~酒LIFE~

酒LIFEのタイトル通り、お酒を中心とした日々の生活を描きたいと思います!

~泡盛 (醸造) の分岐点は1980年?泡盛1号酵母とは~

2016年04月29日 | 酒LIFE
GWいかがお過ごしでしょうか。本日はほんの少しだけマニアックなネタを。

「泡盛」において最も重要な「微生物」は?という問いに対して、「黒麹菌」と答える方は一定数いらっしゃるかと思いますが、「酒類」において最も重要な微生物は?という問いであれば、ほぼすべての方が「酵母」と答えるのではないでしょうか。

麹菌はデンプンを糖に変える働きをし、酵母はその糖からアルコールを造ります。

つまり元々糖分が存在すれば、酵母はそれだけでアルコールを造る事が出来ます。

ワイン(ブドウ)が最もわかりやすいですね。ワイン醸造には、元々ブドウ中に糖が存在するため、麹菌が必要ありません。酵母が発酵してアルコールを造ってくれます。

対して日本酒や焼酎・泡盛は、原料に糖が少なく(米や芋)、その原料中のデンプン質から糖分を造りだす必要があります。そこで麹菌が必要となってくるわけです。

さて前置きが長くなりましたが、1980年代初頭、個人的には泡盛醸造において大きな転換期と考えていることが起こりました。G-2株の発見です。通称泡盛1号酵母。

現在泡盛醸造では泡盛101号という名称の酵母が主流となっておりまして、その前身は1号酵母となっております。

1号酵母の発見により、収得量(※イメージとしてお米1 kgから出来るお酒の量)は上昇し(添加前年単純平均値比較:101.6%増)、腐敗は減り、泡盛の香味も向上、各酒造所は多大なる恩恵を受けたと言われております。

そこから生まれた泡盛101号酵母は、現在でもほぼ全酒造所が使用している酵母でして、今でも多大な恩恵を与えているものと思われます。

しかし。1号酵母の発見前はどうだったのでしょうか。その当時は各酒造所独自の酵母、いわゆる家付き酵母と呼ばれる酵母を使用していたと言います。

微生物は元々その環境に一番適応した微生物が優先し、他の微生物を淘汰しようとします。

つまり泡盛1号酵母の発見前は、「各酒造所の環境に最も適応されていた酵母」を使って酒造りを行っていたのです。

酵母は糖からアルコールを生成する働き以外にも、重要な役割を担っております。

酒類の香りや味わいに関わる様々な成分を造りだしてくれるのです。

そして。その香りや味わいの成分は、酵母の種類によって「多種多様」です。

さて泡盛1号酵母の発見前後。泡盛の香味が大きく変わったと推察しているのは私だけでしょうか。

例えば、泡盛における重要な香気成分(一説にはクセ、悪く言えば泡盛特有の臭みの原因?)であります、i-ブチルアルコールという成分について比較してみます。

なんと泡盛酵母添加前、1964年に泡盛もろみから分離された酵母は、泡盛1号酵母と比較して、このi-ブチルアルコールの生成量が「半分以下」なのです。もちろんその他成分比も異なります。

ただこのi-ブチルアルコールという成分、流行のバニリン等と異なって泡盛に非常に多く含まれる成分でして、150~200 ppm以上も存在します。(バニリンの200倍以上)

このような成分の生成量が、半分も変わるのです。つまり、泡盛1号添加前後で酒質が変わっていったことは容易に推察できます。

さて泡盛業界でも近年様々な酵母の利用が進み、時折酵母を変えて酒質を変える事に批判的な意見を聞いたりもします。

ただ、一消費者の意見として、私は1号酵母発見以前、つまり1980年以前の泡盛がどれだけ多種多様であったか非常に興味があります。古酒(瓶貯蔵商品含む)であれば、現在も残っているかと思われますが、当時の出来立て、いわゆる新酒の原酒ベースで比較してみたいものです。無理な話なのですが、、。

そして泡盛は、昔の方がバラエティに富んでいて良かったという意見が「多々」あるのも事実です。飛躍的に収得量や香味が向上した反面、酵母の多様性という各酒造所独自に合った重要な技術を失ってしまったことも、無関係とは思えないのですね。

1号酵母の利用に、最後まで抵抗していた蔵元さんが数社程あったという事実もお聞きしました。

酒類業界で、最も酵母に関する技術・利用が単一的であったここ30年の泡盛業界。
(繰り返しますが1号酵母の発見は業界に多大な恩恵を与えていることは認識しております。)

他にも力を入れるべき酒造りの技術が多々ありますことも、重々承知しております。

しかし1980年以前の様に、「蔵元独自の酵母」、他の酒類業界の様に「バラエティに富んだ酵母」が、酒造りの選択肢としてあることは、必要な・大切な技術の1つだなと思うのは私だけでしょうか。

ただただ、わたしは色々なお酒を飲みたいという感情も少しはありますが笑 ともあれ皆様よいGWをおすごしください!


