■ドイツへ
イギリスでの日程を終了し,ドイツへ発つために朝6時に眠い目を擦りながらホテルを出発。早朝でも空港へ向かう道路は込んでいた。しかし,広いせいか渋滞はなく予定どおりにヒースロー空港に到着。
明るいヒースロー空港の待合室。ここで朝食に寿司を食べたが日本のそれとは別物だった(笑)。
この空港は10年前に荷物をチェックされた苦い思い出があるので心配していたが,今回は飛行機が遅れるハプニング。ドイツでドレスデン行きの列車の接続があるのでちょっと冷や冷やしたが検査が短時間で終わったことと,かなりの余裕を見込んでおいたので昼食の時間が無くなっただけで無事間に合った。
ところが,ベルリン中央駅に着いたのはよいが,ヨーロッパの鉄道が初めての私にはどこでどのように列車に乗ればいいのか分からない。ドイツの駅は日本とは異なり案内がないとは聞いていたし,鉄道に関しては詳しいつもりの私でも戸惑った。どのホームに行き,どこで待っていればいいのか,予約した切符には書いてない(笑)。構内は清潔で広告もなければ時刻表や乗車位置の案内も見当たらない。ドイツ人らしく?潔癖な造りなのだ。しかし,困ったときでも道は開かれるのもで,落ち着いてよく見れば通路の隅に発車の案内があり,これで3番線に行けばいいらしいことが分かった。
やっと発見した発車案内表示。一番下のプラハ行きが私の列車。
■憧れのDB特急に乗る
さて,そのホームに降りて次はどこに止まるかを確認しなければならないが駅員が一人もいない。聞きまくるほかはない,と前を見ると都合よく(笑)DB(デー・ベー。Deutsche Bahn。東・西ドイツ国鉄が1994年に合併,民営化され,現在はドイツ鉄道)の制服を着たおばさんがまさにパンをパクついている。日本では見られない光景だが(笑),この際聞いてみる他はない。切符を見せて尋ねると先頭だ分かった。やれやれ。そこに模型でお馴染みの赤い電気機関車に引かれた特急列車IC371列車がしずしずと入線。これでやっと憧れのDB特急に乗れると思ったがドアが開かない。第一,取っ手がない!一瞬どうしようかと思ったが,横にボタンがあるのを見て躊躇わず押すと静かにデー・ベーへの道が開かれたのであった。
IC371の車窓から見たベルリン中央駅ホーム。モダンで清潔だが。。。
ヨーロッパのプラットフォームは低いからステップに乗って重いスーツケースを引き上げながら乗車。ようやく,憧れのデー・べーの車内に入ることができた。スーツケースは端の荷物用ラックに置く(不安もあったが,結局無事だった)。確かに座席もあった(当然だが)。シートには詳しい時刻表も置いてあった。この列車が私をドッツァーの,そして聖母教会(フラウエンキルヘ)のドレスデンに運んでくれるのだ。
■静かで落ち着いた車内で
周知のように,ヨーロッパでは列車は何の予告もなく動きだす。静かだ。異論もあろうが,私はこれがいいと思う。時間が分からない大人はいないだろうから。
ドイツの客車は大型なので安定していて遮音性も良い。甲高い音は一切ない。車体の剛性が高いのだろうか腰が据わっている。さすがベンツの国だ,さすがDBだと感心していた。
ベルリンを過ぎるとすぐに車窓は田園風景に変わり,いかにもドイツの田舎という感じになる。どこまでも平坦でよく見渡せる。カラスが多い。たまにハヤブサらしき鳥が飛ぶ。早起きしたにもかかわらず眠気も催さずひたすら車窓の風景に目をやる。
身体がドイツ鉄道に慣れた頃,私の目はいろいろと変わった点を発見する。窓が汚い。DBはあまり掃除には熱心ではないらしい。天井の照明がところどころ切れている。また,そのカバーがきちんとはまっていないところがある。メンテが行き届いていないらしい。さらに驚いたのは私の座席に釘が刺さっていたことだ(爆)。刺さっていると言っても,座面ではなくて下方の台座とシートの取付部分の間のモールが外れているらしく,応急処理的に釘で留めてあるようだ。これらは民営化のせいなのかどうかは分からないが,ここに至って,私の中で精妙,精確というDB神話が音を立てて崩れていったことは確かだ(笑)。
ドレスデン中央駅に到着したIC371列車
■ついにドレスデンの土を踏む
