The Smiths と Morrissey

スミスとモリッシーについて。

All The Lazy Dykes

2022-05-26 17:00:00 | 音楽
All the lazy dykes (※1)
もの憂げなダイクスみんな
Cross-armed at the Palms (※2)
パームスで腕をからめている
then legs astride their bikes
バイクにまたがって
indigo burns on their arms (※3)
腕には藍色のやけど
One sweet day
- an emotional whirl
ある気持ちの良い一日─エモーショナルな眩暈
you will be good to yourself
あなたは自分自身に優しくなれるだろうし
and you'll come and join the girls
そこに来て彼女たちとつながれるだろう
All the lazy dykes
もの憂げなダイクスみんな
They pity how you live
彼らはあなたの生き方を憐れむ
"just somebody's wife"
「ただの誰かの妻」
you give, and you give and
あなたは与えて、そして与えて、そして
you give and you give …
あなたは与えてそして与えて…
One sweet day ― an emotional whirl
ある気持ち良い一日─エモーショナルな眩暈
you will be good to yourself
あなたは自分自身に優しくなれるだろう
And you'll come and join the girls
そしてあなたはやって来て その女の子たちと繋がるだろう

Touch me, squeeze me
私に触れて、きつく抱きしめて
hold me too tightly
私をしっかりと捕まえて とてもきつく
and when you look at me -
そしてその時私をしっかりと見て ─
you actually see me -
私を現に見て ─
and I've never felt so alive
私はこんなに生きてると感じたことはなかった
in the whole of my life
私の人生全ての中で
in the whole of my life
私の人生すべての中で
Free yourself
あなた自身を自由にして
be yourself
あなた自身になって
come to the Palms
パームスへ来て
and see yourself
そしてあなた自身を見て
and at last your life begins
そしてやっとあなたの人生が始まる
at last your life begins
やっとあなたの人生が始まる
at last your life begins
やっとあなたの人生が始まる



上の写真はYouTubeより抜粋 : Morrissey - 12All The Lazy Dykes (Meltdown3) /lapislazuli42
[You Are The Quarry Tour. 26 June 2004. Meltdown2004, Royal Festival Hall, London ]




上2枚の写真はウエストハリウッドの"The Palms bar"の かつての外観と店内(後述のWEHOvilleの記事より)


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〈注釈〉
※1 Dykes とはレズビアンを指す。中でも男性的なタイプの人々のことで、元々はヘテロセクシャルの人たちが蔑称として使いはじめたが、当事者たちが自称するようになった。しかし蔑称的ニュアンスは残っているので当事者以外からそう呼ばれるのはNGのよう。

※2 The Palms というのはなんだろうと思ったが
The Palms Bar というかつてウエストハリウッドにあった伝説的レズビアンバー(2013年閉店)のことのようだ。
初めは普通のバーだったが、そのうちに女性同士が出会いを求めて行く場所として知られるようになった。
まだごく若い頃のジョディ・フォスターが訪れ、未成年だからと追い返されたという伝説もある。
(以上は ウエストハリウッドの新聞 WEHOville の2013年の記事 "Palms Bar Set Closing Date; Lesbian 'Safe Haven' Remember Fondly" より抜粋・要約)
The Palms bar 閉店についてはL.A.timesにも"Historic lesbian bar The Palms set to close in West Hollywood"という記事もある。
※3 "Indigo burns on their arms"
のフレーズ。藍色のやけどって何だろうと思いますが英語圏の人々も過去のMorrissey soloで藍色のやけど? どういう意味? タトゥーは藍色じゃないよね? とか話題になっていたのでモリッシーしか分からないことかもしれない。
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"オールザレージィダーイクス─" という歌い始めから、彼女たちのもの憂げな眼差しを自分の上に感じる。
"ジャストサムバディズワイフ"
だれかに与えてばかりで自分の人生を生きているの? と問われている。
もちろん与えてばかりではない。受け取ったものもあるが、やはりかわりに諦めてしまった人生のチャンスという墓が、サムバディワイフの私の心の中にある。

彼女たちのもの憂げな視線が刺さる。
パームスに行ったら何かに気づけたかもしれない。見つけられたかもしれない。
自分自身になれたかもしれない。
パームスで彼女たちと出会い、語り合ってみたかった。


ウエストハリウッドにあったThe Palms barには ジム・モリソンやジャニス・ジョプリンなど有名人も多数訪れていたらしい。破天荒な彼らが行くくらいだから自由な雰囲気のバーだったのだろうか。未成年で追い返されたジョディ・フォスターも大人になってから行ったのかしら。などと、賑わっていた頃のパームスのことを想像している。

Begins
At last your life
Begins

後ろ髪引かれるようなモリッシーの声。
ビィギン、アッラストユゥアーラァイフ、
ビギン…
"begins" という言葉がいつまでも耳に残る曲である。

☆All The Lazy Dykes : Morrissey アルバム "You Are The Quarry"(2004年リリース)収録曲