バスターミナルなブログ

全国のバスターミナルやバス旅の紹介(※ブログ内のデータは原則として撮影時のものです)

立山黒部貫光「立山トンネルトロリーバス」

2024年09月05日 | バス旅(乗車記)


大自然の立山から、こんにちわ。

今回は、2024年11月30日をもって廃止予定の「立山トンネルトロリーバス」に乗車するために、大観峰まで来ました。東京から新幹線で長野駅へ、そこからアルピコ交通の特急バス「雷鳥ライナー」で扇沢、続いて「関電トンネル電気バス」で黒部ダムに進み、「黒部ケーブルカー」、「立山ロープウェイ」と乗り継いで、ようやく「立山トンネルトロリーバス」の大観峰駅に到着です。



立山黒部貫光「立山トンネルトロリーバス」
大観峰13時45分発


トロリーバスの改札前で待機すると、出発時刻の概ね10分前に乗車改札が始まりました。ホームに向かうと、トロリーバス8000型とご対面。この便は3両体制のようです。3両で1列車として運行します。

まだ出発までは時間があるので、トロリーバスを色々と観察してみましょう。



屋根上には、2本の架線が見えます。

一般的に鉄道の架線は1本ですが、トロリーバスではレールがないために、変電所への帰線が必要です。そこで架線は、プラスとマイナスの2本となるのです。当然、トロリーポールも2本あります。



車内の様子。

近年珍しくなったツーステップタイプです。座席は2列-1列の配列で、輸送力の必要な混雑時にも対応しています。



トロリーバスらしいものを探すと、前方運転席にありました。電圧計です。

推測を含みますが、左側から、制御電源の直流24Ⅴ電圧計、蓄電池走行用の直流96Ⅴ電圧計、架線電圧の直流600Ⅴ電圧計と思われます。架線電圧計は0Vを中央に配置し、両側に針が動くタイプです。これはトロリーバスの終点は、ラケット形状の軌道になっており、往路と復路でプラスとマイナスの極性が変わるためです。今は600Vを右側で指していますが、終点に到着して戻ってくる際は、左側に針が触れます。



そのうち、ブーンとコンプレッサの動作音が聞こえてきました。

目を閉じると、いわゆる電車の中にいるようです。運転席の計器には、圧力計が配置され、それによると圧縮空気は、7~8Kpaで制御している模様です。左側から、ブレーキ圧力計、速度計、電流計、元空気ダメ圧力計です。上記画像では、停車しているのにブレーキ圧力が0になっていますが、これはパーキングブレーキ(スプリングブレーキ)を使っているためです。



運転席頭上には、バックミラー。

この用途は、トロリーポールの監視を行うためだそうです。予想ですが、ベンチレーターのように上に開いて後方を見るのではないでしょうか???



車両後方に付いている2つの円筒形のものは、トロリーレトリバー。

トロリーポールと紐で繋がっています。もしもポールが架線から外れてしまった場合、負荷がなくなったポールは急上昇しますが、レトリバーが急上昇を検知して、紐を巻き取り、ポールを下げる作用を行います。仕組みとしては、ゆっくりとした動きは無視して、急な動きには反応する、車のシートベルトと同じだそうです。



車内に戻り、頭上には降車押しボタンがありました。

これは、2018年に廃止された「関電トンネルトロリーバス」にはなかった設備です。かつて「立山トンネルトロリーバス」には途中駅「雷殿駅」が設けられており、ここで降車する際はボタンを押していました。ボタンには「雷殿駅停車押しボタン」と表記しています。今は雷殿駅が廃止されたので、使う機会はありません。雷殿駅はトンネルの中にあり、主に登山客が乗降していたそうです。



最後に、全般検査施工の表記です。

施工年月は令和6年2月。ちょうどアルペンルートが冬ごもりをしている時期です。雪に閉ざされた冬の立山ですが、大きな車両保守はこの時期にやっていたのですね。それから施工場所は室堂整備工場。「関電トンネルトロリーバス」は大町の野口工場まで運んで大きな検査を行いましたが、さすがに「立山トンネルトロリーバス」は山から下すような行程は組んでいないようです。



さて、出発時刻になりました。

赤色だった信号機は、まもなく緑色に変わり、駅員さんの合図で列車は出発。立山トンネルへと進行します。



立山トンネルは、関電トンネルとは違い、トンネル断面が小さいのが特徴です。

路肩部分は狭く、壁が近いので速度感を味わえます。カーブがきつい箇所もあります。ホイールベースは5800mm。長尺車の部類に入りますが、プロの技で巧みにスルスルと曲がり、モーターの音を響かせて走行します。ちなみに8000型の制御方式はVVVF制御です。運転士さんがアクセルを踏むと、踏み込んだ量に従って加速をします。変速はないものの、いわゆるバスと同じです。「関電トンネルトロリーバス」の古い100型や200型は抵抗制御なので、アクセルがノッチになっていました。手動進段ならぬ、足動進段です。どんな乗り心地の加速をしていたのでしょう。



列車が進行すると、右カーブの先に青色の照明が見えてきました。



ここは破砕帯です。

破砕帯というと、映画「黒部の太陽」に代表されるような関電トンネル(大町トンネル)建設の苦労が浮かびますが、ここ立山トンネルも破砕帯と戦った場所です。軟弱な地層による崩落の危険性、止まらない大量の冷水。ルートを変えて掘り始めても結局は軟弱層に当たり、実際に現場が崩落したこともあったそうです。最終的には、注入した薬剤で固めてから掘削する対策が功を奏し、破砕帯を突破することができました。当時は前進することが極めて困難だった50mを、私を乗せた列車はあっという間に通り抜けます。



破砕帯を抜けると、行き違い信号場に接近しました。

信号所に入るための信号機は、黄灯が2つ点灯しています。警戒現示です。トロリーバスは無軌条電車と言われ、鉄道に分類されますが、この警戒現示こそが鉄道であることを証明しているかのようです。本来、有効長の短い交換場所は、安全のために上下列車は同時に進入が出来ないのが原則ですが、この警戒現示を出すことによって、速度を抑えて同時に上下列車が進入することが許されるのだそうです(詳しい方に聞きました)廃止になった「関電トンネルトロリーバス」は、警戒現示が無かったので、対向列車が収まるまで信号所の手前で停止する必要がありました。こちらは運行開始が新しいためか、スマートな信号システムとなりました。

来年以降、トロリーバスは廃止され、代わりに電気バスでの運行になりますが、鉄道ではなくなるゆえに、この警戒現示がどうなるかは、興味深いところです。



信号所から出発する信号機の現示は、赤色。

対向列車の到着を待ちます。



徐々に、対向列車の前照灯が見えてきました。

大観峰行きが到着。あちらの便は、2両体制での運行です。



ある意味、トンネル内での行き違いは、イベントのようなものです。

車内の乗客たちの多くは、こちらを見ていました。おそらく、こちらの乗客も同様でしょう。



ここで、側壁に取り付けられた白色に黒十字の標識が目に入りました。鉄道標識のようです。

後で調べてみると、これは「列車停止標識」というそうで、列車が進める限界を示すのだとか。赤信号ギリギリまで進行すると、対向列車の進路を支障してしまうので、ここまでに停止するよう設けられているようです。さて、信号は緑になりました。列車はモーター音を響かせて出発します。フロック部(分岐箇所)を通過する際に、一瞬だけ架線電圧計が0Ⅴになるのが確認出来ました。



「速度制限解除標識」もありました。

解除標識があるということは、手前に「速度制限標識」もあるはずですが、こちらは見逃しました。



大観峰駅からの所要時間は10分。

3.7Kmを走り抜け、まもなく終点の室堂駅に到着です。



室堂駅に進入。

左側がプラットホームで、右側には車庫があります。



架線の極性が変わりました。

架線電圧計の直流600ボルトが左側を指しました。



終点の室堂駅に到着。

日本で唯一残っていた、トロリーバスの旅を終えました。

トロリーバスが、法規的に鉄道に分類されるのは承知していますが、それでもやはり、見た目はバス。でも、その中身を深く掘り下げていくと、結局は鉄道であることに納得をしてしまいます。トロリーバスは、どうしても特殊な車両を使い、インフラの整備も大変で、経済性の観点から、内燃機関のバスには勝てません。走行するのに排出ガスを出さないという環境性能から選択され、近年まで「関電トンネルトロリーバス」「立山トンネルトロリーバス」として生き残ってきました。この「立山トンネルトロリーバス」も、最初からトロリーバスだった訳ではなく、環境保全の目的から1996年にディーゼルバスから転換したものです。しかし、電気バスという選択肢が普及し始めた現代において、トロリーバスを継続していくのが難しい点は、心情的には寂しいものの、致し方なく受け入れるしかありません。今回の廃止も、要因として「部品の調達が難しくなったこと」が報道されています。

さて、気になるのが、「立山トンネルトロリーバス」の代替が、「関電トンネル電気バス」のような車載パンタによる超急速充電方式になるのか、最近普及しているEVバスのように、チャデモ規格による急速充電方式になるのかということ。「関電トンネル電気バス」と比べて、距離も短いですし、勾配も大きくないので、後者でもいけるのではないかと考えもしますが、実際のところはわかりません。発表までのお楽しみです。

※「関電トンネル電気バス」の車両は、車載パンタによる超急速充電の他に、チャデモによる急速充電にも対応しています。



最後に、標高2450mの高原に位置する、室堂駅。



駅前には「立山玉殿の湧水」の碑のもとに地下水が流れ、山の貴重な水資源として活用されています。

この湧水は、立山トンネル掘削の際に、湧き出したものだそうです。50年以上もの間、トンネルから湧き続け、ディーゼルバス、トロリーバスと共に時代を経過してきました。2025年からは電気バスに変わりますが、湧水は変わらず静かに湧き続けるはずです。いつまでも続く湧水のように、立山トンネルバスの発展をお祈り致します。

