転 覧 記

ほぼ展覧会レポ。たまに読書記録。

「テオ・ヤンセン展」 @日本科学未来館 ~テオ・ヤンセン トークイベント~

2011年02月07日 19時58分49秒 | 展覧会 講演メモ
前回に引き続き「テオ・ヤンセン展」のご紹介。


※画像はクリックで拡大します


今回は、2月6日(日)に日本科学未来館で開催されたの
トークイベント&デモのレポートです。

イベントは次の3部構成でした。
・司会進行役の方とテオさんのQ&A、
・最新のビーチアニマル「アニマリス・シアメシス」の動作デモ
・会場からのQ&A

順番は前後しますが、まず大迫力のデモからご覧あれ。


#動画の公開に問題がある場合はご指摘ください。

続いてQ&A。
メモから起こしていますので正確ではありません。

Q 「Strand Beest」という名前の由来は?
A 20年前に書いていた新聞コラムのタイトルから名づけました

Q Strand Beest を作ろうと思った理由は?
A 特にこれといった理由はありません。
  ただ私が死んだ後も、Beest たちは生き続けるという確証が得られれば
  私は穏やかに生をまっとうできると思います・

Q 移動手段を「足」にした理由は?
A 皆さんも砂の上を自転車で走って足を取られた経験はないでしょうか
  砂浜のようにやわらかい地面を移動する場合は、車輪より足のほうが有利なのです。

  また何故そもそも移動しなければならないか?というと、生命は危機から逃れる能力を必要とするからです。
  Strand Beest にとっての危険とは、浜辺に打ち寄せる水と、砂に足がうずまってしまうことです。
  彼らはその危険から逃れる必要があるのです。

Q ペットボトルはどのような役割があるのでしょうか
A 風が吹くと、ペットボトルに空気をため込むことができます。
  従来の Strand Beest は風を受けて動きましたが、この最新型のStrand Beest は
  風がないときでも、ペットボトルにため込んだ空気の圧力で動けるのが特徴です。
  これは、我々が食べ物を食べてエネルギーを体内に蓄えて動くのに似ています。
  Strand Beest はペットボトルという「胃」に空気エネルギーをためて動くのです。

Q Strand Beast と他の生命体との違いは?
A まず、その機構の歴史です。
  我々の生命のしくみは数十億年の進化を経てつくられました
  一方で、Strand Beest はまだ20年ほどしか経っていません。

  また、我々との関係性も違います。それは異なる「愛」とでもいいましょうか。
  私は人間にもStrand Beest にも愛を感じますが、その愛が違う種類のものです。
  私は Strand Beest をこどものように感じることもあります。

Q これから Strand Beest はどのように変わっていくのでしょうか
A 神経やその集合である脳のような機能を持たせたいと考えています。
  脳を持つということは、記憶を持ち判断できるということです。
  具体的には、自分の歩数をカウントしたり、経験をペットボトルに記憶したりすることで
  自律的に危機からのがれることが出来るようにしたいと考えています。

(ここから、ご来場者の質問)

Q Strand Beest を乗り物として使う可能性は?
A 通常の移動手段としては、車輪を使った機械のほうが圧倒的に効率的です。
  しかし、先ほども申し上げましたが、やわらかい地面の上では「足」での移動が有利でしょう。
  このため、田畑での移動が必要な農業への応用などは可能性としてあるかもしれません。

Q オランダから日本までどうやって運んだのですか?
A このStrand Beest は6つのパーツと2つの羽根で出来ています。
  これらをバラして、船で運んできました。オランダから日本まで船で約6週間かかりました。


トーク・イベントの内容は以上です。楽しいお話を有難うございました。


さて、Q&Aの中にもありましたが、果たして Strand Beest は「生命」と呼べるのか?