不案内な外国の列車の旅で困るのが乗車とともに下車の問題。しかし,例の車内配布の時刻表に到着時刻や接続が掲載されているし,車内放送もドイツ語に続いて英語の案内があるのでまずは間違うことがない。今回はドレスデン中央駅の前に新ドレスデン駅(Dresden-Neustadt)に停車するので,準備ができてよかった。
さて,IC371号は約2時間足らずで堂々ドレスデン中央駅に到着。ここはドイツ連邦共和国ザクセン州の州都である。駅前はすぐ市電通りになっていて2,3輌連結の黄色い市電たくさんが並んでいる(黄色はドイツ人が偏愛する色らしい。公共交通機関や郵便ポストなど至る所に黄色が使われている。ちなみに私も黄色が大好きである(笑))。通りが広いので開放感があって市電の駅の向こうはプラーガー通りを挟んでショッピング・モールになっている。こちらも高いビルではないのでパースペクティブがあってより広く感じられる。
黄色が目立つドレスデンの「高速」市電
とりあえず,タクシーでホテルへ。意外と道路が広い。車に混じって市電が走っているがかなり速い(ドレスデンの市電は素晴らしい。静かで高速で本数が多い。バスも良い。次のバスが来るまでの時間をデジタル表示しておりすごく便利だ。旧東ドイツでありながらこのハイテク振りは市内に工科大学があるためか,市民の意識が高いのか)。塔がいくつか見える。真っ黒なのは戦災のためだろう。もうすぐフラウエンキルヘが見られると思うと年甲斐もなく興奮してくる。
■フラウエンキルヘ,そして私のドレスデン
そのフラウエンキルヘに近いホテルに投宿。荷物を置いてすぐに広場に行き聖母教会を見上げる。2005年のこの教会の復元については新聞やネットでも知識を得ていたし,出張直前にNHKでも放映されて一層思いが募ったものである。その実物は意外と大きく見える。焼けた,オリジナルの石を使用した部分は真っ黒である。それ以外はジグソーパズルのようにクリーム色の石と黒い石がまだらに嵌っている。元の位置に納まった黒い石は戦争の悲惨さとともにドイツ人の執念をも思わせる。先の大戦で空襲の標的にされたドレスデンは1945年2月に燃え尽きてしまった。あちこちに黒い教会や建物が見えるのはそのためだ。だから,これはドレスデンの宮廷楽団にいたドッツァーが見ていた世界とは異なる。エルベの真珠と言われていた風景とは違うのだが,間違いなくこれらの建築に囲まれて彼は暮らしていたのだ。そう思うと旅の疲れも消えて柄にもなく感動を覚える。
(ドレスデンについてはこのページが詳しい)
ついにFrauenkirche(聖母教会)の下に立つ
しばらく,周辺を散策する。聖母教会の前にはルターの像。何台もの輪タク(Rikschaと書いてある。人力車が起源らしい。ピザ屋の配達のバイクの自転車版だ)が客待ちをしている。時折馬車が通る。多数の観光客で賑わっている。多くはドイツ国内かチェコあたりの団体さんだろう。団体は日本のお家芸ではなかったらしい。かなりの「外人」が集団行動をしている様はおかしい。それともドイツは集団が好きなのか,よくは分からない(笑)。
教会の周囲の建物は意外と新しい。デザインはオリジナルのようではあるらしいが新しく建て替えられたもののようでペンキの色もまだ鮮やかさを保っている。一応調和は保たれている感じだ。その奥にはクレーンがいくつか空に浮かんでいて,この旧東ドイツの街が動いていることを示している。
ドレスデンのビールは天使の味?(名前は忘れた(笑))
午後6時半,夕食にはまだ早いが今日は昼食を欠いている。フラウエンキルヘの横のクアフュルステンホーフ(Kurfuerstenhof)というカフェに座ってビールを注文した。地ビールで,これが最高においしかった。ビールとは思えない繊細な味わいがあった。例えれば,イタリアのオールド・ヴァイオリンのほどよく弾き込まれたE線の第3,第4ポジションの音,と言ったらよいか(笑)。ウェイトレスも親切でチャーミングであった。
酔いも手伝ってか,自分がここで,聖母教会に見守られてビールを飲んでいるのが不思議に感じた。何度も心に描いてきた建物が今,私の目の前にある。何年もさらった練習曲の作曲者も立ったであろうその場所に自分がいる。この気持ちを何と表現したらいいのだろうか。
私は心の中で聖母教会とドッツァーに乾杯した。
■ドレスデンの夜のお楽しみ
