなこと言われたことあるんですけど、
エルフォードはそんな生易しいフェチじゃないね。



素肌に穿かせて大事なところを
いかに無駄なく破くかにこだわるからね。
アホですよ。


真壁もすっかり乗せられて
肌触りでメーカーまで分かっちゃうようになるからね。



くっついてからの二人がとにかく
ヘンタ…ゴホゴホ、甘々で微笑ましい。



どんなフェチがあるにせよ
誰にも迷惑かけずに二人の世界で楽しむなら
まあそれはそれでよしですよねw



しかし、破きやすいパンティという
注文をつけたエルフォードさんにはドン引きでした(笑)。



そして、やっぱり周防さんのイラスト好きだー!



★4


2015年160冊目


隣人は恋人のはじまり/月村奎

2015-07-02 19:46:13 | た行(作家名)
著:月村奎   絵:木下けい子



潔癖、偏屈、偏食で意固地な経理部会計主任の堂島 蛍が
この世で一番愛するものは、静寂と清潔だ。
人に好かれたいと思ったことはないし、恋愛とか結婚とか、
わずらわしいことは人生から排除している。
だから、今はとても幸せだ。……幸せな状態のはずだ。
そのはずなのに、なぜか胸がざわざわして、
蝶のつがいにさえいらついてしまう。
そんなある夜、酔っぱらった蛍は勢いで
恋人代行業の便利屋に電話してしまう。
現れたのは、清潔な匂いのするハンサムな男だったけど!?



もう何コレ。
途中で読むのが恥ずかしくなったよおおおおお!



蛍(受)がとにかく不器用なツンデレさんでして。
対人スキルがないから思考がかなり変でね。
小野(攻)は、そんな蛍を面白がって構い倒すの。



小野は最初から蛍のことが好みで
何度も挨拶してるんだけど、
蛍のほうは他人に興味が無いから
顔も名前も覚えてなくって。



それが酔っぱらったときの珍事件につながるわけだけど、
姫抱っこが気に入ってもう一回ってせがむ蛍が
可愛くて~!可愛くて~!



小野は最初っから好意を隠してないんだけど、
なんせ蛍には通じない。


小野の気持ちを確かめたくなって
彼氏できたとか嘘ついて
偽彼氏まで用意してダブルデートとかしちゃうww
そして、小野が連れてきた女性に嫉妬するwwww
その偽彼氏は同僚の宮村なんだけど、
「眠り王子にキスを」のあの宮村です。


このダブルデートのくだりが
私には耐えがたいほどの羞恥プレイで。

だって、小野のほうは蛍の嘘を見抜いてるんだもん。
宮村もなんか変だなって思ってるし
何も分かってないのは蛍だけ。


これはもう床ごろごろ
転げまわるくらい読んでて恥ずかしかったよ。



あとね、全体的にテンポが良いです。
ぽんぽんぽーんと進んでく。

蛍と小野の会話も面白いし
蛍の心のなかのツッコミも楽しい。


あと、意外と小野が下ネタ好きでね。
初エチのときに蛍が
「続きはまた…」って言ったら
「股ね」とか。アホかとww



小野は人たらしだよ~。
こんな奴に捕まったら大変だけど、
蛍ほど癖のある奴は
小野くらいコミュ力高い人が相手じゃないと
つとまらないよね、と。



そして、最後に「眠り王子にキスを」の
ショートストーリーが入ってました。



素敵です。
もう満足です。


最近、ヤクザものにまみれてたから
大変なごみました。

あと、蛍が潔癖で一人が好きになった理由も
ちょっと悲しかったかなあ。
こういうしんみりなエピソードを入れてくるのも
月村さんらしくていいね。


あ~、楽しかった!



★5


2015年112冊目

恋する僕たちの距離/遠野春日

2015-04-11 03:11:23 | た行(作家名)
著:遠野春日   絵:門地かおり


基紀は同じクラスで人気者の尚二が好きだが、素直に好意を示せない。
その想いを自然散策好きのオンライン上の友人「ヤスジ」に相談し、
告白を決意した矢先に尚二に彼女ができてしまう。
そこで基紀は彼への想いを断ち切るため、「ヤスジ」紹介の散策ルートを
辿ることにするが、そこにはなぜか尚二がいて!?
忘れようとするほど募る、切ない気持ち…
そんな2人の想いの距離は―?
遠野春日が贈る切なく甘い恋が、書き下ろしつきで登場!



これは…!
萌えた…!



