goo blog サービス終了のお知らせ 

~酒LIFE~

酒LIFEのタイトル通り、お酒を中心とした日々の生活を描きたいと思います!

~これぞ台湾クオリティー!『Kavalan Whisky(カバラン)』とは?~

2015年06月14日 | 酒LIFE
ふと二年前の手帳を見ていましたところ、あるウイスキーのテイスティングコメントが書いてありました。「マンゴーの様なフルーツ香、旨い」と。

私にとってウイスキーは、お酒を探求するきっかけとなったものでもあり、今では特別なご褒美、何かを始めるとき・何かを成し遂げたときに必ず飲むものとなっております。とにかく私はウイスキーが大好きです。

身近に変わり種のウイスキーを紹介してくれる先輩や、バーマンの先輩がいる事から、様々なウイスキーを飲んできております。
恐らくこのウイスキーと出会った時点でも、テイスティングについてはモルトで100種以上?とにかく人並み以上の経験は積んでおりました。

ただ、このウイスキーを初めて飲んだその感覚は、今でも思い出せるくらいある種の衝撃を受けました。それはもちろん、「Made in Taiwan」という、およそ「ウイスキーの名産地とは言い難い場所から生まれたもの」というギャップ込みの衝撃かもしれません。

スコットランドや山崎、余市、宮城峡蒸溜所等、ウイスキーの蒸溜所と言えば寒い地方をイメージされるかと思います。
対して台湾は言わずと知れた亜熱帯地方。そんな地域で旨いウイスキーなんてできるはずない。このウイスキーの評判を聞いても、実際に味わうまでは私もそんなイメージを持っておりました。

しかし実際に口にすると上述したように衝撃的。そして同時に思ったこと。これは工場に行くしかない!!

仕事で台湾に行く機会が多い為、早速台湾の宜蘭にありますウイスキー蒸留所に行ってきました。
そしてそこで第二の衝撃。とにかくでかい!!なんと来客数は、スコットランドの全蒸溜所(全ビジターセンター)の総来客数を上回るとか。
こんなでかい規模でウイスキー事業を開始するなんて、、と思ったら、Kavalan Whiskyを営む「金車股份有限公司」という会社は、台湾で有名な清涼飲料企業でした。缶コーヒーやカフェで有名なMR. BROWN COFFEEの他、日本のポカリスウェットも台湾ではこの金車股份有限公司という会社が製造販売しているみたいです。なるほど、でかいわけです。

この資金力を駆使し、海外から醸造専門家Jim Swan博士を招聘、スコットランドや日本を含む海外に研究員を派遣しながら徹底的に技術力を磨き上げて、このKavalan Whiskyを誕生させました。

スコットランドのウイスキーを圧倒して数々の賞を受賞し、現在では世界にその名をとどろかせております。

このKavalan Whiskyの特徴は熟成の速さです。私程度ではこのKavalan Whiskyの3年物を飲んだ際、まず言われなければ10年以上熟成しているものと勘違いしてしまいます。

同蒸留所のマスターブレンダーのイアン・チャン氏は、「熟成の早い台湾では、カバランの3年物が、スコッチの20年物に匹敵する」とまで豪語しております。

暖かい地域には、暖かい地域のメリットもあるのですね。やはりお酒はその地の気候が造ります。

Kavalan Whiskyの熟成の場合、「天使の分け前」とも呼ばれる樽からの蒸発率が年に15%もあるそうです。熟成中、夏場は何と42度まで温度が上昇する場所もあるとか。100Lあった原酒が、1年で85Lまで減ってしまうなんて、、。台湾の天使は飲みすぎですね笑
以前、ベンチャーウイスキーの肥土社長から「夏と冬の気温差」が、熟成のスピードに影響しているとお聞きしたことがありますが、まだまだ謎が多い熟成の科学。

