『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、19
なんという平和でしょう!もう死ぬことは少しもこわくも悲しくもありません。第二のいのちに、ふみだす大きな希望があるだけです。でも、おとうさんのはうは、そうではありませんでした。
「おとうさん、よい死のための祈りをとなえてください」という息子の願いに祈りの本をとり出したものの、涙にかすんで字がみえません。やっとのことで、おえつにとぎれながら、祈りはじめました。
「ぼくの愛するおとうさん!」と、ドミニコがいっています。目をあげると、ドミニコの顔が光りかがやいています。「さようなら、ああ、ぼくは、なんと美しいものを見ていることでしょう!」
そういうと、少年は、天国から迎いに来た美しいそのおかた方に手をさしのべるかのようにして、息たえました。
1857年3月9日、15才にまだ1ヶ月たりません。一か月たっても、おとうさんは、悲しみから立ちあがることができません。思い出すのは、ドミニコのあどけない顔、微笑、不思議な善良さ!・・・いちばん辛いのは、夜でした。ベットのなかで眠れない夜を苦しんでいます。
とつぜん、部屋がかがやきはじめました。ま昼よりも明むすごるくなりました。ドミニコが、息子が、そこにいます!にこにこして、太陽のように光りをはなちながら!
「ドミニコ、いまどこにいる? もう天国なんだね」。何をいっているかも分らずに、おとうさんがいいました。
「そうです、おとうさん」となつかしいあの声が楽しげにかえってきました。
「ああ、それでは、わたしたちみんなのために祈りなさい、いつか、みんないっしょになれるように」
「もちろんです、おとうさん、祈りますとも」
ああ、なんという慰め!おとうさんの心に、もう今は一点の雲もありません。
なんという平和でしょう!もう死ぬことは少しもこわくも悲しくもありません。第二のいのちに、ふみだす大きな希望があるだけです。でも、おとうさんのはうは、そうではありませんでした。
「おとうさん、よい死のための祈りをとなえてください」という息子の願いに祈りの本をとり出したものの、涙にかすんで字がみえません。やっとのことで、おえつにとぎれながら、祈りはじめました。
「ぼくの愛するおとうさん!」と、ドミニコがいっています。目をあげると、ドミニコの顔が光りかがやいています。「さようなら、ああ、ぼくは、なんと美しいものを見ていることでしょう!」
そういうと、少年は、天国から迎いに来た美しいそのおかた方に手をさしのべるかのようにして、息たえました。
1857年3月9日、15才にまだ1ヶ月たりません。一か月たっても、おとうさんは、悲しみから立ちあがることができません。思い出すのは、ドミニコのあどけない顔、微笑、不思議な善良さ!・・・いちばん辛いのは、夜でした。ベットのなかで眠れない夜を苦しんでいます。
とつぜん、部屋がかがやきはじめました。ま昼よりも明むすごるくなりました。ドミニコが、息子が、そこにいます!にこにこして、太陽のように光りをはなちながら!
「ドミニコ、いまどこにいる? もう天国なんだね」。何をいっているかも分らずに、おとうさんがいいました。
「そうです、おとうさん」となつかしいあの声が楽しげにかえってきました。
「ああ、それでは、わたしたちみんなのために祈りなさい、いつか、みんないっしょになれるように」
「もちろんです、おとうさん、祈りますとも」
ああ、なんという慰め!おとうさんの心に、もう今は一点の雲もありません。