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見ル前ニ跳ベ

バイきんぐ小峠の日記

サンタクロースの贈り物 ①

2006-12-18 14:36:02 | ショート・ストーリー
極道の俺にはクリスマスなんて何の関係もない。

今までプレゼントなんか貰った事などないし、ケーキなんて甘ったるいモノなんか喰うはずもない。

今朝ウチの組長がおかしな事を言ってきた。

「おうヤス、明日はクリスマスやな。お前何か欲しいモノないんか?何かあるやろ。今日夜寝る時にな、枕元に靴下置いてその中に欲しいモノを書いた紙を入れとけ。そうすると朝起きたらその靴下の中にちゃんとお前の欲しいモノが入ってるさかい」

ウチの組長は何故かロマンチストなところがあり、時々ついていけない時がある。

「組長、勘弁してくださいよ。俺歳いくつや思うてますの。大体極道にクリスマスもへったくれもないでしょう」

「アホ、極道だって平等にサンタクロースは来てくれはんねん。絶対にお前の欲しい物プレゼントしてくれるから、ちゃんとせぇよ」

組長は一度言い出すときかないので、後は黙って頷いた。

夜寝る時になり、一応組長の言った通り、今一番欲しい物を紙に書いてそれを靴下の中に入れた。

何やってんだ・・・と思ったけど、サンタクロース云々と口にする組長が少し愛らしく思える。


翌朝目が覚めて、靴下の中を見てみると何とプレゼントが入っていた。

小さめの箱はきちんとラッピングされており、リボンまでついている。

包装を解いて箱の中を見た時驚いた。

試しに書いてはみたものの、まさか本当にコレが貰えるなんて思ってもみなかったからだ。

それは血がドス黒く固まって、剥き出しの骨が何とも痛々しい

小指だった。


すぐに仕度をして事務所に向かう。

重い扉を開けると、組長は鼻歌を唄いながら日本刀を磨いていた。

白い布は所々赤く染まっている。

「何だヤス、早いな。サンタクロースにでも起こされたか」

「組長、アレどうしたんですか!」

「何のことや」

「とぼけないでください!誰落とし前つけたんですか!」

「・・・・・そんな事お前が気にすることちゃう。サンタクロースの贈り物やろ」

その時ふと、組長の異変に気付く。

「組長・・・その左手・・・どうしたんですか」

「これな、日本刀触ってたらちょっと切ってもうた」

「・・・・・組長・・・そんな・・・嘘です・・よね・・・」

組長の左手小指には、

血で滲んだ包帯が巻いてあった。






危険図書

2006-12-07 14:20:39 | ショート・ストーリー
動物虐待。

ちょっと耳にするだけでも憤慨し、嫌悪感を抱かざるを得ない単語。

幼稚な人間の幼稚な愚行。

記録に残っている最も古い動物虐待。

それは何の罪も犯していない海亀が、未熟な心と身体で成形された時間を持て余している童子共に玩具にされ、涙を流しながら助けを乞う悲しい古典文学”浦島太郎”

信じられない話だが、我が国はあの俗物を誰でもいとも簡単に入手でき、更には幼い子供に聞かせるという耳を疑いたくなるような現実がある。

取り返しがつかなくなるその前に、これから日本を背負って立つ我々の世代が率先し、この現状を回避させなくてはならない。

子供の脳裏に焼きつき、潜伏している凶暴性を促す書物”浦島太郎”を危険図書に指定すべきだ!