会場には「生命」の定義を説明したパネルもありますので、
そのひとつひとつを Strand Beest にあてはめて確かめながら
「生命」って一体なんなんだろう?とあらためて想いを馳せてみてはいかがでしょうか。


「テオ・ヤンセン展」 @日本科学未来館

2011年02月07日 00時16分37秒 | 展覧会


 ビーチアニマル(Strand Beest)の作者
 テオヤンセンのトークライブ&デモンストレーションが
 開催される!ということで見て来ました。





ビーチアニマルって何?というかたはこちらの動画↓をご覧あれ。






講演の模様は別エントリでお伝えしたいと思います。
テオさんのStrand Beest に寄せる想いなどをお聴かせ戴きました

デモでは、先ほどの動画と同じ作品が動く様子を
見せていただきました。

12mもの幅をもつ構造体が
無数の足をざわざわと、しかし規則正しく繰り出しながら
ギシギシミシミシ音を立てて迫りくる様子は
いかんとも表現しがたいものがありました。





 正直、展示品の数はアレ?と思うほど少ないのですが
 ひとつひとつのアニマルの構造をじっくり眺めていると飽きません。






一見、こどものころの夏休みの工作を思わせるような
プリミティブな見かけでありながら
あれほど精巧に動くのは驚きです。






 実際に Beest に使われている部品を
 触ることもできます。
 もう少し、動作原理が詳しく解るような
 デモ展示もあるとメカ好きには嬉しかったかも。



エントランスには、手押しで動かせるビーチアニマルもあり
カップルや家族で来ても楽しい展覧会だと思います。


実は未来館にきたのは初めてだったのですが
常設も ASIMOのショーや、インターネット物理モデルなど先端技術を楽しく見せる工夫が満載で、
なかなか意欲的な施設だと思いました。

特に要素技術を組み合わせて新しい製品を考えよう!という掲示板コーナーが素晴らしいと思いました。

「諸国畸人伝」 @板橋区立美術館

2010年10月07日 23時17分49秒 | 展覧会
かなり初期に行ったのですが、気がつけばもう会期末・・・

小規模ですが面白い展覧会でした。
安村館長の個人的な趣味爆発って感じですけど

以下、感想です。


◆菅井梅関
二幅の「虎図」が良かったです。
自分は御物の応挙「群獣図屏風」や北斎の「月見る虎」「雪中虎」が好きなのですが
それらに勝るとも劣らないと思います。

解説にもありましたが、仙台市博物館所蔵の虎図の獰猛さは他では見られないし
瑞厳寺のそれは北斎の「月見る」よりもメランコリックかもしれません。

◆林十江



 この画像は十江の「鰻図」
 どこかで見たことあるなあと思ったのですが
 去年、東博の常設で展示されてた際に写真を撮ってました。
 ナイス俺。
 (画像クリックで拡大します)


画面上方のモヤは、安村さんの解釈だと鰻が巻きあげた泥だそうですけど
自分としては、水面の波紋か、水中に青々と繁茂する藻に見えるなあ。

指の腹で書いたという「龍図」は、
描線一本一本に眼を引っ掻かれているような気分にさせられます。

「白桃図」は桃の木の枝が画面いっぱいに伸びあがる構図が大胆。
床の間に掛けて、座りながら画面の上のほうに見切れている枝の先をずっと見上げていたい、
そんな絵です。

◆佐竹蓬平

何故だか飯田市美の蓬平展の図録だけ持ってますw

なのでちょっと期待していたのですが、見たい絵が来てなかったので少し残念。
「神農図」「黒菊図」「雪中山居図」あたりが見たかったなあ。


◆加藤信清

経文の字句で仏画を描いた人、だそうです。
単眼鏡で見ても読み取れないほど細かな字で書かれており
しかも輪郭だけでなく彩色された面もびっしりと字で埋め尽くされています。

凄いというより、その執念が正直怖い。


◆絵金

とにかくペンキ絵みたいにビビッドで、
今回の会場のなかでも絵金の絵が並ぶ一画だけ雰囲気が違ってました。

去年、画集が出たのですが、陰惨な雰囲気を演出するためか
全画像ともホワイトバランスいじりまくりなのが残念。

アレはアレでいいところもあると思いますが、
今回は実物の色を見れて良かったです。

祭りで灯篭に照らされているところの映像なんかもあると嬉しかった…というのは贅沢でしょうか。
でもやっぱり見たかった。

眼の表現がマンガ的で面白い。
ただ派手なだけでなく、配色もかなり理知的に計算されてると思いました。



眠いので続きは次回にします・・・

《ミュージアムグッズ》「ドガ展」@横浜美術館 ドガグッズ紹介

2010年09月18日 22時38分48秒 | ミュージアムグッズ
この土曜日から始まった「ドガ展」。
代表作「エトワール」が初来日するということで話題になっています。

