静岡文化芸術大学 室内楽演奏会

静岡文化芸術大学で学生が中心になって企画・運営を行う室内楽演奏会のブログ

プログラム「青銅の響き~バリ島の四音音階のガムラン・アンクルンの世界」

2013年06月15日 | バリ島のガムランコンサート情報
 7月20日に開催される「青銅の響き~バリ島の四音音階のガムラン・アンクルンの世界」のレクチャー&コンサートのプロフラムは以下の通りです。なおレクチャー部分は、各曲の説明や、楽器の説明などを織り交ぜていきます。曲目をクリックすると、この曲の解説入りのブログページとリンクしています。なお、プログラムの順番は変更することもありますのでご了承ください。

1. ギラッ Gilak (器楽曲)
2. パニャンブラマ Panyembrama  (舞踊曲)踊り:近藤ゆま・大野里美
3. バリス Baris (舞踊曲)踊り:安田 冴
4. マルガパティMargapati(舞踊曲)踊り:車田れい子
5. ブンドゥ・スアラ Bundu Suara (器楽曲)

(休憩10分)

6. チャトゥル・アングリット Catur Angurit(器楽曲)
7. チェンドラワシ Censrawasih(舞踊曲)踊り:大野里美・安田 冴
8. ジャウク・マニス Jauk Manis(舞踊曲)踊り:荒内琴江

上演演目~器楽曲ギラッ

2013年06月15日 | バリ島のガムランコンサート情報
 ギラッ gilakは本来、曲名ではなく、八拍を一周期とするゴング周期の名前です。

  G       G K   K       
 ||:1 2 3 4 5 6 7 8 :||

 Gがゴングの位置、Kはゴングより少し小さなクンプルです。写真の手前に見えるのが、ゴング、奥のものがクンプール、一番小さな楽器は、ギラッには使用しません。八拍はグルグル繰り返されるわけです。実は今回の舞踊曲《バリス》も、中間部以外はすべてこのギラッのゴング周期で構成されています。
 さて、今回演奏する《ギラッ》は、要するに村の人も曲の名前を知らず、曲名を聞いても「ギラッ」というだけです。ということで曲名も《ギラッ》としました。大学で4月から授業が始まって最初に教えた曲がこの《ギラッ》。はじめは皆とまどって、なかなか覚えられずにたいへんでしたが、今はばっちり演奏できます。
 このスタイルのギラですが、実はガムラン・アンクルンを伴奏につかうワヤンで終曲に演奏されているのを聞いて、若い頃、クロボカンという村に習いに行ったのです。そのとき、ちょうど寺院のお祭りで、今回演奏する寺院儀礼で演奏していた、ワヤンの時とは異なるバージョンで演奏されていたこの曲を聞きました。神々を迎えた寺院で賑やかに演奏されていたことを今もよく覚えています。
 今回のコンサートでは、その幕開けに演奏します。賑やかさに驚くかもしれません。もちろん芸術表現の授業に参加した学生は、サリ・メカールに加わって全員参加しています。
 


上演演目~バリス

2013年06月15日 | バリ島のガムランコンサート情報
 《バリスBaris》は、本来、数多くの男性が武器を持って隊列をなして踊る集団舞踊を起源としています。これらの舞踊は、現在でも寺院儀礼などでバリ各地に見られ、奉納舞踊として演じられています。
 今回上演する単独で踊る《バリス》は、舞台用にアレンジされたもので、その歴史はそれほど古くありません。一人で踊るため、一人(あるいは「1」)を意味するトゥンガルという言葉を伴って《バリス・トゥンガル》ともよばれます。
 若い兵士が戦場に赴く時の勇気や誇り、緊張感を表現した踊りともいわれ、躍動感にとんだバリではひじょうによく知られた舞踊です。小学生にあがる頃の男の子たちが、バリ舞踊を習い始めたとき、まず最初に学ぶのがこの曲。なぜならば、男性舞踊の基本がこの舞踊の中にしっかり詰め込まれているからです。
 今回は女性ながら、この舞踊を習得した安田冴さんが演じます。写真は、4月に音の森ガムラン・スタジオでおこなわれたガムラン・アンクルンのコンサートで《バリス》を踊る安田冴さん。今回の「青銅の響き」のチラシに描かれているのはバリスの踊り手。そして写真も安田さんです。バリ人だと思ったでしょう?

悲しい音楽~ブンドゥ・スアラ

2013年06月15日 | バリ島のガムランコンサート情報
 今回のガムランのコンサート「青銅の響き」では、器楽曲(踊りが伴わない)が3曲演奏されます。そのうち古典曲である《ブンドゥ・スアラ》は、死者の魂を天界に導くために演奏される作品で、この曲は各地で演奏されるレパートリーのようですが、地域によって異名同曲が多いそうです。この曲を《ブンドゥ・スアラ》と命名してくれたのは、今回、サリ・メカールのメンバーとして浜松で演奏してくださるプトゥ・スティアワンさん。「ブンドゥ」は悲しいという意味、スアラは、音や声という意味ですから、「悲しい音楽」となります。プトゥさんは、名前の通り、生粋のバリ人です。彼の村ではこの曲を《ブンドゥ・スアラ》と呼ぶそうです。ゆっくりとした、バリ人にはとても切なく、悲しく響く曲なのです。
 ところで、今回の写真、日本で発売されている「bronze BLOSSOMS」と題されたバリのガムランのCD(ビクター VICG60410)にも、この曲が4曲目に収録されています。タイトルは《アンクルンAmgklung》となっています。こちらのCDの解説は皆川厚一さん。彼も今回、サリ・メカールの公演に演奏者として参加します。