夕食後は夜の悪い癖が出た。カメラを持って夜景の採集に出たのである。まだ,どこに何があるかよく分かっていないのだが,これはと思った場所にカメラを据える。手すりや階段の上,あるいは石畳の路上に置いてレリーズでスロー・シャッターを切ればブレずにきれいな夜景が撮れる。
夜景1:ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオペラ)
他の観光客に笑われながら(笑)この遊び没頭していると,どこからか吹奏楽が聞こえる。川の畔で3人組がラッパを吹いているのだ。ヘンデルの水上の音楽である。今日,発ってきたばかりのテムズ川の音楽をこのエルベ川で聞くとは,と無視することにした。ここはドッツァーのドレスデンなのである(笑)。
夜景2:アウグストゥス橋を背に水上の音楽を吹くKY3人組。カメラを彫刻の台座に置いたら画面が斜めに(笑)
旧宮廷教会から貴顕紳士が婦人を連れ立って急ぐゼンパーオペラを回りツヴィンガー宮殿の前でUターン。アウグストゥス橋を渡ろうとしたが酔った足には長過ぎて途中で断念。カメラを欄干に乗せて旧市街に向けて何枚かシャッターを切った。19世紀にドイツロマン派の画家,ダールが描いた『満月のドレスデン』にはならなかったが,私の『夜のドレスデン』がデジタル・データで納まった。
夜景3:アウグストゥス橋から旧市街を臨む。写真の左端のぼんやりとした塔が聖母教会
(写真はすべてリコーGRデジタルで撮影)
明日は仕事。そして明後日はいよいよライプチッヒだ。(本日の歩数,約13,000歩)
■お知らせ■ (2008年10月1日追記)
ホームページ「チェロのある部屋」にドレスデンの写真を集めてみました。こちらの方も併せてご覧ください。→ 「私のドレスデン」
イギリスでの日程を終了し,ドイツへ発つために朝6時に眠い目を擦りながらホテルを出発。早朝でも空港へ向かう道路は込んでいた。しかし,広いせいか渋滞はなく予定どおりにヒースロー空港に到着。
明るいヒースロー空港の待合室。ここで朝食に寿司を食べたが日本のそれとは別物だった(笑)。
この空港は10年前に荷物をチェックされた苦い思い出があるので心配していたが,今回は飛行機が遅れるハプニング。ドイツでドレスデン行きの列車の接続があるのでちょっと冷や冷やしたが検査が短時間で終わったことと,かなりの余裕を見込んでおいたので昼食の時間が無くなっただけで無事間に合った。
ところが,ベルリン中央駅に着いたのはよいが,ヨーロッパの鉄道が初めての私にはどこでどのように列車に乗ればいいのか分からない。ドイツの駅は日本とは異なり案内がないとは聞いていたし,鉄道に関しては詳しいつもりの私でも戸惑った。どのホームに行き,どこで待っていればいいのか,予約した切符には書いてない(笑)。構内は清潔で広告もなければ時刻表や乗車位置の案内も見当たらない。ドイツ人らしく?潔癖な造りなのだ。しかし,困ったときでも道は開かれるのもで,落ち着いてよく見れば通路の隅に発車の案内があり,これで3番線に行けばいいらしいことが分かった。
やっと発見した発車案内表示。一番下のプラハ行きが私の列車。
■憧れのDB特急に乗る
さて,そのホームに降りて次はどこに止まるかを確認しなければならないが駅員が一人もいない。聞きまくるほかはない,と前を見ると都合よく(笑)DB(デー・ベー。Deutsche Bahn。東・西ドイツ国鉄が1994年に合併,民営化され,現在はドイツ鉄道)の制服を着たおばさんがまさにパンをパクついている。日本では見られない光景だが(笑),この際聞いてみる他はない。切符を見せて尋ねると先頭だ分かった。やれやれ。そこに模型でお馴染みの赤い電気機関車に引かれた特急列車IC371列車がしずしずと入線。これでやっと憧れのDB特急に乗れると思ったがドアが開かない。第一,取っ手がない!一瞬どうしようかと思ったが,横にボタンがあるのを見て躊躇わず押すと静かにデー・ベーへの道が開かれたのであった。
IC371の車窓から見たベルリン中央駅ホーム。モダンで清潔だが。。。
ヨーロッパのプラットフォームは低いからステップに乗って重いスーツケースを引き上げながら乗車。ようやく,憧れのデー・べーの車内に入ることができた。スーツケースは端の荷物用ラックに置く(不安もあったが,結局無事だった)。確かに座席もあった(当然だが)。シートには詳しい時刻表も置いてあった。この列車が私をドッツァーの,そして聖母教会(フラウエンキルヘ)のドレスデンに運んでくれるのだ。