温度が一定の地下貯蔵に鍾乳洞貯蔵、そして海底貯蔵に至るまで、泡盛にも様々な貯蔵方法がありますが、貯蔵環境は確実に原酒に影響を与えます。

近代的な技術を駆使しながら、台湾という地の利を極限まで活かしたKavalan Whisky。まさしくこれぞ台湾クオリティーと言える逸品です。お見かけしましたら、是非とも一杯頂いてみてください。台湾の技術力を感じることが出来るはずです。

~Old Southern Comfort(サザンカンフォート)の復刻~

2015年04月16日 | 酒LIFE
皆様こんばんは。2014年4月に入ってから環境が大幅に変わり、長い間休養期間を頂いておりました。本日からBlog SAKE LIFE復活です。長いこと時間を空けた内も、変わらずブログを読んでいただいた方、新規で読まれた方、皆様本当にありがとうございます。
休養期間中もたくさんのネタを仕入れておりますので、これから少しずつ書いていきたいと思います。皆様是非ともチェック・コメントの程よろしくお願いします。
さて今回の内容は、タイトルにもありますSouthern Comfort(サザンカンフォート)というリキュールについて書いてみたいと思います。このブログを読み終えた後に、Southern Comfortを飲みたくなっていただければありがたいです。
さて、このリキュールですが、非常に歴史が深く何と約140年前にニューオリンズで誕生しました。アメリカでは最も有名なリキュールとも言われるSouthern Comfortですが、日本でも私の経験上ごくたまに愛飲家に出会ったりします。そういえば私が学生時代に働いていた渋谷区神泉のBarで、よくジンジャーエール割りで飲まれるお客様がいらっしゃったことを今でも覚えております。
Southern Comfortは、その頭文字をとってソコ(Southern Comfort → SoCo)と呼ばれたりします。「ソコライムショット」は、Southern Comfortの定番の飲み方として、数年前からしばしばPOPを見かけるようになりました。(現在はやや沈静化気味?)
恐らく「サザンカンフォート」って聞いたことはない方も、「ソコライムショット」については聞いたことがあるかもしれないくらい定番化してきたと思います。
このサザンカンフォートは、「スピリッツ」にレモン等の果実やスパイスをブレンドした、アルコール21%(日本向け)のいわゆるオーソドックスなリキュールなのですが、実は元々はもっとヘビーだったそうです。
そもそもサザンカンフォートの誕生は、出来が思わしくないバーボンに、バーマンが桃の香りや甘味を加えたものからスタートしたと言われております。つまり元々は「バーボン」がベースのリキュールだったのです。
元々は50度もあったサザンカンフォートは、現在日本で流通しているもののほとんどが21%の低アルコールでして、もしかすると誕生時とは全く違うものになっているのかもしれません。そんなかつてのサザンカンフォートを愛した伝説的なロック・シンガーがいます。ジャニス・ジョプリンです。彼女のステージにはいつもこのサザンカンフォートがあったそうです。
その頃のサザンカンフォートを飲んでみたい。
そんな私のわがままを、いきつけのバーマンがかなえてくれました。
バーボンをベースにサザンカンフォートとピーチリキュール、レモンジュースで仕上げたその名も「オールド・サザンカンフォート」を再現して頂きました。上手く、そして旨い。世界的なアルコール離れから、商品の低アルコール化が進む酒類業界。彼の様なバーマンが今後ますます貴重になっていくでしょう。
と、他人事に感じてはいないものの今日ばかりは自身が働く業界の現状を忘れて、Blog SAKE LIFE復活に向けて誓いました。