遠野さんの893シリーズに途中で飽きて
もしかして私の萌えとは違うのか?
と思ってたんだけど、
そんなことない!ない!ない!
めっちゃ良かったよ、これ!



尚二も基紀もいい子だなあと。



尚二(攻)はネット上でトモこと基紀(受)に恋してさ。
告白してきた女の子をトモだと勘違いして付き合って。
基紀は彼女ができた尚二に傷ついて。



内田先輩からの告白を「好きな人がいるから」と
断らなかったのは基紀の打算ではあるけど、
それがかえってリアルで良かった。


内田からの不意打ちのキスを尚二に見られて、
ショックなのは基紀より尚二のほうだったりっていうのが
もうもうもう!っていう。



ネットって、リアルでは言えないことも言えたり、
逆につくろったりすることもあると思うんだけど
そのへんの描写が絶妙でして。



視点が受け攻め代わる代わるあるんで
どっちの心情もよく分かって
あわわってなります。




尚二は途中でトモが基紀だって気づくんだけど、
基紀は付き合ってからも尚二がヤスジだと気づけなくて、
でも尚二は基紀のリアルでは言ってくれない本音が聴きたくて
自分がヤスジだと言い出せない。



その辺のもたもたが可愛いの。



お互い好きだから言い出せないっていうのが
お姉さん(おばさん)にはたまりません!



付き合ってしばらくして基紀が
尚二はヤスジじゃなかって気付くんだけど、
そこらへんのごちゃごちゃもご馳走でしかないw



あーーーー!かわいかった。



そして、尚二が意外と性体験が豊富で
オヤジ並にエロいのにも萌えました。


オススメされて読んでみたんだけど、
買って良かったです♪


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★5


2015年61冊目

すみれびより/月村奎

2015-03-09 07:34:50 | た行(作家名)
著:月村奎   絵:草間さかえ


初恋は実らない。花すら咲かない。
だから再会なんてしたくなかった。
学生向けの下宿を営む祖母のもとで暮らす芙蓉は
6年前の淡い恋の記憶だけを大切にして生きている。
それは芙蓉にとって一番大事な宝物だ。
ところがかつての片思いの相手である西澤が、
大学進学のために祖母の下宿に入居してきた。
昔の面影を残しながらも、もっと魅力的になっている西澤に
切なさとともに胸の痛みを覚える芙蓉だったが…?



初恋は実らないとか
恋は信じられないからもうしないとかって
恋愛小説の王道設定だけど、
芙蓉(受)の場合はそう思っても仕方ないです。


両親が早くに離婚し、
母親から育児放棄されて、
母親が連れ込む男に虐待されて、
でも母親と男はいつも長く続かない。


食事も衣服も満足に与えられず、
「お前なんて産まなきゃ良かった」
という母親の言葉と
国語の授業で発音は同じだけど違う意味の言葉があると知ったとき
「芙蓉」=「不要」だと悟るのね。


何にも誰にも期待せず、
クラスから浮いて苛めのようなことをされても
自分は不要と唱えて
平気なふりして淡々と一人で過ごすんだ。


でも、西澤が東京から転校してきてその生活が一変する。
移動教室もペアを組むときもいつも西澤が
そばにいてくれるようになって、
人といることの心地良さを知るの。

西澤は皆に優しくて責任感が強いから
一人でいる芙蓉を放っておけなかっただけだけど、
芙蓉にしたら、



そら惚れてまうわー。です。



だけど、児童相談所に通報されて、
芙蓉は東京で下宿を営む祖母の元に引き取られることに。
西澤との付き合いはたった半年の間だったけど、
芙蓉にとってはかけがえのない宝物みたいな半年間だった。



芙蓉は、西澤から借りた雑草図鑑を
返せないまま持っていて
何度も繰り返し読み返すうちに
雑草博士みたいになっちゃいます。



その雑学が上手い具合に
物語と絡んですごくいいです。


梨木香歩さんがよく植物と物語を絡めるけど、
あのテイストに似てるなあと思いました。



芙蓉は過去が過去だけに自分に自信がなく、
人に好意的な態度を取られても
真に受けるってことをあまりしないです。
どこか他人事で、自分なんてって思ってしまいます。
それが歯痒く感じたりもするけど、
それが自衛なんだと思うとすごく切ない。



