バスターミナルなブログ

全国のバスターミナルやバス旅の紹介(※ブログ内のデータは原則として撮影時のものです)

TOKYO BRT「幹線ルート」

2023年06月01日 | バス旅(乗車記)


東京BRT「幹線ルート」
国際展示場12時10分発


今回のバス旅は「TOKYO BRT」です。

東京の臨海エリア、国際展示場駅前にやって来ました。

このエリアは、距離の割に東京都心との移動が、いまいちスマートとは言えないエリアです。決して公共交通がない訳ではありません。副都心側ならば「りんかい線」ほぼ一択ですが、その他の場所へ向かう場合には、どのルートが最適なのか正解がわかりません。鉄道は乗り換えが必要で大回り。都営バスや「ゆりかもめ」は時間がかかるし、JRバスは便数が少ない。何度も訪問して、この周辺の地理に詳しくなればなるほど、短所ばかりが浮かんでしまいます。北の方角へ約5km移動すれば山手線なのに、どうして直結出来ないのか。

そのような状況のなか「プレ運行(二次)」へ移行した「TOKYO BRT」が、2023年4月1日から「幹線ルート」の運行を開始。国際展示場(東京テレポート)~新橋間が最短経路で繋がりました。続けて、4月28日からは20分間隔となる、増便ダイヤ改正を実施して利便性が向上。速達性も含め、かなり使える交通機関に躍り出ました。

今回は、そんな「幹線ルート」で、新橋まで向かいます。



私が乗車する車両は、いすゞエルガ。

注目を浴びる連節バスでも、燃料電池バスでもありません。決して”華”はないけれど、3台が所属する「TOKYO BRT」仕様のエルガは、なくてはならない存在です。何しろ、輸送力の大きな長尺車。東京都心では、なかなかQ尺のエルガにはお目にかかれません。さすがに輸送力は連節バスに勝てませんが、単車で最も大きな輸送力を誇ります。更に、一般的なディーゼル車といったところもあり、現時点では一番汎用性が高い車両ではないでしょうか。



12時10分発の便は、私を含めて7人の乗客が集まり発車しました。

駅前ロータリーを抜けると「ゆりかもめ」の高架下へ。環二通りに入ります。

「プレ運行(二次)」に移行して、何よりも大きな変化として感じられるのが利用者の増加です。「幹線ルート」の運行開始と共に、各停留施設ではBRTを待つ利用者が列を作るようになりました。この便でも、いきなり7人の乗車と幸先の良い出だしです。



国際展示場~有明テニスの森間は、タワーマンションと大型商業施設が混在するエリアです。

「ゆりかもめ」や「都バス」といった公共交通も存在しますが、このエリアの利用者は多く、特に都営バス「都05-2系統」は輸送力の面で課題があります。沿線でのイベント開催時に、バスが満員で乗車出来ない問題は、ネットで度々話題に上がります。地元の方にとっては切実な問題でしょう。大きな期待をもって、BRTの運行開始を待ち望んでいました。



有明テニスの森に到着。「ゆりかもめ」の駅下に位置します。

ここでは6人の乗客が乗車してきました。周囲は空き地や駐車場が目立ち、決して利用者が多そうな沿線風景ではないのですが、ここは何気なく利用者が多くみられる停留施設です。



今ですら利用者が多いのですから、停留施設の周辺が開発された頃には、一体どうなるのでしょう。



豊洲市場前の交差点で「ゆりかもめ」とはお別れ。

「ゆりかもめ」は豊洲駅を目指します。



こちら「TOKYO BRT」は豊洲市場前に到着。

ここは「晴海・豊洲ルート」に乗り継ぎが出来る停留施設です。

10人以上の利用者が列を作っていました。これだけ利用者がいると、乗車するのに時間を費やしてしまいます。座席は全て埋まり、立ち客の姿も見られるようになりました。もう座れません。



大きな豊洲大橋を渡り、すぐに晴海地区へ。



信号待ちをした後に、交差点を直進しました。現状では「幹線ルート」は晴海地区を通過します。

いずれ、オリンピック村跡地の「晴海フラッグ」が街開きすれば「幹線ルート」も晴海地区に立ち寄るはずです。



運河を渡り、勝どきBRTに到着。

「購入して住みたい街ランキング」の上位に位置する勝どき。ここでも10人以上の乗客が列を作っていました。もう大盛況。

ここからは「晴海・豊洲ルート」が合流するので、日中の輸送力は、1時間当たり6便10分間隔となります。これだけでも十分に利便性が高そうですが、将来の本格運行時には、2ルート合わせて1時間当たり12便を予定しています。つまり、今の倍。計算上は5分間隔でBRTが来る事になります。(「選手村ルート」が運行開始したら、もっと増えるかもしれません)



発車後は、隅田川を渡り、続けて築地虎ノ門トンネルへ。

このトンネルの開業で、勝どきBRT~新橋間が、めちゃくちゃ早くなりました。トンネルは、アンダーパスのような感覚ですぐに通過し終えてしまいますが、ここが「TOKYO BRT」の速達性を語るうえで肝と言える区間。2つの信号交差点をパス出来るようになった効果は大きいです。



トンネルを抜けて、信号交差点を二つ曲がれば、新橋に到着。この便の終点です。

国際展示場から、あっという間に到着してしまいました。

時刻表上では、国際展示場~新橋間の所用時間は15分。表定速度は約20km/hの水準を達成しており、これは速達性の面では、かなりレベルの高い道路交通と言えます。ただ、私が乗車した便は、約2分遅れて到着しました。道路交通なので、その程度の遅延は許容範囲であるものの、理想を言えば、定時に着いて欲しい。今回の遅延理由を考えてみると、やはりそれは停留施設での乗車時間だったと思います。

乗車出来るドアは一つ。そして車内の状況が、ある程度落ち着いてから発車となると、利用者の多さは遅延に繋がります。入口から距離のある連節バスならば、なおさらです。「幹線ルート」は、道路条件に恵まれ、既に高い表定速度を持っているので、これからの課題は、その高い表定速度を無理なく守っていけるかが重要です。言わば「防衛戦」です。これから予定されてる、全ドアでの乗降や、停留施設での自動券売機設置は、停車時間の短縮を期待出来ますし、交通信号機の公共車両優先システム(PTPS)高度化も、定時性の向上に寄与するはずです。



「TOKYO BRT」は、表面上で見て「バス専用道の無いBRT」と評価されてしまいがちですが、その中身は「高い能力を秘める道路交通」であり「能ある鷹は爪隠す」クールな交通機関になると私は思っています。

表定速度の高いBRTが、それなりの頻度でやって来る。そして、ほぼ定時で目的地に着ける。

地下鉄のように深い階段はなく、歩行者の動線に便利な場所で乗降が出来る。


今後も、これらを追求し続けることが、利用者の支持に繋がるのではないでしょうか。

<撮影2023年5月>

参考 2020年10月の乗車記
京成バス 東京BRT(プレ運行(一次))
 
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