ぼんじょるの銅版画制作工程 その03

2008-03-06 13:48:11 | 銅版画
それでは下絵を銅板に写す作業をします。

ここで注意しなくてはならないのが、下絵を反転した状態で版にトレースをしなければならないということ。
通常では半透明の紙のトレーシングペーパーなるものを使って、カーボン紙を使用するのですが、私の場合、まず下絵をパソコンにスキャナーで取り込みます。
この方がパソコンに取り込んだ際、レイアウトの調整や他の下絵と組み合わせたりしてアイディアを練り直したり等もできて便利なんですね。
そして微調整等できた下絵を反転してプリントアウトします。
次にそのプリントアウトした紙の裏にパステルを擦り付け、銅板に張り、鉛筆で線をなぞります。

これで下絵が銅板のグランドの上に写ります。






それでは早速この下絵を参考にニードルを使って、線を引いていきます。
ところどころ鉛筆でも線を引いて太さやニュアンスを変えてます。



力は全然いりません。グランドを剥がすだけでいいのです。



線を引き終わったら、次は腐食の作業です。
まず銅板のグランドが意図していない部分で剥がれてる箇所等がある場合、ニスを塗ります。




次に腐食液をプラスチックのトレーに入れます。ここから注意しなくてはならないのは腐食液は肌に直接触れてはいけないのでゴム手袋で慎重に作業します。
服に付くと黄色くなって取れません。

このトレーは100円ショップで買ったものですけど、ちょうどいい大きさでアミもついているので重宝してます。^^


それでは銅板を腐食液に浸します。

そして待つこと15分から20分ぐらい。

ジンジャーをからかうなどしながら待ちます。


時折、版を出してチェック。

取り出した銅板を今度は水で腐食液を洗い流します。
この時、綺麗に洗い流さないと銅板は腐食し続けてしまいますので入念に洗います。


そしてここで秘密兵器という訳でもないのですが、醤油が登場します。
醤油または酢をつけると腐食液は綺麗に落ちるのです。
何故?と聞かれてもわかりません。私も以前師匠に聞きましたが、知らないと答えが帰ってきました・・・。

ハイ、これで一回目の腐食ができました。
ここでグランドを拭き取れば版が出来上がるのですが、
今回はもう一度線を引く作業に戻って線を追加し、再度腐食液に10分ほど浸けます。


こうすることによって、線の強弱を変えることができます。
インクの詰まる溝となる部分は腐食液に浸しておく時間で変わりますので、最初に引いた線は合計30分ほど、後から引いた線は10分となり、結果線の強さが変わるわけです。
今回線を後から追加しましたが、最初に全て線を引いてから腐食時間によってニスで留めるという方法もあります。



さて一通り腐食も終わりましたら、次にグランドをホワイトガソリンで綺麗に拭き取ります。



これでエッチングによる版の出来上がりです。

つづく。



ここまでの作業、わかったかなぁ・・・。
つうかめっちゃ写真でかいし、多いな・・・( ̄,. ̄;)



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ぼんじょるの銅版画制作工程 その02

2008-03-05 10:36:07 | 銅版画
案の定、アホなコメントありがとうございます・・・(ー’`ー;)

それでは前回描いた下絵はまず置いといて。
次に銅板の下ごしらえをします。



今回の材料は以下の通り。
---------------------------------------------------------------------------------------
銅板 ・・・・・・・・・ × 1(12×18cm 5mm厚)
マスキングシート ・・・ 適当
ハードグランド ・・・・ 大さじ1ぐらいかな
ピカール金属磨 ・・・・ 必要に応じて
---------------------------------------------------------------------------------------



それではまず用意した銅板の裏側にマスキングシートを
びしぃ~~~~~~~~~~~~~~~~~っと空気が入らないように貼ります。
霧吹きで面を濡らしてから貼ると綺麗に仕上がります。
何故マスキングシートを裏面に貼るのかはまた後ほど。


次に表面ですが、もし表面に傷があるようでしたらピカール金属磨を使ってビカビカに輝くように磨き上げます。
今回は予め磨き上げられた銅板を使用したので磨きの工程は省きます。

そしてここからが下ごしらえの本番。
グランドという防蝕膜を銅板の表面に塗ります。

(この真っ黒い液体がハードグランドを液状にしたもの)

このグランドを塗られた銅板をニードルで引っ掻いて線を引くのですが、グランドはその線の部分だけ剥がれて銅板が露出します。
そしてこの版を腐食液という薬品の中にいれると、グランドの剥がれた線の部分だけが腐食され溝ができるのです。
そのために裏面には腐食されないようにマスキングシートを貼っておきます。
ちょっと解りづらいと思いますが、順に工程を紹介していきます。

グランドにはハードグランド、ソフトグランドとありますが今回使用するのはハードグランドです。
本当はハードグランドというのは固形の状態で熱した銅板で溶かしながらローラーで延ばして塗るようなのですが、私の場合はハードグランドを有機溶剤のリグロンで溶かして液状にしたものを使用してます。

それでは銅板にグランドを塗ります。


銅板にオタマでグランドを適量を垂らし、銅板を傾けながら全体にグランドを行き渡らせ、余分なグランドはもとの瓶へと垂らして戻します。
あとは新聞紙の上などに置いて、鼻でもほじりながら乾くのを待ちます。


乾いたらこんな感じです。

つづく。

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ぼんじょるの銅版画制作工程 その01

2008-03-04 17:36:33 | 銅版画
先週の予告通り、今日から数回に分けて銅版画の制作工程を紹介していきます。
まず銅版画というのは凸版、凹版でいうと凹版になります。木版画は凸版ですね。
ようは銅板にインクの詰まる溝を作ればいいのですが、直接彫る方法や、腐食液を使うなど色々な技法があります。

直接銅板を彫る技法としてはドライポイント、メゾチント、エングレーヴィングというのがあります。
ドライポイントというのは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また小学校や中学校で一度は経験したことがあるかと思います。銅板ではなくてもプラスチックの板等をニードルという針などで直接傷を付ける技法です。

そして腐食液を使って彫る技法ではエッチング、アクアチントというのがあります。
私がもっとも多く使う技法はこのエッチングです。
でも「腐食液を使ってとはどういうこと?」「そもそも腐食液って何?」「直接削るじゃないの?」と思う方や「銅版って言うと同伴みたいでイヤらしいね、小田君」とつまらないボケを言う方もいらっしゃるようなので、今日からこのエッチングとアクアチントという技法を使って、作品を一つ完成させるまでの工程を数回に分けてご紹介してきます。

たぶんこれを見れば美術館などに行った際に、
「このエッチングって言うのはさ、直接彫る訳じゃなくグランドをひいた所に・・・・ほにゃららほにゃらら・・・」
「へぇ、◯◯くんて美術に詳しいのね!ちょっと素敵かもぉ~♥」なんてことがあるかもしれません。
私は一度も無かったけど・・・_| ̄|○il|li ガクッ

という訳でさっそく

銅版画制作工程その壱!!



下絵を描く!



つづく。


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・・・・・・・・・・・・
わかってないわんなぁ~犬っていうのも・・・眠
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