<撮影2024年8月>
 
参考文献
日本のトロリーバス 著者 吉川文夫
天空にかける橋 -神の山に挑んだ男たち- 脚本・絵コンテ 石岡ショウエイ 作画brz

 

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西鉄バス「桜島号」

2024年07月12日 | バス旅(乗車記)


西鉄バス「桜島号」
西鉄天神高速バスターミナル 11時25分発


福岡県の西鉄天神高速バスターミナルから、おはようございます。

今回のバス旅は、博多から鹿児島まで、高速バス「桜島号」に乗車します。



リニューアルされて、華やかな雰囲気となった西鉄天神高速バスターミナルが、今回の旅のスタートです。

一番端にある6番のりばでバスを待ちました。今回の旅では、乗り放題チケット「SUNQパス」を利用します。今はデジタル化もされていますが、私はシンプルな紙タイプにしました。予約のいらない路線は、そのまま乗車出来ますが、座席指定制の路線に乗車する場合は事前に予約をするのが基本です。私はネットから予約をしました。窓口におもむき、予約番号を伝えると「確保券(座席券)」を発行してもらえます。すると、係員さんが渡してくれた「確保券」の券面には「6番のりば」というスタンプが押下してありました。わざわざ、ひと手間かけて、のりばの場所をチケットに記してくれるなんて、利用者の立場に寄り添ったサービスだと感じました。

さて、6番のりばでは、前便の宮崎行き「フェニックス号」が出発。続けて、方向幕を装備した西鉄バスのセレガが入線してきました。車号は8529と表記。実は、私の狙いは固定窓の火の鳥デザインのエアロエースでした。深い理由はなく、ただ単にカッコいいという単純明快な理由でしたが、8529号車とは、まさかの展開です。私は、8529号車を、横浜駅東口や池袋駅東口、新宿西口高速バスターミナルで見た事があります。そう、「ライオンズエクスプレス」や「はかた号」の4列シート便で上京した実績のある車両です。知人からは「桜島号」に入る事もあるとは聞いてはいましたが、まさか、当たるとは思いませんでした。



車内の様子です。

補助席のないワイドシートで4列×10列、片側トイレの38席仕様。ゆったりと過ごせます。各座席に充電用のコンセントを装備し、車内にはフリーWi-Fiが飛んでいます。最後尾に乗務員さん用の仮眠室があるのが、かつて夜行便で活躍した名残です。

さて、私を含め3人の乗客を乗せて、西鉄天神高速バスターミナルを出発しました。まずは、博多駅バスターミナルを目指します。



JR博多駅の横に位置する、博多駅バスターミナル。

スロープを上がり、3階にある高速バスの出発ホームへと向かいます。ここでは、5人の乗客が集まりました。11時45分に出発です。その後、バスは都市高速に上がり、大宰府インターから九州自動車道に入りました。これから鹿児島インターまで、この九州自動車道を終点まで南下します。その距離は約266km。福岡県から佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県と、5県を走り抜けます。



佐賀県に入り、高速基山に到着しました。

ここは、長崎自動車道や大分自動車道と分岐する、鳥栖JCTの直近に位置します。その立地を活用して、かつて「高速バス乗り継ぎ」の実証実験が行われた場所です。その後、高速基山バスストップでの乗り継ぎは定着。それどころか、待合所が大きくなったり、近隣にパーク&ライドの駐車場も整備されたりと、昨今の九州高速バスシーンにとって、重要なバスストップになるほどに成長しました。1便毎の乗車する乗客は少数でも、集まる路線が多いのでバスを待つ利用者の姿を見ることは多いです。この便でも1人の乗客が乗車して来ました。



続いて、久留米インターに到着しました。

一旦、料金所を出るタイプで、一般道に面した場所にバスストップがあります。ここでも1名が乗車してきました。少しづつ乗客が増えて行きます。その後、次の八女インターでの乗車はなく、この便の乗客は9人で確定しました。出発後は運転手さんから休憩場所の案内がありました。約30分後に北熊本サービスエリアで休憩とのことです。西鉄天神高速バスターミナルの「6番のりばのスタンプ」ではありませんが、「約30分後」と一言添えて伝えてくれたりと、気遣いのサービスが心に沁みます。



熊本県に入り、しばらくして北熊本サービスエリアに到着。約15分間の休憩です。

ここではバスの外観を撮影しました。方向幕には「桜島号 鹿児島」と表示しています。かつて運行していた「ライオンズエクスプレス」の幕は、まだ残っているのでしょうか?そういえば、私は「ライオンズエクスプレス」に乗車した経験はないものの、何故か「元 ライオンズエクスプレス」の車両には縁があります。西武観光バスのガーラ1643号車は「プリンスエクスプレス箱根芦ノ湖」で乗車しましたし、スペースアローAの1698号車は移籍先の福島交通で乗車しました。そして、今回の8529号車。これで本務車で残るは、西鉄バスの8545号車と8546号車になりますが、私が九州に行く機会は少ないので、これ以上は期待薄です。



九州自動車道を南下します。

八代を過ぎると、高速道路は山間部に入りました。トンネルを抜けると谷、トンネルを抜けると球磨川。勾配もきつくなり、エンジン音も頑張りを主張します。



険しい道路状況ですが、九州山地の雄大な景色を楽しむことができました。

その後、6000m級の肥後トンネル(九州最長)を抜け、人吉盆地に入ると高度を下げますが、街を過ぎると再び高度を上げます。並行する鉄道の肥薩線は、ルール線とスイッチバックの大畑駅があるところです。そして、県境である加久藤峠を加久藤トンネル(九州2位の長さ)で抜けて、宮崎県に入りました。まもなく、2回目の休憩場所である「えびのパーキングエリア」に到着です。



えびのパーキングエリアでは、約15分間の休憩です。

バスの上に見える高架の道路は、国道221号線です。この写真では全体が映らないのでわかりにくいのですが、ループ橋になっています。実は、えびの側だけではなく、人吉側にもループ橋があり、熊本県側、宮崎県側、そのどちらもループ橋で高度を稼ぐ道路です。本当に地形の険しいところにいるのだと実感しました。

休憩が終わると、バスは再び走行を始めます。



バスは、えびのJCTで宮崎自動車道と分岐すると、県境をこえて鹿児島県に入りました。

降車が始まります。鹿児島空港南で1人が降車。ここは鹿児島空港に近い高速道路上のバスストップで、徒歩10分ほどの距離だそうです。この便は、鹿児島空港にも寄るので、空港利用ならば、ここではなくそちらで降車するのが便利です。



高速道路を一旦降りて、鹿児島空港に到着しました。

足湯の横に停車。ここでも1人の降車がありました。それにしても、福岡から鹿児島空港とは、どのような需要なのでしょう。飛行機ならば、福岡空港があるのにと考えてしまいます。福岡から、直接航路のない離島を目的としたものなのか、鹿児島空港に集まる各バス路線を目的とした乗り継ぎ需要なのか、それとも、単純に霧島市の高速バスターミナルとして機能しているのか、興味深いところです。



バスは九州自動車道に戻ります。

いくつかのバスストップに停車しますが、降車はありませんでした。鹿児島インターを降りて鹿児島東西道路に入ると、まもなく鹿児島中央駅前です。駅前に停車すると、車内のほとんどの乗客は降車しました。残った乗客を乗せて、バスは、繁華街の天文館、鹿児島本港(高速船ターミナル)に向かいます。



ほぼ定刻の16時20分過ぎ、終点の鹿児島本港(高速船ターミナル)に到着しました。

種子・屋久島高速船ターミナルの前が降車場です。天神を出発してから、鹿児島まで約5時間。九州を縦貫してきました。新幹線が開通した現在において、所要時間は鉄道には敵いませんが、比較して低廉な価格、利用者の立場に沿った接客、天神高速バスターミナルへの投資、基山での乗り継ぎと、西鉄バスをはじめとする高速バス大国の、真髄の一片を味わえた旅となりました。

<撮影2024年6月>
 

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JRバステック 東名ハイウェイバス「急行便」

2024年06月15日 | バス旅(乗車記)


JRバステック 東名ハイウェイバス「急行便」
東京駅八重洲南口 06時20分発


早朝の東京駅八重洲南口から、おはようございます。本日のバス旅は東名ハイウェイバス「急行便」静岡駅行きです。

かつては便数が多く、頻繁に運行していた東名ハイウェイバスの急行便は、直行便志向の高い近年において削減され、午前中に東京駅を出発する下り便は、この6時20分発の急行101便だけになってしまいました。今回は、そんな東名ハイウェイバス急行便に乗車して、全てのバスストップを車窓から眺めながら静岡へ向かいたいと思います。



今回の車両はJRバステック、2014年式のセレガ。

補助席のない4列ワイドシートで、後方にはトイレを設置しています。各座席には、アディダスのロゴが入ったヘッドカバーを装着していました。「(どうして、アディダス?)」と、不思議に思いながら着席すると、座席裏にはプレミアムアウトレットのクーポンQRコードが印刷されていました。


↑クーポンQR。画像加工しました。

これは、キャンペーンの広告なのでしょうか。

アウトレット便を担当する機会の多いバステック。バスのヘッドカバーをQRクーポンにするという、その発想に驚きました。

さて、座席に着席して落ち着くと、スピーカーからは音楽が流れていることに気が付きました。さしずめ、ウェルカムミュージックといったところでしょうか。まるで飛行機の機内のような感覚です。

周囲を見渡して乗車率を確認すると、座席の埋まり具合は3割程度です。行楽姿の女性客が目立ちました。それから、インバウンドでしょうか。アジア圏の外国語の会話も聞こえます。乗車日は平日だったこともあって、私が事前に想像していた客層は、御殿場あたりまで男性のビジネス利用とふんでいました。いきなり予想外の展開です。