援助交際。

金の亡者へと成り下がった女人餓鬼を、モラルと理性を見失った絶倫成人男性が金で支配する。

彼女達は放課後という貴重な時間を、己の父親と変わらぬ醜い容姿に包まれたパトロンの為に、何の疑いと抵抗もなく股をひらく。

援助交際と名を変える事で、罪への意識を遠退かせているつもりだろうが、その行為は売春そのもの。

彼女達は貴重な時間と同時に、プライドも失っている事にはたして気付いているのだろうか。

”恥じらい”や”奥ゆかしさ”という言葉は、もはや死語になってしまった。

何故このように性は乱れてしまったのだろう。

その根本と思われる内容が記載されてある、非常に古い資料を図書館で見付けた。

それによると、男性客を店に招き入れ、過剰なボディタッチ・性行為を匂わすような妖艶なダンスを踊り続け、行き過ぎたサービスを提供し続けたのだという。

まだ物々交換が主流だった時代の出来事なので、金銭的な問題はなかったらしいのだが、これは明らかに現代でいうキャバクラ・ストリップ劇場の走り。

この有害書物”浦島太郎”を危険図書に指定すべきだ!


薬物汚染。

昔は暴力団やミュージシャンといった、一部の特殊な人だけが手を染めていた様々なドラッグ。

それが今や誰にでも手に入る一般的なモノになり、薬物汚染は学生や主婦にまで及んでいる。

中毒者は全身の毛穴が開くような快楽に溺れ、その白い粉を摂取し続けて廃人と化す。

我が国日本での最初の薬物乱用事件が、奇跡的に記録に残っている。

使用者は覚醒剤と思われる大量の白い粉を摂取した後トリップ状態となり、時間の経過と平衡感覚を失った挙句、己の顔が急激に老いた幻覚を見たのだという。

青少年の好奇心を煽るようなこの”浦島太郎”を危険図書に指定すべきだ!


またこれと同様に目を覆いたくなるような内容が堂々と記されている”桃太郎”

犬・猿・キジといった動物が、何の恩もない桃太郎にキビ団子一つで命を預けるなど到底考え難い。

随分と古い書物なので何処でどう変わったのか今となっては知るよしもないが、あれはキビ団子などではなく、きっと覚醒剤だったのではないかと思う。

何の罪もない動物達をクスリ漬けにして、もっと欲しいのなら鬼退治に付き合えと脅迫。

すでに中毒となっている三匹はパブロフの犬のように身体が過敏に反応し、そのクスリ欲しさに逆らう事など出来るはずもなく、嫌々鬼と戦ったに違いない。

記録によると老父は山へ芝刈りに行っていたとなっているが、芝を刈って一体どうなるというのだ?

それで生計を立てれるのか?

いや違う、そんなはずはない。

彼は山へ覚醒剤の原料となる、ケシの葉を摘みに行っていたのだ。

刈っていたのはシバではなく、ケシ。

その持ち帰ったケシの葉を、今度は老婆が川で覚醒剤へと変える。

まるで魔法使いにでもなったかのように、ケシの葉を白い結晶へと変える魔法をかけるのだ・・・・・



私は今この有害書物”浦島太郎”と”桃太郎”を抱えて、地下鉄に乗っている。

古き良き日本を取り戻す為、今こそ立ち上がる時なのだ。

誰か、ではなく私が。

電車がホームに着き、私は改札を通って階段を駆け上がり外へ出た。

十二月の寒空の下、冷たいビル風が私の首筋を弄ぶ。

私は去年のクリスマスプレゼントに妻から贈られたバーバリーのマフラーを首に巻きつけた。

ここからが本当の勝負だ。

さあ見えてきたぞ、

あれが文部科学省か。




選手宣誓②

2006-11-30 13:47:49 | ショート・ストーリー
宣誓!!!

我々は!!!

スポーツマン!!!!!

シップに!!!!!!

のっとり!!!!!!!!!!!

正々堂々と!!!!!!!

戦うことを!!!!!!!!!!

誓い!!!!!!!!

ます!!!!!!!!!!!!!!!

選手代表・・・



異常なテンションの高さに、委員会の目が光る。

この後、彼の尿から禁止薬物が検出された。





選手宣誓

2006-11-30 13:37:32 | ショート・ストーリー
宣誓!

我々は!!

スッポ~~~ツマ~ンシップにのっっっっとり!!!

正々堂々とうー とうー とうー とうー

戦うこっとうぉー!!!!!

誓いまっすぅ~!!!