~ウイスキーは日本の酒である~

2014年01月26日 | 酒LIFE
 みなさんこんばんは。突然ですが、「ビール」を一番よく飲んでいる都道府県はどこだと思いますか?
以前ブログで書きましたが、この場合の「ビール」はいわゆる発泡酒や第三のビールを除きます。
さてさて第一位は何と、といいますかやっぱり「東京都」です。ベスト3は東京、大阪、京都の順で、そして高知、新潟が続きます。年間で考えますと、一位の東京では、1人あたりで500mlビールジョッキ約90杯分。一週間にジョッキ2杯弱を飲んでいることになります。(ビールジョッキは1杯500mlで換算、参考資料:平成23年度国税庁・22年度財務省統計)
以前、ビールと発泡酒、第三のビールの消費比率は、その都道府県の所得に相関することを書いたかと思います。東京都や大阪など、やはり所得が高い都道府県が上位に来ていますね。ビールだけではなく、発泡酒、第三のビールを含めたランキングも見てみたいものです。
ちなみにですが、県民一人あたりのアルコール消費量でも、一位はやっぱり東京都となっております。ビジネスの場・娯楽の場を含めて、東京都民はお酒をよく飲んでいます。アルコール業界にとってもやはり東京は主戦地域と言えそうですね。あっ。二位はですね、、、、なんと沖縄県です。私の偏った独断ですが、沖縄の場合は9:1で娯楽の方かと、、笑。もちろん沖縄も、アルコール業界にとって主戦地域と言えそうです笑
 さて今回もYeastcidinについては少しお休みとさせていただきます。興味を持っていただいた方、どうもすみません。
皆さん今日は、タイトルにもあります通り、一つおすすめの本を紹介させてもらいます。その題名はずばり『ウイスキーは日本の酒である』(新潮新書/¥700)です。この本の著者は、今最もホットな技術者の一人、サントリーのチーフブレンダー輿水精一氏となっております。
テレビでもたまにお目にかかります、著名な方です。
 この本は、技術的な内容から、歴史、ブレンダーという仕事の極意まで、少し変わったアルコール本となっております。
ウイスキーを10倍愉しむ方法!をキャッチフレーズに、ウイスキー低調期の話から、数々の世界的な酒類コンテストでの受賞による販売の伸張、そして国内で2007年頃からはじまったハイボール人気によるウイスキー復調のきざし等、90年もの日本のウイスキーの歴史を、チーフブレンダーという技術者の立場から物語った、いわゆる歴史本でありながら、「ブレンド」という技術の極意を語った非常に中味の濃い一冊となっております。
 「ブレンダー」という中々なじみのない著者の仕事内容を、先人の遺産(熟成中の原酒)を守ること、それらを継承し、さらには高い頂きを目指して未来(将来の原酒のあるべき姿)を描く仕事、と位置づけたとらえ方には、一種の憧れを抱き、心に刻んだ考え方でもあります。
まずは皆さん、是非一読を!アルコールメーカーの技術者はもちろん、ウイスキー好き、お酒好きの方なら楽しめるはずですよ。
 あ、おすすめの読み方は、ほろ酔いで一読、素面で一読、ほろ酔いで一読、の三度読みです笑。是非お試しを。

あ、いまさらですがランキング参加しています。ぽちっとお願いします↓
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

ちょっと休憩。ウイスキーの小話。

2014年01月19日 | 酒LIFE
 みなさんこんばんは。先日アルコール業界ではちょっとしたニュースが話題となりました。 なんとサントリーが、米蒸留酒最大手のビーム社を約1兆6500億円で買収しました。ジムビームやメーカーズマークで有名なビーム社は、世界1のバーボンメーカーですが、テキーラなんかも扱う蒸留酒全般のメーカーです。
 さてさて、ちょっとウイスキー(バーボン)に詳しい方なら、だからか!と思ったはずです。実は買収の前から、日本におけるジムビームの販売についてもサントリーが行っていたのですが、それは2013年1月からという、ごく最近になってからの事です。サントリーはそれまで、「日本における輸入ウイスキーシェアNo.1」の「ジャックダニエル」を40年にもわたって販売しておりまして、
ジムビームの販売権をサントリーが獲得したときに、その販売権は更新せず、アサヒビールに渡してしまいました。ちなみに、ジムビームの販売権を元々持っていたのは、アサヒビールなのです。つまり、2013年1月に「アサヒ・サントリー」間で、「ジムビーム・ジャックダニエル」の販売権トレードが行われていたわけです笑
サントリーが40年もの間販売権を独占していたジャックダニエルを手放してまで、ジムビームの販売権を獲得したのは、その先の買収を見据えての事だったのかもしれないですね。
 ここから先週の続きである「Yeastcidin」について書きます。と言いたいところですが!
すこーしお疲れということで今日はここまで笑。朝から録画していたサントリーのTVやら、ウイスキーの本やら、ウイスキーの内容を書いたせいで、どうも気分がウイスキーモードでして笑
 今日は自宅にてウイスキーを。飲み方はスタンダードな角のハイボールに、白州を浮かべるフロートスタイル!美味しい。
みなさんまた明日から一週間が始まります。楽しんでいきましょう。
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

