転 覧 記

ほぼ展覧会レポ。たまに読書記録。

平常展(2009年9月)@東京国立博物館 その11

2009年09月18日 23時31分11秒 | 展覧会



龍涛螺鈿稜花盆(りゅうとうらでんりょうかぼん)元時代・14世紀

より発色の良い全体画像は公式サイトで見られるので
ここでは一部分を大きめの画像で掲載してみました。

盆の上部、並行線の間を黒と白の矩形が交互に現れる市松模様のような文様が、
空へと昇る龍の背景を埋め尽くしています。

龍の鼻先あたりを見ると、水平線の上に入道雲がムクムクと立ち上っており、
この文様が海面を表していることが見て取れます。

ところが良く見るとその雲の上方にもおなじ市松模様が再び現れます!

つまりこの文様は、海面でありかつ空でもあるのです。
2つは無限に広がり渾然一体となり、その境界は判然としません。

それは、瑠璃色に輝く五爪の龍が、空も海も世界の果てまでも
明々と照らし尽くしているからかも知れません。

まさに大帝国を統べる皇帝の象徴に相応しい霊獣です。


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