選手代表!



浅田真央!!!



知恵の輪

2006-11-02 14:31:48 | ショート・ストーリー
どうもみなさんこんにちは、好きなブランドはティファニーです。

この写真何か分かりますか。

知恵の輪です。

またけったいな形の知恵の輪でしょう。

知恵の輪ってね、何年かに一度、別にこっちが求めてないのにやる機会があると思いません。
ふと誰かがやってるみたいな。

これ誰が作ってるんでしょうね。

どうして作ってるんでしょう。

数有る職業の中から、何故知恵の輪工場で働こうと思ったのでしょうか?


知恵の輪工場の重要な書類の入っている金庫は、ひょっとしたら知恵の輪を外すと開けれるようになっているのかもしれません。

知恵の輪の工場の社員は、まだ恋人関係ではない好きな人が何か悩んでいる時、こう告白することでしょう。

「君の心の知恵の輪を解きたいんだ」

その結果上手く付き合うことができ、数年後結婚を決めた彼は

「毎日君の作った知恵の輪を解かせてくれ」

とプロポーズするに違いありません。

もちろん結婚指輪ではなく、結婚知恵の輪。

子供が産まれ、すくすくと成長していき、その子供が年頃になって友達が中々出来ずに悩んでいる時は

「お父さんは知恵の輪を作っている。とても難しい仕事だ。だけどな、知恵の輪を作るより、友達の輪を作る方がその何倍も難しいんだ」

と、励ましてあげることでしょう。

このように一見幸せそうにみえる家庭を築いた、知恵の輪工場の社員。

だけど家庭崩壊はすぐそこまで来ていた・・・・・


知恵の輪工場の社員の給料は、もちろん知恵の輪。

例えば月給18万であれば、18万円分の知恵の輪が支払われる。

きちんと所得税も引かれ、その分の知恵の輪を何個か抜かれる。

18万円分の知恵の輪となると多大な量になり、とてもじゃないけど自力で家に持って帰ることなど出来ないので、給料日になると4tトラックが荷台に大量の知恵の輪を積んで家まで運んで来る。

ボーナスとなると4tトラック三台分。

サラリーを知恵の輪で支払われる事を、知恵の輪工場の社員は何とも思わない。

何故なら彼らは、知恵の輪に全てを賭けてるのだから。

彼ら知恵の輪工場の社員は、日本、いや世界の通貨がいつの日か知恵の輪になる事を信じて疑わない。

その日が来ることを信じて、今日もせっせと知恵の輪を溜め込んでいるのだ。

一方、奥さんはたまったものではない。

旦那がお金を一切家に入れないのだから。

持って帰ってくるのは月に一回大量の知恵の輪のみ。

ある日妻は決心して、知恵の輪工場の社員にこう告げる。

「お願い、私と別れてください」

家族の為に一生懸命働いている彼からすれば、まさに寝耳に水。

「あなたみたいに、私・・・・・知恵の輪が全てじゃない」

こう言い残し、妻は出て行った。

テーブルの上に、解いた結婚知恵の輪を置いて・・・・・


こんな悲しい物語がかつてあったでしょうか。

私は自分で書いときながら、後半涙が止まりませんでした。

最後になりましたが、一言だけ・・・・・


知恵の輪工場ってあるん?






機能的愛撫

2006-10-24 14:28:06 | ショート・ストーリー
彼女のヴァギナを必死でクンニリングスしている。

すでに十五時間経過。

いい加減舌が疲れてきたので、彼女の携帯電話を借りて俺の携帯電話に掛けた。

すぐに着信。

バイブレーション機能を利用して、電話をクリトリスに当てがった。

よがる彼女。

これが本当のバイブレーター。

いや、違う。

これが本当のテレホンセックス。


機械的愛撫

2006-10-24 14:20:30 | ショート・ストーリー
携帯電話を仕舞うところがなかったので、シャツの胸ポケットに入れた。

しばらくすると着信があり、バイブレーションがシャツを通して乳首を機械的に愛撫する。

気持ち良かったので、そのままほっといた。

coffee

2006-10-24 13:58:55 | ショート・ストーリー
ホット缶コーヒーを買ったら、温かいどころか手に持たれへんくらいめちゃんこ熱かったので、すぐにシャツの胸ポケットに入れた。

瞬く間に、乳首を低温火傷した。

淫習

2006-10-23 17:51:16 | ショート・ストーリー
ピッピッ 1、2

ピッピッ 1、2

ピッピッ 1、2

ピッピッ 1、2

全体止まれ!

