不確実性の戦略が採用されるべき環境とは変化の急激な時である。この場合の変化とは、たとえば産業革命のように社会構造までを変化させる巨大なパラダイムシフトのレベルから、特定の業界における黎明期での多数乱戦、あるいは衰退期にみられる撤退やM&Aなどのサバイバル戦争といったレベルにいたる急激な経営環境の変化一般を指す。
このような環境にあっては、将来の予測は確率の低いものとなり、経営の重心を確実性のモデルに合わせ込むことはリスクの高いものとなる。具体的には、将来の売り上げ高の拡大モデルに沿って内部設備投資を計画的に実施するというようなことは大きなリスクを抱えることになる。
不確実性の戦略の本質をなすものは、このような急激な変化への対応性であり追従性であると考えることができる。対応性とは、ある時点における環境Aが、次の時点で環境Bに変化した際に、環境Aで最適であるビジネスモデルa(=ロジスティクス)を、環境Bにおける最適なビジネスモデルbへ、転換cする際の速度であると定義する。
対応性(速度v) = { (ビジネスモデルa)-(ビジネスモデルb) } / (変化に要する時間)
= (ビジネスモデルの乖離距離c) / (変化に要する時間) (1)
この対応性を定式化するならば(1)式となる。この対応性を向上させる、すなわち不確実性の環境下において競争優位を実現させるには、(i)転換cを小さくするか、(ii)時間を短くするかである。しかし、(i)の転換cは環境変化よりあらかじめ与えられる制約条件であり制御不能であり、競争優位の方策は(ii)である環境変化にいかに迅速に対応するかにかかってくる。
さらに対応性を、企業が変革のために消費する運動量P(=質量m×速度v)として捉えるならば(2)式となる。同一の対応力=運動量Pを前提としたならばその速度は質量に反比例することがわかる。すなわち、環境変化への対応速度vは企業の規模(=質量m)は小さければ小さいほど迅速な対応が可能となり、競争優位に立つチャンスが多くなる。
運動量p = 質量m Х 速度v
= 組織規模m Х 対応性(速度v) (2)
このことを経営指標に置き換えるならば、ROE(Return on Eqity 自己資本利益率)が該当する。従来のROEは株主からみた資本投下に対する利益率の指標として位置付けられており、(3)式に展開されるようにROA(Return on Assets 総資産利益率;総資産の効率の指標)と財務リバレッジの項が含まれ、資本の制約のない資金調達による成長性の確保とともに、自己資本より調達コストの低い負債による資金調達によって、資産圧縮を図る狙いがある。
ROE = 当期利益 / 自己資本
= (当期利益/売上高) Х (売上高/総資産) Х (総資産/自己資本) (3)
<< ROA項 >> <<リバレッジ項>>
しかし、不確実性の戦略の指標として注目すべきROEの性質は、リバレッジ項目によって、外部資源の活用が財務指標に反映されることろにある。内部投資が抑制されることは、企業規模を肥大化させない方向性を与え、結果として変化への対応速度を高いレベルで保持することに結びついていく。
以上の分析をまとめると次のようになる。すなわち、「急激な環境変化における競争優位は、迅速な対応性によるところが大きく、またその速度は企業規模に反比例する。しがたって不確実性の戦略とは、組織の柔軟性や多様性を増し、変化への対応速度を保持するかが最重要となる。次回は戦術論に言及する。
このような環境にあっては、将来の予測は確率の低いものとなり、経営の重心を確実性のモデルに合わせ込むことはリスクの高いものとなる。具体的には、将来の売り上げ高の拡大モデルに沿って内部設備投資を計画的に実施するというようなことは大きなリスクを抱えることになる。
不確実性の戦略の本質をなすものは、このような急激な変化への対応性であり追従性であると考えることができる。対応性とは、ある時点における環境Aが、次の時点で環境Bに変化した際に、環境Aで最適であるビジネスモデルa(=ロジスティクス)を、環境Bにおける最適なビジネスモデルbへ、転換cする際の速度であると定義する。
対応性(速度v) = { (ビジネスモデルa)-(ビジネスモデルb) } / (変化に要する時間)
= (ビジネスモデルの乖離距離c) / (変化に要する時間) (1)
この対応性を定式化するならば(1)式となる。この対応性を向上させる、すなわち不確実性の環境下において競争優位を実現させるには、(i)転換cを小さくするか、(ii)時間を短くするかである。しかし、(i)の転換cは環境変化よりあらかじめ与えられる制約条件であり制御不能であり、競争優位の方策は(ii)である環境変化にいかに迅速に対応するかにかかってくる。
さらに対応性を、企業が変革のために消費する運動量P(=質量m×速度v)として捉えるならば(2)式となる。同一の対応力=運動量Pを前提としたならばその速度は質量に反比例することがわかる。すなわち、環境変化への対応速度vは企業の規模(=質量m)は小さければ小さいほど迅速な対応が可能となり、競争優位に立つチャンスが多くなる。
運動量p = 質量m Х 速度v
= 組織規模m Х 対応性(速度v) (2)
このことを経営指標に置き換えるならば、ROE(Return on Eqity 自己資本利益率)が該当する。従来のROEは株主からみた資本投下に対する利益率の指標として位置付けられており、(3)式に展開されるようにROA(Return on Assets 総資産利益率;総資産の効率の指標)と財務リバレッジの項が含まれ、資本の制約のない資金調達による成長性の確保とともに、自己資本より調達コストの低い負債による資金調達によって、資産圧縮を図る狙いがある。
ROE = 当期利益 / 自己資本
= (当期利益/売上高) Х (売上高/総資産) Х (総資産/自己資本) (3)
<< ROA項 >> <<リバレッジ項>>
しかし、不確実性の戦略の指標として注目すべきROEの性質は、リバレッジ項目によって、外部資源の活用が財務指標に反映されることろにある。内部投資が抑制されることは、企業規模を肥大化させない方向性を与え、結果として変化への対応速度を高いレベルで保持することに結びついていく。
以上の分析をまとめると次のようになる。すなわち、「急激な環境変化における競争優位は、迅速な対応性によるところが大きく、またその速度は企業規模に反比例する。しがたって不確実性の戦略とは、組織の柔軟性や多様性を増し、変化への対応速度を保持するかが最重要となる。次回は戦術論に言及する。
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