6時20分、定刻通りに出発したバスは首都高速道路の霞が関入口へと向かいます。

音楽と共に車内設備の案内放送が流れ始め、最後に主要停留所の到着時刻を運転手さんが補足しました。官庁街を抜けると、まもなく霞が関入口です。お決まりのシートベルト着装のお願い放送も、やはり音楽付き。やたら音楽が流れる車内です。(楽しい♪)



首都高速に乗ったバスは、ビルの谷間を走り抜けます。

この時間帯は、都心に向かう夜行高速バスと度々すれ違いました。進行方向右側に着席したならば、楽しい朝のバスウォッチングが出来るでしょう。目立つのは、二階建てバスの多いJRバス。それからピンク色のWILLER。レモン色のLIMONも目を引きました。



東名高速道路に入り、多摩川を渡ると、前方から「ピッ!」という音が聞こえました。

思わず、前方に目を向けると、モニタに「神奈川県」の文字が表示され、県境を越えた旨が表示されました。そんな表示があるのかと驚きました。



そして県境を越えると、東名向ヶ丘の到着案内が始まりました。

さあ、ここから東名静岡まで、25か所のバスストップ全てに停車していきます。



東名向ヶ丘に到着。

早速、1名の乗車がありました。乗車が済んで出発すると、加速中に東名江田の案内が始まります。そして、まもなくして東名江田の到着放送に移りました。次のバスストップまでの所用時間は3分しかないのに、律儀に「次は、東名〇〇」と「まもなく、東名〇〇」を案内し、そのどちらも音楽が流れるのでせわしない感じです。これが急行便か!と妙に実感してしまいます。もっとも、音楽は主張しない曲調なので、度々流れても苦にはなりません。



東名江田に到着。東名向ヶ丘から、わずか3分です。

ここでは3名の男性が乗車して来ました。全員がスーツ姿です。通勤でしょうか。出張でしょうか。44席のバス車内は、行楽客、インバウンド、サラリーマン、そしてバスファン(私)と「人種のるつぼ」と化しました。

この先も、東名大和、東名綾瀬、東名厚木と続いて行きますが、全てを紹介するのは大変なので、それは別の機会にして、ざっくりと感じたことをまとめていきます。

・途中乗車が多い
向ヶ丘で1名、江田で3名の乗車がありました。その後も、大和、綾瀬、厚木、伊勢原、中里と、乗車が続きます。

・途中降車も多い
厚木、伊勢原、足柄、御殿場、裾野、松岡、富士川、日本平で降車がありました。東名御殿場までに降車した利用者の多くは、途中バスストップで乗車した方の区間利用でした。ちなみに、一番降車が多かったのは東名足柄。バスストップの近隣に企業でもあるのでしょうか。

・車内前方の座席は埋まりやすい
途中乗車は、事前予約のないフリーの方が多いです。「足柄まで」「〇〇〇円です。座席は1Cです」といったやりとりがみられるように、運転手さんは比較的前方の空席を案内していました。落ち着いた車内が好みの方は、車内後方を予約するといいかもしれません。

・バスは一生懸命に走る
途中乗降が多く、そこそこ停車時間がかかります。そして、次のバスストップまでは3分とか、5分とか、7分とか、所要時間はわずかです。出発後は、本線の流れに乗れるように加速して、次のバスストップで停車。これを繰り返すので、安全運転しながら一生懸命に走ります。予想ですが、急行便と直行便だと燃費にも差が出るのではないでしょうか。



都夫良野トンネルを抜けると、左側の景色が開けます。

谷峨駅を出発した、小田急ロマンスカー「ふじさん号」の姿が見えました。



そして、まもなくして静岡県に入ります。



東名御殿場に到着。

ここは本線バスストップとは異なり、料金所の横に位置し、大きな待合室が設置されています。向かい側は一般道の扱いです。路線バスや、御殿場プレミアムアウトレットへのシャトルバス、タクシーなどが発着するので、乗り継ぎに便利な場所です。送迎車の駐車スペースもあります。

運転手さんは、わざわざバスを降りて、乗車する人がいないか待合室の様子を確認してから出発しました。



東名沼津に到着。バスストップは、料金所の外にあります。

ここには、送迎用の駐車場が設けられています。近隣には富士急シティバスの停留所もありますが、東名ハイウェイバスで停車する便は限られており、数少ない急行便だけなのが寂しいところです。この便では乗降はなく、停車中に運転手さんによる、車内人数の確認を行いました。この先の愛鷹PAでの開放休憩に備えた人数確認とのことです。



休憩場所の、東名愛鷹に到着。

ここは愛鷹PAの一角がバスストップになっています。(大型車駐車スペースから撮影)



大型車駐車枠ではなく、バスストップに停車しながら休憩という形態が珍しいところです。

鉄道の長距離列車における、駅での長大停車のような感覚になりました。ここでは、約10分停車するとのことなので、気分転換に散策することにしました。



愛鷹PAにはコンビニがありますが、古き良きスタイルの売店や食堂もあって、妙に落ち着きます。華やかで設備が充実した大きなSAでの開放休憩も魅力的ですが、愛鷹PAのサイズ感もなかなか良い感じです。トイレも改装されていて清潔感がありましたし、結構好きかもしれません。愛鷹PA。

人数確認が済むと、再び西を目指して東名高速道路を走り始めました。



東名富士に到着。

ここも東名御殿場と同様、料金所横に位置するバスストップです。待合室は大きく、飲料の自動販売機の設置もあります。向かい側は一般道の扱いですが、一般路線バス路線の発着はありません。タクシーのりばの案内が見えたので、タクシーや送迎車との乗り継ぎを想定しているのかもしれません。ここは急行便だけではなく、特急便や超特急便も停車するので、概ね1時間に1便は停車します。バスストップと街との足を確保出来れば、街の玄関口になる場所です。

この便では乗降はありませんでしたが、運転手さんは、東名御殿場と同様に待合室の様子を確認してから出発させました。



トンネルを抜け、東名蒲原に到着しました。

ここは高台にあり、バスストップからは駿河湾を背景にした眺望を楽しめます。急行便しか停車しないのがもったいない景色です。もっとも、この便では乗車も降車もなく、停車時間はわずかでしたが、一度は降りてみたいと感じる場所でした。

そうそう。東名松岡から、バスストップの管理がJRバス関東からJR東海バスに移り、「東名〇〇」と表記された名称看板の帯色が、緑から橙に変わりました。鉄道であれば境界は熱海駅(御殿場線ならば国府津駅)になりますが、東名ハイウェイバスだと境界は東名富士~東名松岡になるのですね。



さあ、東名向ヶ丘から始まった25か所のバスストップ旅も、いよいよラスト。

まもなく、東名静岡です。



東名静岡に到着。

東名静岡~静岡駅間だけの乗車は出来ないので、この便では降車専用となります。さすがに25か所のバスストップ全てに停車すると、乗り応えがありました。もっとも、2000年代には東京駅~名古屋駅間の急行便が設定されていた時代があり、東名向ヶ丘~東名日進間で計47か所のバスストップ(※東名沼津は通過)に停車していました。当時のことを考えれば、25か所なんて半分程度。まだまだです。今回、東名静岡まで制覇したので、残りの東名静岡~東名日進間も味わいたいところですが、こちらは難易度が高く、1日1往復(静岡駅~名古屋駅)しか急行便がありません。しかも、静岡駅の発車時刻は早朝の7時00分発です。東京からだと、前泊するか、新横浜6時00分発の「ひかり」に乗る必要があります。

ちなみに、日没が遅い季節限定ですが、その日のうちに、かつ明るい時間帯に、東名向ヶ丘~東名日進間の全てのバスストップに停車する方法があります。

1.新横浜6時00分発「ひかり」→静岡駅6時41分着
2.静岡駅7時00分発「東名ハイウェイバス急行便」→名古屋駅10時42分着
3.名古屋駅→「新幹線移動」→東京駅
4.東京駅15時20分発「東名ハイウェイバス急行便」→静岡駅18時34分着
(※ダイヤは2024年4月現在)


実際にやるのは相当大変ですが、一応は可能です。実行する方はそういないと思いますが(^^



終点の静岡駅に到着しました。

到着したのは10時05分。所定より25分延でした。大和トンネルの渋滞で15分延になったので、純粋な遅延は10分程度。2地点間の高速バスと違い、途中乗降可能な高速バスは、どうしても遅延しやすく、余裕をもった行程が必要になります。それでも、乗客の入れ替わりによる変化や、バスストップに停車することで身近に感じられる風景などが楽しめました。現在の高速バスシーンの主流は、2地点間の直行系統ですが、今回のように、途中乗降可能なバスだからこそ味わる旅情もあるのだと、改めて実感が出来た旅となりました。

<撮影2024年4月>
 

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JRバス関東 東京港フェリーターミナル線

2024年02月09日 | バス旅(乗車記)


JRバス関東 「東京駅~東京港フェリーターミナル線」
東京駅八重洲口14時30分発


午後の東京駅八重洲口から、こんにちわ。

今回のバス旅は、東京駅から国際展示場駅まで、JRバスの「東京駅~東京港フェリーターミナル線」に乗車します。


↑出発を待つ東京港フェリーターミナル行き

2021年の12月に運行開始した「東京駅~国際展示場駅・東京ビッグサイト・東京港フェリーターミナル線」は、その名の通り、東京駅と東京港フェリーターミナルとを結ぶ路線です。ハイデッカーの高速車が運用に入りますが、高速道路は走らず、運行形態としては一般路線の扱いで、途中の停留所である、国際展示場駅と、東京ビッグサイトでは、乗車することも降車することも可能です。