今回はちょっと趣向を変えて、
「会場のショップでは買えないグッズ」をご紹介。

…といっても1階のミュージアムショップに売ってるだけなんですがw


まず1つ目はこちら

 左側はドガが生前に発表した唯一の彫刻作品
 「14歳の小さな踊り子」のミニチュアレプリカ。
 ドレスもちゃんと実物同様布製です。

 今回の展覧会にも出てますので、記念にいかがでしょう。

 右側はドガの絵にはちょくちょく現れる
 控室の踊り子の様子をフィギュア化したものでしょうか。

 実は普段からショップで売ってるものなんですが、
 そんなに在庫があるとも思えないので早い者勝ち。




次はこちら。
目立つレジ前の卓上にありました。
3Dグッズ2種、3点です。

中央上は裸眼で3Dに見えるシート。

そして卓上の2点は以前にもご紹介したことのある
「Amazing Card」です。
レンズをのぞけば3Dに再構成された
絵画世界が広がります。

(なお、左上は普通の複製額絵)



3Dカードは、スポットライトを浴びた踊り子がガラス質の水のなかを漂っているかのよう。
Amazing Card は、光を浴びたチュチュのやわらかな膨らみや
のびやかに広げられた腕など、踊り子の量感までリアルに感じられます。

このほかにも、1Fのショップには、会場にはないドガの輸入絵葉書もありました。
ちょっと高めでしたけど。


なお今回は、音声ガイドを利用すると図録が200円OFFで買えるのでお得です。

その図録を含め、ドガ展のオリジナルグッズ(絵葉書・額絵・メモ帳など)は
こちらの1Fショップでも買えるようですので、会場買いもらしたかたは是非お立ち寄りを。
(但しアクセサリなどのタイアップグッズや輸入グッズの取り扱いは会場ショップのみです)

この辺、横浜美は良心的なんですよねえ。他の美術館も見習ってほしいところ。


今週末は運を使いすぎた。 

2010年07月25日 21時35分16秒 | つれづれ
先週、栖鳳の古い全集をオクで見つける。
当時の定価75000円がなんと開始価格25000円。
競り合うこともなく、そのまま落札。

この土曜日に届いた。
見たことない絵が満載で感激。

その夜の日曜美術館で、偶然にも栖鳳特集。
100年ぶりに見つかった「羅馬之図」という図屏風があることを知る。
当然、手元の図録には図版がない。ちょっとガッカリ。


一方、昼間にネットでセガンティーニの海外図録を見つけていた。
最近のものなのでカラーも多い。
4000円とちょっと高めだが、これもレアもんだからしょーがない。

神保町の店舗まで取りに行けば送料タダとのこと。
上野の骨董市を見に行くついでに取りに行こう。


上野の骨董市は目ぼしいものなかったけれど
不忍池の蓮の花が見ごろできれいだった。



蓮見茶屋で飯食って弁天堂も見てきた。


神保町に移動。
「ワンピースフェア」と称してスタンプラリーをやってる。

セガンティーニの図録を無事入手。
思ったよりデカいし色もきれい。
しかもフェアで一割引き。これはいい買い物をした。

ついでに他の店も覗いてみる。
あ、栖鳳の図録だ。と思ったら。

何と表紙は昨日見た「羅馬之図」!
ミラクル過ぎ。

少し状態は悪かったものの即購入。

帰ってから調べてみたら、中には全集にない作品も掲載。
ネットで検索しても見つからないので、これも何気にレアものっぽい。



何だコレ。
明日からが怖い。

大宮盆栽美術館

2010年07月21日 00時06分10秒 | Weblog
この春オープンした大宮盆栽美術館に行ってきました。





NHK「美の壺」の盆栽の回の本を読んで予習していったのですが・・・

なんとこの本に掲載されている「日暮し」「寿雲」「青龍」「白雲」が
しれっと展示されてるじゃないですか。ビックリしました。

ずいぶんお金をかけて余所からたくさん名品を買ってきた、という話は聞いてましたが
まさかこれほどまでとは

個人的には、特に「寿雲」が面白かったです。

幹の「舎利」(白く枯れている部分)が
湧き上がる雲のようでもあり、燃え上がる炎のようでもあり
霧立ち昇る霊気のようでもあり、
じっと眺めているとゆらゆらと動きだしそうな気配すら感じます。


