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転 覧 記

ほぼ展覧会レポ。たまに読書記録。

《ズロクマニア》 「開基足利義満600年忌記念 若冲展」 @相国寺

2010年03月18日 00時52分53秒 | ズロクマニア
今回ご紹介するのはこちら。
2007年、相国寺にて行われた伊藤若冲の展覧会の図録です。


 //// 評価ポイント///////////
  図版の画質:A
  図版の大きさ:A
  小論・記事・コラム:B  
  作品解説:A
  ブックデザイン:B
  レア度:B
  プレミア:B 
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  評価基準はこちら




若冲ファンには釈迦に説法になりますが、
昨年、東京国立博物館で開催された「皇室の名宝展」でも話題になった「動植綵絵」は
もともとはここ相国寺のために、若冲が「釈迦三尊像」とともに仏画として描いたものでした。

その「動植綵絵」が120年ぶりに相国寺に里帰りし、「釈迦三尊像」と合わせて展示されたのです
江戸・明治の観音懺法の折には、同様にこの33幅がずらりと掛け連ねられ参拝者が詰め掛けたそうで、
その光景が世紀を超えてよみがえる!ということで、大変話題になった展覧会でした。




 さて、若冲といえばもっと有名な図録があります。
 2000年に開催され、若冲を一躍有名にした
 京都国立博物館の展覧会。

 約150点が勢ぞろいした、空前絶後の回顧展でした。

 図録もプレミアが付いており、古書店では
 12000円~15000円の相場で取引されています。




にもかかわらず今回、あえて相国寺の若冲展の図録を選んだのは理由があります。
それは、収録されている図版の圧倒的な画質!

百聞は一見にしかず、次の「向日葵雄鶏図」の図版の比較画像をご覧ください。
左が相国寺展の図録、右が京博展の図録です。





ご覧の通り、羽根の精彩感が違います。
京博の図録も決して画質が低いわけではないのですが、相国寺展の図録の画質の高さは異常。

このほか、水墨画などの図版も素晴らしい。墨のみずみずしさが半端ないです。
これは私見ですが、黒の美しい図版は色彩も豊かです。

(なお、上掲の写真は実際の図版の状態を完全に再現しているわけではありませんが、
 撮影条件は同じですので比較に問題はないと考えています。)

個々の作品解説も非常に詳しく、
各作品には、それぞれ1000字以上にわたる解説が加えられています。



若冲ファン必携のこの図録は、販売時2500円でしたが、
2010年3月現在、古書店相場4000円程度になっており、そろそろプレミアAランクになりそう。

とこが昨年秋ごろ、佐野市立吉澤記念美術館のショップで見かけましたので
来館予定の方、まだ定価で買えるチャンスです。