酵母を殺す!?魔法の抗菌物質についてその②

2014年01月13日 | 酒LIFE
 皆さんこんばんは。三連休、美味しいお酒を飲まれたでしょうか。学生時代から含めて、私の周りにはお酒をよく飲む人で溢れかえっておりました。「類は友を呼ぶ」ですね笑
しかし。日本人は世界的に見るとお酒を飲む量が多い民族ではありません。2011年のデータですが、WHOが報告しました、成人一人当たりの純アルコール消費量(簡単に言えば飲む量の平均です。)で、日本は世界70位となっております。すごく低いなと思うのは私だけでしょうか。これは意外?と思いますがアジアNo.1は、韓国です。しかも「13位」と、非常に上位に位置しております。ちなみに1位~26位まではほとんどヨーロッパ諸国で占められておりまして、1位は「モルドバ」です。さすがにモルドバ人の知人はいませんが、是非とも一度、お酒を酌み交わしてみたいものです。
 さて今回も、先週に引き続きまして、酵母を殺す!?魔法の抗菌物質についてその②として話を進めていきたいと思います。
前回の内容で、酒造りに欠かせない酵母は、鑑評会で優秀な成績を収めた蔵元等から分離され、それらが各蔵元に配られる形式を取っていることを説明しました。また、それにより(酵母の配布により)蔵元間の差が少なくなることも。
そこで、東京農大の中田久保名誉教授は、無限の可能性を秘めた自然界に着目し、既存の酵母にはない個性豊かで特徴ある酵母を分離することを試みました。
 自然界には、まだまだ私たちが知らない微生物がたくさんいると言われております。
代表的な抗生物質であるペニシリンやストレプトマイシンも、自然界に存在する微生物が生みの親です。不治の病に対する新薬も、まだ発見されていない微生物から得られる可能性だってゼロではありません。
その中で酵母が集まりやすい環境として、酵母が好きな糖分がある、「花」(花の蜜)に着目されました。
では、花にいる酵母を簡単に分離することは出来るのか。答えはNo!です。
 実は、自然界における一般生態系では、栄養要求の単純なものが優位を占めます。少し難しいですが、要は「好き嫌いをしない微生物が優先して増殖します」。例えば、お酒を造る事に適している酵母(Saccharomyces属)は、あるビタミンが無いと増殖することができない「ビタミン要求性」と呼ばれる性質を持っております。つまり自然環境ではそのような好き嫌いを持たない、雑食性の酵母の方(Hansenula, Pichia属)が優先的に支配していることが多いのです。ちなみにこれら酵母は産膜酵母と呼ばれ、アルコール発酵を含めた発酵を行うには適しておらず、例えば醤油醸造等では風味を損なわせる酵母として嫌われております。
 まとめると、自然界にはSaccharomyces属と呼ばれるアルコール発酵を行う酵母の分布は極めて少ないのです。
そのような自然環境からSaccharomyces属を分離するにはどうすればよいのか。そこで登場しますのが、タイトルにもあります魔法の抗菌物質、「Yeastcidin(イーストサイジン)」です。今日はここまで。2014年は週一回のUPを目指しております。次回は日曜日を予定しております。では、皆さん。酔いお酒を。
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