■静かで落ち着いた車内で
周知のように,ヨーロッパでは列車は何の予告もなく動きだす。静かだ。異論もあろうが,私はこれがいいと思う。時間が分からない大人はいないだろうから。
ドイツの客車は大型なので安定していて遮音性も良い。甲高い音は一切ない。車体の剛性が高いのだろうか腰が据わっている。さすがベンツの国だ,さすがDBだと感心していた。
ベルリンを過ぎるとすぐに車窓は田園風景に変わり,いかにもドイツの田舎という感じになる。どこまでも平坦でよく見渡せる。カラスが多い。たまにハヤブサらしき鳥が飛ぶ。早起きしたにもかかわらず眠気も催さずひたすら車窓の風景に目をやる。
身体がドイツ鉄道に慣れた頃,私の目はいろいろと変わった点を発見する。窓が汚い。DBはあまり掃除には熱心ではないらしい。天井の照明がところどころ切れている。また,そのカバーがきちんとはまっていないところがある。メンテが行き届いていないらしい。さらに驚いたのは私の座席に釘が刺さっていたことだ(爆)。刺さっていると言っても,座面ではなくて下方の台座とシートの取付部分の間のモールが外れているらしく,応急処理的に釘で留めてあるようだ。これらは民営化のせいなのかどうかは分からないが,ここに至って,私の中で精妙,精確というDB神話が音を立てて崩れていったことは確かだ(笑)。
ドレスデン中央駅に到着したIC371列車
■ついにドレスデンの土を踏む
不案内な外国の列車の旅で困るのが乗車とともに下車の問題。しかし,例の車内配布の時刻表に到着時刻や接続が掲載されているし,車内放送もドイツ語に続いて英語の案内があるのでまずは間違うことがない。今回はドレスデン中央駅の前に新ドレスデン駅(Dresden-Neustadt)に停車するので,準備ができてよかった。
さて,IC371号は約2時間足らずで堂々ドレスデン中央駅に到着。ここはドイツ連邦共和国ザクセン州の州都である。駅前はすぐ市電通りになっていて2,3輌連結の黄色い市電たくさんが並んでいる(黄色はドイツ人が偏愛する色らしい。公共交通機関や郵便ポストなど至る所に黄色が使われている。ちなみに私も黄色が大好きである(笑))。通りが広いので開放感があって市電の駅の向こうはプラーガー通りを挟んでショッピング・モールになっている。こちらも高いビルではないのでパースペクティブがあってより広く感じられる。
黄色が目立つドレスデンの「高速」市電
とりあえず,タクシーでホテルへ。意外と道路が広い。車に混じって市電が走っているがかなり速い(ドレスデンの市電は素晴らしい。静かで高速で本数が多い。バスも良い。次のバスが来るまでの時間をデジタル表示しておりすごく便利だ。旧東ドイツでありながらこのハイテク振りは市内に工科大学があるためか,市民の意識が高いのか)。塔がいくつか見える。真っ黒なのは戦災のためだろう。もうすぐフラウエンキルヘが見られると思うと年甲斐もなく興奮してくる。
■フラウエンキルヘ,そして私のドレスデン
そのフラウエンキルヘに近いホテルに投宿。荷物を置いてすぐに広場に行き聖母教会を見上げる。2005年のこの教会の復元については新聞やネットでも知識を得ていたし,出張直前にNHKでも放映されて一層思いが募ったものである。その実物は意外と大きく見える。焼けた,オリジナルの石を使用した部分は真っ黒である。それ以外はジグソーパズルのようにクリーム色の石と黒い石がまだらに嵌っている。元の位置に納まった黒い石は戦争の悲惨さとともにドイツ人の執念をも思わせる。先の大戦で空襲の標的にされたドレスデンは1945年2月に燃え尽きてしまった。あちこちに黒い教会や建物が見えるのはそのためだ。だから,これはドレスデンの宮廷楽団にいたドッツァーが見ていた世界とは異なる。エルベの真珠と言われていた風景とは違うのだが,間違いなくこれらの建築に囲まれて彼は暮らしていたのだ。そう思うと旅の疲れも消えて柄にもなく感動を覚える。
(ドレスデンについてはこのページが詳しい)
ついにFrauenkirche(聖母教会)の下に立つ