運行開始当初は、毎日13往復、ほぼ1時間間隔の力をいれた運行をしていましたが、昨今の運転手不足や、利用状況を鑑みて、2023年12月の改正から減便し、毎日5.5往復の運行体勢になりました。



さて、バスは、出発時刻の約10分前に、8番のりばに据え付けられました。

早速乗車しましょう。ステップを上がり、運賃機に交通系ICカードをタッチして運賃を支払います。現金では大人片道400円ですが、ICカード支払いでは350円となります。このほかに、スマホから「高速バスネットプラス」を利用して決済する方法もあり、こちらも350円です。



車内の様子です。

トイレ付き、4列リクライニングシートで、各座席に充電用コンセントを設置しています。短時間の乗車ですが、車内設備は十分すぎるレベルです。今回の乗車では、土浦支店の日野セレガがやって来ました。放送によると、運転手さんも土浦支店の方だそうです。

まもなく、出発時刻。運転手さんは、通路前方で乗客に向けて一礼した後に運転席に着席しました。



14時30分、バスは東京駅八重洲口を出発しました。

集まった乗客は、私を含めて5人。空席ばかりで寂しい車内ですが、そのおかげで、のんびりと過ごせそうです。

まもなくして、運転手さんから、車内設備と途中停留所の案内が行われました。私が降車する国際展示場駅には14時55分に到着予定とのことです。案内放送が終わると、バスは「八重洲通り」から右折して「新大橋通り」に入りました。



その後、車窓左手に築地場外を眺め、旧青果門前の交差点を左折すると、いよいよ「環二通り」に入ります。

ここから国際展示場駅までは「東京BRT」の「幹線ルート」とほぼ同一の道路を走ることになります。



隅田川を渡ると、勝どきエリアへ。

「東京BRT」の「幹線ルート」は一旦高架を降りますが、こちらは引き続き、オーバーパスを走行します。



ちょうど、この下が、勝どきBRTの停留施設の辺りでしょうか。

勝どきBRTの利用者は多く、時間帯によっては、新橋方向も、国際展示場駅方向も、どちらもバス待ちの列が出来ることがあります。



バスは朝潮運河を渡り、晴海エリアへ。

対向車線には「東京BRT」虎ノ門ヒルズ行きの姿が見えました。「選手村ルート」の運行開始により、「晴海・豊洲ルート」、「幹線ルート」、「選手村ルート」と、ようやく計画の3ルートが出そろいました。まだ、本格的な運行とは言えませんが、もうすっかり「環二通り」の主のような存在です。



豊洲大橋を渡り、豊洲エリアに入ります。

右手には、オープンしたばかりの観光施設「千客万来」が見えました。周囲には多くの観光客の姿があり、相変わらず繁盛している様子がうかがえます。「東京BRT」ののりばにも列が出来ていました。



続いて、有明北橋を渡り、有明エリアへ。

新交通「ゆりかもめ」の高架下を走行します。有明テニスの森駅の下には「東京BRT」の停留施設があります。ここも、乗客の乗り降りが多い場所です。



そして、国際展示場駅に到着。

私を含めて3人が降車しました。バスはこの先、東京ビッグサイト、東京港フェリーターミナルへと向かいます。東京駅からの所要時間は25分。あっという間の移動時間でした。



最後になりますが、今回、バスに乗車して印象に残ったことは、『利用状況の面で課題があるJRバスと、沿線の大きなポテンシャルとのギャップ』です。

車内の座席は、空席が目立ちましたが、車窓から見えるものは、これから発展をしていく街の景色でした。



JRバスの東京駅~国際展示場間はノンストップ運行です。

もしも、途中に停留所を設けることが出来たならば、きっと利用者は増えるはず。いや、間違いなく需要はあります。なぜならば「東京BRT」の検討路線には「銀座・東京駅」への延伸があげられていますし、東京駅~国際展示場駅には「臨海地下鉄」の計画だってあります。いわば、この地域の移動需要はお墨付きです。

とは言え、だからこそ、JRバスは途中に停留所を設置しにくい状況下にあるのかもしれません。おそらくですが、「環二通り」臨海部の地域内外輸送を担当するのは「東京BRT」の役割であって、JRバスの役割は、フェリーターミナルの輸送と、東京駅~国際展示場駅(東京ビッグサイト)間を短絡することにあると思われます。すなわち、役割が違います。

でも、この2つの役割が繋がると、利用者にとって利便性の高い路線になるとも感じます。「東京BRT」の新橋・東京延伸がどのような形になるのかはわかりませんが、JRバスの「フェリーターミナル線」も、何らかの形で活かして、発展に繋げたいところです。

追記
この先は妄想です。

このエリアのバスは、各社様々な思惑がありそうで将来の形を想像するのが楽しいです。「東京BRT」は、新橋から「銀座・東京駅」への延伸を検討路線としていますが、実はこの新橋~東京駅間には、既にバス路線が2つ運行しています。

一つは、京王バスの「050系統」で、新橋付近の交差点を一つ曲がるだけで「東京BRT」と「050系統」は繋がり、BT東京八重洲への路線図が完成します。もう一つは、JRバス関東の「竹芝水素シャトル」で、こちらも新橋付近から、銀座を経由して東京駅に繋がります。

この「東京BRT」と、京王バスと、JRバス関東。共通しているのは、それぞれ、燃料電池バスを運行していて、かつ、連節バスのノウハウを持っていること。もしも、メリットがあるならば、手を組むのもアリなのではないでしょうか。3本の矢ではありませんが、3つの力で利便性を高めれば、たとえ「臨海地下鉄」が開通したとしても、より対抗が出来そうです。どうかな?!

な~んて、勝手な妄想でした(^^)

<撮影2024年2月>
 

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南海バス 鎌倉・藤沢・小田原~京都・大阪線

2023年12月16日 | バス旅(乗車記)


こんばんは。

ここは、JR東海道線・横須賀線・横浜市営地下鉄ブルーラインが集まる、戸塚駅(神奈川県)です。

私はこれから、横浜横須賀道路を使って三浦半島へ向かいます。えっ、こんな時間から三浦半島へ(?)いやいや、決して夜釣りにいくのではありません。大阪へ行くのです。



南海バス 鎌倉・藤沢・小田原~京都・大阪線
戸塚駅東口21時00分発


今夜、お世話になるのは、戸塚発、大阪行きの南海バスです。

都内に在住していると、まず乗らない路線ですが、今回はあえて選択してみました。それは、2022年10月からルートが変更になり、横須賀地区での発着が始まったからです。しかも、運行しているのは、南海バスと和歌山バス。横須賀とは縁もゆかりもありません。そんな関西事業者の斬新なルートに惹かれて、このバスを選びました。

戸塚駅では、東口の江ノ電バス停留所を発着します。南海バスの共同運行事業者が江ノ電バスだった時代の名残です。ここでは私を含めて4人が乗車し、定刻通り21時00分に出発しました。



バスは日野インターから、横浜横須賀道路へ。

沿道に灯りは少なく、暗闇の中を進みました。しかし、釜利谷、朝比奈、逗子といった名称の看板を見るたびに、不思議な気持ちになります。今、私は大阪へ向かっているのに、どうして横浜横須賀道路を三浦半島に向かって南下しているのでしょう。なんとも解せません。脳がバグるとはこのことでしょうか。

しばらく走行し、横須賀インターで高速道路を降りました。次の乗車停留所はJR横須賀駅前です。しかし、道路の構造的に直接JR横須賀駅には行けません。一旦、フェリーターミナルのある新港ふ頭方面に進み、ぐるりと転回して戻ってきました。



21時37分、JR横須賀駅前に到着。

横須賀を代表する駅というと、JRの横須賀駅と、京急の横須賀中央駅が思い浮かびますが、このバスはどちらにも停車します。JRの横須賀駅は海に近く、米軍や自衛隊といった基地があるエリアです。夜のJR横須賀駅前は、人通りがあまり多くありませんが、それでも1名の乗客がバスを待っていました。



バスは続いて、京急横須賀中央駅前へ。

京浜急行バスの停留所に停車します。横須賀の繁華街といえば中央駅で、道路沿いには電飾看板が煌びやかに並び、人々の往来もみられます。こちらでも1人の乗客が乗車してきました。なんだかんだで、横須賀地区でも利用者を集められたあたりに新ルートの効果が感じられます。



バスは横須賀地区を出発し、再び横浜横須賀道路へ。

車窓からは、横須賀港が見えました。

次の乗車停留所は、鎌倉駅東口です。逗子インターで横浜横須賀道を降りて、逗葉新道へと進路をとりました。続いて逗葉トンネルを抜けると、そこは葉山。そのまま海岸方向へ向かいます。三浦半島を横断した形で、海は東京湾から相模湾へと移りました。ただし、進行方向右側の座席に座っているので相模湾は見えません。左側の席を予約すべきだったでしょうか。



横須賀から25分ほど走り、22時21分に鎌倉駅東口へ到着。

バスは小町通りの鳥居のそばに停車しました。観光客で賑わう鎌倉駅も、さすがにこの時間は閑散としています。ここでは、3人の乗車がありました。



鎌倉駅を出発したバスは、次の停留所である藤沢駅へと向かいます。

再び海岸沿いの道路に戻るのかと予想しましたが、結果はハズレ。江ノ電の踏切を渡って内陸側の県道を進みました。大仏で有名な長谷寺の入口である長谷観音前の交差点を右折し、深沢付近で湘南モノレールの高架をくぐります。最後は境川を渡ると、藤沢駅が近づいてきました。