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~エストニアが世界に誇る名酒 「Vana Tallinn(ヴァナタリン)」とは?~

2016年04月24日 | 酒LIFE
面積は日本の1/9。人口約130万人の小さな国、エストニア共和国。バルト三国の最も北側に位置する国ですが、皆さんはエストニアと聞いて何が浮かぶでしょうか。

私は真っ先にVana Tallinn(ヴァナタリン)というお酒が浮かびます。

Vana Tallinnは、ストレートでも美味しい!と私が初めて感じたリキュールかもしれません。

一般的にリキュールは、カクテルとして利用して初めて「花開く」商品が多いと思いますが、Vana Tallinnは、それそのもので完全に完成されております。

まだ東京にいました頃、二子玉川のとあるBARで「デザートにこちらはいかがですか?」と、最後に出して頂いたのがこのVana Tallinnでした。

かなり甘いはずなのに、全くいやらしくない。かなり度数が高いはずなのに、不思議と飲めてしまう。

甘いものが苦手な私は、食後のデザートを頂く習慣はありませんが、そんな私にとって「Vana Tallinn」は、「過去最高」のデザートでした。

そんなVana Tallinnに、つい先日なんと沖縄で出会う機会がありました。本当に感謝・感激です。

Vana Tallinnは、エストニアで最も有名なブランドの一つです。なんと今回頂きましたVana Tallinnも、現地のガソリンスタンドで購入されたものだそうです。
ガソリンスタンドに置いているほど、人々の生活に浸透している商品なのですね。

さてこのVana Tallinnは、いったいどういうお酒なのか。以下、(恐らく)メーカから出されておりました商品案内文を一部引用させてもらいました。

The unique combination of components include rum from Jamaica, enhanced by vanilla bean pods, orange, lemon and bitter orange oils.

上記の通りVana Tallinnは、ジャマイカ産のラムがベースでして、バニラビーズやオレンジ等の風味を付与したリキュールです。

The exact recipe of Vana Tallinn is as closely guarded as a state secret. The recipe is hand down only from one liqueur craftsman to the other.

そしてこのレシピは門外不出、何と一人の製造技術者のみ知っており、1960年の発売以降しっかり「人から人へ」と受け継がれているそうです。

「リキュール」と聞きますと、特に海外品は人工的な着色など、少し工業生産的なイメージを持ってしまうのは私だけでしょうか?(ジャパニーズリキュールの代表、「梅酒」は家庭的なイメージですね。)


そんな工業的なイメージを持っていたリキュールに対する私の感覚を、このVana Tallinnはしっかりと吹き飛ばしてくれました。

BARでもあまり見かけることが少ないVana Tallinnですが、あるとすればアルコール度数40%の商品が主流かと思います。

しかし、何と先日頂いたものは50%!!海外サイトを確認しますと、40, 45, 50%のラインナップがあるそうです。

つまりVana Tallinnの最上位商品を頂くことが出来たのですね。通りで美味しかったわけです。

京都ではお茶を出されますと、帰りなさいのタイミングという有名な話があります。

Vana Tallinnは、「もっとお酒を飲みたいな」という私の感覚を、やさしく完結してくれる、そんな最高のデザートかもしれません。

中々お目にかかれないVana Tallinn。この最高の「しめ」がもっと流通してくれれば、私の深酒は無くなるはずなのですが、、、、。



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まさに伝説のラム。「レジェンドオブキューバン」とは?