しばらく,周辺を散策する。聖母教会の前にはルターの像。何台もの輪タク(Rikschaと書いてある。人力車が起源らしい。ピザ屋の配達のバイクの自転車版だ)が客待ちをしている。時折馬車が通る。多数の観光客で賑わっている。多くはドイツ国内かチェコあたりの団体さんだろう。団体は日本のお家芸ではなかったらしい。かなりの「外人」が集団行動をしている様はおかしい。それともドイツは集団が好きなのか,よくは分からない(笑)。
教会の周囲の建物は意外と新しい。デザインはオリジナルのようではあるらしいが新しく建て替えられたもののようでペンキの色もまだ鮮やかさを保っている。一応調和は保たれている感じだ。その奥にはクレーンがいくつか空に浮かんでいて,この旧東ドイツの街が動いていることを示している。
ドレスデンのビールは天使の味?(名前は忘れた(笑))
午後6時半,夕食にはまだ早いが今日は昼食を欠いている。フラウエンキルヘの横のクアフュルステンホーフ(Kurfuerstenhof)というカフェに座ってビールを注文した。地ビールで,これが最高においしかった。ビールとは思えない繊細な味わいがあった。例えれば,イタリアのオールド・ヴァイオリンのほどよく弾き込まれたE線の第3,第4ポジションの音,と言ったらよいか(笑)。ウェイトレスも親切でチャーミングであった。
酔いも手伝ってか,自分がここで,聖母教会に見守られてビールを飲んでいるのが不思議に感じた。何度も心に描いてきた建物が今,私の目の前にある。何年もさらった練習曲の作曲者も立ったであろうその場所に自分がいる。この気持ちを何と表現したらいいのだろうか。
私は心の中で聖母教会とドッツァーに乾杯した。
■ドレスデンの夜のお楽しみ
夕食後は夜の悪い癖が出た。カメラを持って夜景の採集に出たのである。まだ,どこに何があるかよく分かっていないのだが,これはと思った場所にカメラを据える。手すりや階段の上,あるいは石畳の路上に置いてレリーズでスロー・シャッターを切ればブレずにきれいな夜景が撮れる。
夜景1:ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオペラ)
他の観光客に笑われながら(笑)この遊び没頭していると,どこからか吹奏楽が聞こえる。川の畔で3人組がラッパを吹いているのだ。ヘンデルの水上の音楽である。今日,発ってきたばかりのテムズ川の音楽をこのエルベ川で聞くとは,と無視することにした。ここはドッツァーのドレスデンなのである(笑)。
夜景2:アウグストゥス橋を背に水上の音楽を吹くKY3人組。カメラを彫刻の台座に置いたら画面が斜めに(笑)
旧宮廷教会から貴顕紳士が婦人を連れ立って急ぐゼンパーオペラを回りツヴィンガー宮殿の前でUターン。アウグストゥス橋を渡ろうとしたが酔った足には長過ぎて途中で断念。カメラを欄干に乗せて旧市街に向けて何枚かシャッターを切った。19世紀にドイツロマン派の画家,ダールが描いた『満月のドレスデン』にはならなかったが,私の『夜のドレスデン』がデジタル・データで納まった。
夜景3:アウグストゥス橋から旧市街を臨む。写真の左端のぼんやりとした塔が聖母教会
(写真はすべてリコーGRデジタルで撮影)
明日は仕事。そして明後日はいよいよライプチッヒだ。(本日の歩数,約13,000歩)
■お知らせ■ (2008年10月1日追記)
ホームページ「チェロのある部屋」にドレスデンの写真を集めてみました。こちらの方も併せてご覧ください。→ 「私のドレスデン」
早速,コメントありがとうございます。
あれもこれもと打ち込んでいるうちに長編になってしまいました(笑)。これでも刈り込んだ方なのです(笑)。それだけ我ながら興奮していたのでしょうね,今から思うと。そこが旅の良さなのだと思いたいです。仕事と並行ではありましたが。。。
個人的な感慨ばかり長くなってしまい申し訳なく思いますが,前の理由からお許しください。と言いながら,ライプチッヒ編はもっと長くなります(笑)。その分写真を多く入れたいと思っております。ご期待くださいまし。
レポートの内容が濃くて、最高です。感動が伝わってくる迫力です。
DBにのるなら、旧西ドイツの路線が最高ですね。スピード350kmくらい出すし、レストランのランチやdinnerもおいしいです。でも釘で間に合わせなど、生活観がでていて、生き方がsimpleでることは、素晴らしいことだと思います。ビールのシーンがでて、教則本の父の教会での感動など、ひしひしと。
ライプチヒも期待してますよ。
大石