西澤は嫉妬深くてストーカー気味な男子なんだけど、
芙蓉にとっては白馬の王子様、または
かっこいいヒーロー的存在で、
そのギャップもいいです。



二人の仲を温かく見守る下宿人の田上も、
愛情表現が下手な祖母も
なんだかみんな愛しくてほっこりしました。



絡みはさらりと終わるけど、
この作品の場合はそれで十分でした。



地味だけど、素敵な作品です♪



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★5


2015年49冊目

朱い熱 私立櫻ケ丘学園寮/橘紅緒

2015-02-08 18:34:57 | た行(作家名)
著:橘紅緒    絵:北畠あけ乃



美しく整った容貌とは裏腹に、
他人を傷つけることを厭わない松嶋理利は、
それゆえに『櫻丘寮の悪魔』と呼ばれている。
そんな彼を、愛情をこめて『リリ』と呼ぶ生徒がひとりだけいた。
松嶋の従兄であり、櫻丘寮の寮長も務める斎木志鶴だ。
誰をも信じることのない松嶋にとって、志鶴だけは
信じることのできる存在であり、志鶴がいるからこそ、
松嶋は生きていることができたのだ。そのはずだった―、
志鶴のある言葉を聞くまでは…。


「私立櫻ケ丘学園寮」「恋 私立櫻ケ丘学園寮」に続く三部作完結編。



毒舌キャラ松嶋(受)の話です。


烏丸に辛く当たっていた理由と
ミオを認めた理由が分かりました。


そして、なぜそんなにも頑なに心を閉ざしていたのかも分かり、
なんだかな~、となりました。


志鶴(攻)は心からリリが欲しくてたまらず、
でもある事件を境にリリに罪悪感を抱くようになる。



でも、リリからしたら
それは見当違いのものであり、
近くにいればいるほど辛くなる。



離れたくないけどキツイ。
だけど本当のことも言えない。
触れたいのに触れられない。


読み終わってみれば、
そんな風にリリが一人で
ぐるぐるしてる話でした。



でも、リリの事情を考えれば
それは仕方ないのかな~と。


相手に殺されたい、または
相手を殺したいほど愛するって
しんどいなあ。


病んでる二人の話なので
全体的にじめじめしてて暗いです。



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★3.5


2015年32冊目







恋 私立櫻丘学園寮/橘紅緒

2015-02-05 21:13:29 | た行(作家名)
著:橘紅緒    絵:北畠あけ乃



「センパイが恋愛する相手は、俺じゃなきゃ嫌だ」
私立櫻丘学園寮の入寮日、三尾純弥は姫城忍と出逢った。
櫻丘寮には二年生が新一年生をマンツーマンで指導・担当する制度がある。
三尾の担当が姫城だったのだ。誰に対しても公平で優しい姫城。
三尾はすっかり姫城に懐き、可愛がられるようになる。
だけど、自分は特別な存在じゃない…姫城への恋心に気づくと同時に、
残酷な事実を三尾は知ることになるのだが…!?
恋するせつなさ、苦しさ、喜びを綴った物語をあなたに―。




中学生の恋愛ってなんてオイシイのw


ミオが真っ直ぐな子で
姫城が可愛がっちゃうのも仕方ない。

そして、姫城が
ミオの「好き」をただの憧れの「好き」なんじゃないかと
疑ってしまう気ちも分かる。



ミオより実は姫城のほうが本気。
でも年上だから慎重になる。



中学生でそんな思慮深いやつおってたまるかという
ツッコミはナシでw



しかし「高等寮の悪魔」と呼ばれてる
辛辣な口をきく松嶋をも味方につけるミオ恐るべし。
やっぱり素直な子っていいね。


ミオが珍しく弱気になって姫城を避けたときに
松嶋がさりげなく仲を取り持つのも良かった~。


松嶋は悪い奴じゃない。
ミオは松嶋のことを裏表がなくていいって言うけど
ミオの同室の槇は裏ばっかじゃねーかと言うやりとりがあって、
なんかそのシーンが妙に好きだった。



松嶋がミオを認めたのは
そういうところを好ましく思ったからなんだろうね。
前作で烏丸を嫌った理由がなんか分かる気がする。



てことで、
私は松嶋のキャラにやられてるので
朱い熱も読まねば、ていうか買わねば、です。



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★4


2015年29冊目

私立櫻丘学園高等寮/橘紅緒

2015-02-05 19:40:04 | た行(作家名)
著:橘紅緒    絵:北畠あけ乃



「俺と、つきあってくれないかって頼んでるんだ」
私立桜丘学園高等寮で暮らす烏丸旭には、
その気になった男を弄ぶという悪い噂があった。
そんな旭の前に、端正な容姿と雰囲気から王子と呼ばれ、
憧憬される寮生・伊達洸貴が現れる。それまで誰とも
均等な距離を保っていたはずの伊達だったが、
旭には好意を隠すことなく接してくる。初めは伊達を避けていた旭も、
少しずつ頑なだった心を溶かされ、やがてつきあうことになるのだが…!?
恋するせつなさ、苦しさ、喜びを綴った物語をあなたに―。