よしお前ら、銃を肩から下ろして休め

いいか、今日はプラスチック爆弾の処理の仕方を教えるつもりだったが、予定変更だ

今から私の講義を聴いてもらう

厳しい訓練をするばかりが、自衛隊ではない

一般知識を身につけるのも、立派な演習だ

講義終了後、実戦さながらのシュミレーションをやる予定だから、きちんと理解して聴くように

では始める・・・・・


お前達、アダルトビデオは好きか?

そうか、好きかー

好きだよなー

健康な男子たるもの当然の事だ

でもな、そのアダルトビデオを観ながら自慰に浸る時、必ずこういう輩がいる・・・

出演しているAV男優と自分、どっちが先に射精するか勝負する奴だ

勿論この場合、先にイった方が負けとなる

AVの世界に置いて、早漏は罪だ!

これはソフト・オン・デマンドの社訓にもなっている

何とも不毛なこの戦い

一度でも参戦したことのある者、正直に一歩前に出ろ!

・・・・・ほとんどだな

まあいい、大体こういうくだらない事に執着するのは、一度もセックスを経験した事のないチェリーボーイだ

では質問を変えて、もう一度訊く

童貞野郎!一歩前に出ろ!

・・・・・ほとんどだな

近い、近い

お前達近いぞ、二歩後ろに下がれ!

いいかよく訊け

そしてよく考えろ

いくらお前達がAV男優と射精のスピードを競ったところでな

向こうは生身の女との絡み、お前達はそれを観てシコシコやってるだけなんだ!

ハナから勝負になってないんだよ!

シコばっかり踏みやがって

お前達、力士か?

本物のセックスとバーチャルセックス

土俵が違うんだよ!

力士だけにね!

・・・・・いいか

向こうは張りのある乳房をモミモミ、お前達はシワシワに伸びきった玉袋をモミモミ

しかも自分でだ!

右手で竿を刺激しながら

左手でたまーに、アクセントとして触る

キンタマだけにね!

・・・・・何だお前達、その呆れた顔は?

舐めてんのか?

キンタマだけにね!

キンタマ、キンタマってうるせぇなって顔してるな?

でもな、俺お前達の事が心配なんだ。お前達の事が好きだから言ってんだよ。辛い訓練を一緒に耐えてきた仲じゃないか・・・・・ふっ、私とした事が・・・クサい事言ってるな

キンタマだけにね!

キンタマだけにね!

キンタマ、キンタマって何回も被せやがってだと?

包茎だけにね!

まあだから俺が言いたかった事は

無駄な戦いはやめろ

これ以上無駄な血、いや無駄な精子を流すな・・・・・

以上で講習を終わる


では今から最初に言った通り、実戦のシュミレーションを行う

全員ズボンを脱いで、パンツの中に仕舞ってあるM-16を取り出せ

まあ大きさによっては、ワルサーP38くらいの奴もいると思うが・・・

銃弾はすでに入ってるな

個人によって違ってくるが、だいたい三億発くらいだろう

そして引き金を引け

何度も何度もだ

その三億発を一気に発射出来るように、何度も何度もだ

ぶら下がってる二つの手榴弾も同時に刺激しろ

するとだんだん銃口が自然と上を向いてくる

そしてムケてくる

よし、そのまま前を見ろ

いつも練習で撃っている、あの的目掛けて発射しろ

丸が何重にもなってるあの的だ



見ようによっては、女性器に見えないこともない

童貞のお前達には分からんと思うが、まあ大体あんな感じだ

よーし、いいぞ

もっとシコを踏め!