けど、ここの施設、もう少し展示を工夫したほうが良いのではないかとも思いました。

まず、初めて盆栽を見に来た、という方への配慮がちょっと足りません。
建物内には盆栽の観賞ポイントなどを丁寧に説明したパネルがあるのですが
盆栽を展示している庭園には一切説明ボードがないため、
それぞれの盆栽の「見どころ」が解らないのです。

刀剣博物館では、刀剣の鑑賞ポイントを解説シートをくれたり
松岡美術館では、家庭用プリンタで印刷した手作りパンフを100円で売ったりしてますが
同様のサービスがあってもいいのではないかと思います。


また庭園に椅子や日陰がほとんど無いのが気になりました。
炎天下、汗を流しながら1つ1つ鉢を見て回りましたが、
年配のかたにはこれはきついのではないかと思います。

ある人は「一枚の絵を鑑賞するには、ひとつの椅子が必要だ」といいましたが
盆栽もゆっくり座って眺めたいです。
有料で薄茶やお菓子のサービスなどあれば最高です。


そして、ミュージアムショップに盆栽の関連書籍を置くべきと思います。
小さな個人美術家ならともかく、まったく書籍を置いていない美術館は初めてです。
盆栽を鑑賞するだけでなく「盆栽文化」を知りたくて来ている人が大多数だと思うのですが
その知識欲を満たすためのサービスとして必須じゃないでしょうか。

NHKの「美の壺」の本を置いて、“この「日暮」「青龍」を現在展示中です!”と
ポップを飾るくらいのあざとさがあって良いと思うのですが。
出来れば「トラッドジャパン」のDVDを置くくらいの遊びごころが欲しいです。



・・・感想書こうと思ったら文句ばかりになってしまいました。
今度また秋にでも行こうと思いますので、アンケートに意見を書いてきます。


水瓶のなかの金魚は涼しげでよかったです。

「大哺乳類展 海のなかまたち」 @国立科学博物館 その2

2010年07月18日 00時20分53秒 | 展覧会
その1のつづきです。

 こちらはヒゲクジラのヒゲ各種。

 ヒゲクジラは水をがぶ飲みし
 これでプランクトンやオキアミなどをこしとって
 食べます。



なおヒゲに触ることもできます。
割とゴワゴワしてました。

このヒゲはケラチンで出来てるそうです。
(ケラチンは爪やエビ・カニの殻の成分)



 
 今回は体感型の展示が豊富。
 ヒゲだけでなく、シロナガスクジラの骨にも
 触ることができました。




触覚だけでなく、嗅覚で楽しめる展示も。

マッコウクジラの腸内でごくまれに出来る香油、
「龍涎香(りゅうぜんこう)」。

ペルシャ帝国の皇帝にも献じられた
その香りをお楽しみいただけます。




 スナメリの「バブリング」を再現した装置

 スイッチを押すと模型のスナメリの口から
 リング状の輪が出る様子を観察できます。

 こちらのムービーからご覧いただけます。




これはクジラジラミ。
クジラの表皮に「無数に」寄生してるそうです。

…キモい




 クジラのつぎはアシカやアザラシのなかま、
 「脚類」の展示です。

 ところでアシカとアザラシの見わけかたってご存知ですか?

 アシカには耳があり、アザラシには耳がありません。
 アシカは4本足で歩けますが、アザラシは這って進みます。

 で、これはアシカ科のトド。




これはミナミゾウアザラシのメス。
血液中に大量の酸素を蓄えることで
長時間の潜水が可能。

アザラシ科の中では最大、だそうですが
このはく製はそれほどデカくありません。 




 しかし!

 合わせて展示されてるオスの骨格標本は
 ご覧の通り、見上げるようなデカさ。

 




セイウチはアザラシとアシカの特徴を併せ持ちます。
アザラシのように耳がなく、
アシカのように4本脚で歩きます。

牙が怖いですがつぶらな瞳がかわいいです。

首周りの皮膚のたるみはオス同士の闘いや
天敵に襲われた時に体の内部を守るそうです。

その天敵とは・・・




 こいつ!