藤沢駅南口に到着。出発時刻は22時51分ですが、早めに着きました。

ここでは、8人の乗車がありました。バスを利用する時間帯からみても、停留所の利便性から見ても、この藤沢駅が一番のボリュームゾーンのようです。

それにしても、ようやく東海道線の駅に戻ってきました。戸塚駅から藤沢駅までは、電車ならば2駅で、所要時間は10分の区間なのに、このバスは1時間50分かけて三浦半島を横断してきました。こんな体験は、なかなか出来ません(^^)



藤沢駅を出発後は、国道を南下して相模湾の海岸沿いへ向かいます。

江ノ島駅付近では、一瞬だけ江ノ電の併用軌道と並走しました。江ノ電の有名撮影スポットですが、ここを通過する夜行バスがあるなんて、初めて知りました。運がよければ、夜行バスの車窓から江ノ電が見られるかもしれません。



ここから小田原へは、国道134号線と西湘バイパスを走ります。

今頃、左側には江の島が見えている事でしょう。車窓からは海が見える区間もあり、特に西湘バイパスに入ってからは眺めが素晴らしいです。もちろん、そのことは事前にわかっていて、進行方向左側の席を予約しようかと考えもしましたが、予約サイトのシートマップを見ると、他人に気兼ねなくフルリクライニング出来るトイレ前の3Cが空いていたので、ついついそちらを押さえてしまいました。「どうせ夜間だし、大して景色も見られないでしょ」と思っていましたが、今となっては「夜の海もよかったかもしれない」と、ちょっぴり後悔もします。ちなみに大阪発の便ならば朝に到着するので、間違いなく海側のC席がオススメです。カーテンの隙間から眺める早朝の海は、さぞかし素敵でしょう。



最後の乗車停留所になる小田原駅東口に到着。ここの発車は23時56分です。

ここでは、4人の乗車がありました。なんだかんだで戸塚駅から数えて21人。全ての停留所で乗車がありました。一つ一つは小さな需要でも、それが集まれば、それなりの需要になるものだと、うなずきます。ちなみに、小田原から西側は、富士急湘南バスの「金太郎号」が、小田原、御殿場、三島、沼津、新富士といったエリアを担当します。その西になると、しずてつジャストラインが清水、静岡、東名吉田などを担当。江ノ電バスは撤退してしまいましたが、関西への夜行需要は、各地域のバス事業者が小まめに集客しているのがわかります。

小田原駅を出発後は、車内設備の案内が行われました。1回だけ開放休憩があり、場所は次の鮎沢PAとのことです。鮎沢PA到着までは最低限の照明に減光されます。



0時33分頃、東名高速道路の鮎沢PAに到着。

ここで、10分間の休憩です。バスを降り、お手洗いを済ませました。今夜の鮎沢は少し冷えます。肌寒さから、思わず自動販売機でホットの缶コーヒーを購入しました。今は湯たんぽの代わりにして、朝になったら飲もうかと思います。ささやかだけど、小さな熱源に温もりを感じました。

鮎沢PAを出発後は、車内は消灯です。それでは、おやすみなさい。

、、、zzz



ここで車内設備の紹介です。(明朝に撮影)

車内は独立した3列シート。トイレは車内中央の床下です。



各座席に、フットレスト、レッグレスト、コンセント(車両によってはUSB)、フリーWi-Fi、個人用カーテンが装備され、使い捨てタイプのスリッパを用意しています。なお、新型感染症の影響からブランケットの貸出は休止中。復活が待ち遠しいです。



、、、zzz

「あと5分ほどで、京都駅八条口に到着です」

車内アナウンスで目が覚めました。腕時計を見ると、時刻は5時45分。定刻通りに到着したようです。

カーテンの隙間から外をチラ見すると、京都は、まだ夜明け前。八条口が近づくと、三条、長岡からやって来た越後交通が見えました。

5時51分、京都駅八条口に到着。ここで、かなりの降車がありました。私の周囲もがらんとし、人気が無くなりました。



バスは、第二京阪道路で大阪を目指します。

土地勘がないので、どの辺りを走っているのかわかりません。昨夜購入した缶コーヒーの蓋を開け、モーニングコーヒーを楽しみました。時折、カーテンの小さな隙間から車窓を眺めます。暗闇は、徐々に薄い葡萄色の空に代わり、知らない街の様子がうかがえるようになりました。

放送によると、次は高速京田辺。降車がないので通過するそうです。それでも律儀に停留所のあるPAに入り、1周して本線に戻りました。



近畿自動車道、阪神高速道路と進路をとると、森之宮のあたりで朝の渋滞にはまり、流れが悪くなりました。停車、発進の繰り返しです。それでも、右側には、朝陽を浴びる大阪城が見られました。



まもなく、大阪駅前(桜橋口JR線高架下)に到着です。

7時04分、高架下に設置している停留所に停車しました。渋滞の影響はありましたが、それでも遅延は5分程度です。これくらいならば誤差の範囲内でしょう。大阪駅前でもかなりの降車がありました。

出発後は、キタからミナミへと移動しますが、この距離でも阪神高速道路に乗りました。



そして、湊町バスターミナル(OCAT)での降車はなく、バスはほぼ定刻通りに、終点の南海なんば高速バスターミナルに到着しました。

時刻表上では、戸塚駅から10時間34分。なかなか乗り応えのあった路線でした。特に三浦半島を横断する経路は、他では味わえない醍醐味だったと思います。横浜駅から京都・大阪方面の夜行バスは、毎日大量に出発していますが、横浜駅からJR東海道線の電車で1駅移動するだけで、こんな面白い路線に巡り合えるとは新発見でした。あと、戸塚駅の出発が21時00分と比較的早いので、横浜地区でやる事がなくて、早めにバスに乗ってしまいたいという方にもお勧めできそうです。

<撮影2023年10月>
 

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TOKYO BRT「幹線ルート」

2023年06月01日 | バス旅(乗車記)


東京BRT「幹線ルート」
国際展示場12時10分発


今回のバス旅は「TOKYO BRT」です。

東京の臨海エリア、国際展示場駅前にやって来ました。

このエリアは、距離の割に東京都心との移動が、いまいちスマートとは言えないエリアです。決して公共交通がない訳ではありません。副都心側ならば「りんかい線」ほぼ一択ですが、その他の場所へ向かう場合には、どのルートが最適なのか正解がわかりません。鉄道は乗り換えが必要で大回り。都営バスや「ゆりかもめ」は時間がかかるし、JRバスは便数が少ない。何度も訪問して、この周辺の地理に詳しくなればなるほど、短所ばかりが浮かんでしまいます。北の方角へ約5km移動すれば山手線なのに、どうして直結出来ないのか。

そのような状況のなか「プレ運行(二次)」へ移行した「TOKYO BRT」が、2023年4月1日から「幹線ルート」の運行を開始。国際展示場(東京テレポート)~新橋間が最短経路で繋がりました。続けて、4月28日からは20分間隔となる、増便ダイヤ改正を実施して利便性が向上。速達性も含め、かなり使える交通機関に躍り出ました。

今回は、そんな「幹線ルート」で、新橋まで向かいます。



私が乗車する車両は、いすゞエルガ。

注目を浴びる連節バスでも、燃料電池バスでもありません。決して”華”はないけれど、3台が所属する「TOKYO BRT」仕様のエルガは、なくてはならない存在です。何しろ、輸送力の大きな長尺車。東京都心では、なかなかQ尺のエルガにはお目にかかれません。さすがに輸送力は連節バスに勝てませんが、単車で最も大きな輸送力を誇ります。更に、一般的なディーゼル車といったところもあり、現時点では一番汎用性が高い車両ではないでしょうか。



12時10分発の便は、私を含めて7人の乗客が集まり発車しました。

駅前ロータリーを抜けると「ゆりかもめ」の高架下へ。環二通りに入ります。

「プレ運行(二次)」に移行して、何よりも大きな変化として感じられるのが利用者の増加です。「幹線ルート」の運行開始と共に、各停留施設ではBRTを待つ利用者が列を作るようになりました。この便でも、いきなり7人の乗車と幸先の良い出だしです。



国際展示場~有明テニスの森間は、タワーマンションと大型商業施設が混在するエリアです。

「ゆりかもめ」や「都バス」といった公共交通も存在しますが、このエリアの利用者は多く、特に都営バス「都05-2系統」は輸送力の面で課題があります。沿線でのイベント開催時に、バスが満員で乗車出来ない問題は、ネットで度々話題に上がります。地元の方にとっては切実な問題でしょう。大きな期待をもって、BRTの運行開始を待ち望んでいました。



有明テニスの森に到着。「ゆりかもめ」の駅下に位置します。

ここでは6人の乗客が乗車してきました。周囲は空き地や駐車場が目立ち、決して利用者が多そうな沿線風景ではないのですが、ここは何気なく利用者が多くみられる停留施設です。



今ですら利用者が多いのですから、停留施設の周辺が開発された頃には、一体どうなるのでしょう。



豊洲市場前の交差点で「ゆりかもめ」とはお別れ。

「ゆりかもめ」は豊洲駅を目指します。



こちら「TOKYO BRT」は豊洲市場前に到着。

ここは「晴海・豊洲ルート」に乗り継ぎが出来る停留施設です。

10人以上の利用者が列を作っていました。これだけ利用者がいると、乗車するのに時間を費やしてしまいます。座席は全て埋まり、立ち客の姿も見られるようになりました。もう座れません。



大きな豊洲大橋を渡り、すぐに晴海地区へ。



信号待ちをした後に、交差点を直進しました。現状では「幹線ルート」は晴海地区を通過します。

いずれ、オリンピック村跡地の「晴海フラッグ」が街開きすれば「幹線ルート」も晴海地区に立ち寄るはずです。



運河を渡り、勝どきBRTに到着。

「購入して住みたい街ランキング」の上位に位置する勝どき。ここでも10人以上の乗客が列を作っていました。もう大盛況。

ここからは「晴海・豊洲ルート」が合流するので、日中の輸送力は、1時間当たり6便10分間隔となります。これだけでも十分に利便性が高そうですが、将来の本格運行時には、2ルート合わせて1時間当たり12便を予定しています。つまり、今の倍。計算上は5分間隔でBRTが来る事になります。(「選手村ルート」が運行開始したら、もっと増えるかもしれません)