久々に学園ものを読みました~。
ほんの1年前までは
高校生万歳で結構読んでたのに
いつのまにかリーマンと893と刑事に
心奪われてしまっておりました。


で、原点に戻って
初々しいの読みたい!ってなり
こちらを読んだわけですが、
相変わらずの橘先生w


話の内容は学園ものあるあるなんだけど
それがまた癖のある文章で書かれると
ツボってしまう。



烏丸がビッチってのは噂でしかなく
どっちかってえと美貌ゆえの被害者なのね。


王子はそんな烏丸に興味を覚えて
お近づきになって手懐けて可愛がる。


烏丸は、一人でいいやって
強がってたんだけど、
王子のおかげで幸せな学園生活を送れるようになる。



でも、ある事件をきっかけに、
王子が烏丸に接触してきた理由を知り、
王子を信じられなくなってしまう。



これね、主人公がちょっと残念かな。
もうちょっと自分の置かれた環境を
どうにかしようともがいてほしかった。


味方の寮長とルームメイトがいなかったら
学園生活送れてなかったと思うよ。


王子のおかげで幸せになれて
感謝しないといけないのに声も聴きたくない



と言ってしまう烏丸を
ちょっとぶん殴りたくなった。
悲劇の主人公すぎた。
自分が噂の標的にされて嫌な思いをしてきたのに、
ちょっと嫌な話聴いたくらいで
王子の優しさを信じられなくなるのはいかがなものかと。



でも、王子を信じられないのは
自分を信じられないってのと同義で
だから臆病になっちゃったのかなとも思った。


この年代特有の情緒の不安定さや
友人関係の複雑さがよく描かれてて
「ああ、学園もの読んでる」っていう
満足感が得られて良かったです。



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★4


2015年28冊目

ラブシック/橘紅緒

2015-02-05 08:49:13 | た行(作家名)
著:橘紅緒   絵:笹上



「俺はあんたのなに?」ボーイズバーで働く奥菜朗の前に、
客と一緒に現れた男は、朗が夏に別れた恋人、赤穂万里だった。
一年前に出逢い、あっという間に恋に落ちた。魅力的なぶん、
厄介な相手だとわかっていても、気持ちを止めることはできなかった。
とてもとても好きで、夢中だった。
そう、万里のてひどい裏切りを知るまでは…。
ほろ苦く、そして甘い恋の物語、ついに登場。




好きだったのに、相手もそうじゃなかったと知って別れ、
そして思いがけないところで再会し、またすれ違う。



万里がかなり節操のない男。
でも朗が惹かれる気持ちも分かる。
ハマったらヤバいと思ってる時点で
もうそれはハマってんだね。



そして、嵌めた朗の姉貴が
私はちょっと嫌いです。



万里に対しても朗に対しても
不誠実というか策士ぶって
人の恋心を操ろうとするのはどうかと思う。



万里は、朗に好かれてる自信がなかったんだろうけど、
だからって次々と他の人と関係を持つのはいかがかなものか。
でも、それも全部万里の魅力として映るんだから
朗はもう重症だね。


全体的に「んな高校生、大学生おるかい!」
っていう現実感のなさだけど、
なんとなく勢いで最後まで読まされてしまう。



さすが橘さんといったところでしょうか。



結局、なんだかんだ言って好きですねえ。
こういう作品。


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★4

2015年27冊目

家族になろうよ/月村奎

2015-01-04 08:53:33 | た行(作家名)
著:月村奎   絵:宮城とおこ


大学三年の北爪空は両親を早くに亡くし、誰にも頼らず、
ずっと独りで頑張って生きてきた。そんな空だけれど、
ある自転車事故をきっかけに、商店街で洋食店を経営する
堤隼人と知り合い、隼人の店でアルバイトをすることになる。
今までも、これからも縁がない、普通の家族の風景。
それは、空には憧れの空間だった。自分の居場所はどこにあるんだろう?
寂しい空の心に、隼人の存在はどんどん大きくなっていき…
生まれて初めて恋をする、空の不器用な恋の物語。