 「陸のなかまたち」にひき続いての登場、
 ホッキョクグマです。

 あいかわらずのデカさ。

 しかしセイウチもホッキョクグマも、
 凍った北極の海を生活の場にしているので
 ともに最大の天敵は「温暖化」です。





ラッコはヒレがないのに海で生活している
変わり者。

ラッコのお腹の毛は保温のため、
哺乳類のなかでもっとも密度が高いそうです。



 最後は、絶滅が危惧される種の展示。
 画像はガンジスカワイルカ。
 
 視界の悪い環境で生活しているため
 目は退化し明るさを感じる程度。

 同じく淡水に住むイルカだった
 ヨウスコウカワイルカは既に絶滅してしまったそうです・・・



さて、ここまでが展覧会のご紹介ですが、常設展にも「海のなかまたち」はいます。


そのなかで、今回は1階の展示をご紹介。

哺乳類以外のなかまたちとのかかわり、
・・・つまり食ったり食われたりのシビアな世界を
ご覧ください。

ちなみに上方に見えてるのはレストランの窓。
食事しながら展示室の様子を見られます。




 これはダイオウイカのホルマリン漬け。 
 なかなかグロいです。





おもしろいのはこちらの展示。
ヒゲクジラのアゴの骨の動きをシミュレートしたもの。

冒頭でクジラは大口開けて水をガブ飲みして
海水中のプランクトンを食べる、ということを書きましたが
どのように口を開けるのかよく解ります。

作動している様子を撮影してきましたので
よろしければこちらの動画をご覧ください。




このほかにも、地下2階に古代の水棲動物の骨格標本が多数展示されています。
常設も見どころ多数ですので是非時間がありましたらあちこち回ってみてはいかがでしょうか。

最期までお読み頂きましてありがとうございました。

「大哺乳類展 海のなかまたち」 @国立科学博物館 その1

2010年07月16日 00時34分45秒 | 展覧会
先日、大哺乳類展で撮ってきた写真をご紹介します。
目につくものだけ撮ってきたので、あまり体系的な紹介にはなってません。
ごめんなさい。

# 写真はすべてクリックで拡大します。


 会場で最初にお出迎えしてくれるのが
 この「バシロサウルス」
 クジラの祖先だそうです。

 当初、爬虫類と間違われたおかげで「サウルス」という名前なんだとか




これはスジイルカ。

クジラ類は歯のあるなしで
「ハクジラ」と「ヒゲクジラ」に別れ、
イルカはハクジラのなかまです。



そして、イルカとクジラの違いは・・・会場でご確認ください。
きっと「えーマジで!」と思いますよw

さてこのイルカの骨格を見て、意外と頭がとんがってるな、と思われたのではないでしょうか。
イルカってもっとおでこが丸みを帯びてるイメージだと思います。


 これはバンドウイルカの頭部の断面。

 実はあのおでこの丸み、脂肪の塊なのです。
 おでこの透けてるところがそれ。

 この器官は頭頂の噴気孔で発した超音波を集音して
 前方に発する役割があり、「メロン」とよばれてます。





こちらは歯の数が少ないので
たぶんシャチの骨だと思うのですが・・・

なんだったかちゃんと覚えてません
ごめんなさい





 そのシャチのお腹の中からでてきたもの。
 なんと、丸々一頭ぶんのアザラシの骨!

 こんなもん消化できんのかよ・・・



ハクジラにはこんな変わり種も。

ハクジラなのに歯はなくて、
出っ張ってるのは、実は歯じゃなくて軟骨。

しかも軟骨なのに骨化して堅くなるらしく・・・
訳わかんない進化っぷりです。



 訳のわからなさではこちらも負けず劣らず

 有名なイッカクですが、これもハクジラのなかま。
 角のように見えるのは、実は前歯が伸びたもの。
 すげー出っ歯w


なお、このイッカクの角は「ウニコール」と呼ばれており、江戸時代には根付の素材として珍重されていました。
「根付 素材 ウニコール」で画像検索すると、見事な龍の根付が見れますよ。



さて次はヒゲクジラですが、その代表格といえばやはりこいつ!
地球最大の生物、シロナガスクジラです。




 ヒレもでかい!