もっとだ!

オイ、小笠原二等兵!

お前は歳取って立ちが悪いんだから、竿の下に手を添えて少し持ち上げないと的まで届かないぞ

放物線を描くように飛ばせ

”いえ、隊長自分は大丈夫です”って、変な所で見栄張るんじゃない!

いいから言う通りにしろ!

よーし、もう少しだな

だんだん登りつめてきたか

快楽の波が押し寄せ、まもなく満潮を迎える

エクスタシーという名のビックウェーブを、理性の防波堤に打ち付けて崩壊させてしまえ!

イクぞー

俺、もうイクぞー

みんな一緒にいこう!

5、4、3、2、1

発射!!!

ぶっかけろ!!!!!!!






狂った果実

2006-10-18 17:40:34 | ショート・ストーリー
「果物、何が好き?」かと訊かれれば「桃」と即答いたします。

真の桃好きは意外と少ない。

俺が今までに出会ったのはたった二人。

五年程前に一人、そして最近になってもう一人。

最近出会った方は、渚さん(鼻エンジン)。

先日二人で居酒屋に行った時、渚さんの桃好きが発覚した。

スクープだ。

次回発売のフライデーに載るのではないかと気が気でなかったが、取り越し苦労に終わる。

桃好きの輩は、桃の話が出来る。

甘い甘いピーチトーク。

その日も30分くらいであろうか、桃の話に花が咲く。

ピーチ姫(敬愛の意を込めて、俺はその日から渚さんのことをこう呼んでいる)は熱く、いや甘く語る。

「桃の凄いところは、人の手を一切加えてないのに、味・食感・色艶・絶妙な果汁加減が、実にバランス良く成り立っているところやと思う」

さすがはピーチ姫。

俺はその眼力と、的を射た表現に感服した。

さらにはこうも吠える。

「あれは完璧や・・・神の恵みや・・・」

ピーチ姫は泣いていた。

その時、頬を伝っていたもの。

それはしょっぱい涙などではなく、ほんのり甘い、桃の天然水だった。

ピーチ姫はさらに続ける。

「お前、桃好きやったらその桃を何処で食べんねん?桃を食べる場所や」

そのあまりにも斬新な質問に俺は目眩すら感じた。

そして俺はピーチ姫の顔色を伺いつつ、恐る恐るゆっくりとこう告げる。

「台所・・です・・・・・」

一瞬ピーチ姫の顔が曇った事を俺は見逃さなかった。

しまった!っと思ったがもう遅い。

すぐに後悔の念が押し寄せる。

でも俺は真実を語りたかった。

先輩後輩という垣根を越えて、一人の桃好きとしてピーチ姫と勝負したかった。

沈黙を破り、ピーチ姫は口を開く。

「そうやな、正解。桃は汁気が多いから、台所でポタポタ垂れるのを気にせずに思いっきりかぶり付くのが一番ウマイねん。お前よう分かってるな」

俺は緊張の糸が切れ、その場にへたり込んだ。

・・・勝った。

あまりの嬉しさに涙腺が刺激され、涙が溢れ出しそうになったが何とか耐える。

俺は自分の考えを理解して欲しく、ピーチ姫に詰め寄り意見する。

「台所は僕ら桃好きにとって聖地、サンクチュアリです!不動産屋で希望の物件を聞かれたら”一部屋と、あと小さくてもいいから軽く桃の食べれるサンクチュアリが欲しい”と答えます!」

と熱弁すると

「小峠、それは言い過ぎやわ」

と、実に軽く流された。

その後も、やれ桃にいくらまで出せるだの、桃狩りに行きたいだの、今年何個食べただのと、宴は延々と続いたのであった。


ところで君達にお聞きしたい。

桃を食べる以外の使用方法を知ってるか。

まずその前に、もう一度上にスクロールして行って、桃の写真を見て来てほしい。

・・・どうだ、美しいだろう。

うっとりするくらい、はっと息を呑む程の、その淫靡なフォルム。

実に妖艶なオーラをかもし出している。

俺は桃を見ると、どうしても形の良い女性のヒップに見えてしまい、

興奮する。

桃を食す以外の用途・・・

それは桃と交わる行為。

狂った果実との性交、禁じられた遊びだ!