発車後は、隅田川を渡り、続けて築地虎ノ門トンネルへ。

このトンネルの開業で、勝どきBRT~新橋間が、めちゃくちゃ早くなりました。トンネルは、アンダーパスのような感覚ですぐに通過し終えてしまいますが、ここが「TOKYO BRT」の速達性を語るうえで肝と言える区間。2つの信号交差点をパス出来るようになった効果は大きいです。



トンネルを抜けて、信号交差点を二つ曲がれば、新橋に到着。この便の終点です。

国際展示場から、あっという間に到着してしまいました。

時刻表上では、国際展示場~新橋間の所用時間は15分。表定速度は約20km/hの水準を達成しており、これは速達性の面では、かなりレベルの高い道路交通と言えます。ただ、私が乗車した便は、約2分遅れて到着しました。道路交通なので、その程度の遅延は許容範囲であるものの、理想を言えば、定時に着いて欲しい。今回の遅延理由を考えてみると、やはりそれは停留施設での乗車時間だったと思います。

乗車出来るドアは一つ。そして車内の状況が、ある程度落ち着いてから発車となると、利用者の多さは遅延に繋がります。入口から距離のある連節バスならば、なおさらです。「幹線ルート」は、道路条件に恵まれ、既に高い表定速度を持っているので、これからの課題は、その高い表定速度を無理なく守っていけるかが重要です。言わば「防衛戦」です。これから予定されてる、全ドアでの乗降や、停留施設での自動券売機設置は、停車時間の短縮を期待出来ますし、交通信号機の公共車両優先システム(PTPS)高度化も、定時性の向上に寄与するはずです。



「TOKYO BRT」は、表面上で見て「バス専用道の無いBRT」と評価されてしまいがちですが、その中身は「高い能力を秘める道路交通」であり「能ある鷹は爪隠す」クールな交通機関になると私は思っています。

表定速度の高いBRTが、それなりの頻度でやって来る。そして、ほぼ定時で目的地に着ける。

地下鉄のように深い階段はなく、歩行者の動線に便利な場所で乗降が出来る。


今後も、これらを追求し続けることが、利用者の支持に繋がるのではないでしょうか。

<撮影2023年5月>

参考 2020年10月の乗車記
京成バス 東京BRT(プレ運行(一次))
 

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「WILLER EXPRESS」新4列シート WK153便

2023年05月18日 | バス旅(乗車記)


東京ディズニーランド・バスターミナル・ウエスト 21時10分発
「WILLER EXPRESS」 WK153便 関東→関西


高速バスのシートに力を入れる「ウィラーエクスプレス」に、新しい4列シートが登場。

その新しいシートを体験してみたくて、バスの始発となる東京ディズニーランドまでやって来ました。

今回は、2023年4月28日に登場したばかりの「WILLER EXPRESS」新4列シート便に乗車して、大阪梅田まで向かいます。



こちらが、その「新4列シート」を搭載した新車両。(海老名SAで撮影)

三菱ふそうのエアロエースで、行先表示が白色LED仕様となっているのが特徴です。

まだ、関東~関西間1往復の夜行便でしか、乗る事が出来ません。



受付を済ませ、車内へのステップが上がりました。車内の全景はこんな感じ。

座席の頭部を覆うカノピーが大型されたため、それがとても目立ちます。



新シートに注目してみます。

ベースになっているのは、安定した人気を誇る「リラックス」シート。

随所で改良が加えられています。



まずは、大型化された「カノピー」。

これまでの「カノピー」を”顔を隠す”と表現すると、新シートの「カノピー」では、”顔を覆う”と表現出来ます。これにより個室感がアップしました。更に、これまでの「カノピー」よりも、高さが15cmほどアップ。内部は1.5倍幅広くなり、圧迫感が低減されました。身長の高い方でも快適に過ごせるのではないでしょうか。また、裏地には、防音性の高いポリエステルを採用。遮音性が向上し、汚れが付きにくくなりました。



カノピー内部下部には「スマホホルダー」を設置。

消灯後のスマホ利用も可能です。

360°回転するホルダーは、丸型の部分がバネで広がるようになっていて、スマートフォンをキャッチします。私の手帳型のスマホケースでも問題なく装着出来ました。ただし、スマートフォンの機種によっては、側面の押しボタンがキャッチャーの部分に当たると、固定した時にボタンが押されてしまう事があるので、その場合は少し位置を調節します。



実際にスマートフォンを取り付けると、こんな感じになります。

ホルダーは回転するので、スマートフォンを横にすることも出来ます。



それから、隣席との「仕切り板」の高さ調整が出来るようになりました。

上記画像は「仕切り板」を下げた状態です。



続いて「仕切り板」を上げた状態です。

これにより、プライベート感を高める事が出来ました。

この「仕切り板」は「下」の状態が定位になっています。必要により、上げて使用する仕組みです。



そして、フットレスト。

使用する際は、靴を脱いで足を置きます。今回の新シートでは、フットレスト横にペダルが設置されました。これを踏むことにより、フットレストの高さを調節出来ます。地味に使い勝手の良かった機能です。

(※一部車両・座席ではフットレストが設置されていない場合があります)



今回の新シート車両では、夜間走行時に完全消灯を”しません”。

そのかわり、常時、青色の間接照明を点灯するのが特徴です。消灯後は室内灯が消えて青色照明のみになります。

完全消灯をしない狙いは、他人のスマートフォンの光が気になったり、暗くて不安になったりすることへの対応です。そこで、眠りの邪魔にならず、スマホの光も気にならない青色の間接照明を採用しました。



あと、リリースには書かれていませんでしたが、今回の車両では、ヘッドレストの形状が変わっていました。

(今まで上位クラスのシートに付いていたタイプでしょうか?)

可動式で、頭と首をサポートします。枕というよりも、首から上をヘッドレストに乗せるとしっくりきます。



と、いう訳で、カノピーを下げ、フルリクライニング、レッグレスト、フットレストを使用した状態です。
(※終点到着後に撮影)

装備をまとめると・・・

・カノピー(大型)
・スマホホルダー
・隣席仕切り板(上下可動)
・リクライニングシート
・ヘッドレスト(高さ可動)
・レッグレスト(高さ可動)
・フットレスト(高さ可動)
・ブランケット貸出
・100Ⅴコンセント
・青色の間接照明
・物掛けフック、網ポケット(シート裏)

・・・となります。



さて、バスは東京駅鍛冶橋駐車場へ。

ほとんどの乗客は鍛冶橋で乗車してきました。乗車率は半分くらい。GWが終わったばかりの平日で、これだけの乗客が集まるあたり、ウィラーの集客力の強さを実感します。

22時00分、東京駅鍛冶橋駐車場を定刻通りに発車。この先の運行について案内がありました。

開放休憩は、海老名SA、長篠設楽原SA、土山SAの3回。最初の海老名SAのみ放送を実施し、それ以降は放送はないそうです。

「海老名SAを出発後に、車内の灯りを暗くするので、就寝の準備は海老名SAまでにお願いします」との事でした。



23時00分、最初の休憩地、海老名SA(神奈川県)に到着しました。

ここで約15分間の休憩です。私はトイレと買い物を済ませ、バスに戻りました。



海老名SAを出発すると、いよいよ車内は消灯。

青色の間接照明が荷物棚の上部を照らしています。確かに、これくらいの灯りならば睡眠の邪魔にはならないでしょう。

早速、スマートフォンをカノピー内のホルダーに装着しました。消灯後に気兼ねなくスマートフォンを楽しめる時代が来るなんて革命的です。しかも、スマートフォンはホルダーにセットするので両手が使えます。これまでのように、毛布を頭から被って、コソコソとスマホ操作しなくても大丈夫です(笑

ヘッドホンの音漏れに配慮すれば、動画だって楽しめます。映画を流せば、私だけのレイトショー。夜行バスの車内で出来る事が増えました。

そういえば、以前、他社の夜行バスで、まったく就寝をしない女性を見た事があります。ディズニーランド発、名古屋行きの4列シート便でした。カップルらしく、隣の彼氏はフルリクライニングして、気持ちよくグースカと寝ているのに、その女性はリクライニングを一切倒さず、耐えるかのように着席していました。何度かの開放休憩でもそのまま寝ている様子がなかったので、おそらく最初から寝る気がなかったのでしょう。

ディズニーランドを満喫して、後は自宅に戻るだけ。しっかりとした睡眠は、帰宅後の自宅でとるつもりなのかもしれません。

それまで、夜行バスという乗り物は、寝て当然だと思っていたので、寝ない選択をする乗客がいた事に目から鱗でした。そのようなタイプの方にも、今回の新4列シート便は、おすすめかもしれません。



ウトウトとしていると、バスの挙動から、高速道路を降りたのがわかりました。

しばらくしてバスは停止しました。ここは、静岡県内の新清水中継所。

ここで乗務員さんは交代です。JRバスが新城(昔は三ヶ日)で乗務員交代をしているように、ウィラーエクスプレスの一部便でも新清水を境に乗務員を交代しています。交代後、床下からはコンコンコン♪と音が聞こえてきました。ホイールのナットを叩いて安全点検しているようです。