さて「陸のなかまたち」の復習ですが・・・

キリンも、ブタも、ゾウも、ヒトも、
哺乳類は例外なく首の骨の数が7つ、
という特徴がありました。


はたしてクジラも同じなのか、ぜひ上を見上げて数えてみて下さい



  → その2に続きます

《ミュージアムグッズ》 「大哺乳類展 海のなかまたち」 オリジナルグッズ紹介

2010年07月11日 22時36分18秒 | ミュージアムグッズ



今回は、先週から始まった「大哺乳類展 海のなかまたち」の特設ショップから、
オリジナルグッズのご紹介です。

こちらのフォトチャンネルからどうぞ。

# 掲載に支障がある場合は、コメントからご連絡ください。

「伊藤若冲アナザーワールド」@静岡県美&千葉市美

2010年06月29日 21時37分04秒 | 展覧会

 もう終わってしまいましたが、
 静岡と千葉の若冲展に行ってきました。

 どちらも見れたのは後期だけだったのですが、
 図録に掲載の170点中、9割がたの作品を見れたので大満足です。





いずれの会場も思ったより空いていて意外でした。

「日曜美術館」や「美の巨人たち」で紹介された展覧会が
異常に混雑するのは周知の事実ですが、
逆に紹介されないとこの規模の展覧会でも人が来ないというのは
ちょっと寂しい気もします。



以下、作品の感想です。


◆烏賊図
水の中でふよふよと漂う足の描写がすごい。
実際に泳いでいる様子を見たんだろうか。

◆花鳥蔬菜図押絵貼図屏風
背中を見せつつ、うつむき加減でこちらをちらりと盗み見るオシドリのしぐさがかわいい。

今回、若冲の押絵貼図屏風って、左よりと右よりの構図の絵が交互に貼られているものが多いのにきがついた。
立てると折り目が「山」の部分に重心が寄り、「谷」の部分が余白となるようになっている。

若冲がどういう意図でそんな風にに描いたかは判らないけれど、
ぼんやり眺めていたら、まるで絵と絵の間から生命があふれ出てくるような錯覚に陥りました。面白い。

◆寒山拾得図
ニッコリと満面の笑みの寒山も可愛いけど、愛想悪そうに背を向けている拾得もかわいい。
寒山が「ごめんね、彼、人見知りなんだ」とフォローしているようにも見える。

◆百合図
背の高い百合の花が、寄り添うように咲く背の低い百合の上にしなだれかかっている。
まるで、上手の花が「どうだ、お前はここまで伸びてこられるか」と挑発し
下手の花が「何をこしゃくな」と睨み返しているかのよう。
そばで見ている小鳥は「しょうもない張り合いしとんな」と呆れ顔。

◆菜蟲譜
去年、佐野市立吉沢記念美術館まで見に行ったけど、そのときは後半しか見れず。
今回は前半が見れるといいなと思っていたのですが、残念ながらやはり後半でした・・・

まあでも、佐野市美の学芸員さんが「いじけ虫」と呼んでいたアブに再開できたのは良かった。
若冲は虫を描くとき、同じ粉本のデザインを何度も流用しているそうで、
この「いじけ虫」も会場のあちこちで見かけた。ほかの虫たちも。なんとなく嬉しくなった。

ただやっぱり、蟲達の表情が一番いいのはこの菜蟲譜だと思う。
足元の小さなジャングルの中を旅するようなこの作品は本当に楽しい。

◆象と鯨図屏風
写真では何度も観ていたのですが、やはり実物を見ると印象が違います。
「屏風」はやはり折り立てられた状態で観ないと駄目だと改めて思いました。

まず右隻の象ですが、ちょうど2扇から3扇にかけて「山」になる位置に身体が描かれてます。
これによって象の身体のボリュームが強調されて見えます。
また鼻は第4扇に描かれ、扇面の「谷」から「山」へ向けて
手前へぐうんと伸びてくるような印象を与えています。

