スランゴスレン鉄道 その2
ウェールズ語の発音は難しく、LLの最初のLはスに近い音ということは後から知りました。Llangollen は、ルランゴルレンではなくスランゴスレンなのでした。
スランゴスレンは、ウェールズ北部の小さな町。商業発展のために運河(水路)が造られ、やがて鉄道が敷かれます。
スランゴスレン鉄道は、廃線となっていた鉄道の一部を復元した保存鉄道です。ディー渓谷沿いの美しい自然の中をSLや気動車が走ります。
また、ウェールズは民族意識が強く、ウェールズ語や独自の芸能に強い愛着があります。その表れとして、ウェールズ語による詩の朗読や音楽の集い(アイステッドフォード)として芸術祭、音楽祭が毎年夏に開催されています。スランゴスレンもその会場のひとつで、会期中は多くの人々で賑わうそうです。
スランゴスレン駅を遠望した風景です。山、川、駅、腕木信号機。線路の幅がもう少し狭ければ日本のローカル線風景と言ってもおかしくないほどです。
ホームには2輌編成のディーゼルカーが停車しています。左側に流れる川はディー川。画面奥方向に進行すると前回登場したBerwyn駅です。
スランゴスレン駅付近の歩道に埋め込まれた標識です。スランゴスレンは音楽の町とも呼ばれ、毎年夏にスランゴスレン国際アイステッドフォード(音楽祭)Llangollen International Musical Eisteddfodが開かれることで知られています。歩道に点々と埋め込まれているこのマークは、その音楽祭会場までの道しるべと聞いたように思います。
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スランゴスレンは運河でも有名です。かつては人や馬が舟を曳き、水運を担った運河でしたが、鉄道の出現により衰退。用水路として残っていたスランゴスレン運河は観光用に復元され、多くの旅行者を集めています。
舟はナローボートと呼ばれ、運河の最も狭い幅に合わせたサイズです。写真はすれ違うナローボートですが、これでも水路の幅が広い方です。
ポントカサステ水路橋(1805年完成)の遠望です。スランゴスレン運河はここで水路橋によりディー川を跨ぎます。英国で最も高く長い水路橋です(世界遺産)。産業革命で作り出された鉄が支えているそうです。
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ディー渓谷の変化に富んだ眺め、牧草地と疎林、石の街並み、運河。スランゴスレンは小さいけれども忘れ難い街です。もう一度訪れてみたい街のひとつです。そのときはスランゴスレン鉄道の乗客として。∎
RICOH / GR DIGITAL
ウェールズで出会った車両2 スランゴスレン鉄道 その2