まず桃というのは時間が経つとある一点が黒ずんでくる。

バナナと同じように。

そしてその柔らかくなった黒尽くめの部位を、女性の茂みに見立て、その膨らみ過ぎた下半身を、ベルトという名の鎖を外し、お前の野望を解き放て!!!

ぶち込め!ぶち込め!ぶち込め!
ぶち込め!ぶち込め!ぶち込め!
ぶち込め!ぶち込め!ぶち込め!

黒い茂みにぶち込め!!!

果汁が潤滑油となって作用し、貴様を快楽の底へと導くだろう。

そして中でぶちまけろ!

貴様の白く濁った、そのカスタードクリームのようなドロドロとしたタンパク質を中に吐き出せ!

・・・・・心配なんだろう。

単細胞の貴様の心中など、手に取るようにわかる。

貴様の心配しているような事態には決してならない。

それは随分と昔に科学が証明している。

安心しろ、桃は全然に、

妊娠しない。

絶対に、だ。

そして吐き出した後は食せ!

甘味を堪能しろ!

性欲と食欲を同時に満たす事の出来る、狂った果実。

この時桃は、二度、おかずと成りうる。


長くなってしまったが、最後君達に一つだけ約束してもらいたい事がある。

食べ物を粗末にしては、いけない






あとがき

2006-10-13 19:03:04 | ショート・ストーリー
やっと終わりました。

これはね、キツかったですよー。

何がキツイかって、わざと面白くないことを書かんとアカン訳ですよ。

書いてる時に何かおもろい事が浮かんでも、それを書いてはいけないんです。

散々読ましといて、最後に「何やねんそのオチ!」っていうのが正解なので。

ホンマは二日目くらいでもう辞めたかったんです。

”うわーもう書きたないわー。面白くないこと書きたくないわー”思って。

けど、最初にあんだけふってるから書かんと仕方ない。

自業自得ですわな。

バカです。

俺が思う一番酷いオチは”ニューハーフ”ちゃうかなと。

あれは酷い。

書いてる時に”ニューハーフ”ってオチの後に、実は男が「大丈夫、俺、オナベだから」っていうのが浮かんだんですけど、書けないんです。

それを入れる事によって、少し考えてるオチになってしまうから。

最初のフリと違ってくるから。

そやから昨日書いた”植草教授の勇気ある行動が・・・”っていうのもホンマは駄目なんですよね。

ちょっとボケてるから。

やっぱり「散々読ましといて、コレかーい!」ってならんと。

10話目はね、もう良いんです。
正解ではないかもしれへんけど。

今回書いてて楽しかったの10話目だけです。

あと個人的には、トーマスとツチノコと痴漢プレイが好き。

しんどかったけど、面白くない事を書く難しさが分かったので、よしとしましょう。

あと最後に、ここから読みはじめた方。

お願いですから、どうかこのまま何も読まずに”まずはじめに”というタイトルのところまで下って行ってください。

そこから上にあがる感じで読みましょう。

そうしないと、えらい事になってしまいますので。

あぁー疲れた




何やねんそのオチ ~その十~ (完結)

2006-10-13 18:25:12 | ショート・ストーリー
笑いで埋め尽くされた和やかな店内を後にして、俺は無我夢中で駆け出した。

何って失態だ・・・銀行と農協を間違えるなんて・・・・・

”農協強盗だ!”