また左隻の鯨の身体は、第4扇から第6扇にかけて描かれているのですが
斜め右前方から観ると、まるで長い胴体をくねらせながら岸へ迫りくるように感じられます。

これは実物見ないとわかりません。すごい。

また、この絵、個人的には何となく不安な感じを覚えるところがあります。
よく見ると背景の山と海とは曖昧につながっており、境界がよくわかりません。
正体不明の「うねり」が空間を埋めるように果てしなく続いています。
その茫漠と広がる世界に対して、あてどない不安感を覚えるのかもしれません。

しかしそれゆえに、その世界の中にそびえる
陸の王者と海の王者の姿をより頼もしく感じることができます。
この辺の表現もすごい。見に行ってよかった。


ショップで「玄圃瑤華」のポストカードをたくさん買って帰りました。
見覚えある絵がいくつかありデジャブ?とか思ったのですが、
家に帰って調べてみたら、酒井抱一がそっくりの図案の絵を描いていてビックリしました。

同じ粉本を写したのか、はたまた若冲の絵を真似たのか。

「国宝燕子花図屏風」展 @根津美術館

2010年05月19日 00時50分19秒 | 展覧会
先週末の日曜に行って来ました。




今回の展覧会は大混雑と言うウワサを聞いており
スルーしようと思っていたのですが・・・

こちらのブログを拝見して庭園のカキツバタをどーしても見たくなり
行ってしまいました。

結果としては、行ってよかったのですが、ウワサどおりの大盛況。
なんと入場制限で10分待ち!
根津でこんなこと初めてです。

以下作品の感想。

◆四季草花図 喜多川相説

今回、一番いいなと思った作品。
紙本着色の屏風なんですが、よく見ると墨が多用されていて面白い。

特に左隻の右側。
遠目に見ると葉むらが斑描のように描かれているのですが
墨の葉と緑の葉を交ぜて描くことで、「色つぶれ」することなく
葉の一枚一枚が見て取れるように工夫されているところが凄い。

また全体的にトーンが抑えられることにより、花や雪の色彩を引き立たせる効果も。

ひと続きの垣根が、霞で上下に分断されている構図もチャレンジングです。
垣根(=境界)が延々と続く様子を見せることで、空間がぐんと広く感じられます。


◆七夕図 酒井抱一

角だらいの上方に、五色の糸を掛けたシンプルな絵
前者が牽牛で、後者が織姫を表すのでしょうか。

七夕というテーマは口実で、たぶん抱一が描きたかったのは、
糸が織り成す、波打ち絡み合う色の流れだったんじゃないかなあと思います。


◆夏秋山水図 鈴木其一

何度か見ているのですが、何度見ても奥から手前へと迫りくるように流れる早瀬に圧倒されます
なんといっても鮮烈なブルーが印象的

先日見たばかりということもあり、等伯の「花鳥図屏風」を思い出しました。
あれも図録や画集でみるより、ずっと青が鮮やかでびっくりでした。

ところで右隻の紅葉した葉ですが、枝に付いた状態で描かれているのですが
引いてみると風に吹かれてひらひらと舞い落ちているようにも見えるのです。

気のせいと言われればそれまでなんですけど、
もし見る場所によって違う印象を与えるように描いていたのだとしたら、凄い!と思います。




ところで今回、庭を散策していてふと思ったのですが。




 「たらしこみ」が葉に使われてる場合、
 こんな感じに葉が陽に透けている様子を表現してるのかも、
 と思いました。


 でもよく考えたら、蓮の葉とかにも使われるから違うか。




ぼたん @徳川園

2010年05月08日 00時04分04秒 | Weblog
GW中に、徳川美術館の「王者の花 牡丹展」を見に行ったのですが
ついでに徳川園も散策してきました。





庭園内に牡丹園があるのですが、ご覧の通りちょうど見ごろを迎えていました。
写真を何枚か撮ってきたのでフォト蔵にアップしました。

よろしければこちらからご覧ください。

《ミュージアムグッズ紹介》 親鸞聖人七五○回忌記念 「親鸞展」 公式フィギュア 親鸞像

2010年05月05日 23時15分46秒 | ミュージアムグッズ
◆グッズ紹介

今回ご紹介するのはこちら。



# 画像クリックで拡大します



現在(4/28~5/10)、日本橋三越で開催中の「親鸞展」の公式フィギュアです。

昨年、東博・九博の阿修羅展で販売された阿修羅像フィギュアに続き、海洋堂の仏像フィギュア第二弾です。
箱を見ると、今回も原型を制作されたのは木下隆志さんでした。


この「親鸞像」は「安城御影」「鏡御影」「熊皮御影」などの肖像画や各地の現存する像を参考に
仏教造形研究所所長・本間紀男さんが制作した親鸞聖人像を
約10分の1スケールで再現したもの、だそうです。