~酵母を殺す!?魔法の抗菌物質について①~

2014年01月06日 | 酒LIFE
 明けましておめでとうございます。忘年会・新年会と、何かとお酒を飲む機会が増える季節ですね。日本酒をたしなみながら新年を迎え、年をまたいで新年最初のお酒は、BOWMORE12年のハイボールとMACALLAN12年のストーレートをいただき(この2種は、私のウイスキーの味覚のペースメーカーです。)、〆にロングアイランドアイスティーという最高の夜を過ごしました。ただ、あらっ?泡盛を飲んでいない!と、すぐに気づきまして、1日の夜はたらふく古酒を頂きました笑。
さてさて前置きが長くなりましたが、新年一発目は「Yeastcidin(イーストサイジン)」という、魔法の抗菌物質について書いてみたいなと思います。私が学生時代に研究していたテーマでもあり、面白い内容かと思いますので、何回かに分けて投稿しますね。では始めます。
 お酒(アルコール)を造るには、酵母の力が不可欠なことはご存知かと思いますが、酵母はお酒の「香り(香気成分)」を造る事にも多大に貢献します。以前のブログにも記載しましたが、日本酒製造では、リンゴのようないい香り(吟醸香)をたくさん作らせるために、酵母を育種して(いじって)、カプロン酸エチルと呼ばれる吟醸香をたくさん造らせるようにした酵母が開発されています。
 日本酒製造や焼酎・泡盛メーカーでは、醸造協会や組合から配布される酵母を使用することが一般的です。それら酵母はどこから来ているのか。
 一般的に利用されている酵母の、元々の分離元は、優良な蔵元のもろみ(お酒造りの発酵途中の状態)となっております。例えば日本酒業界の代表酵母である「協会7号酵母」は、長野県の有名な蔵元「真澄」のもろみから分離され、良い香りを出す酵母として全国に配布されるようになりました。この時の真澄は品評会の賞を独占するほど良質なお酒を造っていたそうで、ここの蔵元の酵母を配布することで、全国的な酒質の向上を目指したものですね。焼酎業界でも、基本的には米・芋焼酎のもろみから酵母を分離し、その中で優良なものを配布するようになった経緯があります。焼酎酵母2号がその代表です。
 このように、基本的にはお酒を造る事が得意な酵母は、当たり前ですがお酒を造っている状態の「もろみ」から探す方が手っ取り早く、探してきた酵母に上述のように手を加えて(育種)、改良を重ねて新しい酵母を生み出す、という方法がとられてきました。泡盛業界の泡盛1号酵母→101号酵母の流れもこの通りです。
 しかし。協会から配布される酵母は安心で、優良ですが、ほとんどのメーカーがこれらを使用することで、酒の個性がなくなるのも事実です。事実、酵母を配布するようになって、酒質は安定しても蔵元間の差は少なくなったと言われております。
 そんな中、全くお酒に関係ない自然界、その中でも「花」から酵母の分離に挑戦した方がいました。私の恩師でもあります東京農大名誉教授の「中田久保」教授です。
新年一発目はここまで。次回に続く。
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