家族がいなくて経済的にも苦しい。
就職活動が上手くいかず、
誰かのせいにしたくないけど
心のなかにドス黒い感情がたまる。
そんな自分が嫌で
だから愚痴も悪口も言わない空。


そんな空を実の家族のように扱ってくれる
堤家の人々に癒され、やがて隼人に惹かれていく。



ここまでは良かったんだけど、
それからの展開が
王道すぎて萌えなかった…orz



いや、王道はめちゃ好きだし
月村さんらしい話だし
安定感はあるんだけどね。
なんで萌えなかったんだろうか。


とんとん拍子すぎたのかなあ?



家族バレするところも
あっけなかったし。



なんか惜しい!ってなちゃった。



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★3


2015年2冊目

おとなり/月村奎

2014-12-24 09:45:58 | た行(作家名)
著:月村奎  絵:陵クミコ




とある商店街に並んで建つ、大変仲の悪い久保田家と芳野家。
久保田和菓子店の次男で、学業優秀な博紀は、
会計事務所と喫茶店を営む芳野家の次男・哲と、
家族に隠れて友情を育んでいる。
一方、高校の頃のある事件をきっかけに、
家族とは無関係に諍い合うのは、久保田家の長男・多紀と
芳野家の長男・力。そんな二組の友情や諍いのバランスが、
ふいに変化した時…?兄弟2カップルの恋を描いた人気作、待望の復活。




無自覚に哲に惚れてる博紀は、
哲が女の子とキスしてるのを見て、
やっとで自分の気持ちに気付く。


そこからの展開がねえ。
おかしいやらなんやら。


哲は頭悪いくせにバカじゃないってのが良かったな。
エッチの描写はないけど、
初エッチに挑む前にホラー映画を見て
怖さを和らげようとする哲が可愛いです。



兄カップルは、
多紀が意外とダメな子でした。
そのダメな子をいじめて喜ぶのが力でして。
これはこれでいいカップルだったな。


好きな子をいじめる力が
なんか魅力的でね。
大人なのか子供なのか
よく分からない人だけど
どSなのは間違いないw



萌えはしなかったけど
微笑ましくてよかったです。



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★3

2014年479冊目

もうちょっとで愛/田知花千夏

2014-12-15 03:40:07 | た行(作家名)
著:田知花千夏   絵:のあ子



地元の小学校へ赴任した篠田正一は、犀川輔と再会する。
幼なじみの輔が繰り返す「好き」を冗談だと
取り合ってこなかった正一。しかし、米農家の稼ぎ手である輔が
実は人気のクレイアート絵本作家で、その代表作のキャラクターの
モデルが自分なのだと知って驚く正一に、輔は本気のキスを―。
いつも飄々としている輔が見せる獰猛さに正一は…!?




輔(攻)の「好きだよ」を冗談で片付けてきた正一(受)。
高校時代には輔に女の子を紹介して
くっつけたこともあるし、自分にも過去に一人交際した女性がいた。


それでも、いまは正一の隣にいられるのが嬉しい。
心地いいし、このままずっといられたらと思ってる。



なのに、輔が本気のキスを仕掛けてきたせいで
関係がギクシャクしはじめる。


正一は、本当は昔から気づいていたのだ。
輔が友情以上の熱量で自分を見ていたことを。


そして、自分もそれに応えたいと
思っていながら、狭い田舎社会で
噂になることが耐えられず
必死に気持ちをごまかしていたのだ。



結局はね、最初から二人は両想いだったの。
輔は正一が必死で隠してる気持ちを見抜いてた。
けど、臆病なのも知ってたから
あえて追い詰めるようなこともせず
頑なな心が解けるのを待ってたんだけど、
さすがに限界がきたってことで。



もうちょっとで愛どころか
最初から愛でしたってお話。


オチが見えてるもんで
特別な感動はなかったし、
やり取りが特別面白いってわけでもない。


けど、田舎町の描写や
教え子の子供たちとの交流が
なんか温かい気持ちにしてくれる。


元が両想いなので、
どっちかっていうと
甘々な印象。


輔の辛抱強さと忍耐力には脱帽だし
正一はちょっと無自覚に輔を
傷つけすぎたよなあとも思う。


でも、付き合うとか恋人とか
そんな括りにしてしまわず、
大事だから、一番だからそばにいるっていう
割り切りかたは好きでした。


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★3

2014年472冊目

早暁のゼラニウム/千夜時久睦

2014-12-12 17:20:27 | た行(作家名)
著:千夜時久睦   絵:水名瀬雅良


「死んでもいいよ。誰かにそう言ってほしかったんだろ?」
花島駿一はある雨の夜、傘もささず自分を痛めつけるかのように
雨に打たれている男に出会う。
放っておくことができず、駿一は男を自宅へとつれ帰る。
だが、部屋に入った途端男は
「あんたが死にたくなるくらい、愛してあげる」
と駿一を押し倒し・・・。



