浅田真央が引退した。日経新聞は2017年4月12日のコラム「春秋」で、彼女の面立ちを奈良・中宮寺の弥勒菩薩半跏思惟像(寺伝では如意輪観音)のようだ、と持ち上げたコメントをした。ちょっと思い込みが激しいのでは、とも思われるが何となく共感もする。
(半跏思惟像)
朝日新聞コラム「天声人語」は「浅田真央の引退」と題して、世界の王を引っ張り出してきて「あの王貞治さんにして、この後悔である。・・・」と、惜しむ気持ちを伝えている。我が世代的には、王や長嶋などの引退のほうが身近に感じるはずなのだろうが、どうも個人的にはそれらは結構サラリと受け流してきたみたいなようで、長嶋なんかの場合は「巨人軍は永久に不滅です!」という叫びを、「永久に不潔です!」としか聞き取れないほど、まぁ、それだけアンチということだったのだろう。右半身が不随になったときの状態をわかりやすく説明するときに「あの長嶋さん状態で・・・」と言えばすぐわかってもらえたのも何かの縁かもしれないが・・・・。
スポーツ選手の引退でショッキングだったのは、やはり、2006年W杯のときに仰向けのまま暫し動かなかったサッカーの中田英寿が思い起こされる。サッカーにそれほど興味があった訳でもないくせに、何か中田の生き方に共感していた。
あのときは「nakata.net」上だけで引退メッセージを発表したものだから、多くのマスコミが「パッシングされた」ということで中田への猛「バッシング」を続けたように記憶しているが、今回の浅田真央の場合は、自身のブログで発表した引退のメッセージをマスコミ各社が、競って全文掲載するというケースが目立った。これも異様といえば異様である。
読売新聞「浅田真央ヒストリー 幼少期~引退会見(全文)」
朝日新聞デジタル「「全日本終えて、目標が消えた」 浅田真央ブログ全文」
産経ニュース「浅田真央 引退ブログ全文」
日経新聞「引退表明 ブログ全文」
NHKニュースWEB「浅田真央選手 引退表明 ブログ全文」
時事ドットコム「浅田の引退発表ブログ全文」
・・・ネットの時代を感じさせる事態ではある。
朝日新聞デジタルでは、ソチ・オリンピックの後に「浅田真央ラストダンス」という特設サイトをアップしていた。
日経新聞でも、2017年4月12日と13日にわたって「銀盤のフェアリー 真央」を特集した。フェアリー(妖精)とは、まさに言い得て妙である。
the japan times は1面の上半分ほとんどを真央のソチオリンピックでのジャンプのコマ撮り合成写真で埋め尽くした速報で伝えた。
その内容が下記。
Mao Asada announces retirement from figure skating
その後、'No regrets' as Mao bids farewell として特集も組んでいる。
この浅田真央の引退報道は当分の間、尾を引くものと思われる。
引退と言えば相撲界にも妙な因縁みたいなものがあって、大鵬が引退を決意したきっかけが貴ノ花(先代)に敗れた相撲であり、その貴ノ花(先代)に引退を決意させたのが同じような軽量力士だった千代の富士(<音量注意>)。で、35歳だった横綱・千代の富士に引退を決意させたのが18歳の貴花田(後の横綱「貴乃花」)<音量注意!>。世代交代と言えばそれまでだが、こういうのを見ていたら、まさに「因果は巡る」を地で行くような姿だと実感したものだった。こういう時代の相撲は確かに面白かった。