雑木帖

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パソコンで使用するウェブカメラの危険性

2006-11-05 06:12:21 | コンピュータ/ソフトウェア
 まずは次の記事を読んでいただきたい。

Hotwired Japan 2001年5月24日

ウイルスより怖い、『トロイの木馬』攻撃の実態() ()
Michelle Delio


 君のコンピューターの中には、幽霊が潜んでいるかもしれない『トロイの木馬』と言われるプログラムだ。悪質なハッカーの手にかかれば、これを使って君の行動を密かに調査し、データやコンピューターを破壊し、極端な場合には、事業や人生を破綻させることも可能なのだ。

 攻撃者たちは、コンピューターをトロイの木馬に感染させ、ウェブカメラ越しにユーザーをのぞき見したり、マイクを介して会話に聞き耳を立てたりもできる。
 …(略)…
 ウォンドカーさんのコンピューターは、7ヵ月間トロイの木馬に感染していた。システムに潜入させたのは彼女の元ボーイフレンドで、これを操ってウェブカメラで彼女を眺めたり、彼女の名前を騙って電子メールを送ったり、顧客の電子メールを途中で止めるなどしてウォンドカーさんの仕事を妨害した。

 ウォンドカーさんはコンピューターを3回修理に出したが、それでもやはり、ときどきディスプレーが点滅したり、画面が上下逆転したり、CDドライブのトレイが飛び出してきたりしたし、マシンを立ち上げるとデスクトップの壁紙が変わっていたりすることがあった。

 そしてついに、コンピューターがウォンドカーさんに話しかけはじめたのだ。

 ウォンドカーさんは「コンピューターは、私が何を着ているとか、何をしているとかいう話をしてきた。ときにはきわどい言葉を使ったり、脅しをかけたりもしてきた。それがどんなに怖かったか、言葉にもできないぐらいだ」と語った。

 のちになって、ウォンドカーさんは、元ボーイフレンドが彼女のマシンのテキスト読み上げアプリケーションにリモートアクセスしていたことを知った。この男は、言いたいことをタイプしてコンピューターに読み上げさせ、ウォンドカーさんに「話しかけ」ていたのだ。

 「ウェブカメラや電子メールから情報を手に入れて話題にしてきていた。だから、私は本当に怖くなって、家の中に誰か他人がいるような気がした」とウォンドカーさんは話している。
 …(略)…
 ここに書かれていることはもちろんSFではなく現実の話だ。

 パソコンというのは便利で、ソフトを入れたり様々な周辺機器をつないだりすることでいろんな作業をさせることができる。ソフトで会計処理機にもなればゲーム機にもなるし、今ではテレビにもなるし、その録画さえできる。ウェブカメラをつければ双方向のテレビ電話にもなってくれる。
 しかしパソコンの落とし穴は実はそこに──ソフトでどうとでもなる、というところに存在する。

 ウェブカメラは今は数千円で買える。でも、そのウェブカメラ単体では、何の働きもなさない。パソコンにつないではじめて機能する製品である。
 ウェブカメラとはいっても、撮った映像をインターネットに流せるだけでなく、単なるデジタルカメラとしても使えるようになっていたり、動画と静止画の両方の機能が備わっていたりする。
 いずれにしても、ウェブカメラ自体は単に撮った映像データをパソコンに送る機能しか持っていない。そして、その映像データをどう使うかはパソコン側のソフトが決めている。
 だから、インターネットに映像を流したり、単にカメラとして使ったり、OFFしたりONしたりとパソコンのソフトでいろいろできるのだ。

 けれど、これは逆にいうと、パソコン側のソフト次第で、あなたがたとえカメラをOFFに操作した場合でも、ONのまま作動し続けさせて、なおかつインターネット上に映像データを送り続けさせるようにする、ということも可能であるということなのだ。
 もちろん、設定でいつカメラをONにするのかも、またすぐにはインターネット上には流さず、データをパソコンのHDに一旦保存し、バレないようにあとで何かのときにひそかに流す、といったこともソフト次第でどうとでもなる。ソフト=プログラムで動くパソコンというのはそういうものなのであり、書かれたプログラムだけを忠実に実行に移す、単なる自動機械なのだ。

 撮影のときはランプが灯るカメラなのでONになればわかる、とはいっても、そのランプを灯らせているのはやはりプログラムで、灯らせないようにすることがはやり可能だ(カメラ側にそういうランプがある場合、そのウェブカメラの中のマイコンチップが独自にそのランプの点灯の有無をコントロールしている可能性もあるが、それもそのマイコンチップのプログラムを書き換えればOKだ。もっとも、これはパソコンからソフトを使って出来ることではなく、そのウェブカメラのマイコンチップを一旦取り外してプログラムを書き換える必要がある)。

 いろいろ書いてきたが、もしパソコンのソフトが何らかの事情で書き換えられていた場合、それを書き換えた人間はあなたに知られずにウェブカメラを動作させてその映像データを手に入れることが可能であり、あなたはウェブカメラのONOFFにさえ気づくことはない、ということなのだ。

 けれど、防ぐ方法といっても一般ユーザーが出来る完全なそれはない。
 一番いいのはパソコンにカメラなどつけないことだが、どうしてもつけたいという場合は、カメラは使っていないときはレンズに蓋をする、ということを是非おこなってほしい。
 蓋といってもレンズが覆えるものであれば布だって鍋だって飛行機だって何だってかまわない。

 プログラムが書き換えられる可能性など、普通は宝くじが当たるほどの確立なのかもしれない。でも起こらないとはいえないのがこの世だ。現在のネット事情からいっても、用心だけは一応しておきたいと思う今日この頃である。

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2 コメント

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朝日新聞がらみの記事を書きました (harayosi-2)
2006-11-05 21:46:09
朝日新聞の医療制度に関する報道について、記事を書きました。2本ほどTBさせていただきます。
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harayosi-2 さん (雑木帖@管理人)
2006-11-05 23:53:34
いつも貴重な、参考になる記事のTBを有難うございます。
2世とか3世の政治屋が官財の利益誘導に乗っかり、その上に趣味的な政治をさらに行うという、責任者不在の世の中って恐いですね。
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