~酒LIFE~

酒LIFEのタイトル通り、お酒を中心とした日々の生活を描きたいと思います!

~お酒と料理の相性はこの方法でわかる?! 仲里流NineFactorシステムによるマッチング法とは?~

2015年07月18日 | 酒LIFE

皆さんこんばんは。今回は色々ありまして以下のような形式の再登載。何度か公開させもらいましたが、私が提唱しております料理とお酒のマッチングを数値化する方法、すなわちNineFactorSystem (基本味5+4)について、この度再度ご紹介させてもらいます。今回は論文形式そのまま搭載しております。ご意見ご感想の程よろしくお願いします。


酒類と料理のマッチングテスト 
~仲里流NineFactorSystem (基本味5+4)による統計的マッチング法~

焼酎利き酒師&泡盛マイスター
仲里彬

概略
味覚は千差万別であり、十人十色の好みがある。お酒のつまみは、「ないよりは塩でもあった方が良い」という恩師の言葉もあるように、お酒のお供にはどんな料理でもあった方が良いと考えるのが一般的ではないだろうか。
しかしお客様に酒類を提供する立場の者は、少なくともお客様に対してはそういう考えではいけないだろう。
例えばあるお酒に対して、このお酒はどのような料理に合いますか?とお客様から質問が来た場合、「何にでも合います」と答えるのは飲食店やメーカーの努力不足であり、「何も試していない」のと同じである。
では、「あるお酒に対して相性が合う料理」を提案するためにはどうすればよいか。「うちの居酒屋メニューの中で、お宅のお酒とあうのはどれですか?」という質問に対し、瞬時に答えるにはどうすればよいのか。
自身の考えとして、まずは料理の味わいを、「客観的」に「分りやすく」より「コンパクト」な表現で捉える事が必要であると感じた。
私は初めに、料理の味わいを大別して分類・表現することは出来ないか考えてみた。様々な料理の味わいを一言でまとめ、後に数値化するための工程である。
味覚の基本味5つ(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)と、辛味等の他の要素を加えてながら様々な料理を表現してみた。そうして誕生したのが、(かっこつけて)横文字にし、タイトルに示されたNineFactorSystem (基本味5+4)である。これは、基本味5つに辛味(唐辛子、わさび等)、爽快感(生もの等)、油味(中華系、揚げ物類等)、コク(乳製品等、上記基本味の余韻等)の4つを加えた9つの味からなる。通称NF(ナインファクター)である。
私の独断と偏見で誕生したNFであるが、何度も試してみたこともあり、大よその料理はNFの内2つ程度でその味わいをコンパクトに表現できるようになった。もちろん複雑な味付けや素材の味わい等、9つの言葉で表現し難い料理は存在するし、たった9つで料理の味わいを示せると断言してしまうと、これは料理人に対して非常に失礼なことである。
あくまで、その複雑な味わいを持った料理を、9つの味わいで表現するとこうなる、という意味合いで捉えてほしい。9つの中から表現する理由は、お酒と料理のマッチングをなるべく統計的に処理し、まだ試したことがない料理とお酒のマッチングを予想するための重要な工程であるからだ。
泡盛は沖縄料理に合います。お客様に対しこんな大雑把な回答を避けるためにも、料理の味を数値化できるように分類することは重要である。どのような味わいのどのような沖縄料理と合うのか。
数多くの料理(味付け)との相性を試し、統計的な処理をすることで「この酒類に合う(合いそうな)料理の味付けの傾向をつかむ」事が可能であると考えた。
ここで簡単な例として、やきとり(塩)や生ハムや野沢菜との相性が高いお酒があったとする。一見すると3つの料理に関連性は少なそうだが、この料理の味わいをNFにて分けるとおそらく挙がるのが「塩味」である。このようにあるお酒に対して数十種類程度の料理との相性をランダムに試し、評価が高かった料理の味付けで「塩味」という要素が多い場合には、このお酒は、「塩味」が特徴的な料理と合います、とおすすめできるようになるのではないだろうか。
予め料理の味わいを9つの内2種類程度の組み合わせで表現し(できない場合も一番近いものに)、お酒と料理のマッチングの中で、特に評価が高い料理と評価が低い料理のNFをそれぞれ数値化し、比較する。恐らく料理の数をこなせばこなすほど、両評価間に違いが出るのではないだろうか。
9つの内どの味わいの評価が高く、逆に低いか統計的に処理をして比較する。
そうすることで、少なくとも分析者本人(この場合仲里)がおすすめする料理(味わい)は導き出すことができるのではないだろうか。
あるお酒に対して「酸味、甘味」のポイントが高い場合には、「こちらのメニューの中からは、酢豚がマッチする可能性が高いです」、や「三杯酢でいただく、なまこ酢がおすすめです」のように瞬時に相性を予想することができるようになるのではないだろうか。
もちろん上述したように素材の味わいもあり、料理の味わいを9つから選び出すことがそもそも難しく、実際に試してみないと料理とお酒の相性はわからない。
しかし、感覚的に答えるよりもよっぽど信憑性があるこの方法を、ぜひお勧めしたい。自身も数をこなして、NFシステムによるマッチングの精度を検証していく。