出発後は、再び高速道路に戻り、西を目指しました。



深夜2時20分頃に長篠設楽原SA(愛知県)、4時25分頃に土山SA(滋賀県)で開放休憩がありましたが、私は車内で寝て過ごしました。

そして、すっかり明るくなった5時50分、京都駅八条口に到着。ここでは数名の乗客が降車しました。



そして、6時55分、終点のウィラーバスターミナル大阪梅田に到着。

東京ディズニーランドから9時間45分間のバス旅が終わりました。

最後に、ウィラーエクスプレスのシートというと、最近では、シェル型構造の「リボーン」や、電動ゆりかごリクライニングの「ラクシア」など、上位クラスのシートに注目が集まりがちですが、全体で見ると、なんだかんだで馴染みのある「リラックス」が一番の主流です。



元々、レベルの高い座席ですが、これをベースにした「新4列シート」が登場ということで、どんなものかと乗車を楽しみにしていました。

「リラックス」の良いところはそのままに、より快適に、そして車内での過ごし方に新しい選択肢が加わりました。

もちろん、たった1回の乗車では、その全てを知る事は出来ませんが、とても快適に移動が出来た、今回の「新4列シート」の旅でした。

<撮影2023年5月>
 

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五稜バス 特急 成田空港~軽井沢方面線

2023年03月15日 | バス旅(乗車記)


五稜バス 特急 成田空港~軽井沢プリンスホテルウエスト
成田空港第3ターミナル 8時00分発


おはようございます!朝の成田空港です。

今回のバス旅は、2023年3月に運行を開始した新路線。成田空港と軽井沢エリアとを結ぶ、五稜バスの高速バスに乗車しました。

乗車の前に、まずは予約。

当日の朝、スマートフォンから五稜バス「高速乗合バス」専用ホームページを開きます。そこで「予約」の手続きを進めていくと、「リムジンバスWeb予約サイト」に繋がりました。成田空港のオペレーションをリムジンバスが行っているのは知っていましたが、予約サイトもリムジンバスなんですね。

今回は発車1時間30分前に予約購入しました。具体的に、発車の何分前まで購入できるのかはわかりませんが、比較的直近でも予約購入が出来るシステムは使い勝手が良いです。たとえ、ネットで予約購入出来なくても、成田空港バス乗車券販売カウンターにて現金購入が可能。どちらを選択しても運賃は5000円です。



第3ターミナルに到着。

ツヤのある紺色をしたバスが、第3ターミナルの8番のりばに据え付けられました。これから乗車する軽井沢プリンスホテルウエスト行きです。乗車券となる「QRコード」を表示させたスマートフォンを片手に、バスに向かいました。

のりばに着くと「トランクに入れるお荷物はございませんか?」と運転手さんの明るい笑顔に出迎えられ、バスのステップを上がります。車内は座席定員制の自由席です。各自が好きな席を選べます。



発車時刻になり、第3ターミナルを出発。

その後、第2ターミナル、第1ターミナルと経由しますが、残念ながら、この便では私の他に乗客はいませんでした。それでも、のりばに立つリムジンバスの係員さんは、バスが発車するタイミングで一礼。仕事とはいえ律儀で礼儀正しく感じます。

続いて、車内スピーカーからはメロディが流れ、自動の案内放送が始まりました。

「ご案内いたします。 本日も五稜バスにご乗車頂きましてありがとうございます。 このバスは特急、軽井沢、、、」

どこかで聴いた記憶がある、渋い男性の声が耳に響きました。調べてみると、JR北海道の車内放送でお馴染み、大橋俊夫アナウンサーが車内放送を担当しているそうです。

なんでも、車内の案内をJR北海道のようにと御指名だったとか。JR北海道の声が成田空港~軽井沢間のバスで聴ける事実。音鉄の方に乗車してもらって、感想を聞いてみたいものです。



ここで車内仕様を紹介します。

車内は、トイレ付きの4列シート。フリーWi-Fiの設備もあります。

シートの柄から、リムジンバスからの移籍とわかりました。この他に固定窓のエアロエースも在籍しており、こちらは北鉄からの移籍のようです。



カーテンは新調され、明るい雰囲気です。移籍車といえど、力を入れて整備されていました。

それにしても、予約はリムジンバス、ターミナルのオペレーションもリムジンバス、車両もリムジンバスからの移籍と、五稜バスはリムジンバスと繋がりが強いようです。



バスは、東関東自動車道を東京都心方向に進みます。

五稜バスのホームページから時刻表を眺めていると、興味深い事に気が付きました。

今、私が乗車している、8時00分発の便名は「特急101便」です。そして、15時50分発が「特急117便」、17時50分発が「特急121便」となります。現在は毎日3往復の運行ですが、仮に毎時50分発に1便づつ入れていくと、8時00分から17時50分までの間に、ほぼ1時間間隔で計11便を埋める事が出来ます。軽井沢発の便でも同じ法則が当てはまりました。どうやら、隠れているダイヤがありそうです。今後の発展次第では、増便などで活用するのかもしれません。

この先は私の妄想ですが、リムジンバスが共同運行に加わり、TCAT経由便や、都内のホテル経由便を設定すれば、インバウンドの動線に、より対応が出来そうです。また、軽井沢プリンスホテルウエストの停留所管理は西武観光バスなのだから、西武観光バスが共同運行に参入してもいいはず。考えれば考えるほど、夢が広がります。(あくまで勝手な妄想です)



ここまで東関東自動車道を走行してきましたが、高谷JCTからは東京外環自動車道へ。

東京の外周をぐるりと大泉JCTへ向かいます。



前方の車内モニタに目を向けると、休憩場所である「高坂サービスエリア」が表示されていました。

日本語、英語、中国語、韓国語と4カ国語で案内され、インバウンドを見据え、利用者側の視点を重視している姿勢が感じられます。車内放送も同様で、大橋アナの日本語の他、英語、中国語、韓国語の4カ国語対応でした。



そうこうしているうちに、バスは関越自動車道へ。

メロディの後に、大橋アナが再び登場。高坂サービスエリアでの15分休憩が案内されました。発車時刻は前方のモニターに表示されるとの事です。



高坂サービスエリアのバス駐車エリアに停車。

運転手さんが設定すると、モニターには「発車時刻10時20分」と表示されました。



フロントの行先表示器にも、車内と同じように発車時刻が表示される仕様になっていました。



15分間の休憩を終えたバスは、再び高速道路の本線へ。

藤岡JCTから上信越自動車道に入ると、徐々に勾配を上っていきます。車窓からは山々が連なる景色を楽しめました。



そして、岩肌が特徴的な高岩山を眺めつつ、碓氷軽井沢ICで高速を降りて一般道へ。



その後も標高を上げ続け、サミットで長野県に入ります。

ゴルフ場の脇を走り抜け、左側に雪を被った浅間山が見えると、まもなく終点の軽井沢プリンスホテルウエストです。既に車内には、大橋アナの到着アナウンスが流れ始めています。

「お乗り換えのご案内をいたします。北陸新幹線、しなの鉄道線、路線バスご利用の方は、、、」

大橋アナから聴く「北陸新幹線」は特に新鮮でした。そしてJR北海道のように「ここまで、自動放送のご案内は大橋俊夫でした」で締めくくりました。



終点の軽井沢プリンスホテルウエストに到着。

ダイヤ上では、成田空港から3時間55分の快適な旅でした。

停留所は「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」の南側に位置します。ホテルの案内によると、軽井沢駅までは徒歩13分の距離です。「(ちょっと遠いかな)」と思いましたが、実際に歩いてみるとショッピングプラザを散策する形になり、変化が多くて、それほどの距離感は感じませんでした。



ただ、途中でミカド珈琲のモカソフトに誘惑され、13分では収まりませんでしたが(笑)

ポカポカ陽気で食べるソフトクリームは美味しかったです。(3月上旬だというのに、軽井沢の気温は16℃もありました)



最後になりますが、今回は五稜バスに乗車して成田空港から軽井沢へとやって来ました。

成田空港発ということで、ついつい増加するインバウンド需要を念頭にバスを見て来ましたが、軽井沢町だって、波はあれど人口が増加し続けている街です。軽井沢町から成田空港という需要も開拓出来るかもしれません。

何はともあれ、今後の五稜バス「高速乗合バス」の活躍に期待です。

<撮影2023年3月>
 

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らくらく舟旅通勤 五反田~天王洲

2022年11月05日 | バス旅(乗車記)


※今回は、バス乗車記ではなく、乗船記です。


私が「船旅通勤」の存在を知ったのは、都営地下鉄の駅構内に貼られた、1枚のポスターでした。

「面白そうな企画だな」「五反田から船に乗れるのか」「そもそも目黒川って、船が通れる程の水深があるの?」

B1サイズのポスターから広がる世界。これは乗るしかない!と、実証運行に参加する事に決めました。



らくらく舟旅通勤第2弾 航路6朝
五反田7時00分発 天王洲(東品川二丁目)行き
第27船清丸


やってきました。朝の五反田駅。

五反田の船着場は、東急池上線の高架下、JR山手線から徒歩5分の目黒川に位置します。

「舟旅通勤」の航路はいくつか存在しますが、今回乗船する「航路6ルート」は、五反田から目黒川を下り、京浜運河を経由して天王洲までを結ぶ所要時間約25分の船旅です。目黒川を船で移動するという概念がこれまでなかったせいか、私が興味を一番持ったルートでした。

目黒川は、中目黒の桜が春の名所として有名です。私も周辺を散策する事がありますが、普段は水深がほぼ無く、コンクリートの川底を澄んだ水が勢いよく流れています。しかし、そこからわずか数キロメートル下流に移動しただけで、船が航行出来る程に水深がある事に驚きました。

調べてみると、中目黒駅の下流側(駒沢通りのあたり)に船入場という場所があり、かつては目黒川が運河として整備され、ここまで船運が行われていたそうです。船入場から下流は感潮区間(潮汐の影響で潮位が変動する)となり、特に太鼓橋からは川底が深く、かつ勾配がほとんどないために、水の流れは停滞傾向にあります。五反田は、そんな海に近い環境にある船着場でした。