おっと~。
予想してたより暗くてでも甘くて、
そして何よりヤクザ絡みってことに
ビックリしました。
あらすじにんなこと一言も書いてねえ。
嬉しい誤算だわ。

マジこのあらすじ
モノ申す!ですわ。
全然魅力が伝わってない。


駿一を押し倒し…、
とありますけどレイプみたいな
イタイことでなく、
しかも押し倒した方が受けですw



男は海留(かいる)っていうんだけど、
拾われた=買われた
と思って押し倒すのです。



海留はやくざの愛人で
そこから逃げてきたもんで
追われる身。


駿一は訳あって
ヤクザのフロント企業の
税理士をやってる危ない身です。



お互い、干渉せず、あの夜以降は
身体も繋げずに暮らしてたんだけど、
だんだんと気持ちが寄り添ってきて
些細なことで嬉しくなったり
幸せな気持ちになったりしていきます。



その辺がじっくり描かれてて
ほうほうほう、と…。
プリンのくだりなんて
可愛くてたまんね。
駿一の不器用さんぶりがね、いいですよ。



途中で海留はヤクザに見つかって
連れ去られるんだけど、
駿一が危ない橋を渡って
救い出し、二人で逃げる決意をします。



ハラハラドキドキはそこまでないです。
たぶん、淡々と書かれてるせいかな。


駿一の過去を読むと
最初の夜に男相手に体を繋げたのも
納得できる。


海留がちょっとズレてんのも
情緒が未発達なのも
過去を知れば納得できる。


しかし、愛を信じて
手に手を取って逃避行とか
なんかロマンチックだわーw


話自体はヘビーなのに
読み終わったら、
なんだかんだで甘々じゃん!
ってなりました。


店頭で見て衝動買いして良かったです♪



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★4

2014年469冊目

恋する臆病者/月村奎

2014-12-11 03:58:20 | た行(作家名)
著:月村奎    絵:小椋ムク



出版社営業の玲は、俳優・椎名貴博の大ファン。
その椎名がエッセイ集を出し、サイン会の仕事に玲も立ち会った。
テンパるばかりの玲を椎名がなぜか気に入り、
「付き合ってほしい」と夢のような言葉を告げられる。
けれど、嬉しさよりも当惑が勝る玲。というのも、
過去に付き合った相手から玲は『淫乱』と罵られていた。
それがバレたら、きっと椎名にも嫌われる!
玲は椎名好みのタイプを目指すべく、一人奮闘するが…?




玲(受)が、元彼にされた仕打ちが
トラウマレベルの酷いものでして。
それで恋に臆病になってんだけど、
椎名(攻)の積極的なアプローチに
とうとう交際のOKを出す。


けど、テンパり癖のある玲は
思考がぶっ飛んでて
かつ自己完結しちゃうもんで
椎名は振り回されっぱなし。


椎名も椎名で
変に自信がないから
普段はポジティブなのに
玲とのことになるとネガティブになって
いらぬ誤解をしてしまう。



くっついたかと思ったら
試練がやってきてすれ違って
お互いがお互いを好き過ぎて
もたもた。。。


それがウザくならない程度で
収まってるんで
読んでておかしくて仕方なかったです。


「片思いアライアンス」
同じテイストの可笑しさかも。。。



結局、恋に臆病なのは
玲だけじゃなかったってオチだけど
いい塩梅の落としどころだなと思いやした。



しかし、自信満々そうな椎名が
玲のことであたふたするのがたまらん。
ベタ惚れの攻めっていいよねー。
受けは自分を卑下するけれど
もしかしたら無自覚の魔性かも。。。


あと、二人ともお互いにとって
魅力的でありたいと努力して
仕事に精を出すところがまたイイ!!



椎名と玲を引き合わせた
大橋という編集者も
椎名のマネージャーの中野さんも
曲者で面白い。



ペーパーは椎名視点。
こちらも甘々で良かったです。


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★5

2014年467冊目