いかがでしょうか。強気ですね笑。私自身、ゆっくりとではありますが上記のNFシステムについて検証しており、その自信をつけつつあります。是非皆様のご意見を聞きたいです!
宜しくお願いします!





~これぞ「酒類における熟成の科学のゴール!?」 This Guy Says He Can Make 20-Year-Old Rum in 6 Days~

2015年07月06日 | 酒LIFE

ウイスキーやビンテージもののワイン、東洋の名酒泡盛等、お酒には、度々それらを評価するファクターとして、「何年物」というような熟成期間が挙げられる事が多いかと思います。

現在世界的なウイスキーブームと言われております。こと日本においては近年のハイボールの定番化や某ドラマの影響かより顕著であり、各社品質を維持しながら原酒を確保することに努力しつつも、いわゆる「年数物」の商品が終売もしくはリニューアルし、商品ラインナップが下方修正(語弊がありましたら申し訳ない)されている現状は、ウイスキーファンならお気づきかと思います。

さてそんな現状の中、先月とある記事と出会いました。

なんと、「20年物のラム酒を、6日間で造り上げる(創り上げる)ことに成功した」とのこと。胡散臭い?画期的?さまざまなご意見がおありかと思います。
詳しい内容は割愛しますが(タイトルからご検索ください)、私が注目しましたのは、彼が「20年物」の熟成の基準として捉えましたファクターについて。
発明者自身は、熟成作用の重要な要素として「エステル化」を挙げております。そして、彼の開発したシステムは、そのエステル化を強制的に行わせるものであるという事です。
20年もののラム酒並みに、エステル化されたラム酒を6日で造りだせるという事でしょうか。
酒類におけるエステル化とは、有機酸やアルコール類の縮合反応の総称なのですが、酒類においては重要な位置づけをもちます(と私は思っております)。

ちなみに、これまで泡盛業界では熟成の大きな目安としてエステル化が取り上げられたことは相対的に少なく(平良淳誠先生論文有り, 沖縄高専)、例えばバニリンや、ソトロンといった単一成分を熟成の目安としてとらえる風潮にありました。
樽貯蔵であります(ダーク)ラムの方が、バニリン値は高く、恐らく指標とし易そうですが、熟成ってそんな単一成分で語れるほど甘くないのか、それともそれ以上にエステル化を重要視しているのか(洋酒の世界では当たり前なのでしょうか)。

さて、彼の研究から飛んでしまいましたが、20年物のラムを6日で造るということ。
ロマンがないと言われそうですが、私は造り手の究極はこういう事だと思います。常に探求して、お客様から求められるものを当たり前に造り、尚且つ少しでもローディングコストを下げる事を意識する。もちろん科学的に。あとはそれらが売れるために必須なマーケティングと上手くマッチさせることでしょうか。
難しいですね笑。

彼の研究のこの先が楽しみです。そしてこのラムを飲んでみたい。
私も洋酒系の論文をもっと読もうと決意した記事でした。