同像の実物は会場でも展示されていますが、杖は無かったような気がするので
奈良博所蔵の「熊皮御影」をモデルに起こした、フィギュアオリジナルの要素かもしれません。
(・・・とはいえ、うろ覚えですので違ってたらすみません)

個人的には、右手が胸元にあるポーズのほうが説法してる感じがして好きなので、そこだけちょっと残念。
あと同じく本間さんが制作された法然上人像も優しげでなかなか良い味の像でしたので、
出来ればそちらの像も欲しかった…ムリだけど


◆どこで買える?

「親鸞展」の限定グッズですので、会場に行かないと買えません。
ただこの展覧会は全国を巡回するそうですので、阿修羅フィギュアよりはゲットしやすいと思われます。
詳しくは海洋堂の公式ページをご覧ください。
とはいえ、都内で入手できるのは5月10日まで!


なお展覧会自体は複製品や摸本の展示が多く、すこしはぐらかさられた感もありますが
親鸞の生涯を辿りながら、その教えを知ることが出来るように工夫された構成は素晴らしかったです。
ただ「十字名号三尊像」がバラバラに展示されてたのが残念でした。

なお一昨年、東博で開催された「対決 巨匠たちの日本美術」展でイメージイラストを担当された山口晃さんが
この親鸞展でもイメージイラストを描かれていました。
・・・恵信尼かわいく描き過ぎw

来年、東京国立博物館では「法然・親鸞展(仮称)」の開催も予定されていますので
興味のあるかたは予習に最適と思います。

藤まつり @亀戸天神

2010年04月27日 00時05分14秒 | Weblog
#画像はクリックで拡大します


 先日、以前から欲しかった
 吉田博の「亀井戸の藤」を入手しました!
 江戸時代から浮世絵や版画で繰り返し描かれてきた画題です。

 でも実際に亀戸天神には行ったことがなく
 我ながらそれってどうなの?と思ったので・・・




行って参りました!亀戸天神。
ご覧のとおり、入り口にはまだ八重桜が咲いてました。




 そして左手に見えますのはスカイツリーです。
 こちらも初めて見たので、ちょっと感動。




早咲きと遅咲きがあるらしく、
この日(4月25日)は早咲きの藤棚は
七分咲きくらいでした。




 さっそく伝統の太鼓橋の構図で一枚。





別の角度でもう一枚。
藤棚や植木が密集してるので
すげー構図が取りづらいw





こちらは太鼓橋の上からの眺め。
見晴らしが良いので、実際より高く感じられます。




 こうして、藤棚を上から見ることが出来ます。
 太鼓橋ってこのためにあったんですね。






池には亀や鴨が放たれています。
久々に天気も良かったので
そろって日向ぼっこしていました。




 ところどころにツツジの植え込みも。




後ろの藤が咲いていれば
もっと絵になったのになあ





 こちらは菅原道真公の幼少のころの像だそうです
 なんで子どもなんだろう




最後に天神さんにお参り





 なお咲いている藤棚ばかり撮っているので
 写真では満開のように見えますが
 ほとんどの藤棚はまだ花が付いてませんでした・・・
 
 やはり見ごろはGWの時期のようです。失敗したかな。



ミュージアムマップ作成中

2010年04月24日 11時41分18秒 | 展覧会
Google map で博物館・美術館マップを作成中。
http://maps.google.co.jp/maps/user?uid=116316422432066147919&hl=ja&gl=jp

展覧会のはしごをするのに、近隣の美術館・博物館を探しやすくするため
個人用に作ったのですが、折角なので公開しました。

いまは都区内・美術系の施設を中心に登録していますが、すこしずつ拡充していく予定です。