格好悪過ぎて、さすがに口が裂けても言えない。

自身の不甲斐なさに激しく憤りを感じていると、見覚えのある建物が視界を塞ぐ。

銀行だ。

これ間違いなく銀行だよな。

普段なら考えられない事だが、先程の失敗で、俺はそこにそびえ立っている建物が、銀行であるかどうかを厳しく吟味していた。

・・・・・間違いない。
これは、銀行だ。

俺は躊躇せず、中に足を踏み入れた。

下見もせず、何の計画もなく銀行を襲うのは我ながら馬鹿げてると思ったが、変に肝が据わったというか、もうほとんどヤケクソに近い状態だった。

ピストルを抜き、従業員に向ける。

「銀行強盗だ!!!」

たちまち辺りに静寂が訪れる。

そこにいる全員が全員、一斉に俺に目を向けた。

もう後戻りは出来ない。

いや、例えそれが出来たとしても、もう過去には戻りたくない。

思えば、つらない人生だった・・・・・

真面目に働きたくないから極道になったものの、ボスの女に手を出したのがバレて危うく殺されそうになり、それに懲りてちゃんと就職したが、今度はギャンブルにハマって借金ができ、女房が子供を連れて家を出た。残された道は死ぬ以外ないと、電車に飛び込んで自殺を図ったところ、その電車が何と機関車トーマスだったという、まるでおとぎ話にでも迷い込んだような、とんでもない結末。くだらない生活の中での唯一の楽しみ、イメージクラブの延長料金を払う金すらない。いい加減疑似恋愛は卒業して、本当の恋をしなければと思い、やっと好きな人が出来たので勇気を出して告白したところ、何とそいつはニューハーフだった。さらには最近とても恥ずかしい事に、SMの夢を見た後、この歳になってオネショをしてしまう。ただこれには列記とした理由があり、それはある田舎町で食べたある郷土料理が、身体の調子をおかしくしてしまった。言い訳に聞こえるかもしれないが、俺が口にしたものを訊くと、きっと納得してくれるだろう。訊いて驚くな、何と・・・


「俺はツチノコを食べた」

その出来事が余程ショックだったのか、思い余ってそこだけ声に出た。

周りを見渡すと、全員口をあんぐりと開けて唖然としている。

当然だ。

すごい勢いで銀行に入って来たと思いきや、ピストルを抜き「銀行強盗だ」と言った後しばらく目を閉じ瞑想してる中、今度口を出た言葉が「俺はツチノコを食べた」のだから。

周りの連中は好奇な視線を俺に送っている。

俺はふと我に返って気付く。

さっきとは明らかに視線の”質”が違う。

鋭いのだ。

よく見ると従業員と客は一人もいない。

その代わり、俺の周りは警察官に囲まれていた。

”いつの間に・・・?”

現場の指揮官と思われる、眼光の鋭い、いかにも神経質そうな刑事が俺に向かってこう言った。

「お前、また随分と長い時間考え事をしていたな。知らせを聞いてすぐに駆けつけたが、到着した時はすでに全員避難していて、中にいるのは目をつぶって、何やら口をもごもごさているお前だけだった。俺がこんなの言うのも何だけど、お前強盗の最中だぞ、何やってんだ?」

・・・終わった。

何もかも終わった。

私生活に置いて、ことわざを使うことなどまずないと、たかをくくっていた俺だが、この時ばかりは「万事休すか・・・」という言葉が自然と口を出た。

・・・ん?
たかをくくる?

これもことわざか。

だとしたら俺が気付いていないだけで、意外と使っているのかもしれないな。

俺は今のこの状況に到底不釣合いな”新たな自分”を発見し、妙に清々しい意気分になっていた。

もう何も思い残す事はない。

どんな悪事を働いている時でも、一つだけ貫き通そうと決めている事があった。

刑務所に入るくらいなら、死を選ぼう・・・っと。

俺はずっしりと重いピストルを自らのこめかみ当て、冷房によってより冷たくなっているひんやりとしたトリガーを引いた。

「やめろー!!!」

刑事が叫ぶ。


カチャ・・・


あれ・・・・・・


まさか・・・


状況を把握出来ていない刑事に、俺はこう呟いた。


「弾、入れ忘れた」