~スーパー微生物!酵母を飼ってみたいですか?~

2013年11月10日 | 酒LIFE

みなさんご無沙汰しています。何度もさぼりがちですみません。嬉しいことですが、数名の方から更新しろ!と、おしかりをうけました。ネタはたまっているのですが、書く時間を確保できていませんでした。これからまた頑張りますので、リクエスト等も含めてよろしくお願いします。さて今回はタイトルにもあります酵母のお話。皆さんが酵母と聞いて最初に連想されるのは何でしょうか。例えばホームベーカリーで使用する、ドライイーストのようなパン酵母でしょうか(イースト=酵母なので、ドライイーストは乾燥酵母の事です。)?はたまたお酒を作るのに不可欠なアルコール関連の酵母?皆様がイメージされるようなパン酵母やアルコール酵母は、saccharomyces属と言われます出芽酵母に分類されます。これら酵母は、糖分を栄養源としてアルコールや二酸化炭素を放出するのですが、このとき酒類業界では、よりアルコールを放出するタイプの酵母を好んで使用し、パン業界では逆に二酸化炭素を効率よく放出するタイプが好まれます。パンのふくらみは、酵母が放出する二酸化炭素によるものなのです。文章にすると簡単ですが、糖分からアルコールを生み出すことが出来る酵母って、すごくないですか?極端に言えば、砂糖が入っていれば、酵母は何でもお酒にしてしまいます。皆様がお好きなワインや、ビール、日本酒、ウイスキー、そして泡盛や酎ハイに至るまで、酵母の力が無ければ作ることが出来ません。
ここで!国際臨床学会誌に紹介されたアメリカの面白い記事を紹介します。原文はCBS NEWSのweb版で見ることが出来ます。タイトルは「Beer belly: Man becomes drunk when stomach turns into brewery」となっています。(「ビール腹:お腹の中が醸造所になると男は酔っぱらってしまう」)さてさてどういうことなのでしょうか。
読み進めるとほんとに驚きました。なんとこの記事の男性は、酵母をお腹に飼っているそうです笑。記事を引用しながら説明します。5年間、いつも男性は酔ったような症状があり、看護師である妻が呼気検査をしたところ、アルコールを一切摂取していなくても、血中アルコール濃度が最も高い時で0.4%に達していたそうです。アルコールを飲んでいないのに病院に運ばれたこともあるそうですが、しかし当時の医師たちは、男性が隠れて飲酒しているに違いないと判断したそうです。それでも症状が続くため、ようやく、胃腸の専門医で24時間の経過観察や各種の検査を行った結果、男性の胃の中で食品が発酵していると診断されたそうです。つまり!「胃の中で酵母が増殖し、糖をエタノールに変える発酵作用が起きていたと考えられる」と研究チームは仮説を立てました。
ここで、抗菌剤を投与して酵母の活動を抑えたところ、呼気からアルコールは検出されなくなったそうです。やばいですね笑この病気は欧米ではあまり知られておらず、過去30年で確認された患者は数えるほどしかいないそうですが、ほんとおそろしいですね。冒頭で私は糖分があれば酵母は何でもお酒にしてしまうと書きました。この男性はパンを食べても、米を食べても(デンプンは糖に変わります)、チョコを食べても酔っぱらってしまうのです。酒代は浮きますが皆さん、酵母を飼ってみたいですか?いやいやそれじゃあ私の仕事がなくなりますね笑。みなさん、くれぐれもお酒は酒屋に造らせましょう!
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

