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歌う風抄~すれ違う風~

2023-03-12 19:07:39 | 短歌
角折れて入ったこの道 人影の無くて私とすれ違う風

聞き耳を立てれば再び聞こえずに静まっている無人の部屋は

鴉らの忙しく交わしている声を聞きつつ覚めて雪の積む朝

一片の窓から入ってきた雪の静かに消える雫残して

あの頃はラジオで共に楽しんだオールデイズを聴くイアホンで

聴いているオールデイズのこの歌も既にこの世に無き人の声

雀らはいつも四、五羽で連れ立ってあちらの屋根へこちらの屋根へ

夢に来て顕つ面影は晩年のものより常に若き日のもの

昼過ぎて一度響いた雷鳴を記して今日の日記を閉じる

ヘッドホンに満ち満ちていた音楽の終って音無く冷えている夜