
8巻の感想
ついに日菜子を共有することになった、八日堂と大桑。
結婚しないという日菜子。それでいいという八日堂と大桑。
果たしてこのままで良いのか・・・!?
帯コメントには
「私は、嘘つきです。
始まりはひとつの嘘。その嘘に縋り、その嘘を愛し、その嘘と向き合い、物語は決着する。
必死でついてた嘘が尽きた、第9巻!!」
とのこと。
すっかり三人でいる事を受け入れた大桑は、
八日堂がいる時じゃないと日菜子とはエッチしないという。
戸惑いながらもそれを受け入れる日菜子。
そんな二人と親密になった八日堂の前に、なんと舞がやってきます。
そう、大桑の浮気相手の、舞。

昔から二人を知る舞は八日堂に身を引けといってくる。
それどころか、自分達が付き合えば丁度良いんじゃあ・・・なんてことも。
身を引けという舞、身を引いたら負けだと思っている八日堂。
噛み合わない二人だけど、この作品のストーリーを見てきた読者なら、
どちらの言い分もよくわかる。。。
なんとも切ない。。。
相変わらずな三人。

普通の3Pのようにも見えるけど、これが普通になっちゃってるこの三人は、
やっぱり普通じゃない。
その後、自分がどうするべきか?と物思いにふける八日堂。
どうすれば上手くいく、どうすればモノに出来る、どうすれば・・・
そう、どうしてこう「理由」を沢山考えないといけないのか。
そういう想いに至った八日堂は、二人を海に連れ出す。
連れだしたのは口実で、実は

この今の歪んだ関係を作りだしたのは日菜子が元凶。
なので答えを出せ、と。
今の三人の関係は「その答えが出せないから」一緒にいる、
という根底を改めて覆す問いかけ。
これに反発する大桑と、揺れる日菜子。
結果、八日堂は振られてしまう。

「あぁ・・・これに・・・耐えなきゃいけないのか」
とか切なすぎて・・・うおぉ・・・
久々に、胸をえぐられるような切なさを感じました。
一方で、八日堂がリタイアした事を受けてアタックをかける大桑。
しかし、

「終わらせる勇気を貰ったから。終わらせないといけない。
一緒にいてくれてありがとう」
うわーっ・・・
もうもうもう・・・
涙なしには語れませんね、ここは・・・
んでその後2年が経過。
その後、誰も誰ともくっつかずに経過し、
八日堂のことを狙い始める女の子も登場。
しかしそんな折、久しぶりに日菜子が八日堂の元にやってくる。
そして交わした言葉は「うそつき」について。
うそつきは嘘をついていた。でも、それは本当の嘘だったのか。
本当の裏に隠されていた嘘。嘘で塗り固められた本当。
そんな関係でしか、二人は出会えなかった。
だからこそ、今二人は本音をぶつけあう・・・
いや、嘘を重ねる。
そして・・・

という訳で。
揉めに揉めたこの作品、ついに完結です。
後半、共有の辺りからどうなるかな?と思ったものの、
結果的に綺麗にまとまって非常に良かったと思います。
その後の大桑はどうなったとか気になるし、気になる大和田さんは続編が出るということで、
今後も楽しみなうそパラ。
この作品の素晴らしさは数々のモノローグにも込められていたと思います。
が、ラストのこのモノローグは極上でした。鳥肌ものでした。
「音になった以上の意味がある
同じ言葉でも
話されるたびに意味が変わる
俺は
五感の全部を使って
言葉に隠れた君を見つけ出したい」
もうね、このモノローグがこの作品の全てを表していますよ・・・
素晴らしい作品でした!!!
うそつきパラドクス 9 (ジェッツコミックス)
posted with amazlet at 12.06.29
サトウナンキ きづきあきら
白泉社 (2012-06-29)
白泉社 (2012-06-29)