~泡盛と焼酎①~

2013年08月25日 | 酒LIFE

皆さんこんばんは。すっかりブログの事を忘れてしまい、知人に指摘されて急いで書いております。さて私は、沖縄に戻って約一年半となりますが、その前は東京に住んでおりました。東京という場所もあってか、お酒に関しては日本酒から焼酎、ウイスキー、ワイン、ブランデー等々、飲みたいものはお金さえあれば飲める環境にありました。
そんなすばらしい環境の中、日本酒を好んで飲む時期もありましたが、より気軽に飲める焼酎にはほんとにはまり、焼酎アドバイザー(現焼酎利き酒師)の資格をとるほどその魅力にとりこになっていました(20歳で取りましたのでもちろん最年少です笑)。麦、芋、米、何でも好きで、いわゆる「幻の焼酎」と言われるようなものから、霧島のようなどこにでもおいている銘柄も手当たり次第飲んで味を覚えていったのですが、そのような時期にふと泡盛を飲むと、独特のくせを強く感じたのを思い出します。例えば沖縄では女性向けのお酒、くせが最も無いお酒として知られる比嘉酒造の「残波の白」ですが、本土の居酒屋で置いて焼酎と比べても味が立たない泡盛は、メジャーブランドではこの残白くらいだと思います。泡盛を元々知っている私にとっては、この泡盛独特のくせが懐かしく、逆に残白では物足りなく感じてしまうのですが、普段焼酎に舌が慣れている人にとって泡盛は、どうしても油臭や、コクが強く飲みにくいお酒と感じてしまう人が多いのも無理はないと思います。その味の決定的な違いを生み出しているのは何だと思いますか?それは原料、仕込み方法にあります。
一般に焼酎は、米(主に国産米)を原料として麹を造り、酵母、水とともに仕込んで数日後、そこに副原料(芋、麦、米)を加えて仕込む「二次仕込み方式」を採用します。ちなみにこの副原料が芋であれば芋焼酎、麦であれば麦焼酎となります。
しかし泡盛は原料である米(一部を除きほぼタイ米)を全て麹にし、酵母、水とともに一度に仕込む「全麹一次仕込み方式」を採用しています。このため焼酎と比べて麹の割合が高く、それら麹菌が生産するプロテアーゼといった味わいに関与する酵素群も多いことから、より濃醇なお酒となるわけです。ちなみに、焼酎は泡盛のように原料の全てを麹にする全麹方式を採用することが出来ますが、逆に泡盛は焼酎のような二次仕込みを採用することが出来ません。「泡盛」と名乗るための定義に、全麹仕込みであることが条件となっているわけです。米は47社同一のタイ米、仕込み方法も限定されている、にもかかわらず泡盛メーカー47社のお酒はどれもバラエティにとんでいます。造りが単純な分、味の差別化も難しいですがそこが泡盛造りの醍醐味の一つかもしれませんね。沖縄に戻ってから泡盛を飲む機会が多くなり、たまに焼酎を飲むと物足りなく感じます笑 人間の味覚って面白いですね。さて長くなりましたが今日はこの辺で。八月も残りわずか。夏を満喫しましょう!

泡盛業界初のRTS商品!~AWAMOJITO(アワモヒート)とは!?~

2013年07月12日 | 酒LIFE
皆さんこんばんは。帰国後、少しパタパタしていたためブログをサボってしまいました。変わらずのアクセス、見てくれている方々に感謝とすみませんの気持ちです。またこれから投稿ペースを取り戻していきたいと思いますので、今後も酒LIFEを宜しくお願いします。
さて先ほど内地からの友人にお土産として渡したこともあり、復帰第一弾はタイトルにあります泡盛業界初のRTS商品、AWAMOJITO(アワモヒート)について書かせてもらいます。
まずこのRTS商品というものについて説明します。RTS商品とはReady To Serve(注ぐだけ)の略で、海外(特に北欧)で注目されている新しいカテゴリーのお酒です。日本におきましては、特にサントリーさんが販促をかけ、「氷の入ったグラスに注ぐだけでカクテルが楽しめる」というRTS商品の魅力を伝えています。(ちなみにready-to-serve にfoodsがつくとready-to-serve foods=レトルト食品となります。注ぐだけ、あたためるだけといった手間要らずがRTS商品の魅力です。)
さて瑞穂酒造がこの度発売しましたアワモヒートは(2013.6.20発売)、泡盛×モヒートをもじった名前の通り、ラムベースのカクテルであるモヒートを泡盛で再現した商品となっています。キューバで生まれたモヒートは南国を象徴するカクテルの一つであることからも、どことなく沖縄のイメージや泡盛に合いそうな感じがします。実際に泡盛で作るモヒートは非常に美味しい泡盛カクテルの一つです。私の同級生に泡盛を全く飲めない人がいるのですが、BBQの時、その知人にモヒートのベースを泡盛に変えて黙って出したことがあります。他の泡盛ベースのカクテルでは全く受けつけなかったのに、その知人は美味しい!と気づかずに飲んでしまいました(おかわりもしました笑)。そんな泡盛版のモヒートを、氷の入ったグラスに注ぐだけで楽しめるのが、この「アワモヒート」最大の魅力です。
泡盛をベースにモヒートを作るとなると、まず泡盛、加えてミントや砂糖やライムや、、、色々準備しなければなりません。そんな手間を消費者に与えず、消費者は氷とグラス(お好みでソーダも)だけ準備すればよい!画期的だと思いませんか?笑
暑い日が続きますがそんな日は、アワモヒートで乾杯しましょう!南国気分、リゾート気分が味わえますよ。ある食通の方の意見では、媚びてなく女性だけじゃなくて男性もいける、白ワインの層を狙える、というものがありました。是非飲んでみて皆様の意見をお聞かせ下さい。
宣伝みたいなブログとなってしまいましたがたまには許してください。では今週も楽しんでいきましょう。
blog村 にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村

