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 6 FACES

ブランドコンサルティング会社@南青山の社長ブログ

会えなくなっても、いのちは続く

2010-11-07 21:06:44 | 母親
母親ではない人であったとしても、母親のいない人はいません。
みーんな、母親から生まれてきました。

子育てが一段落して、やっと自分の時間が持てるのも束の間、
やがて自分の親や配偶者の親が老い、好むと好まざるとに関らず、
再び親子の繋がりを深めることになります。

昔は惣領息子が「家」を継ぐと同時に「親」も引き取ったの
でしょうが、現代では兄弟が少なく一人っ子も多いですから
親の老いとどう向き合うか、誰しも共通のテーマでしょう。

わたしの母は、父が亡くなったあと(もう、5年近くなりますが) 
ひとりで暮らしています。
もう80代も半ばを過ぎ、いくら元気だからといっても
ひとり暮らしをさせておくのは、娘として気がかりです。

もういい加減、兄一家と一緒になってほしいと思うのですが、
当人は、やんわりとした言葉づかいで、しかし毅然とした態度で
「動けなくなるまでは、このままで」と主張します。


先日、お天気の良い日に、たまたま約束していた打ち合わせが
キャンセルになったため、実家に電話してみました。

「いいお天気だから、外でお昼をしましょうよ」と誘うと
はじめのうちは面倒そうな口ぶりでしたが、しばらく話すうちに
「じゃあ、出かけてみようか」ということになり、最寄り駅のホーム
で待ち合わせました。

母はわたしに言われたとおり、下りホームの待合室でちょこんと座って
わたしを待っていました。
まるで、母親の帰りをまつ幼子のように、です。
1か月前に会った時より、また一回り小さくなったような気がします。

一緒にお昼を食べたあと、「ちょっとお茶したい」と言い出し、
デパートの一角にある喫茶室に案内してくれました。
そこは大きな窓から、丹沢の山々が見渡せるすばらしいロケーション!

母は、「いつもお父さんとここへ来たの。いつも、だいたいあの席。
今日は、空いてないわねえ」と言いながらも、静かに外を眺めています。
「お父さんがいなくなったあとも、ひとりで時々ここへ来るの」

えっ? そんなこと知らなかった…。そうかあ、お母さん、
ひとりでこの場所に座ってるのかあ。

「お父さん、あっちの世界でどうしてるかねえ」と、返事を期待せずに
話しかけると、

「もう、会えないからねえ」

とさみしそうに微笑みました。


父の部屋を生前のままにし、父と暮らした場所を離れようとしない母。



「仕事で忙しいのに、つき合わせて悪かったね…。ありがとうね」

別れ間際、事務所へ戻るわたしに
母は、ホームから小さく手を振っていました。

いつかやってくるであろう、母と「もう会えなくなる日」を痛切に思い、
それでも、次世代へ命をつないでいく母親という存在の大きさおもう
秋の夕暮れでした。










ワーキングマザーの出張術

2010-10-17 21:21:57 | 母親
昨年の6月から継続していたコンサルティングの仕事が、ようやく一段落しました。
だいたい1カ月に2回のペースで出張し、クライアント企業の社員の方々と
マーケティングセッションをおこなってきました。


朝8時30分の新幹線で出発し、帰宅するのは深夜という日帰りパターンです。
1年のうち、250日以上が出張というビジネスパーソンも大勢いますから
わたしの場合は、それほどタフな状況ではありません。
車窓を眺めながら、ちょっと前まではこんな余裕はなかったなあと思い出します。

今でこそ子どもたちも大きくなり、出張しても何ら心配ごとはありませんが、
まだ保育園に通ってた幼い頃は、とにかく気がかりでした。
と、同時に出張には何とも言えない解放感がありました。

ひとりでホテルのベッドを占領し、ゆっくりバスタイムを楽しみ、
時にはエステやマッサージでリラックス…。 ああ、極楽。ゴクラク。

でも、ふと、子どもたちの顔が浮かび、
「どうしてるかなあ、もう眠ったかなあ、明日はちゃんと起きてくれるかなあ」
と声が聞きたくて どうしようもなくなってしまうのでした。


ある時、10日間のEUへの出張を終えて帰宅すると
カチャ、という鍵を開けるかすかな音を聞きつけ、
幼い息子が たたたっーとかけよってきて 
わたしの腰のあたりにしがみついて来ました。

「あなたが出張中、一度も泣かなかったのよ。お母さんの話は一度もしなかった。
がんばっていたけど、やっぱり待っていたんだよねえ」
と面倒をみてくれていた義母に聞かされ、
ワーキングマザーならではの、葛藤と満足を一度に受け取ったものです。

いま、幼いお子さんと過ごしながら一生懸命働いているお母さん、

大丈夫です。 今の、この大変さは永遠に続くものではありません。

昨日より今日、今日より明日、
子どもたちは、成長しているのです。


「あんな辛いこともあったなあ」と思いだせるのは 案外すぐなんですよ。

だから、大丈夫。
もし、出張の機会があったら、ちょっとひとりの時間を楽しんじゃってくださいね!






イクメンが日本社会を変える?

2010-09-20 16:35:46 | 母親
先週、岡山在住の20年来の友人から「今日のお昼はどこにいる?」と突然のメール。
「銀座の天厨菜館でランチどう?」と返信すると、にこにこ顔文字でOKの返事。
でも、久しぶりに会った彼はなかなか用件を切り出さず、ようやく発した一言が
「実は会社を辞めて、イクメンになることにした…」。

「ほーう、それはいいじゃないですかぁ。ナイスなアイデア!」と反応すると、
ほっとしたような顔になって、「でしょ?」

実は、彼は私と同い年。4人のお子さん(全員男の子!)に恵まれて、とっても賑やか。
とはいえ、一番上が小学5年生、少し空いて5歳から1歳までの間に3人なので、実際は
それどころではないでしょう。
彼のイクメン宣言にもっとも喜んだのが奥さんだったそうで、
その気持ちもよーく理解できる。奥さん、良かったですね!

もう10年以上前ですが、そのころ勤務していた会社を代表して
「ワーキングマザー」の声を届けるように、という社長からの指令をうけて、
経団連の少子化問題研究会なる組織に加わることになりました。

もちろん委員の方々は学界、政財界を代表するような大変な顔ぶれで、
私が所属したのはその委員会の下部組織であるワーキンググループでしたが、
それでも超一流企業の人事系の役員さんや部長さんなどそうそうたるメンバーでした。
「あぁこれは、まさに働く母=当事者としてちゃんと発言しないといけないなあ」
と気を引き締めた第1回目の会合でした。

しかし、第2回目の会合になると、顔ぶれが一新。
前回は出席していなかった女性が声をかけてくれ、
「ウチの役員からあなたのことを聞きました。当社でも男性役員ではなく、
当事者である女性の声を届けよう、ということになりました」ということでした。
この会社さんは、日本を代表する有名な化粧品メーカーですが、
やはりとても深い理解があるなあ、と尊敬の念を持ちました。

こうした少子化問題研究会の取り組みとならんで登場したのが 旧厚生省の
少子化対策キャンペーンで、あの安室奈美恵ちゃんの夫であったSAMさんを起用した
ポスターでした。

「育児をしない男を、父とは呼ばない」 いろいろ物議をかもしました。
今となっては懐かしいですね。

それに比べて、いまどきのイクメンはもっと自然体で軽やかなフットワークですね。
男性も女性も、もっと育児を楽しみましょう。子ども時間を共有しましょう!

今だから言えます。
「カワイイ時期はすぐに過ぎてしまいますよー。」