船着場には、これから乗船する「第27船清丸」が接岸していました。

屋根はなく、比較的小型のサイズです。川といえども、潮の満ち引きで潮位は変化しますし、橋桁の低いところもあります。このサイズがジャストなのかもしれません。

それでは乗船しましょう。受付で予約していない旨を申告し、交通系ICカードで200円を支払いました。



船内の様子。

各座席には、オレンジ色の救命胴衣が置かれています。



この救命胴衣がクッションも兼ねていて、この上に着席するよう促されました。



7時00分、定刻通りに五反田船着場を離岸。

集まった乗客は5名でした。「舟旅通勤」とは名前が付いていますが、各乗客はスマートフォンで映える景色を撮影するなど、船内のムードは「舟旅観光」の様相です。



わずか数メートル低いだけとはいえ、水面から見上げる視界は、何もかもが大きく感じました。



目黒川は、都市部を流れるだけあって、いくつもの橋が架けられています。

私が乗船した日は、大潮の満潮から数時間後という事もあってか、潮位が高く、桁下までの距離が特に短く感じます。おそらく、立ち上がって手を伸ばせば、橋桁を触れられるところもあるでしょう。(もちろん、そんな事はしませんが)

各橋に表記された「桁下〇.〇メートル」の数字がリアルに実感出来ます。「桁下2.5m」であれば、余裕をもって通行できますが、「桁下2.0m」になると、本当に頭上に橋がある感覚です。



しばらくして、前方から船が近づいてきました。

天王洲発、五反田行きの便です。

すぐに船員さんから「船が揺れます」と注意喚起。



すれ違うと、引き波によって、船体が山や谷を越えるかのように上下しました。

まるで遊園地のアトラクションのようです。幅の狭い川で船同士がすれ違うと、このようになるのですね。エンジンの出力を絞って船を安定させ、クリアしました。



天王洲を目指して、船は進みます。

JR京浜東北線、東海道線の橋桁が迫ってきました。



「桁下〇.〇m」の表記は見つけられませんでしたが、ここも橋桁までの空間が狭く感じます。

橋桁にはリベットが打たれ、重厚感のある無骨な見た目が、余計に心をそそります。



船は進み、水面へと枝を伸ばす、桜が見えました。

春に訪れたならば、さぞかし素敵な風景でしょう。目黒川の桜は、中目黒だけではないのです。



京浜急行線の新馬場駅が見えてきました。

そういえば、この区間の目黒川直下には、首都高速中央環状線(C2)の「山手トンネル」が存在します。

今、私の真下に首都高速があって、いつも乗車するリムジンバスが走っているなんて、なんとも想像しがたい景色でした。



そのうち、一気に視界が開けました。

左側には、天王洲運河の水門「目黒川水門」が見えます。



そのまま首都高速1号羽田線、東京モノレールの高架をくぐり、船は京浜運河へ。

ここまでくれば、天王洲船着場は、すぐそこです。



そして、天王洲船着場に接岸。ここまで約25分の船旅でした。

今回、乗船した区間を鉄道と比較すると、五反田駅~天王洲アイル駅間の所用時間は、山手線とりんかい線を乗り継いで約20分。所要時間はほぼ互角と言えます。運賃は鉄道のIC408円(大人片道)に対し、船は約半額の200円と低廉。ただし、これは品川区の実証事業であるからという面が大きいです。船には屋根がなく、悪天候時や寒冷期、酷暑期を考えると、電車通勤の利用者が、普段使いとして船通勤に移行してくれるかどうかは、難しい課題かもしれません。

とは言え、天気の良い小春日和に、このような船で通勤が出来たならば、普段とは違う、充実した一日が始まりそうです。特に桜の季節は最高でしょう。仕事を終え、時間や心に余裕のある夕方~夜間の帰宅便も、自分へのご褒美になります。通勤だからといって、毎日使わなくてもいい。気の向くままの通勤経路という方向性を目指すのもアリだと思います。

最後になりますが、行政が目指す「水辺のにぎわいの創出」や「身近な観光・交通手段としての船運の定着」を進める過程で、船運が出来る環境にある目黒川を活用する事は決して悪い話ではなく、ここからどのように発展させていけるのか。それが、今回の実証運行(五反田~天王洲ルート)の先の景色となるのかもしれません。

<撮影2022年10月>
 

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京王バス 「新宿~松本線」

2022年09月13日 | バス旅(乗車記)


京王バス 新宿~松本線
松本バスターミナル14時20分発


長野県松本市からこんにちわ。今回のバス旅は、中央高速バス「新宿~松本線」です。

JR松本駅前に位置する、松本バスターミナルにやってきました。アルピコプラザと名付けられた複合ビルの1階がバス乗り場で、ビル内には飲食店街やスーパーマーケット、お土産物店が揃い、バス乗車前に食事をしたり、必要な物を買い揃えられたりと、大変使い勝手の良い場所です。プラットホームの階段からは、地下のスーパーマーケット、お土産物店に直接行き来出来る構造で、私はいつも、ここでお土産物を購入しています。品揃えは豊富で、バス発車時刻の間際まで悩んでしまう事もしばしば。さすがに5分前までにはバスに向かうように心掛けていますが、かさばるお土産物を、旅の最後に購入出来る松本バスターミナルは、手荷物を少なくしたい旅行者に有難い存在です。

さて、スマートフォンの画面を運転手さんに提示して、新宿行きの高速バスに乗り込みます。車両は京王バスのエアロエース。すぐに発車時刻になり、新宿へ向けて出発しました。



それにしても暑い日です。

きちんと車内空調は効いていますが、朝から活動して、汗を吸った衣服を纏っていると、それ以上に涼を求めてしまいます。太陽光線に照らされた車窓の景色は、スモークガラスを通しても明るく、見ているだけで干からびてしまいそうです。ここで一雨降ると、恵みの雨になるのですが、空を見上げても期待は出来そうにありません。



ここでバス車内の紹介です。(※客室画像は以前撮影したもの)

車内前方には、+1000円で利用出来る「Sクラシート」が4席設けられています。大きな座席と稼働枕、コンセントの設備が特徴です。通常はブランケットとスリッパの貸出もありますが、現在は感染症科対策により、休止しています。



今回は「Sクラスシート」を選択しました。

2010年に新宿松本線で始まった「Sクラスシート」は、横3列配列の上位クラス。当時、コンセント付きシートはまだ貴重な存在でしたので、確実にコンセント付きに当たるシートは大きな魅力でした。特に充電スポットが乏しくなりがちな日帰り旅行では、このシートに助けられた機会も多かったです。

ちなみに、今回は「Sクラスシート」を前日に予約購入しました。結構ギリギリですが、実は前日まで予約出来なかったのです。予約サイトに「Sクラスシート」の設定がなく、それまではシートマップを見ても、前方や後方を発売しておらず、どの座席数の仕様車でも対応出来るようになっていました。ようやく前日に「Sクラスシート」の設定が決まり、発売されたところをキャッチしました。

このような動きは、車両運用の都合だと思われます。ただ、予約の埋まり具合を見て、座席数の多い車両を入れるか、座席数は少なくても「Sクラスシート」のように+アルファの収入を期待出来る車両を入れるか、見極めてから運用を決定する事も出来そうです。

結局のところ、前日に設定された「Sクラスシート」は、4席中3席が埋まっていましたし、新宿松本線は比較的、便数が多く、当日でも埋まることから、事前に仮決定している車両運用を需要に応じて調整し、最も収益を得られる車両運用を目指す。もしも、これを事業者が狙ってやっているのだとしたら、極めて高度なダイナミックプライシングだと言えそうです。実際のところはどうなのでしょう。(やっていそうな気もします(^^)



「Sクラスシート」が付いている便は、後方の化粧室がワイドタイプです。

通常の化粧室の倍以上の面積があり、いつ乗車しても、広々としていると感じます。



山梨県に入り、双葉サービスエリアで休憩。

外に出るのも嫌になる日差しですが、せっかくの休憩なので売店まで散策。既にお土産は購入しているので、店内を一周してバスに戻りました。



バスは再び中央自動車道を走行します。

スマートフォンでSNSを閲覧していると、ふと周囲の空が暗くなっている事に気が付きました。

雲が出て来たかな・・・そう思いつつもスマートフォンの画面を注視し続けていると、フロントガラスに大量の雨粒が当たる音が聞こえ、思わず前方を見上げます。

甲府盆地名物、夏の夕立です!



雨粒によって冷やされる、バスボディ。

心なしか、ヒンヤリと車内の空調が強くなったような気がしました。

悪天候の中、ハンドルを握る運転手さんには申し訳ないのですが、恵みの雨で、私の心はリフレッシュ。スマートフォンから甲府の週間天気予報を調べると、連日のように「晴のち雷雨」の予報が表示されました。雨雲レーダーを見ても、今、豪雨なのはここだけ。狭いようで広い日本。局地的に見ると、さまざまな特徴の気候があるものだと実感をしてしまいます。



笹子トンネルを越え、標高を下げていきます。

バスの挙動はスムーズで、乗り心地は申し分ありません。速度の異なる、たくさんの車が同じ高速道路を走っているのに、どうやって乗り心地の良いスマートな運転が出来るのかと、ドライバーさんの技量には感銘をするばかりです。最近では、東急バスが一般ドライバーを対象とした「ペーパードライバー講習」を企画して話題になりましたが、これを発展させて、高速バスのプロが教える「スマートな高速道路走行の講習」なんてものがあったならば、是非とも参加してみたいです。



そして、終点のバスタ新宿に到着しました。

これまで幾度と乗車している「新宿~松本線」ですが、今回は季節によって雰囲気や感じ方が違うと再認識出来た旅となりました。

<撮影2022年7月>
 

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