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小鳥見日記

ライチョウを探して乗鞍を歩く

去年、どこかの探鳥会で「来週ライチョウを見るツアーに行くの!」と話す人がいて、そういうツアーがあるんだと初めて知った。
ライチョウという鳥のことは「結構高い山にいる」という程度の情けない知識しかなかったけれど、偶然NHKでライチョウを保護しつつ増やして山にもどすドキュメンタリーを観る機会を得た。
最近も焼き直し?みたいな番組があった様子→「中央アルプス ライチョウ復活作戦」
会いに行きたいな、動物園じゃなくて。

最終的に見つけたツアーが「日本アルプス ライチョウ観察ガイドツアー」
松本駅集合で乗鞍畳平の山小屋に宿泊し、暗いうちに起きだしてライチョウを探すというもの。費用の一部が寄付に充てられるというのもよかった。
今回はたまたま(ガイドさんは初めてと言ってた)女性ばかり13人で、普段から登山を趣味にしている人ばかり。
ついていけるかな?(最終的にちょっとついていけないところもあった)

スタートの松本駅集合までに実はトラブルがあり、ほとんどの参加者が利用した新宿発の特急あずさが人身事故のために大幅遅れ。それに伴って集合時間も1時間半ほど後ろ倒しになった。私は大宮経由だったので全く影響なかったどころか、思いがけず松本城を観光する時間もできてラッキー。でも巻き込まれてしまった人たちはツアーバスにたどり着いた時点でかなりお疲れの様子だった。

畳平で昼食をとってからライチョウ探しに行くスケジュールを「バス乗車前orバスの中で食事」に変更したので、ツアーの行程自体は30分ズレくらいで済んだのでよかった。けど、あの山道をマイクロバス移動、なおかつバスの中での食事に慣れていない人は酔ってしまってちょっと気の毒だったかも。
とはいえそこは女性ばかりの良さが出て、ティッシュ、ナイロン袋、ウェットティッシュ、予備のお水などなど、出るわ出るわ。みなさん優しい人でよかった。

畳平に着くと、遠くで雷が鳴って雨がパラパラ。一瞬晴れ間が差したり雲が湧き出して何も見えなくなったり、まさに山の天気。
全員レインウェアを着て、お花畑の木道へ。前日にライチョウの目撃情報があったということだけど、そもそも今シーズンはヒナが育つ時期の天候が悪く、大きくなれたヒナが少ないとのことだった。



少し歩いたけれどどうやらいない様子だったので、早めに山小屋に戻ってお風呂へ。
17時の夕食までに時間があったので、山小屋のまわりを歩いてみたら、着いたときからあちこちで鳴いていたイワヒバリが登場。
距離感がおかしい(笑)警戒心がないのかな。


まるまるしてかわいい。


歩道の前をちょんちょん歩いて先導してくれた個体。
 
標高2,700mでの星空も楽しみにしていたけれど、ちょうど満月の1日前で星影自体は薄かったかも。でも晴れてくれてよかった。
山小屋のデッキから池に映る月をみんなで見る。
 
消灯は21時だったけど、翌朝は3時起きなのでみんな早めに就寝。
2段ベッド形式の大部屋だったけど、一緒になったメンバーが気遣いのできる方ばかりだったので快適でした。
 
そして朝3時半に月を見ながら2,818mの富士見岳へ出発。もう囀っているイワヒバリがいる。
私もツアーに参加するまで知らなかったけれど、ひとくちに「乗鞍岳」と言っても23の峰があるそうだ。
詳しくはこちら
刻々と空の色が変わっていく。
 
ご来光。

明るくなると高山植物も見えてくる。コマクサがこんな石だらけの場所できれいな花を咲かせているけれど、花をつけるまでに5年かかるそうだ。この環境で生きていくために時間をかけて進化をしてきたのでしょう。
 
残念ながら早朝の部ではライチョウに会えず、山小屋へ戻って朝食。
再度の出発までに同じ部屋のメンバーで鳥談義。楽しかったな。
 
晴天の中、今度は2,771mの大黒岳を目指す。
山小屋との標高差は70mもないというのに、傾斜のある道を登ろうとするとびっくりするくらいすぐ息が切れる。
高地のため酸素は普段の2/3程度とのことだったけれど、いつも歩く筑波山よりラクそうに見えるのに体感が全然違った。
 
ライチョウの鳴き声がしないか耳を澄ませながら歩くけれど、聞こえてくるのはホシガラスの声ばかり。でも標高の高い場所にしかいなくて昨年の茶臼岳では会えなかったので、写真は一枚も撮れなかったけれど、近くを飛んだりとまったりの様子をたくさん見ることができてうれしかった。
 
谷の向こうの斜面に動くものが。カメラでMaxに寄ってみたらツキノワグマでした。

少し遠かったけど、岩の上にとまるイワヒバリ、かっこよかったな。
 
本当にライチョウに会えるのかな…と不安になってきたタイミングで、砂浴びやフンの痕跡を発見。
そしてやっとオスのライチョウが出てきてくれました。
 
草の種を一生懸命ついばむ様子。
 
人を怖がらないと聞いていたけれど本当に「意に介さない」という様子。
すれ違うのがやっとという幅の登山道にいて、みんなが入れ替わり立ち替わり近くに寄って写真を撮ったり観察したりを2周くらいやったんだけど、逃げるようなそぶりは全く見せなかった。
 
しばらくしてハイマツの中に帰っていきました。出てきてくれて本当にありがとう。


大黒岳を下りてバスターミナルで休憩し、「ご来光を見に行った富士見岳にもう一度ヒナ連れのライチョウを探しに行きましょう」とガイドさん。
でも私はこの時点でもう坂道を登る自信が全然なくて、「お花畑で待ってます」宣言をしてみんなを見送りました。
 
一息ついてから木道へ向かうと、また距離感のおかしいイワヒバリが目の前に飛び出してきた。
 
ライチョウもいればいいなと思いながら歩いたけれど、上空からトビの鳴き声がしたので「これは無理かも」と諦める。猛禽類が出てくる晴れた日は警戒して出てこないそうだ。
空にはイワツバメが集団で飛んでいる。
 
木道を進むとエサをくわえたイワヒバリが茂みの中に飛んで行く。中からヒナらしき声がするので給餌かな。
この個体はなんかシュッとしてカッコイイ。


 
降りてきたツアーのメンバーに聞くと、残念ながらそちらでもライチョウは見られなかったとのこと。
結局1羽だけで、「今年は少ない」というのを実感する結果ではあったけど、ライチョウに会う目的が達成できて本当によかった。
 
次は別のところに一人で行ってみようかな。鳥談義中にみくりが池で撮ったというライチョウの動画を見せてくれた方がいたので、そっち方面も調べてみようとか、次の楽しみができた旅でした。

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