2016年04月17日 | 酒LIFE
タイトルにあります「レジェンドオブキューバン」とは、シングルモルトの値上がりが顕著になってきた、約6~7年前までさかのぼりまして、いつもの様に当時東京から戻る度に必ず立ち寄っていたお馴染みのBar、古都首里にありますBar Birthdayにて初顔合わせをいたしました。

と、冒頭の長々とした文章からも分かりますように、前回は動画による投稿を試してみましたが、今回はいつものスタイルに戻らせてもらいます。

「Awamojito(アワモヒート)」という、モヒートを泡盛で再現した商品の投稿動画から、モヒートつながりとして伝説のラムについて書いてみたいと思います。

さて2009年頃。「最近どんどんモルトの値段が上がっているよ。」というバーマンの声から始まり、「これからはラムもいいよ。とんでもないラムが入ったから飲んでみる?」と言う様な感じで始まったかと思います。

その当時の私のイメージとしては、ラム酒と言ったらラムコーク?ダイキリ?モヒート?ん~。ラムってカクテルベースのお酒ですよね~。
と、言う様な印象しか無く、モ・ル・トを飲みに来たのに「ラム酒ですが?」と、がっかりした、少しバカにしたような発言をしてしまったことを良く覚えております。(昔はつくづく生意気だったと反省しております。)

とりあえず飲んでみよう、的な感覚でいわゆる構えず? デスクワークをしながら水を口に含む時の様ないわゆる無意識的に? ようは片手間的に、グラスに鼻を近づけてみますと一気に正気に戻りました。

なんですかこの香りは?ブランデーですよ。

と、当時の私の物差しでは、「ブランデー>ラム」という、偏ったイメージを引用した表現しかできませんでした。ただはっきりと言えるのは、私がその当時までに飲んだであろうどんなブランデーよりも薫り高い印象でした。それは今でも言えるかもしれません。

そして口に含むと一気に鼻の奥まで膨れ上がるような甘い風味。まろやか。圧倒的な熟成感。とろりと舌を転がる印象。まさにパーフェクトでした。

そんな「レジェンドオブキューバン」は、その誕生秘話も正にレジェンドなのです。以下、株式会社ジャパンインポートシステム社長の田中 克彦氏の言葉を引用させていただきました。

「人生がそうであるように、酒とは出会いである。私にとってそんな想いにしみじみと浸れるのがこの酒だ。『レジェンド オブ キューバン ラム』。このラムは、1940~50年代にキューバで蒸留された後に樽詰めで海を渡り、スペインへ運ばれ名門一族の酒蔵において、ソレラ・システムで熟成されたものである。」

そうなんです。なんと私が飲んだ時点で、50年以上も前に起源をもったお酒だったんです。

そしてこの様な希少なお酒が世に出たのは、とある不幸からでした。

というのも、このお酒は「バルデスピノ家」という「創業1340年」まで遡るシェリー酒の名門一家が、ボデガ(酒蔵)に訪れたお客様に振る舞うためだけに熟成されていたものでして、売り物ではなかったのです。

当主でありましたミゲル・バルデスピノ氏は、「これはとても珍しいもので僕の宝物、このボデガを訪れた人だけにしか飲ませないし、売り物ではない」。と、述べたそうです。

ではその様な「宝物」に、私がなぜ出会うことが出来たのか。Bar Birthdayのコネクション?さすがのBirthdayでも、そこまではできません。以下、再度引用させて頂きます。

「家族経営によって、代々受け継いできた看板を守る彼(上述のミゲル・バルデスピノ氏)に突然不幸が襲った。大切な息子は病床の身に、そして地元のパレードの女王に選ばれたほどの美人であった愛娘を交通事故で失ってしまう。」

と、あります。そして。

「それから数年後、彼はその膨大な古酒とともに会社を売り払った。二人の子供の数奇な運命が、彼から名門としての誇りも、仕事への情熱をも奪い去ったのかもしれない。」

と続きます。つまり、代々続いた創業家による経営は突如途絶えてしまいました。そして新しいオーナーの意向により、このラム酒は世に出ることになったのです。

なんとも切なく、言葉にできないエピソードです。恐らく彼に不幸が訪れなければ、私はこのラム酒と出会うことが出来ませんでした。

彼がいかにこのお酒を愛し、育てていたのか。それがしっかりと伝わる風味だったことは、言うまでもありません。

ラムだけではなく、ウイスキーにブランデーそして泡盛。

これらお酒のいずれかを愛する人であれば、誰しもがこのレジェンドオブキューバンを口に含むと、感銘を受けてくれるものと確信しております。

大切に熟成・育てることで、より理想の風味に近づいていったであろうレジェンドオブキューバンラム。

もう一度レジェンドオブキューバンに出会う日を夢見て私は、目の前にある甕に入った泡盛たちを大切に育ててまいります。

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AWAMOJITO ~アワモヒート~ ver.2

2016年04月04日 | 酒LIFE
昨日の動画ですが、一部端末で見れなかったそうで、曲をフリーに変えてみました。アワモヒートのショートムービーです。シェアの程宜しくお願いします。

AWAMOJITO ~アワモヒート~ ver.2


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