~酒は飲めば飲むほど強くなる!?MEOSの働き~

2013年06月15日 | 酒LIFE
皆さんこんばんは。先日友人と飲んでいたときに「酒って飲んだら強くなるのはホントなの?」と聞かれました。答えはズバリ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、YESです。お酒を飲み始めた頃はすぐに酔っ払っていたのに、飲み続けているうちに強くなったという経験を感じている人は多いのではないでしょうか。お酒の強弱は、よく遺伝だと言います。それももちろん間違っていませんが、この「飲んだら強くなる」理由については科学的に解明されています。
ではまずお酒を飲んだとき、それがどのように分解されていくかについて説明します。
まず飲んだアルコールは、胃や小腸で大部分が吸収され、血液に溶け込んで、肝臓に送られます。(胃で直接吸収されてしまう為、空腹時の飲酒は避けた方がいいというわけです。私はビールを空腹時に飲んだときの胃にしみるあの感覚が非常に大好きですが。)
吸収されたアルコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)の働きによりアセトアルデヒドに分解され、さらにアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の働きで酸化され、酢酸に変わります。肝臓で分解しきれなかったアルコールは、心臓に送られ、ここから脳はもちろん全身へと巡っていき(いわゆる酔いの原因です)、再び肝臓に戻って分解されます。
肝臓でできた酢酸は、最終的に水と炭酸ガスに分解され、最後には体の外に出ていきます。
このアルコールから変換された「アセトアルデヒド」は、強い毒性を持ち頭痛や吐き気をもたらしますが、このアセトアルデヒドを分解するALDH2には遺伝的な個人差があります。つまりこれがお酒を飲める人、飲めない人を決める重要な要因となっています。飲めない人はALDH2の活性がなく、アルコールを飲めば飲むほどアセトアルデヒドが蓄積し、頭痛や吐き気を起こしてしまうわけです。この原理を利用したアル中患者の治療法として、ALDH2の活性が無くなる薬を投与し、飲酒=苦痛という感覚を植えつける治療法も実際にあります。
ここで本題に入ります。実はお酒を分解する酵素にはもう一種あることが分かりました。これがタイトルにもありますMEOS(ミクロゾームエタノール酸化酵素)です。通常アルコールをアルデヒドに分解する酵素はADHのみと考えられており、この酵素は個人差も無く、もちろん強くなることも無いものです。したがって、お酒を飲んで強くなると感じるのは、脳や神経系がアルコールに順応して、感覚的に酔わないと感じてくるためだろうなどと、一種の錯覚として考えられていました。しかし。お酒を飲み続けるとアルコールの分解が早くなるという研究結果が出ました。この時、アルコールには別の分解経路があることが仮説として挙がり、その時発見されたものがMEOSです。このMEOSという酵素群は、大量の飲酒によりアルコールの血中濃度が上がると、ADHに加勢してエタノールを分解します。しかもなんと、「慢性的な大量の飲酒により量が増える」ことも明らかとなりました。そう、お酒はトレーニングで強くなるのです!! 
ただ、MEOSが働く時は飲みすぎての体のSOSサインとも言えますのでご注意を。まあ今日は土曜日。皆様のMEOSを働かせてください。ではより酔い週末を笑。