
富山県富山市に位置する、岩瀬浜駅前です。
富山地方鉄道のバスが発着します。

岩瀬浜駅は、富山地方鉄道、市内電車(富山港線)の終点です。
富山駅から日本海側に約7kmの場所に位置します。2006年に「JR西日本・富山港線」が廃止され、第三セクター「富山ライトレール」へと転換。LRT化を行いました。その後、2020年の富山駅南北接続事業完成を前に「富山地方鉄道」に吸収され、現在に至ります。現在では、ライトレールという名称は使っていないようで「市内電車」の一つに含まれています。

2006年のLRT化では、鉄道に並行しているバス路線の再編を行いました。
富山中心市街地~岩瀬浜~浜黒崎を結んでいたバス路線のフィーダー化(支線化)を実施。この岩瀬浜駅には駅前広場を整備して、ライトレールとフィーダーバスとが円滑に乗り継ぎできるようにしました。
発着するフィーダーバスは「岩瀬・大広田・浜黒崎ルート」と名付けられ、現在は岩瀬浜駅前~水橋漁港前を結びます。

フィーダーバスと市内電車との乗り継ぎは対面です。
プラットホームには、雨風をしのげる待合室を整備しました。

市内電車の時刻表(2024年8月現在)
日中1時間当たり4本の電車を運行しています。JR富山港線時代は、日中1時間に1本だったそうで、大幅な利便性向上になりました。

2015年に北陸新幹線が開業した富山駅。
2020年には市内電車の南北直通が実現。新幹線の高架下に設けられた市内電車のプラットホームを介して、岩瀬浜駅から市内電車の各方面に直通を開始しました。

2009年に開業した市内電車の「富山都心線」。
反時計回りの環状線です。南北直通開始後は、岩瀬浜駅からも直通するようになり、岩瀬浜駅→富山駅→環状線→富山駅→岩瀬浜駅という、富山中心市街地を周遊するラケット形状の運行も行われています。岩瀬浜駅においても、フィーダーバス化によって一旦絶たれた中心市街地への直通が復活しました。

岩瀬浜駅に戻ります。
フィーダーバス「岩瀬・大広田・浜黒崎ルート」平日時刻表(2024年8月現在)
平日は、日中1時間当たり2便を運行。

土休日は、日中1時間あたり1便を運行(2024年8月現在)

フィーダーバスの運行は富山地方鉄道です。
富山ライトレール時代は、フィーダーバスの運行も富山ライトレールでしたが、当時から富山地方鉄道が受託していたそうです。

フィーダーバスと市内電車。

電車とバスの乗り継ぎは、わずか数歩。
移転前の熊本電鉄・御代志駅がこのタイプでした。究極ともいえる交通シームレスです。

駅前には、公衆トイレを設置。

自転車置き場。
サイクル&ライドにも対応しています。

さて、岩瀬浜駅の周辺を散策してみましょう。
岩瀬浜駅から400mの場所にある海水浴場。

岩瀬エリアの古い町並み。
岩瀬浜駅から徒歩10分程度の場所にあります。岩瀬は、江戸時代から港町として栄え、日本海の海運「北前船」の寄港地でもありました。今も当時の廻船問屋が軒を連ねています。

展望台。

町並みや、富山港を一望することができます。

富山の街づくりは、JR富山港線のLRT化、フィーダーバス化、市内電車の環状化、南北直通化といった交通面だけではなく、沿線の整備も実施されており、住宅地の開発や、観光地の再生も行われました。岩瀬もその一つで、道路の舗装を町並みに合わせたり、レトロ調の街灯整備、建物の外観を木造風に修景するなどの施策を実施しました。

移動の基幹となるのは鉄道、そして枝葉はバス。
その2つを繋ぐ役割が、岩瀬浜駅前です。
<撮影2024年8月>