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聖母教会の再建に思う

2005年11月03日 | その日その日
ドレスデンの聖母教会が再建され,10月30日に盛大な記念式典が行われた(→
アサヒCNNまたはこちら)。ドレスデン。あのドッツァーの街,である。

エルベ川の真珠ともフィレンツェとも言われた古都ドレスデン。「満月のドレスデン」にも黒いシルエットで描かれた聖母教会(Frauenkirche)は,ドレスデンの富とルター派の信仰の証として1743年に完成したが,200年後の1945年2月,米英連合の爆撃で焼け落ちる。犠牲者は25,000人以上。それから60年。これが短かったのか長かったのかは分からない。当時の東ドイツは米英軍の蛮行の証として廃墟をそのままにした。もちろん,市民から再建の希望はあったが実現できなかった。それが動き出したのはベルリンの壁崩壊後である。市民の努力と多くの寄付が寄せられ,忠実に復元するために,残された破片を再利用するという,気の遠くなるような作業を経て再建したのである。しかも,英軍の関係者の協力も得られたという。

ヨーロッパ,特にドイツというと,昔どおりに再現しないと気が済まない民族なのだと思っていたが,そうでもないらしい。政府が音頭をとって行う場合ももちろんあるのだろうが,個人のボランティアで進めることもあるのだ。今回の聖母教会もそういった市民のイニシアチブによるところが多いようだ。それだけ心の拠り所となっているのだろうし,精神的にも社会的にもそれが可能な幅広さを持っているのだろう。とは言え,元に戻すのは大変なことだ。破壊するのは一瞬だが,復元にはとてつもなく長い時間と努力が必要だ。世界には,残念ながら破壊主義者の方が多いようだ。いまだに空爆が止まないし,自爆テロが日常化している。壊されていく風景。それにより心理的風景も破壊されてしまう。平和の尊さを思う。もっとも,平和であっても,経済により破壊される風景も後を絶たないが。

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